・・目が覚めたら真っ暗でものすごくさむい。
「なんだよこれ!寒いじゃないか、かいぬし、なんとかしろよ!!!」
と力いっぱい叫んだ。。
と、いうのはうそだ。
せんしゅうからぼくは、がんで重くなっていた体をはなれて、自由にその辺をとびまわれるようになったのだ。
だから、かいぬしがその後も、毎日ココの分と一緒にぼくの朝ご飯を作ってくれているのも知ってるし、くるまの中や出先でときどき泣いているのも見てる。
むかしはそとになんか出してくれなかったが、その点はじゆうでいいね。。
でもきょうは、かいぬしが今までの僕のからだを「まいそう」してくれるらしい。
ふとおそらを見ると、ぼくのまえのからだとおんなじような、真っ青なおそらだ。これなら、あっちへ飛んでいくのにはぜっこうのきかいだね。
かいぬしはこの「まいそう」のために、そうとう時間をかけてじゅんびをした。
「じっか」のうらにわには、むかしかいぬしが一緒に過ごした、「ぺん」君がいるらしい。
ただ、そのうらにわはいま、片づけきれないで放置された、木の枝や枯れ葉が山と積まれていて、荒れた感じになっている。
かいぬしも、これを片づけないととても「まいそう」できないとおもったらしい。
きのうかいぬしはおそくまで、一生懸命掃除をしていたが、枯れ葉と混じった長い枯れ枝にはそうとう手こずっていたようだ。そのままだとゴミ袋を突き破ってしまうのだ。長いまま放置された竹の木はよけいたいへんだった。のこぎりでばらばらにしていた。
かなりくたびれたようだ。
かたづけにめどがついたころ、かいぬしは小鳥のこえにふりむいた。
ジョウビタキ君(かいぬしはいえに帰ってしらべるまで、名前を知らなかった)が庭をあるきまわり、時折その辺をつついている。かいぬしが掃除して回っても逃げないで、またおなじ枝にとまっている。
かいぬしはジョウビタキ君にこえをかけた。
「おつかれさま。良い子だね。こんどここに、アル君がくることになったから、よろしくね。
アル君は、そうだな、きみよりもちょっとだけ小さいかな。。
青いお羽の、げんきな子だよ。。」
かいぬしがふと空を見ると、ここはとりたちがたくさんいる場所のようだった。
メジロくんが一生懸命、柿をたべている(かいぬしは僕にはぜんぜんくれなかったぞ)。ムクドリさんもいる。
これだけ鳥さんがたくさんいるなら、あんしんだな、とかいぬしはおもったらしい。
かいぬしはまた「ほーむせんたー」に行って、いくつか追加のかいものをした。
ほんとうはコンクリかなにかの、「はかいし」代わりのものをみつけるつもりだったのに、すっかり忘れてて、スミレや葉牡丹の苗をかっていた。
うちにかえって、こんどは「ひつぎ」のよういをした。
本体はきのはこだが、ふたがないので、ぼーるがみの芯に青いかみをはってふたにした。
あおいろのがーぜでぼくをつつむつもりらしい。
墓碑は間に合えば、とおもっていたらしいけど、結局つくちゃったようだ。
ニスをぬって、きりぬき文字を貼った。
ただ、固定するほうほうがないので、あとでなんとかしないと、やがいではどこかにころがってしまうらしい。
おはなは昨日かっていた。
おしきのあと、ぼくのまわりにたくさんつめてくれた。
ちょっと多すぎたみたいで、はこをくるんだふくろにも、たくさんいれてくれた。
ケージを置いて、かいぬしじこりゅうでおそうしきをあげてくれた。
うしろでココもさんれつしてくれた。
ココもなにか感じ入ってくれたのか、おとなしくしていた。
こうして、おはかにおさまった。
とりあえず余った木の板をおいているが、あとで何かべつのものにしたいと、かいぬしは言っている。
お線香もあげてくれた。
3本とりだしてつけるつもりが、うっかり折ってしまった。
はんぶんのながさになったが、きえるまでのあいだ、かいぬしは手をあわせていた。
じゃあ、そろそろ飛びたとうかな。
だいじょうぶ、またべつの体になって、かえってくるからな。
*かいぬしより:あとすいません、遺影を飾るのをすっかりわすれてました。。