人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

METライブビューイングでモーツアルト「イドメネオ」を観る~ネイディーン・シエラとエルザ・ヴァン・デン・ヒ―ヴァ―にブラボー!

2017年05月11日 07時35分58秒 | 日記

11日(木).最近 テレビのニュースを見ていて とことん呆れたのは,8日の衆院予算委員会で,安倍首相が憲法改正の見解を聞かれて「読売新聞を熟読して」などと述べていたことです  当人は「自民党総裁として言った」と述べているようですが,当該の読売新聞には「首相インタビュー」と大見出しで書いてあるとのこと 国家の将来を左右する最も大事な問題に対する首相の見解が なぜ読売新聞に出ていて,国会で説明されないのか,誰がどう考えたって大きな疑問です このニュースを聞いた時に頭をかすめたのは,数年前に読者数1,000万部を標ぼうしていた読売新聞社のナベツネ会長の顔でした 読売新聞は安倍首相のプロパガンダの手段なのか? のようなもの,か? 個人的には,新聞にはそれぞれ異なる主張がある方が民主主義社会にとっては良いことだと思いますが,一国の首相が特定の新聞を取り上げて「熟読するよう」促すのはいかがなものか

ということで,わが家に来てから今日で953日目を迎え,トランプ米大統領が連邦捜査局(FBI)のコミ―長官を解任したというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

       

        トランプとロシアとの関係を捜査するFBI長官を解任する理由の解明は朝刊ネタだな

 

                     

 

昨日,夕食に「豚バラ,甘酢ネギ胡麻だれ」「生野菜とツナのサラダ」「エノキダケと野菜とベーコンのスープ」を作りました ご飯がご飯がすすむ君です

 

       

 

                      

 

昨日,新宿ピカデリーでMETライブビューイング,モーツアルト「イドメネオ」を観ました これは今年3月25日に米メトロポリタン歌劇場で上演された公演のライブ録画映像です 出演は,イドメネオ=マシュー・ポレンザーニ(テノール),エレットラ=エルザ・ヴァン・デン・ヒ―ヴァ―(ソプラノ),イダマンテ=アリス・クート(メゾソプラノ),イリア=ネイディーン・シエラ(ソプラノ)です 指揮はジェイムズ・レヴァイン,管弦楽はメトロポリタン歌劇場管弦楽団,演出はジャン=ピエール・ポネルです

 

       

 

舞台はトロイア戦争終結後のギリシャのクレタ島.戦争に出陣した国王イドメネオは,帰路の海で嵐に巻き込まれ,命と引き換えに,上陸して初めて出会った人間を生贄に捧げると海神ネプチューンに約束する クレタ島に帰り着いたイドメネオが最初に出会ったのは,あろうことか息子のイダマンテだった イダマンテは捕虜となっているトロイの王女イリヤと愛し合っている.一方,イダマンテを愛するアルゴスの女王エレットラは面白くない.イドメネオはイダマンテをエレットラとともに亡命させようとするが,イドメネオの裏切りに激怒した海神は怪物を送り込む.次々と襲う天災にイドメネオは窮地に立たされる 人々を救うためイドメネオは息子イダマンテを生贄にするしかないと決断し剣を振り上げるが,イリヤが駆け込んできて自分が生贄になると訴える.その時,海神の声が轟き,イドメネオの退位と,新しい王としてイダマンテの即位,そしてイダマンテとイリヤの結婚を勧告する 人々が喜びに沸く中,エレットラだけが怒りのあまり失神してしまう

 

       

 

ジャン・ピエール・ポネル(1988年没)の演出は極めてオーソドックスです.オペラ・セリア(シリアスなオペラのこと.ギリシャ神話や英雄などを題材とした格調高いイタリア・オペラ)ではオーソドックスなのが一番です METが初めて「イドメネオ」を上演したのは今から35年前の1982年,その時タイトルロールを歌ったのはルチアーノ・パバロッティ,指揮はジェイムズ・レヴァインとのことです

この映像を観て,あらためて気が付いたのは,全3幕とも,最初に歌うのはトロイの王女イリヤだということです その意味では,モーツアルトはイリヤに重要な役割を与えていると思います そのイリヤを歌ったネイディーン・シエラはフロリダ出身の若いソプラノですが,第1幕冒頭の長いアリアをはじめ,よく伸びる美しい声で,歌唱力抜群でした.これからの活躍が楽しみな歌手です

その恋敵エレットラを歌ったエルザ・ヴァン・デン・ヒ―ヴァ―は南アフリカ出身のソプラノですが,2012年のMETライブ「マリア・ストゥアルダ」でエリザベスを歌い,圧倒的な存在感を示したことが思い出されます この「イドメネオ」でも,ドラマティックな歌声で聴衆の圧倒的な共感と支持を得ました

イドメネオを歌ったマシュー・ポレンザーニはMETの看板テノールの一人ですが,ソフトな美声で悩める主人公を歌い演じました

イダマンテを歌ったアリス・クートは今回も得意のズボン役(女性が男性の役割で歌う)として登場し,理由も分からず父親から拒否される息子の苦悩を見事に歌い演じました

「イドメネオ」は正味3時間くらいの歌劇ですが,今回のMETライブはトータルで4時間25分もかかっています その理由は,通常の上映における休憩時間(10分✖2回)と歌手へのインタビューに加え,今シーズンはMETリンカーンセンター移転50周年記念ドキュメンタリーの一部が紹介されているからです 今回は,METを中心に一世を風靡したジェシー・ノーマンやキャスリーン・バトルの歌唱指導をするレヴァインの姿が紹介されています レヴァインはピアノを弾きながら歌手に歌わせ,歌手と対話しつつ褒めながら改善を求める方法を取っています メトロポリタン歌劇場管弦楽団のアソシエイト・コンサートマスターの女性二人が,インタビューに応えて「レヴァインはオーケストラよりも歌手に寄り添って指揮をしている」と語っていますが,ノーマンとバトルのレッスン映像を観るとよく理解できます METの看板歌手たちが,手放しでレヴァインを褒めたたえるのも無理のないことだと分かります

「METライブビューイング2016-17」も残すところチャイコフスキー「エフゲニー・オネーギン」とリヒャルト・シュトラウス「ばらの騎士」のみとなりましたが,この度,来シーズンのラインナップが以下のように決定しました

 

       

 

個人的に一番嬉しいのは第1作にベッリーニ「ノルマ」がリストアップされていることです あとは,モーツアルトの「魔笛」と「コジ・ファン・トゥッテ」,プッチーニの「トスカ」と「ラ・ボエーム」の各2曲が,いわゆる”名曲路線”といったところです あまり上演される機会がないヴェルディの「ルイザ・ミラー」と,ロッシーニの「セミラーミデ」が入っているのも嬉しいところです

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ショスタコーヴィチ「弦楽四重奏曲第3番」「ピアノ五重奏曲ト短調」を聴く~新日本フィル室内楽シリーズ / ショーソン「ヴァイオリン,ピアノと弦楽四重奏のためのコンセール」CDを聴いてみる

2017年05月10日 07時48分18秒 | 日記

10日(水).昨日の日経朝刊「首都圏経済欄」に「首都圏GW集客堅調 『体験型』好調,好天も追い風」という記事が載っていました  4日から6日まで東京国際フォーラムで開かれた「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2017」は写真入りで紹介されており,キャプションに『ほぼ前年並みの42万人が訪れた』と書かれていました 有料公演のチケットを持っていれば地下のホールで無料コンサートが聴けるので,多くの人が複数のコンサートを聴いたのではないかと思います さらに言えば,42万人にはフォーラムの地上広場を訪れただけの人も含まれているのではないかと推測します

ということで,わが家に来てから今日で952日目を迎え,韓国で朴槿恵前大統領の罷免に伴う大統領選挙の投票が9日午前6時から始まり,革新系最大野党「共に民主党」の文在寅候補が当選したというニュースを耳にして感想を述べるモコタロです

 

       

  誰が大統領でもいいけど”来た!挑戦”に厳しく 日本に理解のある人でないと困るなぁ  勧告しておくよ

 

                     

 

昨日,夕食に「赤魚の粕漬け焼き」「生野菜とタコのサラダ」「ウインナと野菜のスープ」を作りました 赤魚はロシア産と書かれていました.今でもロシアは赤が似合うのか,な

 

       

      

                      

 

先日購入したエルネスト・ショーソンの「ヴァイオリン,ピアノと弦楽四重奏のためのコンセール」のCDを聴いてみました 演奏はヴァイオリン=ジェニファー・パイク,ピアノ=トム・ポスター,弦楽四重奏=ドーリック弦楽四重奏団です.全員が英国出身のアーティストです

 

       

 

演奏者たちは誰一人知らないのですが,CHANDOSレーベルなら間違いないだろうという勘は当たりました 第1楽章冒頭のピアノからして感動的です 第2楽章の「シシリエンヌ」における抒情性は言葉にして言い表せない素晴らしさです そして第4楽章フィナーレは躍動感に満ちています

まだこの曲を聴いたことがない方は,是非 第2楽章「シシリエンヌ」だけでも聴いてみてください  いくつかの演奏が YouTube にアップされています

     

                     

 

昨夕,すみだトリフォニーホール(小)で新日本フィル室内楽シリーズ第108回「ショスタコーヴィチとスターリン」を聴きました プログラムはショスタコーヴィチ①弦楽四重奏曲第3番ヘ長調,②ピアノ五重奏曲ト短調です 出演はヴァイオリン=チェ・ムンス,ビルマン聡平,ヴィオラ=井上典子,チェロ=森澤泰,ピアノ=野田清隆です

 

       

 

自席は11列1番,左端です.この室内楽シリーズは久しぶりですが,お客さんがたくさん入っていてビックリしました ソロ・コンマスによるショスタコーヴィチだからでしょうか

7時15分の開演に先立ち,7時から今回のプロデューサーであるソロ・コンマスのチェ・ムンスによるプレ・トークがありました チェ氏は1988年ソヴィエト政府奨学金を受けてモスクワ音楽院に留学し,首席で卒業後 同大学大学院を経て97年に帰国しています したがってソ連の崩壊を現地で体験した貴重な音楽家です その後,小澤征爾に認められ新日本フィルのコンマスに就任しています

舞台右手にショスタコーヴィチの写真パネルが飾られている中,彼は語ります

「死ぬかもしれない状況の中で曲を書いた人は そうはいないです  ショスタコーヴィチはスターリン時代の粛清の恐怖,第二次世界大戦のカオスの中で,作曲家としての矜持を守りながら生き抜きました  それは想像を絶する厳しさだったと思います.私は90年代初めにソ連に留学中,ソ連崩壊の時期にショスタコーヴィチの第7交響曲を聴きましたが,人々は食い入るように耳を傾けていました  今回演奏する2曲は1940年代の作品ですが,21世紀の今,ある意味で混沌とした時代に聴く意味があると思います.お楽しみください

1曲目は「弦楽四重奏曲第3番ヘ長調」です この曲は第二次世界大戦終了直後の1946年に作曲されましたが,5つの楽章から成ります

チェ・ムンス,ビルマン聡平,井上典子,森澤泰が登場し,さっそく演奏に入ります 演奏を聴く限り,いかにもショスタコーヴィチらしいシニカルな曲です 演奏ではチェの鋭いヴァイオリンが際立っていましたが,定期演奏会を離れて,今回室内楽で初めて聴いたヴィオラの井上典子(元アルデオ弦楽四重奏団メンバー)とヴァイオリンのビルマン聡平の演奏は特筆に値します  二人とも首席奏者になったばかりですが,今回ダテに首席になっているわけではないことを証明しました

なお,この曲を聴くにあたりパシフィカ・クァルテットによるCDで予習しておきました

 

       

 

2曲目は「ピアノ五重奏曲ト短調」です この曲は1940年に作曲されました.5つの楽章から成りますが,同時期に作曲されたのが交響曲第5番や弦楽四重奏曲第1番と言えば,ショスタコーヴィチの充実期の作品であることが分かります

日本音楽コンクール第1位という経歴のピアニスト野田清隆が加わります ピアノによりドラマティックに開始される第1楽章は,中盤から繊細さが際立つようになります 続く第2楽章は神秘的な雰囲気です そして第3楽章のスケルツォは愉悦間に満ちた音楽です チェのヴァイオリン独奏が冴える第4楽章「間奏曲」を経て,行進曲風の音楽を中心とした第5楽章に至ります 5つの楽章がそれぞれショスタコーヴィチの魅力を凝縮したような音楽で,皮肉に満ちています 「いったいどこまでが建前で どこからが本音なのか?」と訊きたいくらいです

今回の演奏を聴いて,この5人のメンバーであれば安心して聴けると思いました 部屋の音響特性のせいか,ピアノの高音部がキンキンと耳に響いたのが気になりましたが,演奏そのものは良かったと思います

 

       

 

会場一杯の拍手とブラボーにアンコールが演奏されることになりましたが,どうやら3人のようです チェ,ビルマン,野田の3人により,ショスタコーヴィチの初期の作品「2つのヴァイオリンとピアノのための5つの小品」から第4曲「ワルツ」と第5曲「ポルカ」が楽しく生き生きと演奏されました それでも拍手が鳴りやまず,今度は5人が登場し,ピアノ五重奏曲の第3楽章「スケルツォ」をもう一度演奏し,コンサートを締めくくりました とても楽しい演奏でした

 

       

       

この曲を聴くにあたり,アシュケナージ(ピアノ)+フィッツウィリアム弦楽四重奏団によるCDで予習しておきました それにしても名曲ですね

 

       

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ベートーヴェンの「第九」の4楽章は合唱がオケの前で歌う? / METライブビューイング,モーツアルト「イドメネオ」の指定を取る / ジェームス・ディーン主演「理由なき反抗」「エデンの東」を観る

2017年05月09日 07時48分26秒 | 日記

9日(火).わが家に来てから今日で951日目を迎え,フランス大統領選 決選投票の結果,マクロン前経済相が右翼・国民戦線のルペンを破って当選したというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

       

        39歳の大統領はフランス史上最年少らしいけど  妻のブリジットさんは25歳年上だって

 

                     

 

昨日は娘が仕事休みだったので,夕食はステーキにしました 最近 月曜日はステーキの日になってきました

 

       

 

                     

 

昨日の朝日夕刊の「コンサート評」欄に音楽評論家・片山杜秀氏による「マルティン・ハーゼルベック指揮ウィーン・アカデミー管弦楽団」の演奏会評が載っていました それを見て「ええっ」と驚きました.そこには次のように書かれていたのです

「驚いたのは第9番の終楽章.新国立劇場合唱団が舞台前面に並ぶ.オーケストラはよく見えなくなる 響きも人間の壁で遮られる.合唱の鳴りが突出する.初演の頃がそうだったという 確かに終楽章の主役は声楽.唐突に現れ『友よ,こんな音ではない』と第3楽章までを否定する.劇的転換だ オーケストラが陰にされるくらいでちょうどいい.これが作曲家の真意か.『新しい第九』を聴いた

「合唱団がオーケストラの前にスタンバイして客席に向かって歌う」というのが「初演の時もそうだった」という説明です こんなことは今まで一度も聞いたことがありません 私の勉強不足かと思いましたが,片山氏の評を読む限り,著名な音楽評論家も初めて経験した編成だということが読み取れます 今まで「初演の時はオケの前で合唱が歌った」ということを記述した著作物やコンサート評はあったでしょうか? あるいは,そのような態勢で第九を演奏したオーケストラは存在しなかったのでしょうか? もしなかったとしたら,彼らの演奏は,まさに片山氏の言う通り「劇的転換」であり「新しい第九演奏の誕生」です と言うよりも,初演の原点に立ち返った演奏スタイルです

コンサートを聴く聴衆の一人として,プロの音楽評論家に望むのは,文学的な表現でコンサートを評論することではなく,事実はどうだったかを分かり易く解説して欲しいということです

 

                     

 

新宿ピカデリーに行って,METライブビューイング,モーツアルト「イドメネオ」の座席指定を取りました いつもは左ブロック後方の通路側席を取っていますが,今回は出入り口に近い右ブロック後方の通路側席を取りました

 

       

 

                     

 

昨日,池袋の新文芸坐でジェームス・ディーン主演の「理由なき反抗」と「エデンの東」の2本立てを観ました 「理由なき反抗」はニコラス・レイ監督による1955年製作アメリカ映画(111分)です

 

       

 

17歳のジム(ジェームス・ディーン)は泥酔して,集団暴行事件の容疑者として警察に連行される 彼はそこで家出のため保護された少女ジュディ(ナタリー・ウッド)や,仔犬を撃って注意を受けたプラトー少年(サル・ミネオ)と知り合う.ジム一家はつい最近この街へ引っ越してきたばかりだったが,父親は意志薄弱で,男勝りの母親に頭が上がらないことにジムは不満を抱いていた 高校のプラネタリウム見学授業で 牛の鳴き真似をして,不良グループのリーダー,バズに目を付けられたジムは,崖に向かって走る車から先に脱出した方が臆病者とされるチキン・レースを挑まれる バズはアクシデントにより脱出に失敗し死亡する 大きな責任を感じたジムは両親に事実を打ち明けた上で,警察に自首しようとするが,両親は黙っているように説得する.バズの手下はジムが警察に事件のことを密告したのではないかと考え,口止めすべく彼を探し求める プラネタリウム近くの廃墟に隠れたジム,ジュディ,プラトーに追手が迫る

この映画はジェームス・ディーンの遺作です.17歳の孤独な青年の心理を鮮やかに演じています

この映画を観て,おやっと思ったのは,冒頭のシーンで,ジムが酔って警察署に連行された後,椅子に座って歌を口ずさむのですが,それが何とワーグナーの「ワルキューレの騎行」のメロディーだったのです これには驚きました また 廃墟の中で,ジュディが 眠るプラトーの頭をなでながらブラームスの子守歌を歌った時には,思わず穏やかな気持ちになりました

 

                     

 

2本目の「エデンの東」はエリア・カザン監督による1955年製作アメリカ映画(118分)です  原作は旧約聖書のカインとアベルを下敷きにしたスタインベックの長編です

 

       

 

キャル(ジェームス・ディーン)とアダム(レイモンド・マッセイ)は双子の兄弟だが,真面目で正義感の強い兄のアダムだけが大農場の経営者である父に可愛がられ,自分は冷遇されていると思っているキャルは,死んだと聞かされていた母親がどこかで生きているという情報を耳にし,母親の行方を突き止め会いに行く  母親はいかがわしい酒場を経営していた 父親が事業で大きな損失を被ったことから,キャルは窮地を救うべく母親から借金し豆の先物取引で大金を手にし,父親の誕生祝に渡す  しかし,父親は戦争に行って命を落とす若者がいるのに戦争を利用して先物で金儲けするのは不謹慎だとして受け取らない キャルは自分の行為が父親に受け入れられないことを悲観して,怒りを兄のアダムに向け,彼を母親に会わせてショックを与えることを思い付く.アダムにとって母親こそ自分と正反対の人生を送るふしだらな存在だった 気がふれたアダムは嫌がっていた戦争に赴く.そのショックで父親は脳卒中で倒れてしまう 意識がもうろうする中,父親はキャルに そばにいて欲しいと言う

この映画の題名「エデンの東」はどういう意味をもっているのか? それは,父親の見舞いに来た保安官のサムがキャルに「アダムとイヴの子カインは,嫉妬のあまりその弟アベルを殺す.やがてカインは立ち去りて,エデンの東ノドに住みにけり」と旧約聖書の一節を語り,「取りあえずお前はこの家から出て行った方がいい」と諭すシーンに表れています

この映画は,子どもにとって 親から認められないことがどんなに辛いことか,が描かれています ラスト・シーンは感動的です

 

     

toraブログのトータル閲覧数が280万 P V,トータル訪問者数が76万 I P を超えました ちなみに昨日(5月8日)の閲覧数は1484 P V,訪問者数は442 I P で,gooブログにおけるランキングは270万9947ブログ 中1023位となっています これもひとえに普段からtoraブログをご覧いただいている読者の皆さまのお陰と感謝しております これからも1日も休まず毎日アップして参りますので,モコタロともどもよろしくお願いいたします

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ケフェレックのCD「ダンスに加わって」を聴いてみる/ショーソン「ヴァイオリン,ピアノと弦楽四重奏のためのコンセール」のCDを買う/篠田桃紅著「103歳になってわかったこと」を読む

2017年05月08日 07時47分48秒 | 日記

8日(月).連休はいかがお過ごしでしたか? この間,9対0の試合をひっくり返し 12対9で広島カープを下し セリーグ首位に躍り出た阪神タイガース  の快進撃がマスコミの話題を独占しました  85年の日本シリーズで西武球場において吉田監督の日本一の胴上げを目の前で見た一人として,また六甲おろし(正式には『阪神タイガースの歌』)を暗唱できる私としては 嬉しさに心躍る毎日を送らせていただいております

ということで,わが家に来てから今日で950日目を迎え,阪神の快進撃がいつまで続くか阪神半疑のモコタロです

 

       

         その昔 阪神が連勝している時「虎は来た道を折り返す」と言った厭味な竜ファンがいた

 

                     

 

昨日 新宿タワーレコードで,ショーソン「ヴァイオリン,ピアノと弦楽四重奏のためのコンセール」のCDを買いました 先日のラ・フォル・ジュルネ音楽祭での演奏を含めて3回ほど生演奏で聴いたのですが,聴けば聴くほど名曲だと思うようになりました その割にはCDを持っていなかったので思い切って買うことにしたのです 1966年録音のCDと2012年録音のものと2種類あったのですが,新しい録音の方を選びました 演奏者は見たことも聞いたこともない人たちですが,CHANDOSレーベルなら間違いないだろうと思って選びました

 

       

 

                     

 

ラ・フォル・ジュルネ音楽祭の時に購入し,本人のサインをもらったアンヌ・ケフェレックのCD「ダンスに加わって」を一通り聴いてみました このCDにはサン=サーンス,ショーソン,ラヴェル,ドビュッシー,プーランクなどフランスの作曲家による小品が23曲収められています

例えば,5曲目に収められたシャブリエの「アルバムの一葉」は心に染み入る感動的な名作で,いつまでも続いて欲しいと思わせる美しいメロディーが奏でられています

 

       

       

       

 

このシャブリエの「アルバムの一葉」は,2015年2月に死去したアルド・チッコリーニのCD「ワルツ選集」の最初のトラックに収められています けれんみのない演奏が心を打ちます

 

       

       

 

                     

 

篠田桃紅著「103歳になってわかったこと 人生は一人でも面白い」(幻冬舎こころの文庫)を読み終わりました 篠田桃紅(とうこう)さんは1913(大正2)年生まれ.墨を用いた抽象表現主義者として世界的に知られる現役の美術家です 彼女の作品は大英博物館,メトロポリタン美術館をはじめ世界中の美術館に収蔵されています

 

       

 

この本は次の3つの章から成ります

第1章「103歳になってわかったこと」

第2章「何歳からでも始められる」

第3章「自分の心のままに生きる」

第4章「昔も今も生かされている」

第1章で桃紅さんが一番最初に語っているのは「私には死生観がありません」というものです

「これまで私は,長寿を願ったことはありませんでした.死を意識して生きたこともありません.淡々と,生きてきました 今でも,死ぬときはこうしよう,死ぬまでにこういうことはしておきたい,などなに一つ考えていません.いつ死んでもいい,そう思ったこともありません.なにも一切,思っていません.先日,死生観は歳とともに変わるのかと,若い友人に尋ねられました.私は,私には死生観がないと答えました.彼女はたいへんびっくりしていました 考えたところでしようがないし,どうにもならない.どうにかなるものについては,私も考えますが,人が生まれて死ぬことは,いくら人が考えてもわかることではありません

これを読むと,桃紅さんの人生観は「毎日を自然体で生きる」ということのようです

第2章「何歳からでも始められる」は特に高齢の読者には参考になると思います 小見出しを見ただけでも桃紅さんが伝えたいことが分かります

「なんでも言っておく,伝えておく」

「頼らずに,自分の目で見る」

「いつでも面白がる」

「なにかに夢中になる」

「やっておきたいと思うことは,どんどんやる」

「誰もやらないときに,やったことが大事」

ーなどです.その辺の訳の分からない哲学本や自己啓発本よりも,生きていく上で役に立つ知恵が満載のエッセイ集です 103歳の人生の大先輩による数々の言葉には説得力があります 広くお薦めします

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ラ・フォル・ジュルネ音楽祭3日目(6日)公演その2~ベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲」,同「ピアノ三重奏曲”大公”」,チャイコフスキー「くるみ割り人形」組曲

2017年05月07日 08時50分05秒 | 日記

7日(日)その2.よい子は「その1」から見てね.モコタロはそっちに出演しています

昨日は東京国際フォーラムで開かれた「ラ・フォル・ジュルネ音楽祭2017」の最終日でした

 

       

 

午後4時30分からホールAで公演番号314のコンサートを聴きました プログラムはベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」です 演奏はヴァイオリン=オリヴィエ・シャルリエ,ディナ・ジルベール指揮シンフォニア・ヴァルソヴィアです

自席は1階15列31番,センターブロック左から3つ目です

指揮台に上がったディナ・ジルベールはポニーテールの小柄な女性指揮者でした 思わず三ツ橋敬子を思い浮かべました

ベートーヴェンの「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」はティンパ二の連打で開始されるユニークな曲です 交響曲ではブラームスの第1番がティンパ二の連打で開始されますね 1806年に作曲されたベートーヴェン唯一のヴァイオリン協奏曲は3つの楽章から成ります

ティンパ二とオケに先導されてシャルリエのヴァイオリンが入ってきます.美しくも力強い演奏が展開されます 第1楽章と第3楽章におけるカデンツァは見事のひと言でした ジルベールの指揮はキビキビしていて好感が持てます.堂々たる演奏でした

 

       

 

次いで,午後5時45分からホールB7で公演番号325のコンサートを聴きました プログラムはベートーヴェン「ピアノ三重奏曲第7番”大公”」です 演奏はヴァイオリン=テディ・パパヴラミ,チェロ=グザヴィエ・フィリップ,ピアノ=フレデリック・ギィです

自席は3列44番,3列とはいえ,右ブロックでは最前列でしかも右端の席です ステージが近くて遠い席です.3人の演奏者が登場します.このトリオは1日目のベートーヴェン「トリプル・コンチェルト」を演奏したメンバーです よい印象があったので期待が膨らみます

この曲が「大公」という愛称で呼ばれているのは,ベートーヴェンの友人であり,パトロンであったルドルフ大公に献呈されたことに由来します

座席が前過ぎ,右過ぎて,音楽鑑賞には辛いところがありましたが,三人の演奏は「大公」に相応しい,気品に溢れた堂々たるものでした

 

       

 

最後に聴いたのは,午後7時半からホールB7で開かれた公演番号326のコンサートです プログラムはチャイコフスキーの①ワルツ嬰ヘ短調,②ワルツ・スケルツォ第1番,③ドゥムカ,④「くるみ割り人形」から8曲です 演奏は第12回チャイコフスキー国際コンクール第1位の上原彩子です

自席は1列33番,右ブロック最前列の左から3つ目です 上原彩子がピンクの衣装で登場し,演奏に入ります.最初にワルツ嬰ヘ短調,ワルツ・スケルツォ第1番,ドゥムカが続けて演奏されました ドゥムカで,演奏が終わったと勘違いした聴衆が拍手をしましたが,上原は余裕で最後の1音を鳴らし決着を付けました

2曲目はチャイコフスキー「くるみ割り人形」から8曲を取り上げ,プレトニョフと上原彩子が編曲したものです 1.序曲,2.クララとくるみ割り人形,3.戦闘,4.間奏曲,5.スペインの踊り,6.中国の踊り,7.トレパック,8.花のワルツから成ります

いずれもバレエのシーンが頭に浮かぶような演奏でしたが,圧倒されたのは最後に演奏された「花のワルツ」です 上原彩子自身の編曲によるものですが,同じ花でも,まるで大倫の花火が夜空に咲いたかのようなダイナミックな演奏でした

会場一杯の拍手とブラボーがステージに押し寄せました 上原はアンコールに,時間の関係でプログラムに入れられなかったパパドゥ(プレトニョフ編)を演奏し,コンサートを締めくくりました

これをもって,私にとっての今年のラ・フォル・ジュルネが終わりました 若干寂しい気持ちがありますが,それ以前にとても疲れました 取りあえず,今日はコンサートにも映画にも行きません 週末のルーティーン=アイロンがけと部屋中の掃除をしてから新宿に行きます

 

        

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ラ・フォル・ジュルネ音楽祭3日目(6日)公演その1~ブラームス「ピアノ四重奏曲」,チャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」,ショパン「マズルカ」,ストラヴィンスキー「イタリア組曲」

2017年05月07日 08時09分17秒 | 日記

7日(日)その1.わが家に来てから今日で949日目を迎え,ご主人と同じようにお疲れ気味のモコタロです

 

       

 

                     

 

昨日,東京国際フォーラムで開かれている「ラ・フォル・ジュルネ音楽祭」最終日のコンサートのうち次の7公演を聴きました

①公演番号321(ホールB7,10:00~10:45)

②公演番号312(ホールA,12:15~13:00)

③公演番号353(ホールD7,13:45~14:30)

④公演番号364(G409,15:15~16:00)

⑤公演番号314(ホールA,16:30~17:15)

⑥公演番号325(ホールB7,17:45~18:30)

⑦公演番号326(ホールB7,19:30~20:15)

ここでは①②③④について書くことにします

 

       

 

最初に聴いたのは午前10時からホールB7で開かれた公演番号321のコンサートです プログラムは①ハイドン「ピアノ三重奏曲第25番ト長調”ジプシー・ロンド”」,②ブラームス「ピアノ四重奏曲第1番ト短調」です 演奏はヴァイオリン=オリヴィエ・シャルリエ,ヴィオラ=豊嶋泰嗣,チェロ=アレクサンドル・クニャーゼフ,ピアノ=アレクセイ・ヴォロディンです

自席は12列19番,センターブロック中央席です.シャルリエ,クニャーゼフ,ヴォロディンの3人が登場します 1曲目はハイドンの「ピアノ三重奏曲第25番ト長調”ジプシー・ロンド”」です 3つの楽章から成りますが,この作品が「ジプシー・ロンド」という愛称で呼ばれるのは,第3楽章がハンガリー民族舞踏「チャールダーシュ」を想起させるロンドで書かれているからです

演奏を聴く限り,ハイドンらしい明るく明朗な曲想で,同じ時期に書かれた「驚愕」「軍隊」「ロンドン」等の交響曲のように充実しています とくに第3楽章「プレスト」でのヴォロディンのピアノ演奏には目覚ましいものがありました

新日本フィルのソロ・コンマス豊嶋泰嗣がヴィオラ奏者として加わり,2曲目のブラームス「ピアノ四重奏曲第1番ト短調」の演奏に入ります この曲は若きブラームスの傑作で,4つの楽章から成りますが,第4楽章は「ジプシー風ロンド」と記されています どうやら1曲目のハイドンとの関連性を持たせたプログラミングのようです

これは凄い演奏でした それぞれの役割を最大限に発揮して「名曲名演奏」を打ち立てました とくに第4楽章「プレスト」におけるピアノと弦楽器の,あるいは弦楽器同士の丁々発止のやり取りは聴きごたえがあり,熱演が繰り広げられました

いつまでも鳴りやまない拍手とブラボーに,4人は第4楽章をもう一度演奏し,さらに大きな拍手を浴びました 

この結果,10時開演⇒10時45分終演(45分)の予定が,11時15分終演(75分)と30分も延長されることになりましたが,誰も文句を言う人はいなかった,と思います

 

       

 

2番目に聴いたのは午後12時15分からホールAで開かれた公演番号312のコンサートです プログラムは①チャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」,②ショスタコーヴィチ:バレエ「黄金時代」から「序曲」「ポルカ」「ダンス」です 演奏はヴァイオリン=テディ・パパヴラミ,ドミトリー・リス指揮ウラル・フィルです

自席は1階16列56番,右ブロック左通路側です.わかり易く言えば,コントラバスの延長線上の位置です

テディ・パパヴラミが指揮者リスとともに登場しチャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」の演奏に入ります 1727年製ストラディヴァリウスの美しい音色が会場の隅々まで沁みわたります この曲は3つの楽章から成りますが,案じていたとおり,第1楽章が終わった時点で拍手が起こりました 5000人規模の大ホールなので,いろいろなお客さんがいます

パパヴラミはリス+ウラル・フィルのしっかりしたサポートのもと,躍動感あふれる演奏を展開し聴衆を魅了しました カデンツァも見事でした

管楽器が追加され,オーケストラだけで2曲目のショスタコーヴィチ「バレエ『黄金時代』」から序曲,ポルカ,ダンスの演奏に入ります 「黄金時代」は若き日のショスタコーヴィチの作品で,内容は「ソ連のサッカーチームが資本主義国の博覧会に派遣され,友情あり陰謀あり,最後には労働者の勝利がもたらされる」というものだそうです

いずれもショスタコーヴィチらしい諧謔的な音楽のオンパレードで,聴いていて飽きません 金管楽器と打楽器が大活躍するところは大衆受けするでしょう リスはいつものようにダイナミックな指揮でロシアのオケの底力を見せつけました

 

       

 

3番目に聴いたのは午後1時45分からホールD7で開かれた公演番号353のコンサートです プログラムは①ショパン「4つのマズルカ」,②アントン・ルビンシュテイン「ワルツ・カプリース」,③スクリャービン「10のマズルカ」から第1番,第2番,第4番,第7番,④ショパン「ワルツ  イ短調」「ワルツ  変イ長調”大円舞曲”」「子犬のワルツ」「ワルツ嬰ハ短調」です 演奏は1985年のショパン国際コンクール第2位のマルク・ラフォレです

自席はB列3番,左ブロック左から3つ目です

かつてのフランスのピアノの貴公子も,さすがに歳をとりました しかし,演奏は衰えていません.躍動感あふれる演奏を展開します スクリャービンのマズルカが終わり,「ワルツ イ短調」の演奏に入ろうとした時,会場の後方で幼児の大きな声が聞こえて,その直後,椅子が倒れる大きな音がしました ラフォレは演奏に入れません.すると,ドタドタと大きな音をさせて幼児を抱いた父親が会場を出ていきました

公演プログラムにはコマごとに対象年齢が表示されています.「0歳以上」「3歳以上」「6歳以上」の3通りで,「0歳以上」は3日間ともホールA(5008席)で午前10時から開かれる「0歳からのコンサート」だけで,「3歳以上」は各会場の午後7時前に終わるコンサート,「6歳以上」は午後7時過ぎまで続くコンサートです

この区分によるとこのラフォレの公演は「3歳以上」が対象です さて,問題のお子さんは本当に3歳以上だったのでしょうか? 非常に疑問です.会場のホールD7は221席しかないので,例外なく抽選で当選した人だけが2,600円のチケット代を払って聴いていることになります.これが無料のコンサートだったら誰も文句は言わないでしょうが(この際,演奏者は別にして),お金を払ってまで不愉快な思いをする筋合いはありません 今回は明らかに演奏者を含めて不愉快な思いをさせています.主催者側は「3歳」という区切りが妥当かどうかも含めて対応策を検討し直した方が良いと思います

会場に静けさが戻り,ラフォレの演奏が再開されました ショパンのワルツが続きましたが,さすがにショパンコンクールで名を馳せたアーティストだけあって,軽やかに演奏します

ラフォレはアンコールにショパンの「エコセーズ」を演奏し,コンサートを締めくくりました

 

       

 

4番目に聴いたのは午後3時15分からG409で開かれた公演番号364のコンサートです プログラムは①シューベルト「ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ第3番ト短調」,②モーツアルト「ヴァイオリン・ソナタ第21番ホ短調K.304」,③ストラヴィンスキー:イタリア組曲(バレエ「プルチネルラ」から)です 演奏はヴァイオリン=梁美沙(ヤン・ミサ),ピアノ=広瀬悦子です

自席は4列16番,センターブロック左から4つ目です ステージに向かって左側に聴衆の出入り口がある関係で,演奏者は右側から登場します

1曲目のシューベルト「ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ第3番ト短調」は19歳の時の作品です 4つの楽章から成りますが,シューベルトらしい歌心に満ちた曲想です このG409という部屋は153席しかない天井の低い会場なので,それぞれの席が演奏者に近いというインチメートな雰囲気がある反面,残響時間が極めて短いという欠点があります したがって,梁美沙のヴァイオリンがあまり美しく響きません.これは彼女のせいではないでしょう

2曲目はモーツアルト「ヴァイオリン・ソナタ第21番ホ短調K304」です 2日前にシャルリエ+ケフェレックのコンビでこの曲を聴いたばかりです この曲では梁美沙によるメリハリのある演奏が光りました

二人の本領が発揮されたのは,3曲目のストラヴィンスキー「イタリア組曲」だったと思います この曲も,前日クニャーゼフのチェロとヴォロディンのピアノの演奏で聴いたばかりです.この曲はイタリアの古典的な仮面劇を題材としたバレエ音楽「プルチネッラ」をヴァイオリンとピアノのために編曲した6曲から成る組曲です

チェロと違い,ヴァイオリンによる先鋭的な演奏が聴けます 梁美沙と広瀬悦子にとっては,目先がくるくる変わるストラヴィンスキーのこの曲の方が合っているようで,生き生きと演奏していました

さて,最後にまたまたどうでもいいことを書きます.サスペンダー爺さんまたしても現わる,です

いつものように開演直前に来場し,珍しくセンターブロックの最後列の左端に座ったので,「初めて爺さんより前の席で聴けるなんて感激だな」と思いました.大きな拍手の中,舞台右手から二人の演奏家が中央に向かって歩いてきたその時です.爺さんが立ち上がり,荷物をその席に置いたまま,いそいそと右ブロックの最前列右側まで歩いて行ったのです 当然,ピアノの前辺りで,歩いてきた二人の女性奏者とすれ違う形になりました.聴衆は図らずも二人と爺さんに拍手をしているような形になりました

私にはこういう神経が理解できません.爺さんは最初から2つの席を確保していたか,あるいは,入場した時に右ブロックの最前列右側の席が空いているのに気が付いて,開演時間になっても誰も座らないので,急にそこに移動したかのどちらかです どちらにしても,どう考えても,タイミングとしては何としても目立ちたいという意識が強く働いていることは疑いようがありません これほど自己顕示欲が強く承認欲求が底なしの人も珍しいと思います.「あんたは主役じゃないよ」と言いたいです

ということで,5番目以降に聴いた3公演については「その2」として書くことにします

 

       

                          この店 ラ・フォル・ジュルネに関係なく いつも長蛇の列が出来ている

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ラ・フォル・ジュルネ音楽祭2日目(5日)公演その2~アレンスキー「2台のピアノのための組曲第1番」,ショーソン「ヴァイオリン,ピアノ,弦楽四重奏のためのコンセール」

2017年05月06日 08時15分26秒 | 日記

6日(土)その2.よい子は「その1」から見てね  モコタロはそっちに出演しています

 

       

 

昨日,午後5時15分から東京国際フォーラムのホールB7で「ラ・フォル・ジュルネ音楽祭」公演番号224のコンサートを聴きました プログラムは①アレンスキー「2台のピアノのための組曲第1番」,②ストラヴィンスキー「サーカス・ポルカ」,③コープランド「キューバ組曲」です 出演はロシア人コンビ,ピアノ=ボリス・ベレゾフスキー&アレクサンドル・ギンジンです

自席は21列38番,左ブロック最後方の席.舞台が遠いです

二人の演奏者が登場しピアノに向かいます.向かって左側がベレゾフスキー,右側がギンジンです ベレゾフスキーも体格が良い方ですが,ギンジンは横に体格が良いタイプです

1曲目のアレンスキー「2台のピアノのための組曲第1番」は,第1曲「ロマンス」,第2曲「ワルツ」,第3曲「ポロネーズ」から成ります このうち「ワルツ」は耳に馴染みやすい曲想で,単独に演奏されることも多いようです 3曲ともタイトル通りの曲想で,二人はロマンティックに,また叙情的にアレンスキーの世界を表出していました

2曲目はシューベルト「幻想曲ヘ短調」です シューベルトはこの曲を作曲した半年後に31歳の若さで死去しました そういう意味では最晩年の作品です.モーツアルトの35歳といい,天才ほど早逝しますね この曲を連弾するに当たり,右側にいたギンジンが自分の椅子を左側に持ってきたのですが,そこで,ベレゾフスキーとの間で何やら会話が交わされました ベレゾフスキーが「そんなに近くに椅子を置いたら身体がくっついてピアノが弾きにくくなるよ(そうでなくても”席取り”なんだから)もっと離してくれない?」とでも言い,ギンジンが「そんなことないと思うけどな.まあいいや離すよ」とでも答えたのではないか,と勝手に想像しました 聴衆の笑いを誘っていたので「中らずと雖も遠からず」だと思います

この幻想曲は,シューベルトの曲の中でも有名な曲ですが,驚いたのは身体の大きさに似合わず,ギンジンの演奏が繊細なものだったのです 弱音がとても綺麗です

次いでブラームスのワルツ集「愛の歌」から数曲が連弾で演奏されました この曲は,この日にローザンヌ声楽アンサンブルで聴いたばかりでしたが,ピアノ連弾で聴くと,「同じ曲を聴いているのか?」と疑問に思うほど異なる趣を感じました しかし,これはこれでまったく違和感がありません さすがはブラームスだと思います

次にストラヴィンスキー「サーカス・ポルカ」が2台のピアノで演奏されます 今度は向かって左がギンジン,右がベレゾフスキーです.また二人がこそこそ話し合っています そのうちベレゾフスキーが舞台袖に引っ込んでしまったので,てっきり口喧嘩でもして,ギンジンが一人で演奏するのかと恐れていましたが,そのうちベレゾフスキーが楽譜を携えて再登場しました.何のことはない,楽譜を舞台袖に忘れてきただけのことでした 商売道具を忘れてくるなんて,どうなのよ?

「サーカス・ポルカ」はバランシン振付によるサーカス小屋のバレエのために作曲された作品ですが,踊るのは象です 「50頭の象と50人のダンサーのための新作バレエ」として初演されました 聴いてみると,なるほど象がダンスを踊っているようにも聴こえます とても面白い曲だと思いました

最後は2台のピアノでコープランド「キューバ舞曲」が演奏されました この曲は1942年にコープランドとバーンスタインのピアノにより初演されました.ノリのいい曲で,二人のピアニストの掛け合いが面白く聴けました

 

       

 

演奏後 外に出ると,地下のEホールでは曽我大介指揮アマデウス・ソサイエティー管弦楽団がベルリオーズの「ラコッツィ行進曲」を演奏していました

 

       

 

次いで,午後7時からホールB7で公演番号226のコンサートを聴きました プログラムはショーソン「ヴァイオリン,ピアノ,弦楽四重奏のためのコンセール  ニ長調」です 演奏はヴァイオリン=二コラ・ドートリクール,ピアノ=マタン・ポラト,弦楽=アルデオ弦楽四重奏団です

自席は6列34番,右ブロック左から4つ目です

演奏者の6人が登場します.ヴァイオリンの二コラ・ドートリクールはヴィエニャエフスキ国際コンクール等に入賞している実力者,ピアノのマタン・ポラトはイスラエル出身で,ジュリアード音楽院修士課程を修了しています アマデオ弦楽四重奏団は2001年にパリ国立音楽院内で結成した女性4人のグループです ヴァイオリン=キャロル・プティドゥモンジュ,梁美沙(ヤン・ミサ),ヴィオラ=原裕子,チェロ=ジョエル・マルティネズというメンバーです

ショーソンの「ヴァイオリン,ピアノ,弦楽四重奏のためのコンセール」は,フランクの影響を受けた傑作です 第1楽章「アニメ」,第2楽章「シシリエンヌ」,第3楽章「グラーベ」,第4楽章「フィナーレ:トレザニメ」の4つの楽章から成ります 私がこの曲を生演奏で聴くのは今回で3度目です.演奏したピアニストで言うと,1度目は児玉桃,2度目は萩原麻未でした

第1楽章冒頭はピアノによる強打の和音によって開始されますが,このテーマがあとで繰り返し出てきます これがフランクの循環形式の影響があると言われる所以です ヴァイオリンもピアノも素晴らしいと思います アルデオ弦楽四重奏団の面々は一人一人が身体全体を使って曲にのめり込んでいる様子がうかがえます 聴きごたえ十分の演奏でした

会場一杯の拍手とブラボーに,ドートリクールが たどたどしい日本語で「オカワリ イカガデスカ?」とアンコールを仄めかし,第2楽章「シシリエンヌ」を演奏し,再度大きな拍手を浴びました

2日目(5日)の演奏は以上の通りです.疲れました 最終日の今日は7公演聴きます.いざ

 

       

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ラ・フォル・ジュルネ音楽祭2日目(5日)公演その1~クニャーゼフ+ヴォロディン,ローザンヌ声楽アンサンブル,ファンダンゴ・バロック

2017年05月06日 07時53分12秒 | 日記

6日(土).その1.わが家に来てから今日で948日目を迎え,真夜中に CDラックの前で これからどうしようか と悩むモコタロです

 

       

 

                     

 

昨日,東京国際フォーラムで「ラ・フォル・ジュルネ音楽祭」第2日目(5日)のコンサートのうち次の5公演を聴きました

①公演番号221(ホールB7,10:00~10:45)

②公演番号242(ホールC,11:30~12:15)

③公演番号223(ホールB7,13:45~14:30)

④公演番号224(ホールB7,15:30~16:15)

⑤公演番号226(ホールB7,19:00~19:45)

ここでは①②③の模様を書きたいと思います

 

       

 

最初に聴いたのは午前10時からホールB7で開かれた公演番号221のコンサートです プログラムは①シューマン「民謡風の5つの小品」,②ストラヴィンスキー「イタリア組曲」,③ラヴェル「ハバネラ形式の小品」,④同「亡き王女のためのパヴァーヌ」,⑤グラナドス「スペイン舞曲集」から「アンダルーサ」,⑥ピアソラ「ル・グラン・タンゴ」です 演奏はチェロ=アレクサンドル・クニャーゼフ,ピアノ=アレクセイ・ヴォロディンというロシア・コンビです

自席は6列31番,右ブロック左通路側です

二人のアーティストがステージに登場,さっそく1曲目のシューマン「民謡風の5つの小品」の演奏に入ります 第1曲「ユーモアをもって」の演奏で,早くもクニャーゼフのチェロの弓の糸が切れました 第2曲「ゆっくりと」はチェロの弱音がとても美しく響きます 第3曲「速くなく,たっぷりとした音で弾くように」では抒情的な演奏が印象に残ります 第4曲「速すぎないように」と第5曲「力強く,はっきりと」ではエネルギーに満ちた演奏が展開します この間,弓の糸が2回切れました

次いで,ストラヴィンスキー(ピアティゴルスキー編)「イタリア組曲(チェロとピアノのための)」の演奏に入ります この曲は1920年に初演されたバレエ「プルチネッラ」から1932年にチェロとピアノのための組曲としてチェロの巨匠ピアティゴルスキーと作曲者が共同で編曲したものです 5つの曲から成りますが,最も印象に残ったのは3曲目の「アリア」です チェロのピッツィカートが聴かれますが,前日とは異なり,極めて音楽的に響きました 前日,同じ演奏者によるピッツィカートが鈍い音に聴こえたのは,会場の端の席で聴いていたせいかもしれないと思いました 第5曲のフィナーレは躍動感溢れる鮮やかな演奏でした

次いで,ラヴェルの「ハバネラ形式の小品」が演奏されましたが,クニャーゼフのグリッサンドが決まっていました 続けてラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」が演奏されましたが,「抑制された美の極致」とでも表現すべき美しい演奏でした

次いで,グラナドスの「スペイン舞曲集」から「アンダルーサ」がスペイン情緒豊かに,最後にピアソラの「ル・グラン・タンゴ」がエネルギッシュに演奏されました このラ・フォル・ジュルネ音楽祭は1コマが通常45分ですが,このコマは1時間です.しかし,演奏曲目が多いこともあり5分オーバーしました.充実した65分に聴衆は大喜びでした

 

       

 

2番目に聴いたのは午前11時半からホールCで開かれた公演番号242のコンサートです プログラムは①ブラームス「2つのモテット」から「何ゆえ悩む者に光が与えられたのか」,②「愛の歌」,③「運命の歌」です 演奏はダニエル・ロイス指揮ローザンヌ声楽アンサンブルです

拍手の中,ローザンヌ声楽アンサンブルのメンバーが入場し2列に並びます.男声16名,女声14名のコーラスです 指揮者ダニエル・ロイスが登場し,1曲目の「2つのモテット」から第1番「何ゆえ悩む者に光が与えられたのか」が始まります この曲は聖書から歌詞が取られた宗教曲です.厳かな曲想がアカペラで歌われます.こういう曲を聴くとにわかクリスチャンになりそうです

2曲目は「愛の歌」です.これは全18曲から成るピアノ連弾の伴奏を伴うワルツ集です ブラームスは「歌は無くてもかまわない」としていたようですが,聴く限りは歌が入った方が”愛の機微”が伝わってくるようで良いと思います 1曲目の宗教曲から世俗曲への落差が大きく,最初は戸惑いましたが,すぐに慣れました

3曲目は「運命の歌」です.これもピアノ連弾の伴奏で歌われます 聴いた感じでは,この日聴いた曲のうち最もブラームスらしい曲想だと思いました ローザンヌ声楽アンサンブルは,とにかく透明感のある美しいコーラスです これに匹敵するのは,日本ではバッハ・コレギウム・ジャパンのコーラスくらいでしょう

歌い終えた30人のメンバー全員がステージから消えるまで拍手が続きました こういうコンサートは極めて稀です 素晴らしいコンサートでした

終演後,ガラス棟に行ってみたら,音楽関係の古本や映画のポスターなどが売られているコーナーがありました

 

       

       

昼食後,マルシェで「ラ・フォル・ジュルネ2017」の記念CDを買いました 1,200円です.毎年買っているので12枚溜まりました

 

       

       

 

3番目に聴いたのは午後1時45分からホールB7で開かれた公演番号223の「ファンダンゴ・バロック」コンサートです 配布されたペラ1枚のプログラムによれば「かつてメキシコやコロンビア,ペルーをはじめとする南アメリカ諸国のダンスと音楽は,同時代にヨーロッパで演奏されていたバロック音楽を受け継ぎながら発展したという経緯がある アメリカ,アフリカ,ヨーロッパ,アジアの音楽の出会いが新たな文化的イベントを生んだ.その象徴がファンダンゴである」とのことです

演奏するのは「テンベンべ」という男4人女1人から成るメキシコ民族音楽演奏グループです ギターとヴァイオリンと歌が中心ですが,曲によってはダンスが踊られます プログラムには十数曲の曲名が書かれていますが,ここに紹介しても1つも分からない(何しろ書いている本人が分かっていない)ので割愛します

最後の曲では演奏に合わせて男女によるダンスが踊られ,聴衆から自然と手拍子が起こりました また,アンコールに楽しい曲が演奏され,これも手拍子を誘いました 何しろ今年のラ・フォル・ジュルネ音楽祭のテーマは「ラ・ダンス」ですから,趣旨に沿っています ラテン系の人たちは自分たちのペースに巻き込むのが得意ですね

終演後,地下のEホールを覗いてみたら,ギターを伴奏に歌が歌われていました

 

       

 

4番目と5番目に聴いたコンサートの模様は「その2」にアップすることにします

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ラ・フォル・ジュルネ音楽祭1日目(4日)公演その2~ベートーヴェン「第7交響曲」,チャイコフスキー「偉大な芸術家の思い出に」

2017年05月05日 08時01分05秒 | 日記

5日(金・祝)その2.よい子は「その1」から見てね.モコタロはそっちに出演しています

 

       

 

昨日,午後4時半から東京国際フォーラムのホールAで公演番号114のコンサートを聴きました プログラムは①ベートーヴェン「ロマンス第1番ト長調」,②同「交響曲第7番イ長調」です 演奏は①のヴァイオリン独奏=ドミトリ・マフチン,ドミトリー・リス指揮ウラル・フィルです

自席は1階19列12番,左ブロック右通路側です.リス+ウラル・フィルは1年振りです 私はリスの大ファンで,このコンサートを楽しみにしていました

オケのメンバーが入場し配置に着きます.このオーケストラは左から第1ヴァイオリン,第2ヴァイオリン,ヴィオラ,チェロ,その後ろにコントラバスという編成を採ります

ロシア出身のドミトリ・マフチンがリスと共に登場し,さっそく1曲目のベートーヴェン「ロマンス第1番ト長調」の演奏に入ります ヴァイオリン独奏から入りますが,あのしかめっ面のベートーヴェンがこういう優しく穏やかな曲を書いたのだと思うと,人間ベートーヴェンを感じます マフチンのヴァイオリンは美しく輝いています

2曲目は,本日のメーンイベント,ベートーヴェン「交響曲第7番イ長調」です この曲はかつて「のだめカンタービレ」のテーマソングのような形で使われ,にわかクラシック・ファンを増加させるのに貢献しました 小学校の音楽の授業で習った音楽の三要素=リズム,メロディー,ハーモニーのうち,リズムが基本となる曲です 4つの楽章から成ります

リスが再登場し,第1楽章に入ります リスの指揮ぶりを見ていると,そのスケールの大きさに圧倒されます 指揮の動作に比例してオケから出てくる音楽もスケールが大きいのです とくにチェロ,コントラバスといった重低音の音がロシアの大地を進む重戦車のようです かつてロシアの巨匠スヴェトラーノフが得意としていた音楽作りに似ています

リス+ウラル・フィルが表出するエネルギー,躍動感は半端ではありません 5000人を収容するAホールを揺るがします.あまりの豪演に聴衆も興奮気味で,ブラボーと拍手が延々と続きました  これぞ,ベートーヴェン と言っておきましょう

最後にどうでもいいことを付け加えておきます.またまたサスペンダー爺さん現わるです この公演でも拍手を受けながらオケのメンバーが入場するタイミングで最前列中央の席に着きました  それだけならここに書くまでもないのですが,「ロマンス」の演奏が終わると,なぜか席を立って最前列の通路を右方向に横切ったうえ,後方の席(たぶん通路側席)に移っていったのです この爺さん 席が2つあるのでしょうか? 訳が分かりません 聴衆のみならずオケのメンバーも見ている中,すごく目立っていました.恥ずかしいです

 

       

 

次いで,午後7時からホールB7で公演番号126番のコンサートを聴きました プログラムはチャイコフスキー:ピアノ三重奏曲「偉大な芸術家の思い出に」です 演奏は,ヴァイオリン=ドミトリ・マフチン,チェロ=アレクサンドル・クニャーゼフ,ピアノ=ボリス・ベレゾフスキーです

自席は9列1番,最左端です.3人のソリストが登場し配置に着きます.チャイコフスキーの「ピアノ三重奏曲”偉大な芸術家の思い出に」の偉大な芸術家とは,チャイコフスキーの友人でピアニストだったニコライ・ルビンシテインのことで,彼の死を悼んで作曲したものです

この作品は第1楽章「悲歌的小品」,第2楽章「主題と変奏」の2楽章から成ります

3人の演奏で第1楽章が開始されますが,演奏の途中で,前の方から時々唸り声が聞こえてきます 演奏中に声を出す人は困りものだな,と思っていると,また聞こえます どこから声がするのか,分かりません.それにしてもだれも注意をする様子がありません おかしいな,と思っているうちに,過去の経験を思い出しました チェロのクニャーゼフが演奏しながら唸っていたのです この人はそういうクセを持っているのです.それが分かったので安心して聴けるようになりました

ピアノのベレゾフスキーは文句の付けようのない演奏です マフチンは大熱演です クニャーゼフは,ピツィカートの時にボンボンと鈍い音がして,音楽になっていない感じがしました これはB7の部屋の音響特性の影響かもしれません ただ,メロディーを弾く時はチェロがよく鳴っていて抜群に良かったと思います

1日目の公演は以上で終わりです.若干疲れました 今日も5公演聴きます

 

       

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ラ・フォル・ジュルネ音楽祭1日目(4日)公演その1~ベートーヴェン「トリプル・コンチェルト」.モーツアルト「ヴァイオリン・ソナタ」,伊福部昭「ラウダ・コンチェルタータ」

2017年05月05日 07時32分11秒 | 日記

5日(金・祝)その1.わが家に来てから今日で947日目を迎え「雨にも負けず 風にも負けず トランプにも金正恩にも負けない 丈夫な身体を持ちたい」モコタロです

 

       

 

                     

 

昨日,夕食に「豚バラこんにゃく」と「生野菜サラダ」を作りました 豚肉はカリカリに焼いて,こんにゃくはスプーンで切るのがコツです 本音を言うと1日中コンサートづくめで料理どころではないのです 今日と明日はメイン料理はお惣菜にして手を抜こうと思います

 

       

 

                     

 

昨日,東京国際フォーラムで「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2017」が開幕しました また今年もやってきたな,という感じです 私の場合「5月の連休=ラ・フォル・ジュルネ」という等式が成り立っています

 

       

 

昨日の第1日目は次の5公演を聴きました

①公演番号141(ホールC,9:45~10:30)

②公演番号152(ホールD7,11:45~12:30)

③公演番号143(ホールC,13:45~14:30)

④公演番号114(ホールA,16:30~17:15)

⑤公演番号126(ホールB7,19:00~19:45)

ここでは①②③について書くことにします

 

       

 

最初に聴いたのは午前9時45分からホールCで開かれた公演番号141のコンサートです プログラムは①メンデルスゾーン:劇音楽「夏の夜の夢」から「結婚行進曲」,②ベートーヴェン「ピアノ,ヴァイオリン,チェロのための三重奏曲ハ長調」です 演奏はヴァイオリン=テディ・パパヴラミ,チェロ=グザヴィエ・フィリップ,ピアノ=フレデリック・ギィ,リオ・クォクマン指揮シンフォニア・ヴァルソヴィアです

自席は1階12列21番,センターブロックのど真ん中です.通路側席が取れませんでした 会場は9割方埋まっているでしょうか

ポーランドのオケ,シンフォニア・ヴァルソヴィアは1年ぶりです 何人か懐かしい顔が見えます.マカオ出身の若き指揮者リオ・クォクマンが登場し,1曲目のメンデルスゾーンの劇音楽「夏の夜の夢」から「結婚行進曲」が華やかに演奏されます 結婚行進曲というと,この曲とワーグナーのがありますが,ワーグナーの方は厳かな感じがするのに対しメンデルスゾーンの方は晴れやかです 金管のファンファーレが会場を満たしました

ピアノがセンターに移動,その隣にチェロの演奏台が設置され,2曲目のベートーヴェン「ピアノ,ヴァイオリン,チェロのための三重協奏曲ハ長調」の演奏に備えます ソリストの3人が登場し配置に着きます.この曲は3つの楽章から成ります

第1楽章「アレグロ」,オーケストラの長い序奏に続いてフィリップのチェロが堂々と入り,次いでパパヴラミのヴァイオリンが呼応し,ギィのピアノが加わります この楽章は同じ時期に作曲された交響曲第3番”英雄”に通じる雄渾な音楽です 第2楽章「ラルゴ」がチェロ,次いでヴァイオリンによって美しく演奏されます.パパヴラミのヴァイオリンは1727年製ストラディヴァリウスとのことで,さすがに美しい響きです 第2楽章から連続して演奏される第3楽章「ロンド・アラ・ポルカ」はリズミカルで,しかも雄渾なベートーヴェンらしい音楽です 若きクォクマン率いるシンフォニア・ヴァルソヴィアの力強いサポートと相まって素晴らしいアンサンブルを奏でました

 

       

 

2番目に聴いたのは午前11時45分からホールD7で開かれた公演番号152番のコンサートです プログラムは①モーツアルト「ヴァイオリン・ソナタ第32番変ロ長調K.454」,②同「同・第28番変ホ長調K.380」です.演奏はヴァイオリン=オリヴィエ・シャルリエ,ピアノ=アンヌ・ケフェレックです

自席はC列7番,センターブロック5列目の左通路側席です.先行抽選販売で買ったので自分で指定した席ではないのですが,ラッキーです プログラムを見ていると,隣席の 私とほぼ同年代の女性が「これ,行かれましたか?」とパンフレットを差し出しました 第一生命のモーツアルトに関する展示・コンサートのパンフでした.「昨日行ってきました」と答えると,「ラ・フォル・ジュルネも最近は聴きたいコンサートが少なくなりましたね.来年はもう来るのよそうかと思います」と語り掛けてきました 「確かに,これは絶対聴きたいという公演が少ないですね」と答えました.その後も「近くの席に就学前の子供がいて公演中大きな声を出すのは困りますね」とか「今回のコンサートは1万円くらい使ってしまいました」とか,いろいろと話が続き,私も話を合わせていました

そうこうするうちに,開演直前,やってきました.まさかここまでのサスペンダー爺さん 今回は真ん中の席は取れなかったようで,最前列の左端に座りました.オトナシイからいいや

シャルリエとケフェレックが登場します.ケフェレックはいつものように上が白,下が黒のシンプルかつエレガントな衣装です この人は本当にセンスがいいと思います

さっそく1曲目の「ヴァイオリン・ソナタ第21番ホ短調K304」の演奏に入ります この曲は1778年にパリで出版された6曲セットの「選帝侯妃ソナタ」の1曲です.この曲は第1楽章「アレグロ」,第2楽章「テンポ・ディ・メヌエット」から成ります

第1楽章では,シャルリエの思いが強すぎるのか,時にケフェレックより若干遅れ気味に入るのが気になりました ただ,全体的には強弱をつけたメリハリのある演奏で,モーツアルトの光と影を表出していました

2曲目は「ヴァイオリン・ソナタ第32番変ロ長調K454」です この曲は1784年にウィーンで作曲されました.第1楽章「ラルゴ~アレグロ」,第2楽章「アンダンテ」,第3楽章「アレグレット」から成ります

この曲ではシャルリエのヴァイオリンとケフェレックのピアノの対話が楽しく聴けました

二人はアンコールにベートーヴェンの「スプリング・ソナタ」の第4楽章「ロンド」を演奏しました が,曲の途中でシャルリエがヴァイオリンを弾きながらピアノの前に歩いてきて,ケフェレックは曲の途中で立ち上がり,これでおしまい,というポーズを取りました この楽章を全部演奏したら長すぎると思ったのでしょうか.二人のユーモアに会場が笑いに包まれました

私はケフェレックのサイン会が12時45分から開かれると知っていたので,あらかじめ買っておいたCDを持って,急いで地下Eホールのサイン会場に直行しました その甲斐あって,列の1番目に並びました.1番ですよ,奥さん

 

       

       

 

       

       

 

サイン会に時間を取られたため昼食時間があまりなくなってしまったので,コンビニ・オニギリとお茶で済ませました これは例年のことです NHKのブースではホールAの公演の生中継をやっていました

 

       

       

 

3番目に聴いたのは午後1時45分からホールCで開かれた公演番号143番のコンサートです プログラムは伊福部昭①「日本組曲」から「盆踊り」「演伶(ながし)」「佞武多(ねぶた)」,②「オーケストラとマリンバのためのラウダ・コンチェルタータ」です 演奏はマリンバ=安倍圭子,井上道義指揮新日本フィルです

自席は1階20列40番,右端です 開演時間になると,いきなり指揮者・井上道義が登場し,スピーチが始まりました

「今日は,このプログラムでこれだけ多くの人たちが来てくれたことは凄く嬉しい 伊福部昭という人は『ゴジラ』で有名な北海道出身の作曲家ですが,日本の民族音楽に根差した音楽を作曲しています ヨーロッパは狩猟民族ですが,日本は農耕民族です.その農耕民族の土着的な音楽を書いたのですが,作曲当時『はずかしい』と言われました.これはおかしい 素晴らしい音楽です.お楽しみください

スピーチの間にオケのメンバーが入場し配置に着きます.コンマスはソロ・コンマスの豊嶋泰嗣です 井上が再登場し,1曲目「日本組曲」から「盆踊り」「演伶(ながし)」「佞武多(ねぶた)」の演奏に入ります この曲では打楽器群が大活躍します.聴いていると日本人の血が騒ぐ音楽です.バレエをやった経験のある井上は時に踊りながらオケを煽り立てます

マリンバがステージ中央に移動し,2曲目の「オーケストラとマリンバのためのラウダ・コンチェルタータ」に備えます 井上から80歳と紹介された安倍圭子がアイヌ民族衣装で登場します この曲は安倍圭子が伊福部氏に依頼して作曲されたとのことです

安倍は両手に2本ずつマレットを持ち,80歳とは思えない俊敏な動作で右に左に動きながら,数種類あるマレットを取り換えながら演奏します マリンバに光を当て改良を加えながら世界中に広めたのが安倍圭子で,世界中に沢山の弟子が居るとのことですが,さもありなん 精力的に伊福部昭の土俗的なエネルギーを創出していきます ヴァイオリン奏者たちさえも演奏する安倍圭子の手の動きを見つめています この人 凄い人です 会場一杯の拍手とブラボーが80歳のアーティストに寄せられたのは言うまでもありません

 

       

 

この日に聴いた4番目と5番目のコンサートの模様は「その2」としてアップします

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