研究者や弁護士らからなる生活保護問題対策全国会議など全国32団体は12日、厚生労働省内で記者会見を開き、物価高騰を踏まえて2025年度の生活保護基準の大幅な引き上げを要望しました。同基準引き下げ違憲訴訟の岡山、埼玉両県と東京都の原告らが参加し、実態を語りました。
岡山地裁では10月28日に原告勝利の判決。しかし国は11月8日に控訴しました。会見で、原告の男性(74)は「(勝利判決に)10年間のたたかいが報われたと思ったが、(控訴を受け)たたかい続けたい」と発言。埼玉の原告の男性(58)は「10年間
の裁判で原告が何人も亡くなっている。行政には血の通った、人間味のある判断をしてほしい」と訴え、東京の原告男性(50代)は
「食費、水光熱費の異常な値上がりで追いつめられている」と強調しました。
東京都内で難病を抱えて生活保護を利用する女性(50代)は、知人の生活保護利用者の高齢女性が熱中症で亡くなったとして、
「私はエアコンが壊れ、扇風機だけでなんとか猛暑を生き延びた。黙っていたら死んでしまう。いま(実態を)言わないといけない」
と会見に参加した思いを語りました。
要望書では、24年9月の消費者物価指数をもとに、生活保護利用世帯の家計を試算。実質的に購買力を維持するには25年度の生活扶助基準額について、単身世帯で13%、複数世帯で12・6%の引き上げが必要だと結論づけました。
また、国の生活保護基準の設定方法を改め憲法25条が定める「健康で文化的な生活」を維持し得る保護基準に向けた再検証を求めました。
岡山の原告弁護団の則武透弁護士は、1960年に東京地裁で生活扶助の低さが憲法25条1項違反だとの判決を勝ち取った「朝日訴訟」を紹介。一審判決後に国が日用品費を47%引き上げたとして「政治判断をすれば今すぐにでも保護基準引き上げは可能だ」と語りました。
同日会見前に、32団体は厚労省で同省担当者に要望書を手渡しました。
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