生前、食べることが大好きだっただーりんのお父様。
テレビで珍しい食べ物がとりあげられていると、お取り寄せしてほしいと言われたり、
新しいお店がオープンしたり、おいしいお店の話題をきくと連れて行ってほしいと言われたり、
好奇心旺盛で、食べる楽しみを満喫されてこられました。
入院してからは腸閉塞で、固形物を食べるとすぐにイレウスを起こすので、
最終的には口から食べることができなくなり、静脈からの点滴での栄養のみとなりました。
頭はしっかりしていたので、テレビのグルメ番組などを見ながらさぞかし寂しい思いをされていたことと思います。
そんな生活が1年近く続いていたときに、
「兼六園の兼六だんごが食べたい、食べたい」とおっしゃり、「あれは美味しかったなあ」と何度もおっしゃっていました。
お通夜の日の朝、兼六園まで歩いて、その兼六だんごのお店に行ってきました。
お父様が最後に食べたかったのは、この味だったのね。
あったかいお茶と一緒に、お父様を偲んで食べました。
串にささっておらず、お皿に盛った塩味のおだんご。
添えられたお砂糖をつけながら食べます。
なんともいえず美味しいものです。
本来はお持ちかえりはできないものなんですが、
お店の方に理由を言って、持ち帰りたいとお願いしたら、
特別に大盛で一皿作ってくださいました。
お代金を払おうとしたら、私の食べた一皿ぶんだけでいいと言われました。
お供え分は、お店からお父様への贈り物でした。
優しさがこころに沁みます。
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納棺の時に、スタッフのかたが、半紙に包んで、棺の中にお団子を入れてくださいました。
小袋に入ったお砂糖も一緒に。
これで、兼六だんご、食べられますね。