西山 太吉 (著), 佐高 信 (著)
2022年5月に返還50周年を迎えたものの、今も米軍基地問題で揺れ続ける沖縄。
その原因について「沖縄返還で日米同盟の姿、そして日本の国の形が根底から変わってしまったからです」と、元毎日新聞記者の西山太吉は語る。
西山は政府の機密資料「沖縄返還密約文書」を日本でただ一人、取材の形でスクープしたジャーナリストだ。
さらに、西山は続ける。
「岸信介の安保改定、佐藤栄作の沖縄返還、安倍晋三の安保法制定、この一族に共通する
政治手法と我欲が、国民にウソをつき、自民党をここまで劣化させた元凶だ」
統一教会問題でその名が取り沙汰された岸信介と安倍晋三。
この一族が日米同盟や沖縄返還で見せた政治手法と我欲とは何か、そして自民党を劣化させているとはどういうことなのか?
その真意を西山が評論家・佐高信に語る中で見えてきた、日本政治の衝撃の裏面史とは。
西山太吉(にしやま たきち)
1931年、山口県生まれ。
元毎日新聞記者。
1972年の沖縄返還をめぐる政府の密約文書をスクープする。
著書に『記者と国家 西山太吉の遺言』『決定版 機密を開示せよ 裁かれた沖縄密約』(ともに岩波書店)。
佐高信(さたか まこと)
1945年、山形県生まれ。
評論家。
著書に『国権と民権』(早野透との共著、集英社新書)『佐高信評伝選』(旬報社)など多数。
対談の文字起こしであり、一時的史料としての価値はとても高い。
ご本人が取材していた相手が宏池会だから宏池会ひいきなのかな、という印象を100%払拭することはできなかった。
また、昔に比べて今はみんなが小物になったというような評価があった。それだけ庶民に至るまで一人ひとりへの権利や知恵の分散が進んだ結果とも言える。
など、ところどころで同意できない部分もあるが、総体として信用できるし確からしい内容、何より密約の存在を暴いて、その結果報復的にでっち上げの有罪にさせられたことは紛れもない事実・史実であることは認めなければいけない。
西山さん現役の頃に比して、今日の政治家・官僚・ジャーナリストともに、小粒になったと痛感させられます。
「山椒は小粒でもピリリと辛い」の小粒ではありません。
単なる小物になったというだけです。
ツマラナクナッタということでもあります。
/ 西山さんと縁の深かった「宏池会」の本来の様子・在り方が示されます。今日の「宏池会」も、ソレに帰属する現総理もまったく別物であることが指摘されます。
ほとんど袋だたき状態です。
たたくだけの中身がないので、たたきようもないという話しぶりです。
/ 人間ですから間違いもありますが、当時の人びとの国(国民)を思う気持ちが伝わって参ります。
それに比べ、どれほど人間が小粒になってしまったか・・。
それを知る意味で読むのもいいと思います。
それは成長の礎になり、糧になります。目標とすることができます。
/ また(こちらが本筋ですが)太平洋戦争後の日本の歴史(日米のゆがんだ構造)を知ることもできます。近来稀にみるオモシロイ本です。
読み終えてすぐに同氏のご逝去の報に接しました。
表題の通り「最後の告白」になったのかと感慨深いものになりました。
佐高信さんのインタビューが西山さんの記者魂の彷彿させたようで大変興味深く読むことができました。
ジャーナリストのあるべき姿の一端を垣間見ることができ、現在のジャーナリストへの警鐘を感じた次第です。
改めて同氏のご冥福を祈ります。
裏表紙の帯にある「顕彰」が「検証」の誤りとの指摘がありますが、内容を読めば「顕彰」で間違いないと思います。
国を相手に戦った西山太吉氏のジャーナリストとしての功績は讃えられて然るべきです。
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