在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

4 Barolo : Borgogno, Scavino, Prunotto ecc. バローロ 4種 ボルゴーニョ、スカヴィーノ、コンテルノなど

2016-05-05 23:58:04 | Piemonte ピエモンテ
4 Barolo : Borgogno 2000, Scavino 2003 ecc

4 Barolo
Paolo Conterno 2003 Ginestra
Paolo Scavino 2003 Carobric
Giacomo Borgogno 2000
Prunotto 1998



少し前に、大変光栄にもヴィテルボの図書館の館長で、芸術家でもある大変素晴らしいパオロ氏を紹介していただいた。
同僚に当たるカルロ氏も同時にご紹介いただいたのだが、このカルロ氏が1500本のワインを所有しているという大のワイン好きで、当然意気投合。
今回の夕食をバローロの夕べにしてくださる約束をしていただいたのだが、それが実現。
多分他のメンバーは、バラエティに富んだワインの方が良かったかもしれないかとは思ったのだが、光栄にも選んでいただいたのがバローロ4本。
メンバーは8人。

もちろん、その前にフランチャコルタやら、その後にも食後酒などプラスアルファがあり、この人数でバローロ4本はやや多すぎる感があったのだが、午後からすでに抜栓していた。すでに開いているわけだし、これは飲むしかない。
ローマまで、夜中、1時間半かけて運転しないといけないのだけど。。。。。。。。。。

ヴィテルヴォの町から10数キロ離れている、周りに何もない、見事な一軒家。
調度品も見事で、田舎の一軒家の雰囲気と、モダンな感じと、美術品のコレクションはもちろんのことなので、アートとが品良く調和している。

さて、お昼から抜栓していたというバローロは以下。

Barolo Ginestra 2003 Paolo Conterno
このワイナリーだけよく知らない。
ピエモンテにコンテルノという名前はよくあるので、おそらく枝分かれしたコンテルノ?
軽やかな雰囲気のバローロ。どしんとした感じはなく、モダンな雰囲気が鼻に付くわけでもなく、女性がステップを踊っているような雰囲気のバローロ。ワイン初心者でも、なかなかおいしいじゃない!と思うタイプ。風格には欠けるが、悪くない。何本も飲む最初のバローロとしてはぴったりの選択。+++(+)

Barolo Carobric 2003 Paolo Scavino
次はおなじみスカヴィーノ。何度もワイナリーを訪問していて、よく知っているワイナリー。このクリュは若いうちから飲めるタイプ。ややアルコールが高いというより、アルコールがやや出過ぎなのが気になる。しばらくしてカカオやチョコレートが出てくるように、かなりモダン。鼻に付くほどではないが、伝統派好きにはややモダン過ぎ。+++(+)

Barolo 2000 Giacomo Borgogno
3番目はボルゴーニョ。2008年以前のボルゴーニョは喜んでいただく。
スカヴィーノとの違いは大きい。モダンから一揆に超クラシックへ。やはり個人的に、一番好きなタイプ。みんなで、うま~い、と唸る。+++++

Barolo 1998 Prunotto
最後はプルノット。1998年だから、開けた本人も心配。でもとダメでもても良い経験になる。
案の定、やや行き過ぎ、下り坂に入っているのは否定できない。これもうだめ~という人もいるが、何事も長所と欠点があるはず。
つまり、ダメと否定してしまうのは簡単。その中に良さを見つける。
かなり閉じているのをグラスを回して、開かせると、決して悪くはない。下り坂に入り始めているが、十分飲める。++とオマケ+


スカヴィーノはフィアスクも

バローロ ブリック デル フィアスク パオロ スカヴィーノ 2009 赤 750ml
パオロ スカヴィーノ(TUSCANY)
パオロ スカヴィーノ



2000年~

ボルゴーニョ バローロ・リゼルヴァ 2000
ボルゴーニョ
ボルゴーニョ



プルノット・ブッシア 2008年

プルノット バローロ・ブッシア 2008 750ml
ANTINORI (アンティノリ)
エノテカ


La corrispondenza di Giuseppe Tornatore イタリア映画 通信 監督 ジュゼッペ・トルナトーレ

2016-05-05 22:55:16 | 何故か突然イタリア映画
La corrispondenza 通信
監督 ジュゼッペ・トルナトーレ

愛という名の幻想はかくも魅力的
死んだはずの愛人から次々にメッセージとプレゼントが届く




ニュー・シネマ・パラダイスの監督ジュゼッペ・トルナトーレの最新作。
トルナトーレは、現在のイタリアを代表する監督の一人。
日本でも間違いなく公開されるだろう。

60代の天体物理学の教授エドは、優秀な元教え子のエミーと関係を持っている。
エミーは大学に在籍しているが、まだ卒業はしていない。
スタントマンなど、体を張った仕事をしている。(空手も得意、アダ名がカミカゼ~)

二人が会うのは月に1回程度。
教授の別荘(家族のものには出入りさせないプライベートな空間)や学会で会ったりするのみで、あとは毎日頻繁に交わす携帯メッセージ、スカイプを使ったチャット、送られてくるビデオメッセージなど。
こんな半分ヴァーチャルな関係が6年も続いている。

ある学会に、教授が珍しく、今回は行かないと言う。
一人で学会に出席するエミー。しかしそこで、エドが、実は病気でしばらく前に亡くなっていることを知る。

昨日も一昨日も、いや、しばらく前もメッセージが普通に入ってきていた。
今、この瞬間にもエドからのメッセージが携帯に入る。
狐に包まれたようなエミー。エドの死が信じられない。

その後も、死んでいるはずのエドから、贈り物、ビデオ、携帯メッセージなどが次々に届く。
二人の記念日、誕生日、試験の日。。。まるで全てが見透かされているように。

次々送られてくるビデオを、訳がわからない状態で見るエミー。
ある時、エミーの過去について言及した内容のビデオが届き、怒って、通信を経つメッセージを送ってしまう。
それから、メッセージも贈り物も途絶え、大きく後悔するエミー。
なんとか、エドのすべてのメッセージを見たいと、あらゆる手を尽くす。

上映後のインタヴューにラフな格好で現れたトルナトーレ監督。
かなり饒舌。

この映画のキーワードは「距離distanza」。
エドが死に、生と死の間に大きな距離があるが、二人が生きていた時も距離があった。(いわゆる遠距離恋愛)

1984年から構想を温めていたという、非常に長い年月をかけて実現した作品。

テクノロジーは非常に好きで、現在では、このように死後もメッセージを送り続けるようなことは、忍耐さえあれば可能だと思う、と。
(さらにお金も必要な気がするが。。。。。)

トルナトーレ氏は「ウソ」が嫌いな監督の一人だったと思うが、ほとんど全てが画面通りに存在しているそうで、そういう点、画面に全くと言っていいほど「わざとらしさ」がない。
撮影に関しても、エミー役の女優が「初めて」エド役の男優に会ったのは画面を通した二人の場面を全て撮り終わった後で、それまでは、ビデオを通じてしか本当にエド役の男優を見たことがなかったのだそう。(映画の一番最初で二人の絡みが出てくるが、これが唯一の生身の二人の場面)
その後、エミー一人の場面を撮り続けたので、孤独で、かなり精神的にキツイ仕事だったと思う、と言っている。

音楽は、言うまでもなくエンニォ・モリコーネ氏が手がけている。
二人の関係は27年続いているそうだが、このあたりも質問が出た。
嫌になったり、馴れ合ったりしないのですか?という質問に、普通ならそうなるだろうが、私たちの関係は反対で、むしろより厳しく意見を言い合うようになっているとのこと。
特に、今回の作品には印象深い音楽は不必要で、静かに流れるBGM的な音楽を求めていたので、その辺り、かなり話し合ったそう。

質問は、トルナトーレ氏とシチリアについても及んだが、「バーリア」(邦題:シチリア!シチリア)を最後にして、シチリアに関しては「完結」したと思っている、とのこと。
再びシチリアを舞台にする作品がないとは言えないようだが、その場合は違った形で取り上げることになるようだ。



さて、個人的にとても良く練り上げた作品だと思う。
非常に深い純愛。

ただ、個人的に不満だったのは、ほらまた、60代にもなったおじさんが惚れるのは若い女性!
どーせ、女性は若くないと!って言いたいんっでしょ、と言いたい。。。。
親子より年の離れた女性に鼻の下伸ばして~ クソ親父~!
セリフの一つに「ボクの犯した間違いは、君ともっと早く会わなかったことだ」というのがあるが、私は心の中で爆笑だった。
親子も年が離れて、それはないでしょ。足長おじさんの世界?ペドフィリアになるわよ~

それから、月に1回強の逢瀬として、6年、合計100回会ったとしても、二人が一緒にいた日にちの合計は1年にも満たないかも。
それで、ここまで人を愛せるものか?
もうこれは、人をここまで深く愛している自分を愛している領域に入るような気が。。。。。究極の自己愛~

まあまあ、個人的感情が入ったが、それは置いておいて、もちろん、ここまで深く人を愛せたら羨ましい。
愛してもらえたら、さらに羨ましい。



インタヴューの最後になって、トルナトーレ氏の携帯が鳴った。
会話を終えた後、これはプログラムされた電話じゃないからね、と。
45分ほどに渡る、いつもよりかなり長いインタヴューは笑い声の中、終了。

日本での公開をお楽しみに。



『バーリア」がこんなタイトルになっちゃうんだぁ、と感心。。。

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