上野みえこの庭

日本共産党熊本市議の上野みえこのブログです。

小学校給食の民間委託は中止を!・・・・・市議会予算決算委員会で締めくくり総括質疑

2014-10-05 11:10:23 | 熊本市政
10月2日に開催された市議会・予算決算委員会締めくくり総括質疑で、「小学校給食の民間委託問題」と「給食食材納入にかかる契約問題」を取り上げました。
15分という限られた質問時間でしたが、時間いっぱい使って問題点を質しました。

小学校給食への民間委託拡大の問題点
 すでに中学校への給食を提供する共同調理場14か所は民間委託が行われています。それを、来年度から小学校にまで委託を広げていこうというものです。
今回の9月議会の補正予算に、「小学校給食の調理業務民間委託」にかかる債務負担行為・6年間で限度額9億円が提案されています。

1、今予定されている「小学校給食調理業務委託」の一番の問題点は、導入方針決定の前に、保護者や現場に対する意見聴取や説明がほとんどなかったことです。答弁にありましたように、民間委託方針決定後の7月以降に保護者説明会が開かれています。意見も聞かず方針を決め、頭ごなしに押し付けるというやり方は、最もやってはいけないことです。
2、常勤職員が6割以上と説明されていますが、全員が正規職員ということはないので、従業員の大半は非正規雇用と考えられます。
市営住宅の指定管理者制度でも、職員の半数以上が契約社員です。自治体の民間委託による非正規雇用は、働く人の処遇が悪いというだけでなく、業務を適正に行う上でも問題があります。
3、民間委託された現行の共同調理場では、8年・9年と経験を積んだ人は14人、全体の1割もありません。一方、1年未満の人は50人と全体の3割近くに上っています。共同調理場の委託契約書には、「業務従事者を頻繁に変更することがないよう留意する」と書かれています。しかし、これが10年近く民間委託を続けてきた現場の実態です。学校給食の調理業務は、経験を積んだ方々の知恵と技術によって、限られた時間に安全・安心の給食が滞りなく提供されています。5年で契約を更新する民間委託では、技術の継承は難しいとおもわれます。

市教育委員会は、民間委託にした場合のデメリットは学校行事に参加できないだけと言いますが、デメリットがそれだけでないことははっきりしています。

4、受注している委託業者についても問題があります。
 現在、共同調理場の委託業者は5業者です。どの業者も人材派遣事業を行っているということです。
 その一つで、今回「火の君マルシェ」の指定管理者ともなった事業者に勤務されていた方のお話を聞きました(本社の調理場勤務だったということ)が、タイムカードがなく、残業は一定時間しか認められずサービス残業が強要されていたこと、規定があるにもかかわらず有給休暇が取れない、ハローワークの募集内容と現場の勤務実態があまりにもかけ離れ、人がどんどんやめていくとのことです。調理場では喫煙がある・ゴキブリがいる・休憩所もないなど、「熊本市食品衛生に係る措置の基準を定める条例」に違反するような実態もあり、食中毒は出さないものの、事故も多いとのことでした。これは、本社内の調理場のことではありますが、いわばブラックともいえるような職場環境です。この方は、「税金を使って、何億もの仕事を受けながら、あまりにもひどい状況だ」と話しておられました。元従業員の方は、サービス残業部分の不払い賃金支払いも要求されています。
熊本市が指定管理や委託などで何億円も払い、共同調理場の民間委託先ともなっている事業者にこのような実態があっていいでしょうか。このような実態があって小学校給食まで民間委託を広げることは、大いに問題です。
 「民間委託」先にありきで、委託業者の実態や民間委託によるデメリットの検証もなく、一方的に民間委託拡大を決め、現場に押し付けるのは問題です。今や、派遣労働は雇用破壊の代名詞のようになって、大きな社会問題です。そういう中で、熊本市が実態把握やまともな検証もしないまま、当然のように、共同調理場のみならず、小学校にまで人材派遣を業とする事業者に業務を委託することは問題です。
5、災害への対応や、業務内容の急な変更、指示通りになっていない場合への対応などは、臨機応変な対応が求められます。市が説明するように、必要に応じ栄養教諭からの直接の指示が必要な場合が出てきます。そういう直接指示は可能であるとの立場で、災害への対応を適切に行おうとすれば、委託事業者と栄養職員との責任者間で行う調整行為にとどまらない事実上の指揮命令という状況も起こるのではないでしょうか。東京足立区では、戸籍事務民間委託が偽装請負として、東京労働局に是正を指導され、窓口業務の委託が一部撤回されました。直営でやれば全く問題ないことが、民間委託では対応が難しいばかりか、偽装請負という違法な状況も作り出してしまう恐れがあるということも問題です。

 以上のように、質問した範囲でも給食業務の民間委託は問題が多く、小学校への拡大はその問題点を広げていくばかりです。
私は、現場・保護者の意見も聞かずすすめる一方的な小学校への拡大は撤回し、直営で、「教育」としての位置づけを大切にした、安全でおいしい給食の提供を行うことを要望しました。


学校給食会の食材調達について
 熊本市の学校給食の食材は、熊本市学校給食会を通した一括購入方式です。

 地方公共団体の契約に関する考え方は、①機会均等の理念に適合して公正であること、②価格の有利性を確保すること、③債務の履行が確実であること、④透明性を確保すること、の4つを原則としています。
 学校給食の食材は、優れた品質の安全なものを大量に、安定して、確実に調達しなければなりません。それだけに、それを確実に履行するしくみと体制が必要です。同時に、先ほど紹介した地方公共団体の契約原則も踏まえていなければなりません。
 先ほどの答弁では、年間15億4000万円の物品調達を120業者でやっていることになります。市の統計書では、本市の飲食料品小売業者の商店数は2635、単純に全業者が納入業者とはいかないと思いますが、機会均等の原則に立つならば、参加業者数120というのは、決して多いと言えないと思います。今回の質問にあたり、具体的な登録業者一覧も見ましたが、必ずしも大きな事業者ばかりが登録されている訳ではなく、もっと多くの事業者が登録されてもいいのではないかと思いました。この点は、要望しておきます。
 では、「納入組合」の納入について、さらにお尋ねします。納入組合をつくっているのは、やさい・果物、鶏肉を除く食肉、豆腐・あげ・こんにゃく類、醤油・味噌・食酢・ソース類、生麺・だんごの業者で、登録業者となるためには、売り上げの1~6%の事務手数料を支払うことや、数千円から数万円の年会費や15万~30万円の出資金を取るところ、5000円の入会金をはらうなど、金額や払い方は様々であるものの、一定の金銭負担をしなければなりません。一方、それ以外の練り製品・酒類・食肉加工品・鶏肉・鶏卵・乳製品・一般物資は、直接各商店から納品しており、納入業者に登録するのに、金銭負担はありません。このように、取扱物資の内容の違いによって、業者登録に差があるというのは、機会均等の原則に照らして公平だとは言えません。
 給食の食材調達は、学校給食会に委託した公の調達です。契約原則に則り、公平公正であるべきです。納入組合という形で、差別化した業者登録はすべきではありません。
 合併町は来年3月で、業務のすべてが熊本市のやり方に統一されます。そこで、「納入組合」で対応している食材を取り扱う業者が、これまで直接で食材を納入してきたにもかかわらず、来年からは事務手数料や出資金等を払うことになるので登録できないとの声が届きました。今までの登録業者が排除されることにならないようにするためにも、納入組合の事務手数料や出資金等はやめるべきです。 

 納入組合のうち、野菜・果物を扱う「熊本県学校給食納入協同組合」は、年間納入入金額が約5億3000万円で、最大の納入額です。組合がつくっている手数料等の加入条件で計算すると、毎年2700万円を超える登録手数料収入があると思われます。一番少ない「熊本県麺類協同組合」は年間10万円程度です。学校給食の物品納入のための登録手数料がどのように使われているのか、また、事務手数料の率が1%から6%までバラバラであるために手数料収入が大きく違うこと、手数料の率の根拠についてもしかるべき説明も必要です。

 給食の食材調達は、公の調達故、契約原則の「透明性確保」が必要です。登録業者間の公平性と透明性を欠いた納入組合の事務手数料等については、説明責任が果たされるとともに、公平性確保の観点での是正が必要です。

 いずれにしても、学校給食は大切な教育の一環です。現場の声も十分聞かず方針を決定し、問題の多い民間委託の小学校への拙速な導入は止めるべきこと、給食会の物資調達についても指摘した点の改善を求めました。








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