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画像は本文とはぜんぜん関係ありません。。
連日猛暑や水害のニュースが報じられる中、人々の不快指数(って最近あまり聞きませんね)をさらに上げたのが、例の議員さんのLGBT批判?記事とか、つい先日は医大の女子減点ニュースなどなど。
LGBT記事については先日ようやく議員の所属政党(自民党)が不適切との見解を示したが、雑誌への掲載からかなりの時間が経過しており、その間には抗議デモや、果ては議員に脅迫メールが届き、議員が被害届を出すなどの騒ぎに発展している。もとよりネット上では当然というか炎上してしまい、わりと頻繁に更新していた議員のツイッターやFacebookも本人による更新は止まったままだ。
ツイッターにはこうした「炎上」ネタが見えやすい(ので、個人的に左右どちらの意見も見えるようにいろんな方をフォローしている)。本件は「生産性」という格好のキーワードにも支えられて、よく盛り上がったようだ。
何人かの方のブログや、連載コラムも読んだが、共通しているのは議員の記事を粗雑で浅薄な議論としながらも、スポットライトを浴びた形になったLGBT問題について比較的冷静に分析していることだ。声には出さないが(議員の主張を)暗に受け入れている政党支持者も多いのでは、という意見もあった。これなどは、その具体的な内容を含めてまるでナチスの人心掌握法を連想してしまうが、まあそういう解釈も成り立たないわけではないだろう。この議員がいわゆる人身御供の役を買って出たという取り方もできる。もとより炎上どんと来い、などというTシャツを作られた方でもある(本人がSNSで触れていた)。政党が事態収拾にある程度時間を置いたのも、計算されたものであった可能性もある、かもしれない。
この件、最初の議論(議員の寄稿した記事)が粗雑であったことがそもそもの間違いなのだが、これを正面からきちんと受けとめ、冷静に論考したコラムニストの方々がいらしたということが救いだ。ただ、それに対するコメントのなかにはかなりアレなものも多くて、ネット社会の難しさを感じる。
女子一律減点というのも、非常に反応しやすいお話ではある。相手(大学)側に非がないといえる人はいないから、と思っていたらそういう意見も出たのには驚いたが、変ないい方安心して相手をバッシングできる問題ではある。
ただ、実際に「手を下した」のは大学の入試担当者、あるいは大学そのもかもしれないが、そこだけにとどまる話では当然ないはずだ。大学が学生に教育の機会を与え、医師を世に送り出すことに、直接性差が関係あるとは思えない。問題の根源はその先、医師の世界(現場、あるいはOBの集まり的な集団)にあると考えなければならない。
病院関係者全体で、女性医師の受け入れに一定の(見えない、まあ見えてるのかもしれないけど)考え方があるのかもしれない。医大を出て免許もあるのに、就職口がない「女性」が溢れたら、業界的に問題だ、とか、そういう暗黙の了解があるのかも。。
この話はこの先色々尾ひれがついて広がりそうな気配はある。入試の数学の答えが正答だったのに、そこから減点するのは明らかに問題だが、企業の面接試験で内定を出すにあたって、採用者が性別を判断基準としていても、それを証明することは一般的には難しいだろう。雇用機会均等法により、募集要項で性別を限定することは例外を除き禁止されているが、選考は会社の総合判断にゆだねられる。
事務系の社員なんか、性差の区別があるはずないのに、今度採る経理スタッフは女の子がいい、とかいう話は日常普通にかわされている。まるで次に生まれてくる子はぜったい男の子ね、というみたいに。そういう、性別をめぐる建前と本音みたいなのは厳然とあるのだ。上司が女性で、部下を採用するときに男の子は扱いにくいから若い女性に、というのも普通にある。
失業して仕事を探していたとき、ハローワークで見つけた経理責任者の面接に行ったことがある。外国の投資ファンドが出資している、観光ホテルなどを運営する会社で、決算、税務申告から日常経費処理、更に出資元への英語による会計報告、予算作成まで含む難しい仕事で、なのになぜか給与はちょっと応募をためらいそうになるほど安い。ただ、一応要求されたことはできるし、折から困っていて贅沢は言えないからと応募して面接に行った。面接に当たった人にそれとなく質問してみたら、「・・・、というか女の子が欲しいんだよ。前働いていた子も、割と若い子で英語も経理も得意で、お茶も入れてくれて・・」と本音を語ってくれた。
これなどは二重に差別というか・・。あれですよ。世間はかくも厳しいものだな、とは思いましたよ。。
性差というのは、個人的には区別が全くないはずはないと思っています。たとえば女性9:男性1の職場(じっさい経験しました。比率はもっと極端)であれば、男性はそれなりに苦労するものなのです(というより、今で言えば鬱病寸前か、そのものになるところまで行きました)。とはいえ、今の上司も女性だし、これまで一緒に働いた上司のたぶん7割は女性だったしな。。LGBTもそうですが、多勢と少数派になると色々問題が出るのだと思います。
まあ人類の進歩を信じて、時間をかけて解決していくしかないのでしょうね。
こんなことを書いたのは、上記事件そのものもそうですが、ここ数週間に偶然見たテレビにもインスパイアされたというのもあります。
ひとつは有名なサンデル教授の白熱教室。最初は何気に見ていたけど、だんだん引き込まれて。。今年度分5回のうち3回だけでしたが。。人種や見た目(ルックスが良い白人とか)で人を採用するのは道徳的に正しいと思うか?とか、(アメリカが掲げる)人には誰でも成功するチャンスがあるなんて嘘だ、才能のある人が成功するのは不公平だ!(とまでは言ってなかったけど)という議論が面白くて。昔「これから正義の話をしよう」を、途中まで読んでやめちゃったんですけど、改めて「白熱教室」を読み始めてます。。
もう一つはEテレでやっていたトークショーで、元男性の弁護士とか、全盲の弁護士、同性愛の先生とかいろいろな人が出てくるもの。折しも上記議員の一件が世間をにぎわしていたので、余計興味深かったです。