在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

Dolcetto Roagna, Sagrantino ecc. 6 vini ロアーニャ、サグランティーノ、ノヴァチェッラ など6種

2016-05-08 21:01:23 | Piemonte ピエモンテ
Praepositus Riesling 2012 Abbazia di Novacella
Les Vieux Clos 2006 Nicolas Joly
The Owl Post 2010 Neethlingshpf
Montefalco Sagrantino 2010 Antonelli
Sagrantino di Montefalco 2000 Antonelli
Dolcetto d’Alba 2014 Roagna



少し前に、友人のアンドレアが持ち寄りワイン、ブラインドの試飲会を開いた。
場所がローマの全く反対側で、何故か用事も重なり中々行けないのだが、今回は予定を何とかして行ってみた。
「飲まない伴侶」も含めて(その後の夕食のみ参加)8人、6本が揃った。

別の友人ルカもたまにこう言った主旨の試飲会を開くのだが、その時はある程度テーマを決める(赤、とか、単一品種、とか)。
が、アンドレアは、なんでもOK、という条件で開いた。

当然イタリアワイン、というメンバーでないこともある。

偶然は本当に面白いというか、偶然は、うまく働くときが多く、驚き。
ルカの試飲会のワインの順番はサイコロを振って決めるのだが、何故かいつも「上手い順番」に決まることが多くみんなでびっくりなのだが、今回のアンドレアの試飲会も、なんとなく決まった順番が実に上手い具合に決まっていた。

赤でも白でもという条件で集まった6本、赤が4本に白が2本。
グラスは3つ。

そこで、とにかく白2本と、偶然決まった3番目のワイン(赤の1番目)から始める。
その後、残りの赤3本。

蓋を開けると、イタリア4本、フランス1本、そして南アフリカ1本、という顔ぶれだった。

そして、偶然というのは、なんと、うち赤の2本が同じワインのヴィンテージ違いだったのである。
それも、4番目と5番目、実に上手い具合に配置され、誰も知らなかったのであるが、偶然、10年違いの縦飲みをしていたのであった。

Praepositus Riesling 2012 Abbazia di Novacella
一瞬、リースリング、と思うのだが、次にまさかね~と思ってしまう。
白と黄色の花、柑橘、(リースリングらしい)火打ち石、ミネラル、グリーンが入り、かなりエレガントできれい。香りが非常によく、華やかな香りがリースリングらしさをかなり消してしまっている。ボディがあり、綺麗な酸味、塩味がかなりある。これでリースリング?
最近、ドイツ系のリースリングしかほとんど飲んでいないので忘れていたが、そういえば、イタリアにはこういうリースリングがあった、と改めて認識させてくれた。++++

Les Vieux Clos 2006 Nicolas Joly
オレンジ系の色。色だけ見たらかなり古いワインなのかもと思ったが、それにしては輝きがある。となると、自然派というよりビオディナミ?
と思ったら、ニコラ・ジョリーのワインだった。
わずか酸化臭を感じる。鉄の香り、氷のような香り、そして、梅、いや、あんず。酸味がかなりある。最後あともう少しという感じできえる感があるが、ビターオレンジ、梅風の香りが余韻に残る。

The Owl Post 2010 Neethlingshpf
かなり難しい香り、というか、今までほとんどであったことのないような香りだと思った。ブレンドかと思ったら単一品種という。蓋を開けたらピノタージュ。。。
南アフリカのワインとは嬉しいが、これでは勉強にはならない。。。。まあ、ブラインドで勉強しようというより、美味しいワンを飲もうという趣旨の会なので、これもありだが。
オレンジ、鉄、血の香り、土の香り、香りは強く、複雑でもある。ボディもあり、酸味が赤にしては感じられ、そしてほろ苦さも余韻にある。イタリアのワインとはかなりの違いを感じた。+++

Montefalco Sagrantino 2010 Antonelli
アルコールがやや上がる感じがある。胡椒などのスパイス、フルーツはアルコール漬け。しばらくするとチョコが出てくる。
タンニンはやや丸くなっている感じ、余韻はまずまずの長さでほろ苦さが心地よい感じ。+++

Sagrantino di Montefalco 2000 Antonelli
濃いめのガーネットで、だいぶたっているのがわかる。熟成臭が出ているが、若干下り坂に入っているのがわかる。黒い森の木の実のフルーツ、血の香りがやや。タンニンがかなりまろやかで余韻には熟成臭、そしてほろ苦さが残る。++(+)

10年の違いでラベルの名前も違う(笑)
それにしても、本当に偶然。それもちょうど上手い具合の順番になるとは。

Dolcetto d’Alba 2014 Roagna
私が持参したのはドルチェット。ちょうど開けたいと思っていたところでもあったのと、公平な意見を聞きたいワインでもあったので、これ。
完全に自然派で、言われないとドルチェットとは全くわからない。色にはドルチェットらしくない透明感があり、まるでバルベーラのような酸味、ドルチェットのほろ苦さがない。
香りは、チェリー、ややアニマル臭などで結構強く、酸味がかなり感じられ、余韻は長いが最後まで酸味が残る感じ。+++(+)


ノヴァチェッラのワインは華やかで美味しい

プレポージトゥス リースリング アバツィア ディ ノヴァチェッラ 2012 白 750ml
アバツィア ディ ノヴァチェッラ(TUSCANY)
アバツィア ディ ノヴァチェッラ



ロアーニャのこちらはバルバレスコ。超オススメ

ロアーニャ・アジエンダ・アグリコーラ・イ・パリエーリ / バルバレスコ・パイエ [2010]
ロアーニャ・アジエンダ・アグリコーラ・イ・パリエーリ
ロアーニャ・アジエンダ・アグリコーラ・イ・パリエーリ

La migliore offerta di Giuseppe Tornatore イタリア映画 邦題:鑑定士と顔のない依頼人

2016-05-08 17:29:42 | 何故か突然イタリア映画
La migliore offerta 鑑定士と顔のない依頼人
監督 ジュゼッペ・トルナトーレ

トルナトーレの前作。
傑作ではない、むしろ駄作かも。しかし、面白い。
一度はおすすめ。そして、一度見たら2度見たくなる。



「ニュー・シネマ・パラダイス」で超有名になった映画監督、ジュゼッペ・トルナトーレの前作。2013年。

賛否両論。
評価する人と駄作だという人と。

画面はきれいだし、演技はうまいし(役柄的にうますぎ)ストーリーも面白いのだが、結果的には私も後者かと思う。

しかし、とにかくもう一度見たくなる作品。

日本では、2回目1000円、という映画館があったよう。
ユニークな企画だと思うが、確かに2度見たくなる。

途中で何かおかしい、と違和感を覚え始め、え?また、え?ええ?そして、最後はええ?えええええ~?????

ネタバレを読んで、騙されないぞぉ、1回で理解してやる、と力んで望んでも、やっぱりかなりの確率で、あれ?え?あ!そして、ええ~??くらいにはなるだろう。(そして、やっぱり、もう一度見る。。。)

60代の優秀有能鑑定士ヴァージルは、オークション業で超がつく金持ち。性格は短気、超潔癖、女性嫌いで一度も付き合ったことがない。(つまり童貞。。。)
才能普通の元画家ビルは、ヴァージルの長年の友人だが、ヴァージルに才能を認めてもらえない。

二人は結託し、ヴァージル司会のオークションでビルが「女性」の肖像画を安く落札、裏でヴァージルが引き取り、自宅の秘密の部屋にコレクションしている。(100枚以上ありそう。有名な女性の肖像画がたくさん~)
毎晩、秘密の部屋で悦に入り、偽物の女性に囲まれて満足しているヴァージル。

ある日、クレアと名乗る女性から、亡くなった両親の大きな屋敷にある、高級、骨董的価値のある調度品を全部売りたい、との電話が来る。
約束に行くと、クレアは現れず、待ちぼうけ。

何度目かに、実はクレアが屋敷の中に住んでいて、極度な広所恐怖症、15歳から12年間、屋敷の外に全く出ず暮らしているということがわかる。

ある日、クレアの姿を盗み見し、若く美しく、そして、ミステリアスな部分に惚れ、メロメロになっていく。

ところで、屋敷に行くたびに、何かの部品の歯車が落ちている。
拾って、友人の機械、時計技師、ロベルトに見せると、18世紀の機械人形の一部らしいということがわかり、組み立てていくロベルト。
彼女もいる一見フツウの好青年で、ヴァージルの恋愛相談係りになる。

ヴァージルが強姦に襲われるという不運が一転して幸運に。クレアは外の世界に 出、二人は一緒に住み始め、結婚を約束する。

世界中を駆け回るオークション業を止め、ずっとクレアと暮らすことを決めたヴァージルの最後のオークション、ロンドンから帰ってみると。。。。

  秘密の部屋の肖像画が全て盗まれていた。



クレアは消え、ロベルトの店も消え、GPSでヴァージルの位置が確認されていたし、屋敷も施錠され入れない。
全てが、友人だと思っていたビルの仕業だとわかる。
そして、屋敷の向かいのカフェの窓際にいつも座っている謎の小人症の女性クレア(同じ名前)によると、クレアは広所恐怖症などではないし、彼女の屋敷でもないという事実がわかる。

つまり、全員に騙されていたということがわかり、ヴァージルは気が狂う。

2度目は、ばれたネタを振り返り、ふむふむ、と見て行くのと、反対に、つじつまの合わない部分(粗探しではない)を探していくことの同時作業。

とにかくおかしいところが多い。
辻褄が合わないことだらけで、ある意味ストーリー全てがおかしい。
列挙したらきりがないくらい。

そして、みんなの演技がうますぎ。つまり、実は広所恐怖症などではないクレアの迫真の演技(役柄の中の)、同じくロベルトも、屋敷の管理人も。
つまり、「どこまで」がビルのグルなのか、それは、ロベルトの彼女も含むのか、ヴァージルの秘書までも含むのか。。。。
そして、気が狂ったあとの映像。どこまでが本当の出来事で、どこからが想像の世界なのか。

正解はないと思う。

つまり、実は全く何も考えずにふんふん、ふむふむ、ふーん、へーで終わらすのが一番正解かもしれない。

キーワードは「偽物の中にも真作はある」。
全体がそんな感じ。
とにかく、一度、そして一度観れば2度観ることになるだろうが、おすすめ。


それにしても、日本語のこのタイトル。。。。。。。。。。。
誰が一体つけるのか。イタリア名は、英語と同じ、「ザ・ベスト・オファー」。
オークションのオファーのこと。
シンプルに、こっちのタイトルの方がいいような気もするのだが。。。。


とにかく2度は見たくなるので、DVDが正解。

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