銀座の老舗楽器店、山野楽器本店は、7月末でCDの販売を終了するのだという。
記事にあるように数年前に売り場規模を大分縮小はしたが、小スペースでも管理が行き届いていて、結構品ぞろえはしっかりしていた。
昔、もう30年ぐらい前のことだが、CDを買うことに狂っていた時期がある。いちおう毎月予算を決めてはいるのだが、お給料が出ると昼休みに例えば銀座に出て、山野楽器の裏通りにあったラーメン屋でお昼食べて、そのあとCD物色したりしていた。買うのはクラシックCDで、輸入盤が多かった。
輸入盤は国内版に比べ概ね3~4割は安かったし、国内には出ていないシリーズも結構あった。例えばレコード芸術という雑誌には基本国内版の情報しか書かれていないが、店に行けば意外な掘り出し物が見つかる。
輸入盤を扱う店は限られているし、品ぞろえは店によって違う。値段も一律ではない(店によって値付けが違っていた)。
山野では輸入盤の外側に薄茶の紙を巻いていて、背のところに手書き、日本語でタイトル等を書いていることが多かった。1枚1枚、見ていくのが楽しかった。
店に行けば何かしらの発見がある。
昼休みは時間があまりないが、退社後に店に行くと、それこそ時のたつのを忘れるほど夢中になって眺めていた。
あの頃、銀座付近では首都高のガード下にHMVがあり、それから山野、数は少ないけどヤマハ、それから数寄屋橋に中古盤のハンターがあった。
山野の1階の、手前は日本の歌謡曲等で、奥に行くと落語とか邦楽関係があった。地下1階は洋楽ポップス、民族音楽等と映像関係。エスカレーターで3階に上がると1フロアまるまるクラシック。ジャズは4階にあった時期もあったが、後に3階に移ったような記憶が。
とにかく狂っていたな。。
レア盤をさがすとかいうタイプのマニアではなくて、ひたすら(自分にとって)新しい音楽と出会うのが楽しかったのだ。それこそモンテヴェルディからジョン・ケージまで。世の中はじぶんの知らない音楽で満ち溢れていたのだ。
あんまり狂っていたので少し反省し、前宅に越してきた頃にいったん買うのを止めた。再開したのはそれから10年ぐらい後だったと思う。
その頃にはだいぶ憑き物が落ちていて、別にお店行かないと禁断症状が出るようなことはなくなっていた。やがてネットでもCDを買えるようになったし、配信DLで買ったりとか。そして定額配信の時代へ。
アマゾンとかでも、CD新品の販売は少なくなっている。
おそらく配信でないと聞くことができない曲も多くなっていると思う。
ただ、その配信のリソースはCDアルバムであることが多いので、この先どうなるのかな、という思いはある。
こないだパットメセニー聞きます、とか書いた後、なんだか聞きたくなってCD買ってしまいました。
ぽわんぽわんした感じが、なんとなく時代の気分ですね。。