3月1日の大人教室とコラムです。
今日は3人でした。
第12回 村山聖九段と激闘。終局は朝5時50分
王位リーグで高橋道雄十段に負けた後は3連勝して2連敗で5月を終えました。
6月、C級1組での2期目の順位戦の初戦は故村山聖九段(当時五段)とです。
関西所属なのであまり知りませんでしたが、強いという評判で大事な勝負です 。
相矢倉のがっぷり四つの戦いでしたが、一局を通して先手の私がまずまずの展開でした。
長い戦いが続き、とうとう209手で持将棋となりました。
終局は翌日の1時18分でした。
30分後指し直しで、村山さんが先手でまたもがっぷり四つの相矢倉になりました。
今度も私が指せる局面は多かったと思いますし、終盤は勝っているはずと思っていしました。
しかし村山さんの終盤の指し手は正確で、はっきりした敗因がわからず負けとなりました。
指し直し局は143手ですが、濃密な戦いで終局は朝の5時50分でした。
もちろん私の棋士人生で最も遅くまでかかった対局です。
そういえば村山さんは体が弱いということを聞いた覚えがありますが、当時は将棋を戦う体力は逆にすごいなと感じました。
だたきっと体調的にはかなりきつかったのだと思います。
私もかなり疲れましたが納得できない負け方で、日が明るくなる8時ごろまで感想戦をしてしまいました。
記録係の山本真也さん(現六段)が、これから学校に行くというので、ようやく感想戦をお開きにしました。
村山さんとはC級1組順位戦でもう一度当たりました。
その時も指せていると思っていたのですが、すごいタイミングでの桂跳ねで困っていて負けでした。
この一局では村山さんのすごい才能を感じて、もうこの方には勝てないと思いました。
その後村山さんはタイトル戦に出場、A級に上がりめったに当たらない位置になりましたが、NHK杯で対戦して勝つことが出来ました。
勝てると思っていなかったのですが、後になって聖の青春を読んで、このとき村山さんは体調がかなりきつかったことが書かれていてました。
この対局は以前からYouTubeに動画がアップされています。
順位戦はその後、4連勝しましたので1局目は大きかったです。
6勝3敗で迎えた最終局の相手は、前期C級1組に全勝で昇級した羽生さんです。
今期の羽生さんは7勝2敗で、昇級は難しそうな星でした。
羽生さんとは1年半前に棋聖戦であたり完敗しています。
今度は先手なのでいい戦いが出来るかもで、実際中盤戦までまずまずでした。
しかし意表を突かれた△9四歩突きから攻守ともにうまく指されて完敗でした。
本局は羽生さんが「近代将棋」誌で自戦解説。「所司さんには奨励会時代に苦しめられました」と書いてくださってうれしかったです。
私より10歳前後若い強い方が多く大頭してきて、勝ち抜いていくのは大変と感じました。
1988年度は、順位戦は6勝4敗と勝ち越せましたが、公式戦トータルは17勝24敗でした。