現在日本語のタロットの情報を目にすると、占いによって結果を
得る事に用いるという事が大半で、魔術的な用途に使うという
方法論や歴史については、殆ど見かけませんが、タロットは占術
(受動)と魔術(能動)の両面を理解して、初めてタロットの世界に
深く足を踏み入れる事が出来るのではないかと、個人的に思います。
タロット魔術に関して、最も有名なのが、大アルカナのそれぞれの
カードを、「生命の樹」の計22本の、それぞれの小径(パス)として、
霊的な世界の中で歩んでいくという、「パスワーキング」ですが、
こちらも昔、鏡リュウジ氏が訳されて誌上に紹介された事はありましたが、
日本語ではこちらに関する情報も、現在は殆ど出ていません。
この方法の大まかなやり方は、江口之隆氏がこちらに書かれています。
http://www7.ocn.ne.jp/~elfindog/onstage3.htm
そちらでは、「自己催眠の一種」と、少々割り切った書き方をされていますが、
同氏は80年代に、以下のような事を書かれていました。
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「黄金の夜明け」団において、タロットカードは、大変重要な役割を果たしていた。
団のメンバーたちは、タロットを単なる占術の小道具としてではなく、別世界へ
通じる扉を開く鍵として、用いていた。
以下は、彼らが実際に行っていた、タロット魔術の一例である。
「個室に一人きりになる。
数分間、沈黙して、精神を集中する。
立ち上がり、カバラ十字を切り、祈る。
タロットカードを一組取り出し、大アルカナから一枚のカードを任意に選ぶ。
私が選んだカードは、第14番、『節制』の札であった。
これをじっと見つめ、しかる後に額の上に乗せて、精神を集中した。
やがて周囲のことをすべて忘れ、カードのイメージが私の心の中に定着した。
私は思い切り低い声で、『サメク』と唱じた。
すると私は、黄金色に輝く地平線のビジョンの中に立っていた。
背後には、巨大な銀の神殿の丸屋根が見え、その彼方には、藍色の空があった。
そのまま地平線に進むと虹が見え、その下を、何か馬のようなものが素晴らしい
スピードで駆け抜けて行った。
私は後を追うために、意識力を集中した。
何とか雲を抜けられた。
私は湖の岸辺に立っていた。
そして、ある姿を認めた。
それは、金色に輝く冠を戴く、白い天使であり、手には青い液体が入った杯を持っている。
私が『ポータル』の敬礼をすると、天使は微笑し、語った。
『私は太陽を射る者、天を駆ける炎です。
私は7つの流れを支配する者』……と。
これは、「透視」を行った、最近の魔術師のレポートである。
この作業は、最終的には、天使の祝福と云う形で終了し、その時点でビジョンが消え、
術者は再び通常の意識状態に戻る。
計20分程度の、「星幽界旅行」である。
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以下、80年代末にアメリカで紹介され、日本でも採用される事になったテキストを抄訳して
抄掲させて頂きます。
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この「タロット・パスワーキング」は、それぞれのカードに数日間かけて行います。
しばしば、それぞれのカードのシンボルを見て集中し、マインドに深く定着させます。
パスワーキングを行って得られた結果については、毎回魔術日記に記録します。
また、行う際は、傍らに(水以外の)飲み物や菓子などを用意しておいて、パスワーキングを
終了して肉体に戻った際の切り替え的な、肉体的な行動とします。
リラックスして、目の前に、鉄のちょうつがいの付いた、古い木のドアがあるのを、マインドの目で
ハッキリと視覚化(イメージ)します。
時間をかけて、ドアの各部のパターンや模様、より暗くがっちりとした節穴の所、簡単に彫られた
跡などを観察します。
この木のドアを見て、最後にちょうつがいの所に、大きな鉄製の鍵があるのを見つけます。
それを取ってドアの鍵穴に差し込むと、ドアが開きます。
ドアが開くと、目の前には、大きな荒地が見え、片側は、青く霧の深い
景色が広がり、雪が山脈の頂を覆っている景色が見えます。
もう片側は、、灰色で防備された崖に傾斜している、広い岬に出ていて、
風が海に渡っています。
もしここでパスワーキングを止めたくなったら、椅子に戻り、木のドアに慎重に鍵をします。
ここまでの事を、パスワーキングに慣れるまで、誰でも数回繰り返して行う必要が
あります。
完全に椅子に戻ったと感じたら、足の感覚を取り戻し、立って歩き回り、また座って、
用意していたものを飲食します。
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続きはまた、他日とさせて頂きます。