人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

小泉和裕 ✕ 東京都交響楽団でブラームス「ハイドンの主題による変奏曲」、ブルックナー「交響曲第2番」を聴く ~ 都響第984回定期演奏会Bシリーズ

2023年10月21日 00時27分44秒 | 日記

21日(土)その2.モコタロは「その1」に出演しています 是非ご訪問ください

昨日午後7時からサントリーホールで東京都交響楽団「第984回定期演奏会Bシリーズ」を聴きました プログラムは①ブラームス「ハイドンの主題による変奏曲 作品56a」、②ブルックナー「交響曲第2番 ハ短調 WAB102(ノヴァーク:1877年版)」です 指揮は都響終身名誉指揮者・小泉和裕です

 

     

 

オケは16型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの都響の並び。コンマスは山本友重です 「葵トリオ」の伊東裕君はチェロ首席が板についてきました

1曲目はブラームス「ハイドンの主題による変奏曲 作品56a」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833-1897)が1873年に作曲、同年11月2日にウィーンで初演されました 「主題と8つの変奏とフィナーレ」から構成されています 主題はハイドンの「ディヴェルティメント集」第6番の第2楽章「聖アントーニの讃美歌」から採られていると言われてきましたが、舩木篤也氏のプログラムノートによると、原曲はハイドン作ではないことは間違いないようです しかし、ブラームスにとっては、原曲がハイドンだろうが誰だろうが良かったのだと思います

小泉和裕が指揮台に上り演奏に入ります 「まったく変わってないなあ」と思ったのは、足から根が生えたように指揮台に両足を固定し、上半身だけで指揮をする文字通り「不動の指揮スタイル」をとるのです これは他の誰とも違う小泉氏だけの個性です

全体的に、ブラームスらしい渋さのある正攻法の演奏が展開しました

 

     

 

プログラム後半はブルックナー「交響曲第2番 ハ短調 WAB102」(ノヴァーク:1877年版)です この曲はアントン・ブルックナー(1824-1896)が1871年から翌72年にかけて作曲、1873年10月26日にウィーンで初演され、その後改訂されました 第1楽章「モデラート」、第2楽章「アンダンテ:荘厳に、いくぶん動きをもって」、第3楽章「スケルツォ:適度に速く」、第4楽章「フィナーレ:より速く」の4楽章から成ります

この曲は昨年10月23日にジョナサン・ノット ✕ 東京交響楽団で聴く予定だったのが、風邪を引いたため聴けなかった作品です したがって今回初めて聴くことになりました

この曲は、作曲者が何度か改訂を加えているせいか、分かりにくい作品です 全体的にみると、第2楽章と第3楽章が比較的分かりやすい音楽である一方、第1楽章と第4楽章がどちらかというと捉えどころのない音楽です しかし、どの楽章もこの時すでにブルックナーのDNAとでも言うべき性格を表わしています 素晴らしいと思ったのは第2楽章「アンダンテ」における弦楽セクションを中心に演奏された宗教的ともいえる美しい音楽です それに続く第3楽章「スケルツォ」は冒頭から弦楽器により激しいキザミが演奏され、第2楽章で心地よく眠っていた人は眼が覚めたのではないかと思います

小泉和裕はこの曲でも一貫して足を指揮台に固定し、最後まで動かしませんでした 彼は暗譜で指揮をとりましたが、よくもこんな難しい曲を暗譜で振れるものだと感心しました 全体的に奇をてらったところのない正攻法のアプローチで、円熟味を増した小泉氏のブルックナーは素晴らしいと思いました

満場の拍手とブラボーが飛び交う中、カーテンコールが繰り返されました 小泉氏の指揮する交響曲では3大B(ベートーヴェン、ブラームス、ブルックナー)が特に素晴らしいと思ったコンサートでした

都響でもカーテンコール時のスマホ撮影が許可されているので、初めて写メしました

 

     

     

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鈴木秀美 ✕ 新日本フィルでシューベルト「交響曲第7番 ”未完成”」、ベートーヴェン「交響曲第6番 ”田園”」、メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」を聴く ~ 第18回 クラシックへの扉

2023年10月21日 00時01分07秒 | 日記

21日(土)その1.わが家に来てから今日で3203日目を迎え、2020年米大統領選の結果を覆すために、トランプ前大統領らがジョージア州で組織的な不正を働いたとされる事件で、トランプ氏とともに起訴されたシドニー・パウエル弁護士が19日、有罪を認めて司法取引に応じる意向を示した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     誰だって刑は軽い方が良いと思うだろ ますますトランプは追い詰められて崖っぷち

 

         

 

昨日、夕食に「ナスとピーマンの煮浸し」「生野菜とアボカドのサラダ」「味噌汁」を作りました 昨日は2時からと7時からのコンサートのハシゴだったので午前中に作っておきました

 

     

 

         

 

昨日、午後2時からトリフォニーホールで新日本フィル「第18回 すみだクラシックへの扉」公演を、午後7時からサントリーホールで「都響定期Bシリーズ」公演を聴きました ここでは新日本フィルのコンサートについて書きます

プログラムは①メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」、②シューベルト「交響曲第7番 ロ短調 D.759 ”未完成”」、③ベートーヴェン「交響曲第6番 ヘ長調 作品68 ”田園”」です 指揮は鈴木秀美です

 

     

 

オケは12型で、左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリン、その後ろにコントラバスという対抗配置をとります コンマスは西江王子、隣はアシスタント・コンマスの立上舞です

1曲目はメンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」です この曲はフェリックス・メンデルスゾーン(1809-1847)が1829年にスコットランドのヘブリディーズ諸島を旅した際に、スタッファ島にあるフィンガルの洞窟を見た印象をもとに1830年に作曲、1832年にロンドンで初演されました 同じ序曲でもオペラの序曲とは異なり、独立した「演奏会用序曲」です

鈴木秀美の指揮で演奏に入りますが、舟から見える波の揺れや、壮観な洞窟の様子が目に浮かぶようでした

2曲目はシューベルト「交響曲第7番 ロ短調 D.759 ”未完成”」です この曲はフランツ・シューベルト(1797-1828)が1822年に作曲した第2楽章までの未完の交響曲です 楽譜は1865年に発見されました 第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「アンダンテ・コン・モート」の2楽章から成ります

コンサートに先立って開かれた「60分ワンコイン講座」で講師の小室敬幸氏は、「この曲は2楽章の未完成の交響曲ではなく、2楽章で完結した交響曲であるとする説もある」ことを紹介しました それは「喪失」の第1楽章、そこからの救済である「再生」の第2楽章という完結した構成にあるというものです

それを頭に思い浮かべながら演奏を聴いてみると、なるほど第1楽章冒頭の低弦による旋律は「喪失」のように聴こえ、第2楽章の穏やかな旋律は「救済」であり「再生」であるように聴こえました 演奏ではクラリネットの太田友香、オーボエの神農広樹、フルートの野津雄太、そしてナチュラルホルンの日高剛が素晴らしい演奏を繰り広げていました また、第2楽章における弦楽セクションの繊細で美しいアンサンブルが印象的でした

 

     

 

プログラム後半はベートーヴェン「交響曲第6番 ヘ長調 作品68 ”田園”」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が1807年から翌08年にかけて作曲、1808年にアン・デア・ウィーン劇場で「交響曲第5番」他とともに初演されました 第1楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ:田舎に着いた時の愉快な気分と目覚め」、第2楽章「アンダンテ・モルト・モッソ:小川の風景」、第3楽章「アレグロ:田舎の人々との楽しい集い」、第4楽章「アレグロ:雷鳴と嵐」、第5楽章「アレグレット:牧歌 ~ 嵐の後の喜びと感謝」の5楽章からなります

小室敬幸氏のプログラムノートにもあるように、ベートーヴェン自らがタイトルを付けたのはこの「交響曲第6番 PASTORALE」だけです 小室氏の解説によると「PASTORALE」とはイタリア語由来で「羊飼いの」という意味の形容詞で、そこから転じて「牧歌(=羊飼いの歌)的」や、羊飼いが暮らす「田園(の)」、更には集団を束ねる「聖職者の」という意味を持つようになった、とのことです 交響曲に情景描写を持ち込んで各楽章に標題を付けるというアイディアは、ベルリオーズ「幻想交響曲」に受け継がれていきます

鈴木秀美の指揮で演奏に入りますが、全体的にはノンビブラートによるスッキリした見通しの良い演奏で、鈴木氏特有のメリハリの効いた演奏が展開しました この曲ではクラリネットの太田友香、瀧本千晶、オーボエの神農広樹、フルートの野津雄太、ファゴットの坪井隆明、そしてナチュラルホルンの日高剛、藤田麻理絵の演奏が素晴らしく、弦楽器は対抗配置が有効に機能していました とくに最終楽章は神への感謝の歌が聴こえました

満場の拍手のなかカーテンコールが繰り返されました 素晴らしいコンサートでした

 

     

     

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