人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「サントリーホールのオルガン・カフェ #3」を聴く~音の大伽藍に圧倒される

2016年09月20日 07時22分35秒 | 日記

20日(火).わが家に来てから722日目を迎え,なぜか倒れ込んでいる白ウサちゃんを発見し,動揺するモコタロです

 

          

          白ウサちゃん  どうしたの? この子犬たちにやられたの?

 

          

                                   なに ぼくたちじゃない 犬当違いだって?

 

          

            こらこら 白ウサちゃんを気絶したまま置いていくなってば!

 

  閑話休題  

 

昨日「サントリーホールのオルガン・カフェ #3」を聴きました プログラムは①メンデルスゾーン「交響曲第4番イ長調”イタリア”」から第1楽章,②ニーノ・ロータ「映画:ゴッドファーザー」から,③マスカー二「歌劇:カヴァレリア・ルスティカーナ」から「間奏曲」,④タルティーニ「トランペット協奏曲ニ長調」から「第3楽章」,⑤ヴィエルヌ「オルガン交響曲第1番」から「終楽章」です オルガン独奏は山口綾規,トランペット独奏は高見信行,ナビゲーターは川平慈英です

 

          

 

自席は1階10列16番,センターブロック左通路側です.会場は最初から空けてあるP席を除いてほぼ満席状態です 祝日の昼間で低料金(指定2,000円)が受けているのでしょうか ステージ上方のパイプオルガンの他に,1階のステージ右サイドに演奏台が設置されています.組込式と移動式の両方の演奏台を使用するようです

ところで,サントリーホールのパイプオルガンですが,プログラムに掲載された解説によると,メーカーはオーストリアのリーガー社,演奏台は2台(4段手鍵盤,足鍵盤),ストップ数74,パイプ数5898本となっています.5898本ですよ,奥さん 来年2月からサントリーホールは全面的な改装工事に入りますが,このパイプオルガンはどうなるんでしょうね? 解体してフル・メンテをするのでしょうか? 興味があります

2階の正面バルコニーに山口綾規が登場,オルガンに向かいます この人は早稲田大学政経学部を卒業後,東京藝大大学院でオルガンを学んだという変わった経歴の持ち主です 早速1曲目のメンデルスゾーン「交響曲第4番イ長調”イタリア”」の第1楽章の演奏に入ります.メンデルスゾーンは21歳から22歳にかけて約半年間イタリア旅行に出ました(資産家の息子ですから)が,その時の印象を基に書いた曲の一つがこの交響曲です

1台のオルガンで「イタリア」を聴くのは今回が初めてですが,太陽の輝きに満ちたイタリアを旅したメンデルスゾーンの浮き浮きした楽しい気分が手に取るように伝わってきました 聴く前はもっと重い演奏になるかと予想していましたが,演奏は軽快そのものでした

ここで,サッカー解説の「ゴオオオオオ~ル!!」の絶叫でお馴染みの川平慈英が上下黒のソムリエ・スタイルで登場,自己紹介し,次いで山口氏を紹介しました そして「これからコンサートのキック・オフを開始します」と,あくまでもサッカーにこだわった開会宣言をしました

2曲目はニーノ・ロータ作曲による映画「ゴッド・ファーザー」のパート1,パートⅡから数曲がメドレーで演奏されました

ここで,2階正面バルコニーにトランペット奏者・高見信行が登場します.この人は東京藝大卒業後ドイツの音楽大学で学び,ドイツ国家演奏家資格(マイスター)を取得しています オルガンとの共演で演奏するのはマスカー二のオペラ「カヴァレリア・ルスティカーナ」から「間奏曲」です オルガンの前奏に続いてトランペットが入ってきてメイン・メロディーを奏でますが,オーケストラで聴いても,特定の楽器で聴いても,感動的です こんなに美しい音楽があるのか,と思うほどです

次いで,タルティーニの「トランペット協奏曲ニ長調」から「第3楽章」がトランペットの輝かしい演奏で奏でられました

プログラム前半の最後はJ.S.バッハの「パッサカリアとフーガ ハ短調BWV582」です 山口綾親が再登場しオルガンに向かいます.鍵盤に手を置くかと思いきや,この曲は足から入ります パイプオルガンの低音部は足によって演奏されます.正面のパイプオルガンの一番太いパイプを通じて重低音が会場いっぱい響き渡ります この曲や,有名な「トッカータとフーガ」を聴くと,敬虔な気持ちになり,にわかクリスチャンになります

 

          

 

後半の部は,1階のステージで演奏されるようです.ステージ右サイドのオルガン演奏台に山口氏が,左サイドにトランペットの高見氏がスタンバイします

いったい何が始まるのかと思って見ていると,ナビゲーターの川平が仲間をステージに呼び,二人で傘を持って「雨に歌えば」を歌いながらタップ・ダンスを披露しました.これは博品館劇場で二人が上演するステージの宣伝でした.したがってここでは詳細を冷たく割愛します

プログラム後半の最初はグノ―の「マリオネットの葬送行進曲」です グノ―と言えばバッハの平均律のプレリュードをアレンジして「アヴェ・マリア」を書いた人です.どうやらこの曲は1950年代から放送されたテレビ番組「ヒチコック劇場」のテーマ音楽に使われていたそうです 聴いてみると,所々聞き覚えのあるメロディーが出てきました

プログラムの最後はフランスの作曲家ルイ・ヴィエルヌの「オルガン交響曲第1番」から最後の「第6楽章」です 山口氏は再度2階に上がり,パイプオルガンに向かいます.この曲を聴いてみて初めて,彼がなぜ「交響曲」という名前を付けたのかが分かりました パイプオルガン1台で まるでフル・オーケストラの豊穣な響きを再現するのですから,その迫力には圧倒されます まさに音の大伽藍が構築されるようです 聴き終わって,会場いっぱいの拍手を受け,誇らしげな表情の山口氏を見ながら,「この人は今日,大観衆の面前でこの曲が弾きたかったんだろうな」と思いました

これで終わりかと思いきや,再度トランペットの高見氏が登場し,アンコールにプッチーニのオペラ「トゥーランドット」から「誰も寝てはならぬ」を感動的に演奏し,コンサートの幕を閉じました

休憩を挟んで2時間弱のコンサートでしたが,とてもリラックスした良い公演でした.また来年も聴きに来ようと思います

 

          

 

さて,「今日こそは何もありませんように!」と密かに願いながらコンサートに臨んだのですが,この日もダメでした 自席に座る時,右隣の高齢女性のバッグの持ち手がこちら側にはみ出して垂れ下がっていたのです どうやらバッグを左側に置いたまま座っていたようです.私が座ろうとすると,はみ出しに気が付いたらしく,持ち手をひっこめたので一安心しました.しかし,しばらくすると,またこちらに垂れ下がっているのです また気が付いたらしく引っ込めました.「この人は,自分が迷惑をかけているのは分かっているんだな」と,心を許したのが大間違いでした 休憩後,またこちらに垂れ下がっているのです.他人に迷惑をかけているのが分かっているのなら,バッグを膝の上に乗せるか,床に置けば済む問題です.私には,同じ過ちを何度も繰り返す人の神経が理解できません しかし,今度はまったく気が付く気配さえありません 音楽に集中するのは良いけれど,その前に他人の迷惑を考えろ と叫びたい気持ちでした 他国の領土に 自国の領土の如く土足で乗り出してくる某覇権国家と同じではないか コンサートを聴きに行くたびにこういう唯我独尊的自己チューに悩まされるのもいい加減イヤになってきます このブログにコメントをくださった みなみさん が指摘されているように,コンサートで最低限のマナーも守れない状況は「どんどんひどくなっている」としか言いようがありません

唯一の救いは,アンケートに協力したら,先着50人がもらえる「サントリーホール30周年クリアファイル」を手に入れることが出来たことです こういう時,通路側席は圧倒的に有利です

 

          

 

今週は25日(日)まで今日を含めてあと5回のコンサートが控えています このうち3回は「定期演奏会」なので隣席は”いつもの人”なので大丈夫だと思いますが,残りの2回が問題です いったいどんな隣人が座るのか,今から不安にかられています

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「METライブビューイング2016-17」3枚セット券を購入~11月から10公演上映

2016年09月19日 07時53分51秒 | 日記

19日(月).昨日は朝から夜まで,お神輿を担ぐ「わっしょい わっしょい」の声や,盆踊りの音楽が聞こえてきました 日本中が秋祭りのピークだったのでしょうか? 時折小雨がぱらつくあいにくの天気だったのですが,本格的な雨にならず神輿も櫓も濡れずに済みました 秋祭りは本来,農作物の豊作を感謝する行事ですが,ここ東京の都心ではその意味が薄れているのが実態だと思います もっともこれは東京に限ったことではないかもしれませんが

 ということで,わが家に来てから721日目を迎え,またしても未確認非飛行物体に遭遇し警戒するモコタロです

 

          

                   キミ この辺じゃ見かけないけど どっから来たの?

 

          

            「スターウォーズ・フォースの覚醒」から抜け出だして来たって・・・ホントかいな?

 

  閑話休題  

 

米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演するオペラのライブ録画映像を日本国内でも上演する「METライブビューイング2016-17」の概要が明らかになっています

 

          

 

11月12日(土)から来年5月19日(金)までの間に全10作品が上映されます ラインアップは次の通りです

①ワーグナー「トリスタンとイゾルデ」(新演出)  指揮:サイモン・ラトル,出演:ニーナ・ステンメ他.

  11月12日(土)~11月18日(金)

②モーツアルト「ドン・ジョバンニ」  指揮:ファビオ・ルイージ,出演:サイモン・キーンリーサイド他.

  12月3日(土)~12月9日(金)

③カイヤ・サーリアホ「遥かなる愛」 (MET初演) 指揮:スザンナ・マルッキ,出演:スザンナ・フィリップス他

  1月21日(土)~1月27日(金)

④ヴェルディ「ナブッコ」 指揮:ジェイムズ・レヴァイン,出演:プラシド・ドミンゴ他

  2月4日(土)~2月10日(金)

⑤グノ―「ロメオとジュリエット」(新演出)  指揮:ジャナンドレア・ノセダ,出演:ディアナ・ダムラウ他

  2月25日(土)~3月3日(金)

⑥ドヴォルザーク「ルサルカ」 (新演出)  指揮:マーク・エルダー,出演:クリスティーヌ・オポライス他

  3月18日(土)~3月24日(金)

⑦ヴェルディ「椿姫」  指揮:二コラ・ルイゾッティ,出演:ソニア・ヨンチェーヴァ他

  4月8日(土)~4月14日(金)

⑧モーツアルト「イドメネオ」 指揮:ジェイムズ・レヴァイン,出演:マシュー・ポレンザーニ他

  5月6日(土)~5月12日(金)

⑨チャイコフスキー「エフゲニー・オネーギン」  指揮:ロビン・ティチアーティ,出演:アンナ・ネトレプコ他

  5月20日(土)~5月26日(金)  

⑩R.シュトラウス「ばらの騎士」 (新演出)  指揮:セバスチャン・ヴァイグレ,出演:ルネ・フレミング他

  6月10日(土)~6月16日(金)

 

          

 

          

 

個人的には,①歌手で選ぶのならクリスティーヌ・オポライスの「ルサルカ」,アンナ・ネトレプコ,ディミトリ・ホヴォロストフスキーの「エフゲニー・オネーギン」,ルネ・フレミング,エリーナ・ガランチャの「ばらの騎士」の3作品,②指揮者で選ぶならサイモン・ラトルの「トリスタンとイゾルデ」,二コラ・ルイゾッティの「椿姫」2作品,③作品の魅力で選ぶならモーツアルトの「ドン・ジョバンニ」と「イドメネオ」の2作品です

都内の主な上映劇場は「新宿ピカデリー」「東劇」「TOHOシネマズ六本木ヒルズ」です チケット代は一般が3,600円,学生が2,500円ですが,3枚セットの特別鑑賞券は9,300円と格安になっています 「トリスタンとイゾルデ」のみ一般5,100円,学生3,600円ですが,セット券も利用可能とのことです.3本以上観る人は絶対にセット券がお得です 昨日さっそく新宿ビカデリーで3枚セット券を購入しました.前シーズンは全10作品観ましたが,本シーズンもそのつもりです

 

          

 

          

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上岡敏之+アンヌ・ケフェレック+新日本フィルでモーツアルト「ピアノ協奏曲第27番K.595」他を聴く

2016年09月18日 08時19分08秒 | 日記

18日(日).わが家に来てから720日目を迎え,築地市場の豊洲への移転問題に関連して,移転先の主な建物下に土壌汚染対策の盛土(もりど)がないことについて考えを巡らすモコタロです

 

          

             盛土って湯桶(ゆとう)読みだよね 反対は重箱読みだし ぼくってインテリ?

 

  閑話休題  

 

昨日,すみだトリフォニーホールで新日本フィル第562回トパーズ定期演奏会を聴きました 新シーズン第1回目のプログラムは①モーツアルト「交響曲第33番変ロ長調K.319」,②同「ピアノ協奏曲第27番変ロ長調K.595」,③ブラームス(シェーンベルク編)「ピアノ四重奏曲第1番ト短調」(管弦楽版)です ②のピアノ独奏はアンヌ・ケフェレック,指揮は今月 新日本フィル音楽監督に就任した上岡敏之です

 

          

 

前シーズンはサントリー会員だったので,トリフォニー会員は久方ぶりです ロビーの受付で定期会員継続特典CDをいただきました

 

          

          

 

収録されているのはラヴェル,シャブリエ,ビゼー,リムスキー・コルサコフの管弦楽曲ですが,ラヴェルを除く3曲は,今年7月25日の「フェスタサマーミューザ2016」でのライブ録音です 後でゆっくり聴いて当日の演奏を振り返りたいと思います

新日本フィル第4代音楽監督に就任して初めてのトリフォニー・シリーズ(トパーズ)のプログラムとして上岡敏之が選んだのは,モーツアルトとブラームス(シェーンベルク編)というドイツ・オーストリア系の”正統派”をいく3曲でした これまでヘッセン州立歌劇場,北西ドイツ・フィル,ヴッパータール市立歌劇場などドイツのオケの音楽監督や首席指揮者を務めてきた上岡らしい選曲と言えるでしょう とくにモーツアルト(1756-1791)を2曲選んだのは,今年がモーツアルト生誕260年に当たる記念すべき年であることを考慮しているかもしれません

オケの”上岡シフト”は,左から第1ヴァイオリン,第2ヴァイオリン,チェロ,ヴィオラ,その後ろにコントラバスといったオーソドックスな編成です コンマスはチェ・ムンス.ホルンには1年間の留学から復帰した藤田麻理絵の姿も見えます.おかえりなさい ヴィオラには首席・篠崎友美の隣に,8月から正団員となったフォアシュピーラー・脇屋冴子がスタンバイしています.正団員おめでとう ステージ上には収録マイクが数本立っています.上岡敏之・新音楽監督就任第1回目のコンサートということで記録しておこうということでしょうか

上岡敏之がタクトを持って登場します.さっそく1曲目のモーツアルト「交響曲第33番変ロ長調K.319」の演奏に入ります この曲は,モーツアルトがコロレド大司教の支配する故郷ザルツブルクにいる時に作曲されたものです.4つの楽章から成りますが,第2楽章,第3楽章は極めて短く,あっという間に終わってしまいます どうやらコロレド大司教が断行した宮廷音楽会の時間短縮が背景にあるようです.こういうことが重なったからでしょう.それから2年後にモーツアルトは故郷ザルツブルクを捨ててウィーンに出ていきます

第1楽章を聴いていて感じたのは,何と柔らかい音だろうかということです 上岡のしなやかな指揮を見ていると肩の力が抜けていてリラックスしていることが覗えます この人の大きな特徴でしょう

グランド・ピアノがステージ中央に移動し,ソリストを迎えます.2曲目はモーツアルト最後のピアノ協奏曲である第27番変ロ長調K.595です アンヌ・ケフェレックが白のブラウス,黒のスカートといったシンプルな衣装で登場します この人はいつも「シンプル・イズ・ベスト」を地でいくような人で,シンプルでいながらエレガントです

この曲は1791年1月に完成されましたが,いつ初演されたのかは不明です.上岡の指揮で第1楽章に入ります.この曲でも,上岡はオケから柔らかい音を紡ぎ出します そしてケフェレックのピアノが入ってきます.自席からは,彼女の姿を斜め後ろから見る感じになりますが,ピアノを弾くケフェレックは まるで少女のように見えます あまり女性の年齢を詮索すべきではありませんが,実際には60代後半です.彼女の演奏を何度か見て聴いていますが,そのたびに同じ印象を受けます.この魅力はいったい何なんでしょうか

ケフェレックは,第2楽章では,モーツアルトが演奏したであろうように,時に装飾音を加えて演奏し,聴衆の興味を引きます 第3楽章は,モーツアルトの歌曲「春へのあこがれ」の旋律を引用していますが,このメロディーを弾くケフェレックの演奏を聴いていると,明るい曲なのに,なぜか哀しくなってきます モーツアルトは懸命に明るい表情を作っているように思えます.この年の12月5日,彼は天に召されました

鳴り止まない拍手とブラボーに,ケフェレックはヘンデルの「メヌエット」をしみじみと演奏し,クールダウンを図りました この曲は下のCDアルバムの最後に収録されています(2010年11月17日・王子ホールでのリサイタルでサインをもらいました)

 

          

 

ケフェレックの弾くモーツアルトは,下のCDアルバムで聴けます ロンド・イ短調K.511,ソナタ・ハ短調K.457,幻想曲ニ短調K.397などが収録されています (2009年3月12日,浜離宮朝日ホールでのリサイタルでサインをもらいました)

 

          

 

休憩後はブラームス作曲シェーンベルク編曲による「ピアノ四重奏曲第1番ト短調」の管弦楽版です ブラームスが「ピアノ四重奏曲第1番」の作曲に取り掛かったのは1855年頃のことで,1859年までに概ね完成させています.シェーンベルクはこの作品を編曲した理由を「この作品を愛していたこと」「それにも関わらず演奏される機会が少なく,演奏されてもピアノと弦のバランスが難しく良い演奏効果が挙げられなかったこと」を挙げています そして,編曲に当たってはブラームスのオリジナルを尊重することを第一にしたようです

上岡敏之が登場し指揮台に上がります.1曲目のモーツアルトの時と同様,譜面台には楽譜がありません.上岡のタクトで第1楽章が開始されます オリジナル版では冒頭,ピアノが第1主題を奏でますが,編曲版では木管が中心になって不安定な音楽を奏でます.冒頭からブラームスと決別している,と感じさせます しかし,その後は,曲想としてはブラームスが活かされたまま管弦楽による色彩感豊かな音楽が展開します 第1楽章冒頭の動機が曲全体の展開に影響を及ぼします.これを後世の人は「動機労作」と呼んでいますが,シェーンベルクはブラームスの動機労作を基に,編曲によって,動機労作を上塗りしたのかも知れません 聴いているうちに,これはブラームスの名前を借りたシェーンベルクの曲ではないか,と思うようになりました シェーンベルクは「この曲は,演奏される機会が少ないから編曲して演奏されるようにしたい」と考えたようですが,果たして演奏される機会が増えたのでしょうか?私には,むしろ,オリジナルの作品の方がよほど演奏される機会が多いように思えます もっとも,これは現代だから言える結果論で,当時としては,シェーンベルクの主張する通りの傾向だったのかも知れません

第4楽章のロンドは「ジプシー風」です この楽章はオリジナルで聴いてもエキサイティングですが,管弦楽版だと楽器の数に比例してエネルギーが拡大し爆発します 圧倒的なフィナーレでした.拍手とブラボーの嵐です

上岡はセクションごとに楽員を立たせ,称賛の握手を浴びせさせます 鳴り止まない拍手とブラボ―に,振り返りざまにタクトを降ろし,ブラームスの「ハンガリー舞曲第1番」をアンコールに演奏,熱狂的な聴衆の拍手と歓声に迎えられました

オーケストラの定期演奏会でアンコールを演奏するのは珍しいことだと思いますが,今回の”就任祝い”に限ったことなのか,これからも続けるのか,次回の定期公演を楽しみにしたいと思います

かくして,音楽監督・上岡敏之+新日本フィルによるトリフォニーホールでの初コンサートは熱狂的な雰囲気の中で成功裏に終わりました

 

          

 

新シーズン初めてのコンサートということで,座る席も新しい席ということで気分も一新というところだったのですが,ブラームスの第1楽章が始まってすぐのところで,隣席の高齢女性が,おもむろに飴の包みを出してカサカサと音を立てています それだけなら良かったのですが,飴をつかみ損なったらしく床に落としてしまい,飴がコロコロと転がる音が響き渡りました 私にはこういう人の神経が理解できません.休憩時間があったのですから,なぜ,演奏前に口に入れることをしなかったのでしょうか 考えがアメーと思います.もし,この人が定期会員だとすれば,毎回隣の席で聴くことになるわけで,先が思いやられます それにしても,コンサートに行くたびに,どうして私の周囲はトラブル・メーカーばかりが集まるのでしょうか ぼく,それほど悪いことした? これって試練? なぜ自分だけ? 誰かおせーて

なお,サントリー・シリーズからトリフォニー・シリーズ(トパーズ)に移って良かったと思ったことがあります それは かつてトリフォニー・シリーズのプログラム・ノートを書いていた音楽評論家のA氏の解説を読まなくて済むことです A氏の”文学”を追求した解説には辟易していました.これは結果論ですが,A氏はサントリー・シリーズの解説に移ったのです.代わってトリフォニー・シリーズの解説を書いているのは 関野さとみ という人ですが,この人の解説は非常に分かり易く,コンサートを聴く側が,どういうことを知りたいのかを十分理解した上で,必要かつ十分な情報を私のような音楽素人にも分かる言葉で書いています 解説者としては理想的です

ところで,4,5月号のプログラムを見ていたら,広報・宣伝を担当されていたNさんの名前がありません 退職されたのでしょうか?Nさんとは,第2ヴァイオリン奏者・篠原英和さんの室内楽コンサートの打ち上げでご一緒したことがあります 新シーズンを迎えて事務局にも人事異動があったのでしょうか

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映画「シン・ゴジラ」を観る/「ルートヴィヒ・チェンバー・プレイヤーズ」他のチケットを買う

2016年09月17日 07時51分58秒 | 日記

17日(土).わが家に来てから719日目を迎え,自分に似た存在に遭遇し戸惑っているモコタロです

 

          

            こいつ ぼくに似てるけど 敵か味方か分からないなぁ デカい顔してるし・・・

 

          

               この  口の ✖ はブルーナのパクリじゃないの? 8倍(ヤバイ)ぜ!

 

  閑話休題  

 

昨日,夕食に「豚肉の甘酢ねぎごまだれ」と「生野菜とサーモンのサラダ」を作りました 「豚肉の~」の下に敷いてあるのはカイワレ大根ですが,豚肉に合います

 

          

 

  も一度,閑話休題  

 

コンサート・チケットを3枚買いました 1枚目は10月27日(木)午後7時から東京文化会館小ホールで開かれる「ルートヴィヒ・チェンバー・プレイヤーズ」のコンサートです このグループは,2013年に欧州で活躍する日本人若手演奏家とシュトゥットガルト放送管弦楽団のメンバーを中心に結成された音楽集団です

プログラムは①リヒャルト・シュトラウス(ハーゼネール編)「もう一人のティル・オイレン・シュピーゲル」,②ギデオン・クライン「パルティータ」,③アドルフ・ブラン「七重奏」,④ベートーヴェン「七重奏曲変ホ長調」です

 

          

          

 

2枚目は,12月7日(水)午前11時半から東京オペラシティコンサートホールで開かれる「ブランチタイム・コンサート」です シプリアン・カツァリスと広瀬悦子のピアノ・デュオによる演奏です プログラムは①チャイコフスキー「くるみ割り人形」組曲,②同「白鳥の湖」から「ロシアの踊り」,「スペインの踊り」,「ナポリの踊り」,③同「眠りの森の美女」から「薔薇のアダージョ」,④ハチャトゥリアン「ガイーヌ」から「剣の舞」,「レズギンカ」,⑤ボロディン「イーゴリ公」から「だったん人の踊り」です

 

          

          

 

3枚目は,来年1月13日(金)午後7時からサントリーホールで開かれる「第55回日本赤十字社献血チャリティ・コンサート~ニューイヤーコンサート2017」です プログラムは①モーツアルト「オーボエ協奏曲ハ長調K.314」,②同「フルートとハープのための協奏曲ハ長調K.299」,③ベートーヴェン「交響曲第7番イ長調」です ①のオーボエ独奏は荒木奏美,②のフルート独奏は高木綾子,ハープ独奏は吉野直子,バックを務めるのは川瀬賢太郎指揮東京都交響楽団です

 

          

          

 

  最後の,閑話休題  

 

昨日,有楽町のTOHOシネマズ日劇で映画「シン・ゴジラ」を観ました この映画は「エヴァンゲリオン新劇場版」の庵野秀明が総監督・脚本を務めて話題になっています 劇場のロビーにはゴジラがポーズを付けて写真撮影に応じていました

 

          

            「ゴジラさん,いま何時?」 「5時ら」 「シンじらんない!」

 

10日ほど前の報道で「興行収入60億円を突破」というニュースを観たばかりです なぜそんなに「シン・ゴジラ」が人気があるのでしょうか? 実際に観て感じたのは,まず第一に,これまでの「ゴジラ・シリーズ」のような余計なサイドストーリーが無いということです 中途半端な恋愛ものが絡んだり,政争が絡んだり,ということがなく,あくまでもゴジラを倒すという一点に向けてテンポ感よくストーリーが展開します

恐らく多くの観客は特撮によるゴジラの”活躍”に興味を抱いていると思いますが,私はむしろ,ゴジラの出現に対する政府の危機管理と実際の対応を面白く観ました 危機に直面した時の各省庁の縦割り行政の弊害,何事も紙の上での決済を得なければ物事が決まらないシステムなど,現在の日本の行政を取り巻く欠点が"何気なく"告発されています

ストーリーでは,日本の自衛隊の攻撃ではゴジラは倒れない そこで,政府は日米安保条約に基づき米軍の協力を求めることになりますが,それでも倒れない 今度は,国連の決議に基づく多国籍軍による核攻撃しか道はない,という事態まで発展します この間,内閣総理大臣は各大臣の意見具申を訊きながら,その時々の決断を迫られることになるわけですが,一国の総理大臣の責任がどれほど重いものかを感じさせられます 結局,内閣官房副長官・矢口蘭堂の考えによりゴジラの血液を凍結させる計画が立案され実行されることにより,犠牲者が計り知れない核攻撃を回避することになります

今回のシン・ゴジラはハリウッド版「GOZZILLA」を上回る体長118.5メートルという巨大生物体ですが,この映画で最初に登場した時のシン・ゴジラは,なんとも愛嬌のあるかわいい顔をしていました それが突然,進化して”本来のゴジラ”の姿になるわけで,かわいいなんて言ってられなくなります

音楽は鷺巣詩郎が担当していますが,オリジナルのゴジラの音楽を作った伊福部昭のゴジラのテーマも流れます やっぱり オリジナルはヤバイ

なお,シン・ゴジラの「シン」とは何か,について製作者側は「新」でもあり「真」でもあり「神」でもある,と説明しています われわれ人類としては,地球を「震」動させることなく,「深」い海底で,「心」安らかに,いつまでも「寝」ていていることを,「心」から「信」じていたいと思います 総理の「晋」三さんもそう考えていると思います 

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「バッハ・コレギウム・ジャパン」次期定期会員継続へ/米原万里著「魔女の1ダース」を読む    

2016年09月16日 07時28分31秒 | 日記

16日(金).昨夜というか今日の未明というか,TUS大学院に通う息子がネパールで開催される学会に出席するため旅立ちました 昨日,姉から借りたキャリーケースに着替えなどを詰めてお昼ごろ家を出ましたが,一旦大学に集合してから院生が揃って空港に向かったようです 26日までの11日間の旅程ですが,ハンカチを8枚も入れていました.よほど「そんなに持っていく必要はないよ」と言おうと思いましたが,「何事も経験から学ぶのが一番」と思い,黙って見送りました 息子にとっては高校の修学旅行でオーストラリアに行って以来2度目の海外旅行です 親としては無事に帰ってくることを祈るばかりです 

ということで,わが家に来てから718日目を迎え,小ウサちゃんをナンパするモコタロです

 

          

                 ねえねえ キミ 久しぶりの登場だね 暇だったらお茶しない?

 

          

                             なに,サイン会が忙しくて そんな暇ないって?

 

          

          サイン会って 顔だけで どうやってサインすんのよ? どうでもいいけど 足が痒い

 

          

           昔 親亀の背中に子亀を載せて・・・っていう歌があったね ぼくら兎だけど

 

  閑話休題  

 

バッハ・コレギウム・ジャパンから2017-2018シーズンへの会員継続案内が届きました  ラインアップは下記の通りです

①4月14日(金)午後6時半開演 バッハ「マタイ受難曲BWV244」

②5月20日(土)午後3時開演  バッハ 教会カンタータシリーズ 「目覚めよ,と呼ぶ声ありBWV140」他

③7月17日(月・祝)午後3時開演 バッハ 世俗カンタータシリーズ 「たのしきヴィーダ―アウよBWV30a」他

④10月31日(火)午後7時開演 バッハ 教会カンタータシリーズ 「われらが神は堅き砦BWV80」他

⑤2月12日(月・休)午後3時開演 バッハ「ヨハネ受難曲BWV245」

 

          

 

以上全5回のコンサートのうち「ヨハネ受難曲」のみ鈴木優人,他の4回は鈴木雅明の指揮です 「マタイ受難曲」は毎シーズン最初のコンサートで取り上げているプログラムです  シーズン中もう1曲「ヨハネ受難曲」をプログラムに組んだということは,主催者側に,定期会員を定着させたいという強い希望があるのかもしれません

私はここ10年ほどS会員になっていましたが,現在のシーズンからB席に移っています.5公演で38,000円のS席会費(1回あたり7,600円)はどう考えても高いと思います だからと言って会員を止めてしまうことは,出演者とプログラムの内容から見て出来ません 私はバッハ・コレギウム・ジャパンが好きなので席のランクを落としても,何とか定期会員を継続したいと思います さっそく現在のB席(25,000円)を継続する旨の返信ハガキを出しておきました

 

  も一度,閑話休題  

 

米原万里著「魔女の1ダース~正義と常識に冷や水を浴びせる13章」(新潮文庫)を読み終りました このエッセイ集は1997年に講談社エッセイ賞を受賞しています 著者の紹介はもういいですね.何度も紹介したので

 

          

 

1ダースと言えば12が常識ですが,魔女の世界では13だそうです.研究社露和辞典で「悪魔の1ダース」を引くと「13(不吉な数)」と出ているとのこと そして,魔女や悪魔は異端の代名詞だといいます.このエッセイ集は「見慣れた風景の中に異分子が混じることによって,見えていないものが,見えてくる.素っ頓狂な出来事や,意外な発見や,驚きの再発見があるのではないか そうやって常日頃当然視している正義や常識に冷や水を浴びせてみたい」という趣旨のもと,”異端児”米原万里が同時通訳の仕事を通じて語る超・常識論です

これまでこのブログでご紹介してきた彼女の小説やエッセイ集などと同じく,報復舌頭,もとい,抱腹絶倒のエピソードが次々と待ち構えています ロシア語の通訳らしく,ロシアの小咄がたくさん出てきます.これが皮肉たっぷりで面白いのです.例えば

「アエロフロート社の飛行機が,あまりにも時刻表通りに飛ばないので,ついに怒り心頭 に発した男が,

『どうせ遅れてばかりいるのなら,時刻表なんかつくるな!』

と息巻いたところ,

『お客さん,時刻表があるからこそ,遅れもあるのです

と職員にたしなめられた」

という小咄とか,

「天寿を全うしたブレジネフ書記長は,当然の成り行きとして地獄に落ちた 入口のところで門番が待ち構えていて,注意する.

『ブレジネフさん,地獄に来た以上,必ず罰を受けなくてはいけません.書記長とて逃れるすべはありません ただし,どんな罰を受けるかは,選択できる仕組みになっています.自分で選びなさい』

そう言われて,ブレジネフは,地獄を一通り見学した.すると,レーニンは針の山でもがき,スターリンはグツグツ煮えたぎる釜の中で悶えていた ブレジネフは思わず身震いしたほどだ.ところが,なんと向こうの方では,フルシチョフがマリリン・モンローと抱き合っているではないか ブレジネフは手をたたいて叫んだ.

『これだ! わたしにもフルシチョフ同志と同じ罰を与えてもらいたい

地獄の職員が言った.

「とんでもない.あれはフルシチョフではなく,マリリン・モンローが受けている罰ですぞ

という小咄とか

巻末に米原万里のロシア語通訳の先輩・徳永晴美氏(男性です)の解説が載っていますが,さすがは米原万里の師匠だと唸ります それは通訳だけでなく,下ネタの師匠でもあるという意味です

 この本は第1章「文化の差異は価値を生む」,第2章「言葉が先か概念が先か」,第3章「言葉の呪縛力」といった真面目なタイトルのもと13の章から構成されているので,どこから読んでも良いのですが,面白いと同時に文化とか言葉とかいうものを考えさせられる内容になっています 強くお薦めしますが,電車の中では読まないようにしてください.後ろ指さされます

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映画「ボーダーライン」を観る/和田竜著「村上海賊の娘」(第三巻,第四巻)他を買う

2016年09月15日 07時55分30秒 | 日記

15日(木).昨日午前中に,運転免許証の更新手続きのため板橋警察署に行ってきました 前回の更新から早5年が経ったのかと感慨深いものがあります.誕生日を挟んで2か月間以内に手続きが出来るので,「忘れないうちに」と思って,誕生日の約1か月前の昨日行くことにしたのです 平日にも関わらずかなりの人が来ていましたが,誕生日が近い人たちばかり(天秤座)だと思うと親近感がわきます 手続きは,現在の免許証,手数料3,000円,通知ハガキを提出し,まず視力検査を行い,次に「安全運転のしおり」(東京のみ)と「わかる 身に付く 交通教本」(全国共通)に基づいてレクチャーがあり,いかに交通事故が怖いかという内容のビデオの上映がありました

自慢するのも何ですが,私はここ30年間無事故無違反です それはそうです.この間,まったく自動車の運転をしていませんから 免許証は今や身分証明書と化しています 新しい免許証は講習会が終了後に即日交付されました

昼食を取ってから地下鉄で内幸町の元の職場NPCに行き,先日結婚披露パーティーを開いたK君から,当日流したBGM用のCDを受け取ってきました ということで,わが家に来てから717日目を迎え,カップヌードル45周年記念商品「謎肉祭」の匂いを嗅ぐモコタロです

 

          

            肉が通常の10倍入ってるんだってさ・・・・・謎肉ってなに?

 

  閑話休題  

 

本を5冊買いました 1冊目と2冊目は和田竜著「村上海賊の娘」(新潮文庫)の第三巻と第四巻です 第一巻と第二巻を読んで面白かったので買いました

 

          

 

          

 

3冊目は米原万里著「不実な美女か貞淑な醜女か」(新潮文庫)です しつこいとお思いでしょうが,また米原万里の本を買ってしまいました

 

          

 

4冊目は萩原浩著「家族写真」(講談社文庫)です 萩原浩は今年「海の見える理髪店」で第155回直木賞を受賞しましたね

 

          

 

5冊目は歌野昌午著「密室殺人ゲーム王手飛車取り」(講談社文庫)です 彼の作品というと「葉桜の季節に君を想うということ」で見事に騙されました

 

          

 

  も一度,閑話休題  

 

早稲田松竹で「ボーダーライン」を観ました これはドゥニ・ヴィルヌーヴ監督による2015年アメリカ映画(121分)です

 

         

 

舞台はアメリカとメキシコ国境の街ファレス.巨悪化するメキシコ麻薬カルテルを撲滅すべく,エリートFBI捜査官ケイトは特殊部隊にリクルートされる 特別捜査官に招集され,謎のコロンビア人とともに国境付近を拠点とする麻薬組織ソノラカルテルを撲滅するミッションに就く しかし,人がいとも簡単に命を落とす現場に直面したケイトは,常軌を逸した極秘の任務に不信感を抱き,どこまでが合法でどこからが違法なのか,判断の基準(ボーダーライン)が不明瞭になっていく

 

          

 

これは,まったく価値観が違う世界~暴力,麻薬,死が日常と化した街~に放り込まれた女性FBI捜査官の戸惑いと,心の変化に焦点を当てた映画です メキシコでは警察官さえ麻薬組織に買収されて,彼らに協力している実態が暴かれています メキシコとの間に万里の長城のような高い壁を建てると言ったアメリカ大統領候補がいますが,こうした実態も踏まえてのことかも知れません.問題は何も解決しませんが

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「ストラディヴァリウス コンサート2016~ストラディヴァリウス13挺の饗宴」を聴く~サントリーホール

2016年09月14日 08時08分23秒 | 日記

14日(水).わが家に来てから717日目を迎え,リオ・パラリンピックでの日本選手の活躍にエールを送るモコタロです

 

          

             競技にウサギ跳びがあれば ぼくだって動メダルくらいは取れると思うよ! 

 

  閑話休題  

 

昨夕,サントリーホールで「ストラディヴァリウス  コンサート2016~ストラディヴァリウス13挺の饗宴」を聴きました プログラムは①テレマン「4つのヴァイオリンのための協奏曲ト長調」,②ポッパー「3つのチェロとピアノのためのレクイエム」,③ドヴォルザーク「2つのヴァイオリンとヴィオラのための三重奏曲『テルツェット』」,④ショスタコーヴィチ「2つのヴァイオリンとピアノのための5つの小品」,⑤ピアソラ「6つのヴァイオリンとピアノのためのリベルタンゴ」,⑥ヘンデル「2つのヴァイオリンとピアノのためのソナタ ト短調」,⑦ベートーヴェン「弦楽四重奏曲第13番変ロ長調」より『カヴァティーナ』,⑧メンデルスゾーン「弦楽八重奏曲編ホ長調」です

 

          

 

自席は1階19列30番,右ブロック左から3つめの席です.会場は9割方埋まっている感じです ステージ中央にはスタインウェイが威容を誇っています.その背後には白い花が横一列に飾られています

4人のヴァイオリニストが登場します.左からレイ・チェン,アラベラ・美歩・シュタインバッハ―,セルゲイ・ハチャトゥリアン,スヴェトリン・ルセフという世界的に活躍するメンバーです 紅一点のシュタインバッハ―は紫色のステージ衣装がエレガントです

1曲目のテレマン「4つのヴァイオリンのための協奏曲ト長調」の演奏に入ります この曲は4つの楽章から成りますが,第1楽章「ラルゴ・エ・スタッカート」の冒頭を聴いた時,何と柔らかい音なんだろう と思いました.私はストラディヴァリウスの魅力は弱音における音の強さだと思っていますが,その魅力が思う通りに伝わってきました 音は小さくとも音自体に力があるので遠くまで届きます この曲はト長調の曲らしく全体的に明るい曲ですが,4人はあくまでもソフトに,清々しく演奏しました

2曲目はポッパー(1843-1913)の「3つのチェロとピアノのためのレクイエム」です 石坂団十郎,パブロ・フェルナンデス,クレメンス・ハーゲンの3人のチェリストとピアノの江口玲が登場します.演奏を聴く限り「レクイエム」のイメージからは遠く,非常にロマンティックな曲想です 初めて聴きましたがとても良い曲です.演奏が良いからこそでしょう

さて,今日は何もないことを祈っていたのですが,世の中甘くはありませんでした この曲を聴いている最中,すぐ後ろの席からイビキが聴こえてきました 静かな曲なのでイビキが目立って大きく聞こえます.「絶対に中高年の小太りの男性に違いない」と確信しました(後で休憩時間に確かめると,高齢の小太り男性であることが判明しました).女性が演奏中にイビキをかくの聞いたことはありません.例外なく中高年の男性です 1万円も出してコンサートで寝ているのですから相当な贅沢を満喫している人です はっきり言って迷惑です.ステージから遠いから良いけれど,もっと前の席だったら演奏者にも聞こえて大変失礼です あまり長く続くようなら,顔に濡れタオルをかぶせてやろうかと思いましたが,幸いそこまではいきませんでした

さて,3曲目はドヴォルザークの「2つのヴァイオリンとヴィオラのための三重奏曲”テルツェット”」です ヴァイオリンのヴェロニカ・エーベルレ(ブルーの衣装),ライナー・シュミット,ヴィオラのヴェロニカ・ハーゲン(黒の衣装)が登場します 全体的に,ドヴォルザークらしい旋律に満ちており,ボヘミアの香りたっぷりの曲でした

4曲目はショスタコーヴィチの「2つのヴァイオリンとピアノのための5つの小品」です ヴァイオリンのルーカス・ハーゲン,有希・マヌエラ・ヤンケ(水色の衣装)とピアノの江口玲が登場します

この曲は5つの楽章から成りますが,第1楽章「プレリュード」だけを聴くと,諧謔的が代名詞のようなショスタコーヴィチの作品とは思えないほどロマンティックな曲想です タイトル通り「小品」の集まりですが,それぞれの曲がショスタコーヴィチの多面性を表しているようです

前半最後の曲はピアソラ作曲ユキ・モリ編曲による「6つのヴァイオリンとピアノのためのリベルタンゴ」です アラベラ・美歩・シュタインバッハ―,諏訪内晶子(濃紫色の衣装),ヴェロニカ・エーベルレ,セルゲイ・ハチャトゥリアン,レイ・チェン,スヴェトリン・ルセフの6人のヴァイオリニストとピアノの江口玲が登場します

バンドネオンでお馴染みの曲ですが,6人のヴァイオリンとピアノで聴く「リベルタンゴ」も格別の趣があります 何といっても曲自体がエキサイティングなので,演奏者は自ずからノリノリになります 聴いていて感じたのは「これは本当に たった6人のヴァイオリニストとピアノ1台で演奏しているのか 」という驚きです.まるでオーケストラの演奏を聴いているような迫力を感じました ストラディヴァリウス恐るべし,です

 

          

 

休憩後の1曲目はヘンデルの「2つのヴァイオリンとピアノのためのソナタ ト短調」です セルゲイ・ハチャトゥリアン,アラベラ・美歩・シュタインバッハ―と江口玲が登場します.この曲でもストラディヴァリウスの美しい響きが会場一杯に広がります

後半の2曲目はベートーヴェンの「弦楽四重奏曲第13番変ロ長調」から「カヴァティーナ」です この曲は,大病を患ったベートーヴェンが,そこから脱して再び健康を取り戻したときに,神への感謝の気持ちを込めて作曲したものです ハーゲン・クアルテットのメンバーが登場します.ヴァイオリンのルーカス・ハーゲン,ライナー・シュミット,ヴィオラのヴェロニカ・ハーゲン,チェロのクレメンス・ハーゲンです.3人が兄妹です

神に捧げる穏やかなアダージョ楽章を聴いて,ハーゲン・クアルテットでこの曲の全曲を聴いてみたいと思いました

プログラム最後の曲は,メンデルスゾーンが弱冠16歳の時に書いた「八重奏曲変ホ長調」です 編成はヴァイオリン4,ヴィオラ2,チェロ2というもので,言ってみれば弦楽四重奏団2組で演奏するという曲です 向かって左サイドに左から諏訪内晶子,スヴェトリン・ルセフ,ヴェロニカ・ハーゲン,パブロ・フェルナンデスが,右サイドに右から有希・マヌエラ・ヤンケ,レイ・チェン,石坂団十郎,クレメンス・ハーゲンという態勢で,向かい合います しかし,よく考えると変です.ヴィオラが1人でチェロが3人います これについてはプログラム冊子の中で,石坂団十郎の発案で石坂が第2ヴィオラのパートをチェロで弾くことにした,と書かれていました

第1ヴァイオリンの諏訪内晶子のリードで第1楽章が始まります 私はこの曲が大好きで,CDで何度も繰り返し聴いてきました.この第1楽章は若きメンデルスゾーンの「前へ前へ」という姿勢が端的に表れていて元気が出ます 第2楽章を経て第3楽章はスケルツォですが,ここでは妖精が飛び回っている有様が描かれています そして最後の第4楽章は息もつかせないプレストです.この楽章を一言で言い表せば「爽快感」です

私は生演奏でこの曲を何回か聴いてきましたが,これほど洗練された音,洗練された演奏で聴いたのは初めてです もちろん,8人が使用している楽器がすべて17世紀から18世紀に作られたストラディヴァリウスであることが大きな要素になっていることは間違いありませんが,演奏者が,制御するのが難しいと言われるストラディヴァリウスを思うように弾きこなす力を持っていなければ,こうした洗練された演奏は不可能です

この日,ストラディヴァリウスを思う存分弾きこなして,素晴らしい音楽を届けてくれた弦楽奏者たち,それと彼らをしっかりと支えたピアニストの江口玲に大きな拍手とブラボーを送ります

 

          

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「レヴェナント~蘇えりし者」を観る~熱演のディカプリオがアカデミー賞主演男優賞を受賞

2016年09月13日 07時32分25秒 | 日記

13日(火).昼間こそまだ暑い日がありますが,朝夕はめっきり涼しくなり,秋の訪れを感じる今日この頃です 皆さまいかがお過ごしでしょうか?わが家に来てから716日目を迎え,コンサートのチラシを前に何やら考えているモコタロです

 

          

           これはたしか 今夜ご主人さまが聴きに行くコンサートだな

 

  閑話休題  

 

昨日,夕食に「アスパラの豚肉巻き焼き」,「生野菜・タコ・まぐろの生ハムのサラダ」,「冷奴」を作りました 「アスパラ~」は何回目かですが,要領がつかめてきた気がします

 

          

 

  も一度,閑話休題  

 

昨日,早稲田松竹で,アンハンドロ・イニャリトゥ監督による2015年アメリカ映画「レヴェナント~蘇えりし者」(156分)を観ました

 

          

 

時は1823年のアメリカ.北西部を行く狩猟の旅の途中で,ヒュー・グラスはハイイログマに襲われ瀕死の重傷を負う 彼は仲間に置き去りにされた挙句,最愛の息子を仲間のフィッツジェラルドに殺されてしまう グラスは彼に対する怒りを生きる力に代え,奇跡的に死の淵から蘇りを果たす 自らの利益しか考えないフィッツジェラルドに対し,復讐心を原動力にして彼を追跡する.死んで当たり前と思われるほどのサバイバルの旅の果てに,ついにグラスはフィッツジェラルドを追い詰める しかし,彼はあれほど憎んでいたフィッツジェラルドの止めを刺さない.彼の心にどんな変化が起こったのか

 

          

 

この映画は,一人の男が殺された息子の復讐を遂げるために,過酷な運命を乗り越えて,目的を達成しようとする有様を描いた作品です いくつか印象に残るシーンがありますが,その一つは,映画の序盤で,グラスが大きな熊に襲われるシーンです どうやって撮ったんだろう と思うほどリアルな感覚に満ちています.鋭い爪でグラスの顔や背中をひっかくシーン,よだれを流して彼の顔を見下すシーン,どのシーンも迫力に満ちています

また,あまりの寒さに,死んだ馬の内臓を取り出して,馬の中に裸で入って暖を取るシーンは,まさに生きるか死ぬかの瀬戸際に追い詰められた男の最後の知恵と行動を端的に表していました

この映画で,主演のレオナルド・ディカプリオは初めてアカデミー賞主演男優賞を受賞したそうですが,マイナス20度の極寒の地で,クマに襲われ,仲間に裏切られ,インディアンに追われ,身体全体がボロぞうきんのようになった主人公の生きざま演じた彼を見ると,アカデミー賞くらいもらわなければやってられないだろうな,と思うほどです

ところで,音楽は坂本龍一が担当していますが,内容が内容だけに重いです

 

昨日,当ブログのトータルアクセス数(訪問者総数)が延べ65万人を突破いたしました いつもご愛読いただきありがとうございます これからも1日も休むことなくアップして参りますので,引き続きご愛読くださるようよろしくお願いいたします

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メンデルスゾーン「オラトリオ”エリア”」を聴く~日本フィル創立60周年記念演奏会

2016年09月12日 07時56分24秒 | 日記

12日(月).わが家に来てから715日目を迎え,広島カープ25年ぶりのセ・リーグ優勝を報じる昨日の新聞にため息をつくモコタロです

 

          

           ご主人さまが応援している阪神タイガースはどうなってるの?

 

  閑話休題  

 

昨日は昼食に,娘が釣ってきたイナダとソーダガツオの刺身を食べました 土曜日におじいちゃんの舟で海釣りしてきたものです ちなみに娘は小型船舶2級免許を持っています(自動車の免許は持っていないのに).骨の剥き身の部分は醤油・味醂・日本酒で煮付けました どちらもすごく美味しかったです

 

          

 

          

 

 

  も一度,閑話休題  

 

昨日,池袋の東京芸術劇場大ホールで「日本フィル創立60周年記念 メンデルスゾーン オラトリオ『エリア』」を聴きました 出演は,ソプラノ=半田美和子,アルト=手嶋眞佐子,テノール=望月哲也,バス=甲斐栄次郎,合唱=日本フィルハーモニー協会合唱団,指揮=大井剛史です

 

          

 

自席は2階L列46番,センター右ブロック右通路側です.いつものように,入口で配られた分厚いチラシの束を席に置いて,ロビーでプログラムを読みました とくに声楽の曲なので一通り歌詞に目を通しておかなければいけません 開演5分前に席に戻ったら,チラシの束が見当たりません 床にも落ちていません.誰かが持ち去ったらしいのです.チラシの束は私にとっては貴重なコンサート情報源です.はっきり言ってこれは「置き引き」です しかし,考えようによっては,まだチラシの束だったから良かったものの,これが大事なカバンだったりしたら大変なことになります どこの誰が盗んでいったのか分かりませんが,泥棒は犯罪です 同じ音楽を聴きに来た者が盗んだとしたら非常に残念で悔しいです もうチラシを置いたまま席を外せないのかと思うとやるせない気持ちです

 

          

 

気を取り直して・・・・・会場はほぼ満席です.東京芸術劇場自慢のパイプオルガンは「モダーン面」がその威容を誇っています ステージ上では,まず合唱団が入場しますが,中央に男声合唱を配し,両サイドの女声合唱が挟む形でスタンバイします そしてオケが入場し,次いで指揮者と共にソリストの4人が入場しスタンバイします 指揮台は下にチェロの演奏台のような台を置いて一段と高い位置から指揮をするようにしています.合唱団の隅々まで指揮が良く見えるようにという配慮でしょうか

 

          

 

メンデルスゾーンのオラトリオ「エリヤ」は1846年に初演されました 旧約聖書の列王記に,予言者エリアの物語が書かれています エリヤはイスラエルの神ヤハウエに仕えて,紀元前9世紀に生きた人で,混乱の最中にあったイスラエルで,神の言葉を代弁する預言者として劇的な生涯を送りました メンデルスゾーンはそんなエリアの物語を音楽にしたのでした.全曲は2部に分かれていますが,第1部は20曲,第2部は22曲から構成されています ともに65分程度の演奏時間です

この日の演奏は,まずソリストの4人が素晴らしい出来でした バスの甲斐栄次郎とテノールの望月哲也の二人は新国立オペラの常連歌手ですが,ともに絶好調でした 一方,半田美和子はコンサート・ソリストとしての活躍が目立つソプラノですが,とくに第2部冒頭のアリア「主の御使いの警告」は素晴らしい歌唱でした また,アルトの手嶋眞佐子は,本当に久しぶりに聴きましたが,この人もコンサート・ソリストとしての活躍が多い人で,非常に安定感があります

さらにもう一人付け加えると,女声合唱に加わり 時に応じてソリストを務めたソプラノの盛田麻央(二期会)が素晴らしい歌声でした

指揮者の大井剛史は,現在山形交響楽団の正指揮者,東京佼成ウインドオーケストラの正指揮者を務めています 真面目で地味な感じですが,統率力は優れていると思います もっと活躍してほしいと思います

会場を後にして外に出ると,東京芸術劇場のすぐ前の噴水の公園に,バケモンGOをやっている暇人が多数群がっていました 日曜日の夕方,この人たち,ほかにやることないのかね と悪態をつきながら帰途に着きました

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アンドリュー・ヘイ監督「さざなみ」を観る~ギンレイホール

2016年09月11日 09時08分05秒 | 日記

11日(日).わが家に来てから714日目を迎え,ご主人がパーティーでいただいてきた引き出物に興味深々のモコタロです

 

          

           すごくいい匂いがする ぼくにもおすそ分け回ってくるかなぁ

 

  閑話休題  

 

昨日夕刻,内幸町のNPCビル10階のレストランAで,元の職場のK君と,同じビル地下のW調剤薬局に在籍のHさんの結婚披露パーティーがあり,出席しました 二人の職場と友人関係者を中心に57人が参列しました.私はこのパーティーのBGMの選曲を引き受けた関係で,会場では事前の打ち合わせ通りにBGMが流されるか気になって耳を澄ませていました 幸い打ち合わせ通りに曲が流れ,分かる人には分かったようで2,3人の参加者から「いい選曲だね」とお褒めの言葉をいただきました.とくに下の写真の「デザート~シェフの『ベイクドアラスカ』炎のパフォーマンス」の時に流したレハールのワルツ「金と銀」は,パフォーマンスとのタイミングがピッタリと合い好評だったようです この料理は,アイスクリームをメレンゲで包み,ブランデーをかけて焼くデザートで,このレストランが日本で初めて手掛けた伝統的なデザートです 幸せそうな二人の写真もたくさん撮ったのでご紹介したいのは山々ですが,個人情報保護法,特定秘密保護法,憲法第9条の関係で割愛いたします お二人には末永く幸せになってほしいと思います

 

          

 

パーティー終了後,元の職場のN氏,E氏,先輩OBのS氏と4人で六本木のカラオケ・スナックAに繰り出し,カラオケを数曲ぶちかましました 取るに足らないことなので詳細は割愛します

 

  も一度,閑話休題  

 

パーティーに先立って,有楽町「東京交通会館」地下のシルバーサロンBで開催されている「第16回アトリエぱるる絵画展」を観に行きました これは,元の職場近くで割烹料理屋を経営しているKさんが,昨年に続いて作品を出品しているというので観にいったものです

 

          

 

 今年はパイナップルの油絵とカクテルの素描画を描かれたとのことです ちょっと後から元の職場のE氏が来たので一緒に絵を観て,徒歩で内幸町のパーティー会場に向かいました

 

          

 

          

 

  最後の,閑話休題  

 

「アトリエぱるる絵画展」に先立って,神楽坂のギンレイホールで「さざなみ」を観ました これはアンドリュー・ヘイ監督による2015年イギリス映画(95分)です

 

          

 

 結婚45周年を祝うパーティーを土曜日に控えて,熟年夫婦のジェフとケイトはその準備に追われていた その週の月曜日,彼らのもとに1通の手紙が届く それは,50年前に氷山で行方不明になったジェフの元カノの遺体が発見されたという内容だった その時から,ジェフは過去の恋愛の記憶を手繰るようになり,妻のケイトはこの世に存在しない女への嫉妬心や夫への不信感を募らせていく.果たして,その嫉妬心や不信感は払拭されるのか

 

          

 

最後のシーンは二人の結婚45周年記念パーティーです この場のスピーチで,ジェフはこれまで いかにケイトが自分に尽くしてくれたかを涙ながらに話し,感謝の言葉を述べ,その後二人でダンスに興じるのですが,満面の笑みを浮かべて踊るジェフに対して,妻ケイトの表情は複雑です 明らかに彼女はジェフを許していない それには伏線があります.ジェフが不在の時にケイトは屋根裏部屋にあったジェフのトランクから昔のスライド写真を見つけ出します.それを映写機にかけると,昔ジェフが元カノといっしょに山登りした時の写真が映し出されます その時の元カノは,体つきから見て明らかに新たな命を授かっていました.しかし彼女はその直後遭難事故で死んでしまった そして現在,ジェフとケイトの間には子供はいない そうしたこともあって,男は,結婚前の元カノとのことは,本人が死亡していることもあって,「済んだこと」と割り切るけれど,女はそう簡単には割り切れない いつまでも過去を引きずって生きていく.そんなことを考えさせられる映画です

ところで,この映画では何曲かクラシック音楽が使われています 2度か3度,グリーグの「ピアノ協奏曲」が流れていました また,カフェのような所で二人が話すシーンではモーツアルトの「ピアノ協奏曲第17番」の第3楽章が流れていました また,ケイトが自宅でピアノを弾くシーンがありますが,最初に弾いていたのはバッハの「平均律クラヴィーア曲集第1巻第1曲」の「プレリュード」でした

良い映画は良い音楽を使いますね

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