上野みえこの庭

日本共産党熊本市議の上野みえこのブログです。

中央公民館の指定管理者制度導入と、駐車場・駐輪場有料化は中止を!

2017-06-23 15:34:53 | 熊本市政
6月21日、熊本市議会の予算決算委員会締めくくり質疑で、中央公民館の指定管理者制度導入と、駐車場・駐輪場有料化中止を求めて、質問しました。

「公民館」に指定管理者制度の導入はなじみません
社会教育法の改正にあたって、国会でも付帯決議がつけられ、公民館の指定管理者制度導入にあたっては、「弊害等についても十分に配慮し、検討すること」と述べられています。
熊本市は、丁寧な検討もないまま、「指定管理者制度導入」先にありきで検討を計画をすすめてきており、極めて問題です。
 公の施設の管理運営を民間にゆだねる指定管理者制度導入の絶対条件は「経費の節減」です。そして公募による価格競争を勝ち抜くために、民間事業者も指定管理料を自ら低く見積もりこととなり、それが人件費の縮減につながります。一方で、事業の継続性の保証のない指定管理者制度では専門性は高まりません。公民館の管理運営に指定管理者制度はなじみません。
中央公民館への指定管理者制度導入は撤回すべきです。

中央公民館の駐車場・駐輪場の有料は中止を!
公民館が、施設使用料に加え、駐車場使用料まで徴収することは、公民館の趣旨に反し、利用促進にも逆行します。

千葉市の公民館は、施設の利用が完全無料
 人口96万人の政令市・千葉市の公民館は、ほぼ中学校区に1館設置されており、熊本市の約2倍の設置数です。多彩な事業が展開されています。条例による無料規定があり、市民は会議室であれ何であれ、すべての施設を無料で使用することができます。
熊本市でも、憲法や社会教育法の趣旨にのっとり、公民館の無料使用こそ実施すべきです。


質問内容は以下のとおりです。

【質問内容】
補正予算案に提案されています「白川公園内複合施設整備事業」についてお尋ねいたします。
 昨年4月の熊本地震によって大きな損傷を受けた中央公民館が解体され、近くにあった老人福祉センターと合築の複合施設として建設されることになりました。中央公民館は、中心街に近く利便性がよい、歴史ある公民館として大切な役割を果たしてきました。複合施設のとしての整備にあたり、疑問な点がありますのでお尋ねいたします。
① 中央公民館の対象区域はどのようになっていますか。
② 公民館事業の自己評価と、その結果公表はどのような形で行われていますか。公民館活動の広報についてもご説明ください。
③ 公民館職員の研修はどのような形で行われていますか。
④ 公民館への指定管理者制度導入の目的・効果、また弊害についてどのように考えられていますか。
⑤ 導入の検討にあたって、どのような点に留意し検討されてきたのでしょうか。特に、検討過程で、弊害について十分配慮した検討がなされてきたのか、検討内容を詳しくご説明ください。
⑥ 全国的な公民館への指定管理者制度の導入状況についてご説明ください。
⑦ どのような形での指定管理者制度導入を検討していますか。指定管理の範囲、内容、公募・利用料金制などについてご説明ください。現状の運営体制は、どのように確保されるのでしょうか。
⑧ 指定管理者制度導入に関し、基本計画策定にあたってのアンケートとパブリックコメントでは、どのような方々、何人に意見を聞き、どのような意見が得られましたか。そのほか、市民からの意見聴取はどのような形で行い、どのような意見が寄せられたのでしょうか。
市民局長に伺います。

(答弁)

 ただ今の答弁では、指定管理者制度導入についての弊害は全く述べられませんでした。しかし、国会では、指定管理者制度についてこんな議論がありました。
 2008年5月、衆議院文部科学委員会で「社会教育法等の一部を改正する法律案」が審議された折、その法律案につけられた付帯決議、指定管理者制度導入に関わる部分を紹介しますと、「政府及び関係者は、本法の施行にあたり、次の事項について特段の配慮をすべきである。一、国民の生涯にわたる学習活動を支援し、学習需要の増加に応えていくため、公民館、図書館及び博物館等の社会教育施設における人材確保及びその在り方について、指定管理者制度の導入による弊害等についても十分に配慮し、検討すること。」と述べられています。
 私どもはこれまで、図書館への指定管理者制度導入の問題点については繰り返し指摘してきましたが、国会では、図書館のみならず公民館への指定管理者制度導入についても弊害があると指摘し、付帯決議になっています。
 答弁では、指定管理者制度導入の検討について、いったいどんな検討がされてきたのか、全くわかりませんでした。先ほど紹介しました附帯決議に述べられている「指定管理者制度導入による弊害等についての十分な配慮と検討」の痕跡全くなし、十分な論議もないまま「指定管理者制度先にありき」としか言いようがありません。
 市民局長に伺いますが、先ほど紹介しました指定管理者制度についての社会教育法の付帯決議はご存知でしたか。

(答弁)

 指定管理者制度については、私どももいろんな場で議論してまいりましたが、関係法令を無視したような論議はやめていただきたいと思います。指摘した社会教育法の付帯決議をふまえ、導入についての検討をしていただくようお願いいたします。
なお検討の後、ご報告していただきますよう、お願いしておきます。

 また、公募による指定管理にした場合、指定期間に定めがあります。有資格者・専門的な知識や技能を有する者の配置が求められる施設であっても5年です。住民の学習権を保障する教育事業が常に中断する可能性を持ち、職員はせっかく研修を積んでも、その蓄積・継続性が中断され、専門性は高まっていきません。指定管理者になったことで職員に採用された人は、専門職であっても将来にわたり継続した雇用の見通しはなく、多くの場合、非正規で雇用されています。公の責任を放棄したアウトソーシングを続けていくと、住民の教養の向上、健康の増進、情操の純化を図り、生活文化の振興、社会福祉の増進に寄与するという社会教育の目的に公が責任を負うことができずに、指定管理者という民間事業者の監督業務にとどまっていくことが懸念されます。
文部科学省告示第112号では公民館の設置・運営基準が定められ、その第1条1項には「この基準は、社会教育法規定に基づき公民館を設置・運営するための規準である」とし、「公民館の健全な発達を図ることを目的とする」とあります。続く2項では「公民館及びその設置者は、この基準に基づき、公民館の水準の維持及び向上に努める」と定められています。これが単なる公の施設ではなく、憲法や教育基本法・社会教育法に基づき設置された人権としての学習権保障を軸とした社会教育施設・公民館が発達・向上する施設であるということを規定しています。市長に伺います。
5年で事業継続が打ち切られる指定管理者で、公民館事業を発達・向上させていくことができるでしょうか。

(答弁)

・・・・・・・・
 また、今回の複合施設についてさまざまに意見が聞かれていますが、寄せられている意見のほとんどが、施設整備に関することです。指定管理者制度に関しては、ほとんど意見がありません。
 複合施設整備計画をすすめていく中で施設の内容を利用者の意見に沿ったものにすることは、誰でもが集まりやすく、使いやすい条件づくりという点では大切なことです。しかし、社会教育法に定められた「区域内住民のために、実際生活に即する教育、学術及び文化に関する事業を行い、もって住民の教養の向上、健康の増進、情操の純化を図り、生活文化の振興、社会福祉の増進に寄与する」という目的に沿って、どのような公民館活動を今後展開していくの、そのためにはどのような運営形態、人員体制の確保が必要なのかなど、地域住民とともにしっかり深め考えていくべきではないでしょうか。
文部科学省告示では、公民館に対象区域が定めてあります。しかし、行われたアンケートでは利用者と管轄校区内の自治会長に限られており、区域内住民の声が広く聞かれてはいません。
白川公園内複合施設整備事業基本計画が審議された2016年12月27日の政策会議では、市民への説明および意見聴取する場を設けることで、了承することとされました。しかし、その後のワークショップには、32名という少ない参加者でした。同時期に行われたパブリックコメントには意見が一つもありませんでした。
 そこで市長に伺います。
 文部科学省告示に基づき決められている対象区域となる壺川・碩台・城東・黒髪の4小学校区の全住民を視野に入れ、今後の公民館事業のあるべき姿、そのために管理運営上必要なことなど、十分な意見聴取を行うべきではないでしょうか。

(答弁)

・・・・・・・・
 市長にもう1点伺います。
社会教育施設への指定管理者制度の導入も確かにすすんで来ています。最初の答弁にありましたように、政令市でも公民館・生涯学習センターへの導入実績があるようです。しかし、文部科学省の調査をもとに研究者が出している資料では、公民館・図書館・博物館・青少年教育施設・女性教育施設・社会体育施設・文化会館・生涯学習センター、これら社会教育施設の中で一番「指定管理者制度」の導入率が低いのが公民館です。データがなかったので2011年の数値になりますが、博物館以下の施設の2割・3割・5割の導入率に対し、公民館は8・6%、次いで図書館の10・7%です。図書館については、指定期間が5年と短い指定管理はなじまないとの大臣答弁もありましたが、公民館も同じようなことが言えるのではないでしょうか。佐賀市では、過去に公民館事業を地域に委託した時期がありました。年間3億円かかっていた運営費が、1億7000万円の委託料に圧縮することができたと、当初評価されていたようですが、結局は、経費削減が職員の労働条件に反映し、その後、直営へと戻されました。
今回の指定管理でも、効果は「コスト削減」と強調されていますが、それで現行の職員体制や労働条件が悪化しないと言い切れるのでしょうか。

(答弁)

・・・・・・・
 いろいろ言われましても、公の施設の管理運営を民間にゆだねる指定管理者制度導入の絶対条件は「経費の節減」です。そして公募による価格競争を勝ち抜くために、民間事業者も指定管理料を自ら低く見積もりこととなり、それが人件費の縮減につながります。一方で、事業の継続性の保証のない指定管理者制度では専門性は高まらない、これが専門家から公民館の指定管理はなじまないと指摘される点です。

 続いて、伺います。
① 駐車場・駐輪場の有料化の具体的な検討内容についてご説明ください。
② なぜ、有料化を検討しているのか、その目的・理由についてご説明ください。
③ 駐車場・駐輪場の有料化の検討に対し、市民の意見はどのように聞かれてきたのでしょうか。
市民局長に伺います。

(答弁)

・・・・・・・・・・
 公民館は、法で営利事業をしないと定められ、文部科学省告示で事業への参加促進に努めることも規定されています。その公民館が、施設使用料に加え、駐車場使用料まで徴収することは、公民館の趣旨に反し、利用促進にも逆行するのではないでしょうか。答弁にありましたように、利用者以外の駐車を規制しようというのであれば、工夫さえすれば様々なやり方があります。市内中心部・利便性のよいウェルパル・アイパルの駐車場も、利用者は無料で使用できます。
 人口96万人の政令市・千葉市の公民館事業は、ほぼ中学校区に1館設置されており、熊本市の約2倍の設置数です。多彩な事業が展開されていますが、条例による無料規定があり、市民は会議室であれ何であれ、すべての施設を無料で使用することができます。
 このように、すべての住民に利用しやすく無料で開放し、身近な地域に設置されている公民館事業にこそ学ぶべきではないでしょうか。
全国には、15000カ所ほどの公民館があり、その内容・あり方は、自治体の考え方によって様々です。しかし、社会教育法や文部科学省が示している告示等によって立つならば、利益を生むことが前提の民間に管理運営を丸投げする指定管理者制度の導入や、駐車場・駐輪場まで有料とするような「白川公園内複合施設整備」のあり方は、将来に問われるのではないでしょうか。
 「白川公園内複合施設整備」の管理運営については、指定管理者制度の導入と、駐車場・駐輪場有料化を撤回のうえ、再考していただくよう強くお願いいたしまして、質疑を終わります。

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