
70年代後半頃まで、誰かが魔女になる事を志願した場合、
魔女宗のグループや結社に入り、高位の魔女から教えや入門許可を
得て、初めてなる事が出来たそうですが、80年頃から、「独習
テキスト」のような本が沢山欧米で出版されるようになり、そうして
「魔女としての自己参入」という形式が生まれたと言われています。
そうした独習という形にも、問題や不安がない訳ではないのですが、
現代、「商業主義の小間物ウィッチ」が溢れ、本物の魔女を見つけて
参入儀式を授けてもらうのが難しい状況の中の、「魔女になる手段に
おける教示」であるとされています。
魔女宗のこの自己参入儀式は、「死と鏡の七日間」に始まり、祭壇と
魔術道具の用意、そして魔法円の作成、自己参入儀式、旧き神々からの
反応を待つという流れになっており、何度真剣に参入儀式を行っても、
「旧き神々からの反応」がなかった場合は、真剣さが足りないか、
魔女宗に縁がないものと見なされます。
この魔女宗は、一時「黄金の夜明け会」に参入し、その後離脱して独自の
道を進んだ、「ジェラルド・ガードナー博士」が魔女のクラブを創立したのが
始まりであり、現在の魔女宗の儀式やテキストの多くも、同博士の強い
影響があると言われています。
また、魔女宗の入信儀式には、体を拘束したり、鞭打ちを行ったりする事が
行われますが、これはガードナー博士の性的な志向が反映されているという
指摘もあります。
以下、「死と鏡の七日間」と、祭壇と魔術道具の用意の抄掲です。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
【死と鏡の七日間】
イニシエーションは、魂の再生でもある。
つまり、それまでの自分を脱し、新たな生へ飛昇する事でもあるのだ。
だが、「再生」のためには、「死」を通過しなければならない。
この象徴的な死の体験が、「なぜ魔女なのか」、そして「自分とは何か」を
反省し、見つめ直す事になるのである。
中世のある結社では、志願者は真っ暗な部屋で、不寝番をする事が要求された。
これは死の体験であり、この期間に志願者は、それまでの生き方を反省し、来るべき
魂の再生、すなわちイニシエーションに備えたのである。
あなたも魔女宗の道を歩みだす前に、最低一週間は内省の時間を持って欲しい。
これは、一日20分の時間を取れば充分だ。
夜寝る前に20分間、じっくりと自分の心を見つめてみる。
例えば、電車の中で老人に座席を譲ろうとしたが、出来なかった、「勇気」が
足りなかったとか、うっかり口を滑らせて友達と喧嘩してしまった、でも自分は
正しい事を言ったと思う……。
また、今日見た月の美しさが忘れられない、といった事でもよい。
そして考えた事、思い浮かんだ事は、全て専用のノートに記録する。
このノートは、あなたの魂を映し出す鏡となるだろう。
死と鏡の7日間を経て、なお「魔女への道」に従わんと決意したなら、次に進む。
…………………………………
【儀式に使用する道具の準備】
主に必要となるのは、キャンドル、「影の書」、黒柄短剣、ワンド、カップ、ペンタクルであり、
必要になった場合は、香炉や紐、魔術用鞭を用意する。
可能な限り自作し、自作が無理な場合は、専用のショップで求める。
これらの道具は、魔女術専用とし、他の用途に用いないようにする。
①影の書
これは新しい魔術専用のノートを用意し、儀式次第や儀式の記録を書いたり、コピーすれば
よい。
②黒柄短剣(アサミー)
火の力を象徴する。
これは物を切るためには用いない。
自分が魔女である事を証し、魔法円を引いたりするのに用いる。
手頃なナイフや、ペーパーナイフを用意し、柄を黒く塗り、シンボルを刻む。

③ワンド
風の力を象徴する。
魔術用のワンドを専用のショップで求めるか、自作する。
或いは代用品として、新品のペンを用いても良い。

④カップ
水の力を象徴する。
ワイングラスか角杯を用意する。
⑤ペンタクル

地の力を象徴する。
通常は、直径12センチ程度の木の円盤に、五芒星などを刻んで作る。
無理であれば、厚紙に描いてもよい。

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
続きの魔法円の作成、魔法円を引いた後に行う事の出来る紐の魔術の方法は、
また他日に抄掲させて頂きます。