人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

新国立オペラでプッチーニ「修道女アンジェリカ」&ラヴェル「子どもと魔法」のダブルビル公演を観る

2023年10月03日 00時34分24秒 | 日記

3日(火)。11月30日(木)19時から「読響名曲シリーズ」と「東京シティ・フィル定期演奏会」がダブっているので、読響名曲シリーズ公演を10月22日(日)14時からの日曜マチネーシリーズ公演に振り替えました 在京オケで振り替え先が一番多いのは読響です 今回を例にとれば11月開催の公演は10月から12月までの公演に振り替えることが出来ます さらに「定期演奏会」「名曲シリーズ」「土曜マチネーシリーズ」「日曜マチネーシリーズ」と4つのコースがあるので選択の幅が広く、かなり助かっています

ということで、わが家に来てから今日で3185日目を迎え、アジア大会のサッカー男子準々決勝で6枚のイエローカードを提示されたうえ、1-2で日本に敗れた北朝鮮の選手が試合終了後、審判団に詰め寄るなど大荒れした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     北朝鮮の選手にとって 勝てば勲章だが 負ければ過酷な強制労働だから 命がけだろ

 

         

 

昨日、夕食に「ハッシュドビーフ」を作りました   右手の甲が痛むので、今週はアルコール抜きにしようと決心したのでした

 

     

 

         

 

1日(日)午前11時からミューザ川崎シンフォニーホールでの「モーツアルト・マチネ」の後、14時から新国立劇場「オペラパレス」で新国立オペラ、プッチーニ「修道女アンジェリカ」とラヴェル「子どもと魔法」のダブルビル公演を観ました 共通するテーマは「母と子」です

 

     

 

この日は2023/2024シーズンの開幕を飾るプルミエ(初日)公演でしたが、最初に会場入口でわれわれを出迎えたのは下の表示でした

 

     

 

いったい何事か? 「爆弾を仕掛けた」という電話でも来たのか?と いぶかりつつチェックを受け、無事検問を通過しました 今だから告白しますが、私はいつもバッグの中に新聞切り抜き用の刃渡り2センチくらいの小型ナイフを入れて持ち歩いています 検査でそれは引っかかりませんでした 検査と言っても目視なのでバッグの底まではチェックできないでしょう 何のために検査をやっているのかは、開演直前に分かりました なぜか1階席の客が2階席を見上げて拍手をしています 「さては 天皇でも来たか」と思っていると、開演にあたり文化庁長官の都倉俊一氏から挨拶があり「秋篠宮ご夫妻にご臨席賜り・・・」と話したので、「それで手荷物検査があったのね」と分ったわけです 英国ではエリザベス女王の逝去後、皇室廃止論も出ていると聞きますが、日本ではまだ皇室の人気はあるようですね ところで、新聞でも放送でも なぜ皇室の人たちには「さま」を付けるんでしょうね・・・さまを付けないとさまにならないから・・おあとがよろしいようで

いつものようにプログラム冊子を購入しました いつもは@1000円ですが、今回に限り@1500円となっていました ダブルビル公演だからでしょうか 新国立劇場は しっかりしてますね

 

     

 

プッチーニ「修道女アンジェリカ」の出演は、アンジェリカ=キアーラ・イゾットン、公爵夫人=斉藤純子(マリアンナ・ピッツォラートの代役)、修道院長=塩崎めぐみ、修道女長=郷家暁子、修練女長=小林由佳、ジェノヴィエッファ=中村真紀、オスミーナ=伊藤晴、ドルチーナ=今野沙知恵。合唱=新国立劇場合唱団、児童合唱=世田谷ジュニア合唱団、管弦楽=東京フィル、指揮=沼尻竜典、演出=粟国淳です

「修道女アンジェリカ」はジャコモ・プッチーニ(1858-1924)がG.フォルツァーノの台本に基づき1917年に作曲、1918年にニューヨークのメトロポリタン歌劇場で初演された全1幕の歌劇です 「外套」(1916年作曲)、「ジャン二・スキッキ」(1918年作曲)とともに「三部作」と呼ばれています

物語の舞台は17世紀末イタリアの修道院。アンジェリカは未婚の母であり、「贖罪」のため息子と引き離され修道院に入れられていた 訪ねてきた叔母の伯爵夫人から2年前にその子どもが亡くなったことを知らされ、悲嘆にくれるアンジェリカは毒をあおるが、聖母マリアに自殺の罪を告白する 聖母に祈りを捧げると奇跡が起こり、息子を連れた聖母が現れる アンジェリカは息子に手を差し伸べながら息絶える

水谷彰良氏の「作品ノート」によると、「プッチーニは1917年9月14日に総譜を完成したが、その間彼は2歳年上の姉イジニアが院長を務めるルッカのヴィコペラーゴ女子修道院を何度も訪れ、牧歌的情景と修道女たちの生活を作品に反映させるとともに、訪問時に演奏した『母もなしに』を聴いた修道女全員が涙を流したとの逸話も残されている」とのことです プッチーニのお姉さんが修道院の院長だったとは初めて知りました

本作は出演者全員が女性という異様なオペラです しかも、公爵夫人以外は全員が修道女という設定なので、ほとんど同じ衣装を身に着けています そこでオペラ通でも何でもない私のような素人に何が起こるかというと、誰が何の役を歌っているのか分からないまま終わってしまう、という悲劇です よくもこんな恥ずかしいことが書けたものだと反省しています

そんな中、主人公のアンジェリカを歌ったキアーラ・イゾットンだけは強烈な印象を受けました イタリア出身のソプラノですが、昨年末にはメトロポリタン歌劇場の「フェドーラ」にタイトルロールで出演、新国立劇場では21年「トスカ」にタイトルロールで出演しました 絶望したアンジェリカが歌う「母もなく」を圧倒的な感情表現で歌い上げ、聴衆の心を揺さぶりました

粟国淳の舞台・演出はシンプルで分かりやすく、新国立劇場の 縦に横に動くステージを機能的に活用して場面転換をスムーズに行い、視覚的にも見応えがありました

 

     

 

         

 

ラヴェル「子どもと魔法」の出演は、子ども=クロエ・ブリオ、お母さん=斉藤純子、肘掛椅子/木=田中大輝、安楽椅子/羊飼いの娘/ふくろう/こうもり=盛田麻央、柱時計/雄猫=河野鉄平、中国茶碗/とんぼ=十合翔子、火/お姫様/夜泣き鶯=三宅理恵、羊飼いの少年/牝猫/りす=杉山由紀、ティーポット=濱松孝行、小さな老人/雨蛙=青地英幸。合唱=新国立劇場合唱団、児童合唱=世田谷ジュニア合唱団、管弦楽=東京フィル、指揮=沼尻竜典、演出=粟国淳です

「子どもと魔法」はモーリス・ラヴェル(1875-1937)が1920年から25年にかけてシドニー=ガブリエル・コレットの台本に基づいて作曲、1925年にモンテカルロで初演された全1幕(約45分)のオペラです

宿題がいやで文句だらけの男の子。ティーポットやカップを壊したり、動物を虐めたりと暴れ放題 すると壊された物や虐められた動物が仕返ししようと飛びかかってきて大騒ぎになる しかし、ついに寂しくなって「ママがいない」と叫ぶ 男の子が怪我をしたリスを手当てすると、生き物たちは子どもの優しいところに気づいて「坊やはいい子になったよ」と言いながら去っていく 子どもは手を前に伸ばしながら「ママ」と呼んで、幕が閉じる

 

     

 

これは楽しいオペラでした 粟国淳の演出は映像を駆使し、動物や物なども歌手たちが”コスプレ衣装”で歌い演じています さらにバレエも踊られます ラヴェルはこのオペラを「ファンタジー・リリック」と呼びましたが、全1幕で約45分の短いオペラながら、堂々たる「グランド・オペラ」と言って良いと思います 本公演は まさに「オペラは総合芸術である」ということを具現化した演出と言えるでしょう 子どもから大人まで楽しめる素晴らしいオペラです

子どもを歌ったクロエ・ブリオはフランス出身のソプラノです アリアらしいアリアはありませんが、この役にピッタリで世界中で引っ張りだこというのも頷けました

歌手陣はそれぞれのコスプレを楽しんで演じ歌っている様子が微笑ましく、歌も総じて大健闘でしたが、一番印象に残ったのは三宅理恵が演じたお姫様でした

最後に、「修道女アンジェリカ」と「子どもと魔法」を通じて特筆に値するのは沼尻竜典指揮東京フィルの渾身の演奏です 前者ではアンジェリカの苦悩と救済を描き、後者では”音の魔術師”ラヴェルによるファンタジックな世界を描き尽くしました

今後の「修道女アンジェリカ」&「子どもと魔法」のダブルビル公演は4日(水)19時、7日(土)14時、9日(月・祝)14時の3回が予定されています

 

     

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