在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

”ファロ 1998” パラーリ

2007-05-27 19:40:29 | Sicilia シチリア
"Faro 1998" Palari -Sicilia
シチリアの赤ワイン。品種は、土着品種のみでネレッロ・マスカレーゼ、ネレッロ・カプチーノ、ノチェーラ。
収穫年よりほぼ10年経ち、色はガーネット色を帯びている。
最初は香りが閉じていて、やや甘い香りがゆっくりと立ってくる。森の木の実のコンフィの香り、ドライ・フラワーの香りに加えて、スパイス臭、革、アニマル臭、ブロードの素の匂い、ポルチーニきのこなど、辛口の香りも出てくる。とてもよい複雑性で、エレガントで長さも充分。
味のインパクトは大変良い。シチリアのワインにもかかわらず、酸がきれいで、シチリアらしいボディも備え、申し分ない。後味は、再びエレガントな面が出てきて、長くデリケート。非常に良い熟成を経たワイン。
エノロゴDonato Lanati氏の手による、シチリア、メッシーナ産の名ワインの1本。
消滅しそうになっていた「DOC Faro」を見事復活させた。

”コッリオ・ピノ・グリジョ 2004” ダリオ・プリンチチ

2007-05-27 07:23:01 | Friuli フリウリ
"Collio Pinot Grigio 2004" Dario Princic -Friuli
ロゼに近いフリウリの白ワイン。品種はピノ・グリジョ100%。
イタリアを代表する白ワインの品種ピノ・グリジョは、白ぶどう品種ではなく赤ぶどう(灰色ぶどう)品種である。ピノ・グリジョのワインというと、ごく普通の白ワインが多いが、ごく稀に玉ねぎ色のものに出会う。このワインは、その数少ない「本物」の1本である。
色を出すには、当然ぶどうの皮を漬け込んでいる。赤ぶどうを使い、赤ワインのように漬け込みをし(8日間)色を出している。一見ロゼのようだが、よくあるロゼのようにきれいな桜色にはならない。漬け込みをして造ったピノ・グリジョは、まるでそれが合言葉であるかのように、必ず玉ねぎ色を呈している。
ビオ・ワインなので、色にはやや濁りが見られる。フィルター処理は当然していない。最初のインパクトはくさい。やはりビオ系ワインの特徴である。そして、甘いアメのような香りと、アプリコット、パン、スペック(燻製のハム)、やや煙たい香り、スパイス臭が交錯し、白ワインらしくない複雑性を帯びている。口に含んだ瞬間は優しく、ボディがしっかりとあり、酸と塩味がワインを引き立ててている。
なお、苗は、アメリカ産の苗を接木していない貴重なもの。(Pie di franco)
こういうピノ・グリジョを飲み始めると、普通のものが飲めなくなるのが怖い。

"トレッビアーノ・ダブルッツォ 1996” エドアルド・ヴァレンティーニ

2007-05-27 02:36:08 | Lazio, Abruzzo, Molise ラツィオ他
"Trebbiano d'Abruzzo 1996" Edoardo Valentini -Abruzzo
イタリアの神話的アブルッツォ州の白ワイン。品種はトレッビアーノ100%。
残念ながら保存状態が良くなかったようで、最高のコンディションではなかった。
ビオ系ワインにある臭みが最初のインパクト。すぐに炭化水素系idrocarburoの匂い、ミネラル臭、「海」の匂いがプンプンする。そして、キャベツ。まるで畑に立ってるよう。他は、玉ねぎ、ねぎ、ニンニク、茹でた肉、モルタデッラ、きのこの香り。もちろん、香草、スパイス臭も加わる。
と、書くと、なんだかすごくまずそうな感じになるが、その逆。これだけの複雑な香りを出せるのはさすがヴァレンティーニ。
味は、ビオらしくやさしい口当たり。酸が際立ち、ワインの背骨となっている。塩味もあり、味の強さ良好、ナッツの後味が長く残る。
収穫年より10年を経て、若い時にはない複雑性が出て非常に興味深い。しかし、保存状態によっては全く別のワインになっていること間違いなし。