イタリア映画の紹介 Il racconto dei racconti 童話の中の童話
ナポリのヤクザ、カモッラを描いた「ゴモッラ」で一躍有名になった監督、マテオ・ガッローネ。びっくりするほど感じがいい。
こちらの1年は秋に始まって夏前に終わるので(夏はバカンスなので除外。笑)今年のさる賞のノミネート作品もいよいよ大詰め。
カンヌ映画祭にかけて大型作品が出ているため、大詰めになって、イタリアを代表する監督の作品が3本続くことになった。
前回の「私の母」の監督ナン二・モレッティは、年齢もかなり上の大御所監督であるからか、決して感じが良いとは言えなかったが(映画界をよく知っている友人曰く、彼は感じが悪い)ガッローネも似たようなものかと思ったら全然違った。
まだ若いこともあるかもしれないが、なかなか饒舌で、作品に関することだからかなり貴重。
原作は16世紀のナポリの作家、バジーレの書いた童話で、50ほどあるなか、3つを選んでいる。
女性のストーリーの焦点を当てたと言うが、なるほど、素敵な夫を持ちたいと思ううら若いお姫様、子供がなかなかできない女王、若返りたい老女、の3つを選んでいる。
当時の童話は、めでたしめでたしで終わるかわいいものではないので、結構シビアな内容であるが、その3つを、実にうまく掛け合わせている。
つまり、3つの独立した話を、3つの短編とするのではなく、要点要点をつなげて一つにうまくまとめる手法を取っている。
それぞれのストーリーに王様が出てくるが、最初の話、子供のできない女王が魔法で子供を授かったのはいいが、その際、王様が死んでしまう。その葬儀に、あと二人の王様も参加している、という感じでつなげている。
この、3つの領地の3人の王様(一人は女王)が一堂に会して、という場面がいくつかあるため、全体が一つに実にうまくまとまっている。見事である。
撮影はシチリア、プーリアの有名な城、モンテ城、トスカーナ、ラツィオで行われたというが、かなり綺麗。そして、それぞれの衣装も、特に女王の着ているドレスが絵に描いたように、非常に美しい。
ガッローネはもともとは画家だったそうで、ゴヤの世界、そして、カラヴァッジョ、ベラスケスなどを意識したということだが、なるほど納得である。
つまり、映画の景色、衣装を見るだけでも目の保養になる。
細かいストーリーは置いておくが、子供がどうしても欲しい母、子供を手元に置き、コントロールしたい母の恐ろしさ。最初は若返りたいと思ったわけではないにしても、ひょんなきっかけから、若返りたい、そして、妹が若返ったのを見て自分もなんとか若返りたいと思う老女の欲望。素敵な夫を持つことが可能であるはずの、うら若いお姫様の夫に選ばれたのは恐ろしい怪物のような男。最後はその怪物の首を切って殺してしまう。
ストーリーの合間合間に、魔法使いやら、怪獣やら、巨大なノミやらが出現して笑わせてくれる場面もあり、2時間以上にもなるのだが、飽きない。
目の保養になることも含めて、オススメの映画の一つである。
同じようなスタイルの映画を作るのではなく、がらっと違うものを、と思ったそうだが、まさか、ファンタジー作を作るとは。次は一体どんな映画を、ではなく、どんな世界を見せてくれるのか、次回作も楽しみになってきた。
ナポリのヤクザ、カモッラを描いた「ゴモッラ」で一躍有名になった監督、マテオ・ガッローネ。びっくりするほど感じがいい。
こちらの1年は秋に始まって夏前に終わるので(夏はバカンスなので除外。笑)今年のさる賞のノミネート作品もいよいよ大詰め。
カンヌ映画祭にかけて大型作品が出ているため、大詰めになって、イタリアを代表する監督の作品が3本続くことになった。
前回の「私の母」の監督ナン二・モレッティは、年齢もかなり上の大御所監督であるからか、決して感じが良いとは言えなかったが(映画界をよく知っている友人曰く、彼は感じが悪い)ガッローネも似たようなものかと思ったら全然違った。
まだ若いこともあるかもしれないが、なかなか饒舌で、作品に関することだからかなり貴重。
原作は16世紀のナポリの作家、バジーレの書いた童話で、50ほどあるなか、3つを選んでいる。
女性のストーリーの焦点を当てたと言うが、なるほど、素敵な夫を持ちたいと思ううら若いお姫様、子供がなかなかできない女王、若返りたい老女、の3つを選んでいる。
当時の童話は、めでたしめでたしで終わるかわいいものではないので、結構シビアな内容であるが、その3つを、実にうまく掛け合わせている。
つまり、3つの独立した話を、3つの短編とするのではなく、要点要点をつなげて一つにうまくまとめる手法を取っている。
それぞれのストーリーに王様が出てくるが、最初の話、子供のできない女王が魔法で子供を授かったのはいいが、その際、王様が死んでしまう。その葬儀に、あと二人の王様も参加している、という感じでつなげている。
この、3つの領地の3人の王様(一人は女王)が一堂に会して、という場面がいくつかあるため、全体が一つに実にうまくまとまっている。見事である。
撮影はシチリア、プーリアの有名な城、モンテ城、トスカーナ、ラツィオで行われたというが、かなり綺麗。そして、それぞれの衣装も、特に女王の着ているドレスが絵に描いたように、非常に美しい。
ガッローネはもともとは画家だったそうで、ゴヤの世界、そして、カラヴァッジョ、ベラスケスなどを意識したということだが、なるほど納得である。
つまり、映画の景色、衣装を見るだけでも目の保養になる。
細かいストーリーは置いておくが、子供がどうしても欲しい母、子供を手元に置き、コントロールしたい母の恐ろしさ。最初は若返りたいと思ったわけではないにしても、ひょんなきっかけから、若返りたい、そして、妹が若返ったのを見て自分もなんとか若返りたいと思う老女の欲望。素敵な夫を持つことが可能であるはずの、うら若いお姫様の夫に選ばれたのは恐ろしい怪物のような男。最後はその怪物の首を切って殺してしまう。
ストーリーの合間合間に、魔法使いやら、怪獣やら、巨大なノミやらが出現して笑わせてくれる場面もあり、2時間以上にもなるのだが、飽きない。
目の保養になることも含めて、オススメの映画の一つである。
同じようなスタイルの映画を作るのではなく、がらっと違うものを、と思ったそうだが、まさか、ファンタジー作を作るとは。次は一体どんな映画を、ではなく、どんな世界を見せてくれるのか、次回作も楽しみになってきた。