宮本常一を旅する | |
木村哲也著 | |
河出書房新社 |
同じ著者の「忘れられた日本人」の舞台を旅する----宮本常一の軌跡 も読んでいた。
宮本常一にどっぷりとはまっていて(言葉が適切かはわからないが)、一時は周防大島の「周防大島文化交流センター(宮本常一記念館)の学芸員も務めたことのあるこの著者の旅のスタイルは正直羨ましい。私もこういう風に旅をしたいが、結局若い頃にちゃんと勉強していないので、見るべきものも聴くべきものもわからないで終ってしまうのだ。
この本は、小澤先生が新聞に書評を書いていらしたので、出版を知った。
小澤先生から宮本氏の名前を聞いたことは一度もなかったので、意外な感じがしたが、嬉しかった。
さっそく図書館で借りてきて読み始めた。
膨大な宮本氏の著作、日記、研究ノート、書簡などから宮本の行った場所、会った人(の家族)をたずねていく。そこでまた新しい気付きがある。
とても面白いと思った。
私もそんな旅がしたい。
でももっと勉強しないと、誰にあったらいいのか、何の話をしたらいいのかわからない。
でもこれからの人生は、これまでの蓄積の上に少しずつそんな出会いや経験を積み重ねて行けたらと思っている。
民俗学でなくてもいい。
この夏、ドレスデンで買った絵葉書から、フラウエン教会の周りの土地の歴史を少し垣間見たように。ライプツィヒの居酒屋の壁に森鴎外の絵があったから、鴎外の留学記をたどったように。心惹かれたモノからなにかを手繰って行って、自分の中にストンと納得するような経験を少しずつ増やしたい。後世に残すこともできずにただの自己満足で終るんだろうけど、でもまぁ、せっかく生まれてきたんだし。「大人の自由研究」でいいじゃないかとも思っている。