上野みえこの庭

日本共産党熊本市議の上野みえこのブログです。

市議会最終日・・・・補正予算に反対討論

2014-10-06 12:14:50 | 熊本市政
10月6日、市議会最終日でした。午前中に終了。

私は、補正予算の問題点を指摘して、反対討論を行いました。

(問題点その1)問題の多い指定管理者制度をさらに広げること
 今回の補正予算には、指定管理料に関する債務負担行為が大小それぞれ214施設について、限度額48億9570万円で提案されています。指定管理は、公の施設の管理を民間に丸投げする制度そのものに様々な問題があります。共通点として、そこに働く人の雇用が極めて不安定で、処遇が悪いこと、行政施設として持っている個人情報を民間が知り得ることになるとともにその保護上の問題、3~5年の短い期間で更新が繰り返されるためノウハウが蓄積されないことなどです。
今回特に問題なのは、市営住宅140団地の指定管理です。2014年度から2019年度までの6年間で30億4000万円という大きな事業費が予算化されています。しかも、次年度から指定管理の内容が大きく変更されます。変更点は、指定管理期間が3年から5年へと変わること、②1事業者ですべて管理していたものを、市内2地区に分け2事業者で管理するようになること、③消防設備改修・特優賃修繕、収納業務が新たに事業として加わることなどです。今でも、市営住宅入居者の家族構成・収入状況・市税滞納データなどが民間企業に管理され、暴力団関係の警察照会までも民間が行っています。2015年度からは、家賃算定、減免申請、納付指導、納付書・督促状・催告状の郵送などの収納業務が新たに民間に委ねられるため、さらにプライベートな領域の複雑な個人事情まで含め、市内13,462戸、そこに住む数万人の膨大な個人情報が民間企業である不動産業者に渡されます。個人情報の民間たれ流しは、極めて問題です。
また収納業務は、ひとりひとりの実情把握と、実態に即した適切な対応こそ必要です。民間まかせでどこまで丁寧な業務ができるのか、居住者の実情を踏まえない機械的な収納にならないか心配されます。
しかも、市営住宅には、年間約2億3,600万円もの修繕等の工事費があり、小規模修繕登録業者へ発注されています。実態を調べると、4666件の工事をわずか50社に発注、年間300~500件以上の工事をしている事業者が7社、全体の工事の65%を受け、登録しながら全く仕事をもらっていないところが100社もあります。これがすべて随意契約ですから、とても公平公正とはいえません。
また、実施されている居住者アンケートの回答は昨年252件、1万世帯を超える居住者の声を十分聴いているとは言えません。
 1万戸を超える市営住宅を民間に丸投げする「指定管理者制度」は、個人情報管理や入居者の権利、福祉の位置づけからもさまざまな問題があります。今回の指定管理業務拡大は、さらに問題を広げるもので、認められません。入居者の権利尊重・福祉に逆行する、不動産業者への委託は中止すべきです。

(問題点その2)小学校給食の民間委託は「教育」にそぐわない
 来年度から導入予定の「小学校給食の調理業務委託」経費が債務負担行為として6年間で限度額9億円が提案されています。委託の内容は「調理」と「洗浄」業務で、調理食数が550食以上で栄養教諭等が配置されている学校、9校を予定しています。予定校では、7~8月に学校ごとの保護者説明会、PTA役員対象の説明会が行われました。業者選定の方法、モニタリング、アレルギーへの対応、給食費、食材の安全性、教育としての給食の位置づけが損なわれないか、調理委員の技術の継承、地元雇用の問題など、多くの疑問が出されました。しかし、何ら保護者の疑問に応えることなく、一方的に決めた民間委託が押し付けられようとしています。現在でも、共同調理場の民間委託は、ほとんどが人材派遣業者で、非正規雇用も多く、従業員の処遇・雇用が悪いことは、事故にもつながり、適切な業務遂行にマイナスです。しかも、5年で契約を更新する民間委託では、技術の継承が難しく、安全面でも効率の面でも大いに問題があります。受注業者についても、共同調理場の委託業者で「火の君マルシェ」の指定管理者ともなった事業者を事例に問題点を指摘しましたが、多くが派遣業者で、不安定就労も多く、ブラック企業のような実態もある企業が食育という教育の一環をを担うのにふさわしいのか、疑問です。小学校の給食では、災害など、臨機応変な対応が多く求められます。それを適切に行おうとすれば、事実上の指揮命令という偽装請負、違法状態になることも考えられます。このように、問題の多い学校給食業務民間委託の小学校への拡大は矛盾を広げるばかりです。教育である給食を企業の利益にゆだねる民間委託の一方的な小学校への拡大は撤回し、直営で、「教育」としての位置づけを大切にした、安全でおいしい給食の提供を要望いたします。
 合わせて、学校給食会の食材購入の問題についても、契約の公平性・公正性・透明性を重視し、一部業者によることなく、特に合併町の事業者を排除することのないように要望しておきます。

(問題点その3)社会保障給付を大きく削減する「社会保障・税番号制度」の準備経費は認められない
 社会保障・税番号制度システム対応経費が3億7000万円増額補正されています。年金や健康保険など、分野ごとにつけられている番号を共通の個人番号とし、国民の様々な情報を一元管理する「社会保障・税番号制度」導入のためのシステム改修というのは、莫大な費用が掛かるだけでなく、個人情報の一元管理・情報漏えい・「なりすまし」などの問題点も指摘されています。しかし、なんといっても、その狙いが社会保障給付費の削減にあることが大きな問題です。

(問題点その4)やっと実現見通しになったガソリン券支給・・・所得制限はすべきでない、支給額も政令市並みに拡充を 今年度の当初予算でゼロ査定となり、実現に「待った」がかかっていた障がい者のガソリン券支給「燃料費助成事業」の準備経費、導入に伴うシステム改修経費等900万円が予算化されました。2014年度予算要求時点では、本年10月スタートが予定されていましたが、半年遅れのスタートとなります。長年、障がい者とその家族の方々が要望されてきたガソリン券支給に一歩が踏み出されたことは喜ばしいことであり、関係者の方々の粘り強い運動の成果であると思います。しかし、政令市でガソリン券を導入している7市のうち、わずか1市しか設けていない所得制限の実施は、さくらカードや福祉タクシー券が使えない方を対象にしていることから、所得制限を設けていないさくらカードとの整合性上問題です。具体的な利用者への補助は、ひとり年間12,000円が検討されていますが、先ほどの実施7市で、下から2番目の少ない金額です。札幌市・仙台市は、年間30,000円の補助が出されており、最低でも他の政令市平均21000円以上は支給すべきです。障がい者の移動の権利を保障する立場で、所得制限を設けないこと、支給額の拡充を要望しておきます。

(問題点その5)食肉センター移転にかかる費用の大幅増額・・・「廃止先にありき」の民間丸投げの問題を露呈
最後に、食肉センター廃止関連経費です。馬屠畜機能移転に係る代替施設の設計変更に伴う整備経費助成9321万3,000円が増額補正されています。実施設計完了後に県の指導等により変更・見直しが生じたとのことですが、1億円近い増額となったことは、当初の基本設計があまりにもずさんであり、その内容が問われる問題です。また、馬屠畜機能は、昨年度中に(株)熊本中央食肉センターに馬屠畜施設を建設し、機能移転する予定であったものが、建設予定地の問題から今年度に繰り越すことになりました。現状を見れば、工期はさらに遅れ、委員会で答弁されたように、今年度中の移転完了は難しいようです。また、今後民間でやって、処理頭数が予想に達せず、赤字が出たらどうなるのか、民間に丸投げした市の無責任な対応は問われて来るのではないでしょうか。食肉センターに係って様々な問題が生じてくるのは、「廃止先にありき」で民間に丸投げしようという発想にそもそもボタンのかけ違いがあったということを指摘しておきます。



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