在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

5 Trebbiano d'Abruzzo; Madonna, Pepe, Masciarelli ecc.トレッビアーノ5種

2016-02-21 19:00:08 | Lazio, Abruzzo, Molise ラツィオ他
Trebbiano d’Abruzzo Biologico 2014 Cantina Tollo カンティーナ・トッロ
Trebbiano d’Abruzzo 2014 Cataldi Madonna カタルディ・マドンナ
Trebbiano d’Abruzzo 2013 Emidio Pepe エミディオ・ペペ
Trebbiano d’Abruzzo Marina Cvetic 2013 Masciarelli マッシャレッリ
Trebbiano d’Abruzzo Altare 2013 Marramiero マラミエッロ



イタリアでは風邪が流行っている。ずっと昔、冬はマイナス10度以上になる国に駐在していた友人がいて、風邪ひくでしょ~と聞いたら、風邪菌が生きてられないからひかないと言っていたが、イタリアの中途半端に暖かい冬は風邪菌にとってきっと最高に居心地が良いのではないかと思う。
さて、それほどひどくはないので、無理をしてはいけないと思いつつ、家から車で5分かからないところにあるアウグスト氏のエノテカ、Di Biagioの試飲会に顔を出してきた。
しかし、風邪のせいで、ボトルの写真を撮るのをすっからかんに忘れてしまい、家に帰ってから気がついた始末。

さて、今回のテーマはトレッビアーノ・ダブルッツォ。
アブルッツォ州はローマのあるラツィオ州のすぐ東側の隣、ワイン界では若干地味な立場にあるのではないかと思う。
つまり、キャンティやブルネッロのある華やかなトスかーナ、バローロ、バルバレスコの風格を持つピエモンテ、アマローネのあるベネト、白ワインでは最も品質が良いフリウリ、幸い観光客も多く、よく知られているカンパーニア、人気のシチリアなど結構特徴を持った州が多い中、アブルッツォの影は若干薄い。

赤はモンテプルチャーノ・ダブルッツォ、白はトレッビアーノ・ダブルッツォ、そしてロゼのチェラスオーロはかなり赤に近いしっかりした物が多くおすすめなのだが、他の州の華やかさ、ラインアップには負けてしまうような気がする。
(ところで、モンテプルチャーノはここでは品種の名前で、トスカーナのモンテプルチャーノのワインと決して混同しないように。後者は町の名前から来ていて、主要品種はサンジョベーゼ)
その分値段も比較的安く嬉しいのであるが、個人的に、白ならお隣のマルケ州のヴェルディッキオが好きでよく飲んだり、赤なら若干土臭さのあるモンテプルチャーノよりキャンティ・クラシコを選んでしまうことが多いので、結構スルーしてしまうワインである。(ごめんなさい~)
それでも、アブルッツォというと、いくつか超がつくくらいのワイナリーがある。

まず一つがヴァレンティーニValentini。(ややこしいことに、ラ・ヴァレンティーナLa Valentinaというワイナリーもアブルッツィオにあるので、決して混同しないように)
赤のモンテプルチャーノも有名であるが、意外と白の方を高く評価する人も多い。私もその一人である。

今回の試飲でも出たペペ。完全ビオで、意図的に変えていなければ、未だに足踏み、ラベルも手張りのはず。こちらは白もいいが、赤のほうが良いと思う。ヴァレンティーニ並みというと反論はあるだろうが、これまた長くもつワインで、古いワインを直接ワイナリーから買えるのだが、どんどん値段は上げている。つまりリリースされた直後なら25-30ユーロで買えるものが、20年程度経ったものだと200ユーロになったりもしている。ある意味保管料のつもりだろう。
だから、リリースされた直後に買って、自分で(ただし丁寧に)保管しておくというのが一番安上がり。

そして、マッシャレッリ。今回のワインの1本でもある。マッシャレッリ氏が亡くなってもう随分経つが、東欧出身の奥様が頑張っている。一時はどうなるかと思ったが、品質を落とすことなく続けている。

さて、今回の5本。
Biologico 2014 Cantina Tollo
全く知らないワイナリーで、ラベルも見たことがないような気がするのだが、ビオロジコという名前が実に大胆。それでは若干臭みがあるのかと思うと、むしろ逆でちょっとびっくり。ステンレスということになっているが、モダンな雰囲気を漂わせ、ほのかに木の香り??標高が低いからか??うーん。ビオは別にして、香りもある程度あり、味もよくあるように消えてしまうこともない。不思議なワイナリーだと思っていたところ、同意見のアウグスト氏が店頭に置いてあるガンベロ・ロッソを手に取ってみる。小さなワイナリーかと思ったら、実は巨大なワイナリーで4000haの畑を所有。。。。(400ではない)そして、値段がびっくりするくらい安く、5ユーロ台。今時、これだけ安い値段でこの品質はなかなかお目にかかれないような気がする。+++

Cataldo Madonna 2014
カタルディ・マドンナは個人的に好きなワイナリー。赤は久しく飲んでいないが、白は時々飲む。ペコリーノ(品種)の「ジュリア」は、ペコリーノらしからぬ、まるでソーヴィ二オンを思わせるくらい透き通った緑のイメージ。トレッビアーノもシンプルながら洗練されていて、非常に飲みやすい。++++

Emidio Pepe 2013
完全ビオで、今では超有名ワイナリー。初めて飲んだのは15年くらい前だろうか。赤で、若いのと、その時すでに10年態度は経ったのを比較して飲んだのだが、結構衝撃的だったのを覚えている。その後は、ジェネレーションが変わり、試飲会にもよく参加するようになり、古いヴィンテージものも結構飲むが、いつも超熟ワインだと感心する。むしろ若くして飲むほうが美味しくないというか、もったいない。先のビオとは違って、ちゃんとビオらしい香りと味を備えている。++++

Masciarelli 2013
昔は木の樽の香りが強かった気がするが(ワイン界全体の傾向でもあった)今はそれも落ち着き、エレガントさと強さ、華やかさと落ち着きをバランスよく持っていると思う。香りは複雑で甘さもあり、味は程よい酸味がエレガントさを増している。++++(+)

Maramierro 2013
一見良いのだが、どうしても無理やり作った感じと、マッシャレッリあたりを手本にしたいがそこまでたどり着いていない感じが出てしまう。香りは華やかで一瞬受けるが、奥に複雑なものがあるというわけではなく、味もエレガントさに欠けるところがあり、大勢でわっと開けるにはかなり受けるだろうが、じっくりゆっくり飲むタイプではないような。+++

なかなか面白いラインアップで、試飲会としては面白かった。
しかし、先週のネッビオーロはさすがにかなりのにぎわいであったのだが、今週の人の入りはまずまず。おかげでコンディションが悪い中ゆっくり試飲できたので良かったのではあるが。行けなければ仕方がないが、ネッビオーロは行く、トレッビアーノは行かないという決定をするとなれば、かなりもったいない。

1時間程度の試飲後、エノテカから自宅のベッドに直行。
今日のブルネッロのアンテプリマは断念。。。。残念。




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