在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

イタリア映画の紹介 Dove non ho mai abitato di Paolo Franchi 住んだ事のない場所

2017-12-07 22:27:14 | 何故か突然イタリア映画
Dove non ho mai abitato 住んだ事のない場所
監督 パオロ・フランキ



純愛。
それも大人の純愛。

50代の大人の恋愛もの。。。。今時、なんだか、珍しい。

昔の映画であったよねーこんな感じの恋愛って。

クラシックな恋愛ものを描きたかった、というのが監督の意図。
まさに、クラシック。クラシックな恋愛。




トリノに有名建築家、マンフレディが住んでいる。
彼の右腕はマッシモ。マンフレディの建築事務所の後継者でもある。
彼も有能な建築家で、硬派、かなり真面目なタイプ。

マンフレディの実の娘、フランチェスカはパリに住んでいる。
非常に有能な建築家で、父親が彼女の才能を評価している。
お金持ちの有能な男性と結婚して、一人娘もいるのだが、父との確執で、建築をすっぱりやめ、イタリアを逃げ出した。
彼女が建築を止めたのは、別に夫の責任ではないのだが、マンフレディは彼女の夫がお気に召さない。

父の誕生日にパリから飛んできたフランチェスカ。
父親の怪我(骨折)と、無理やり任されたトリノ郊外の見事な一軒家の改築で、しばらくトリノに留まることになる。

改築の指揮を執っているのはマッシモ。

一緒に仕事をしていくうちに、そして、マンフレディの突然の死も含め、マッシモとフランチェスカの間に恋愛感情が生まれていく。

マッシモは彼女がいる身、フランチェスカは夫がいる身。

でも、最後は、泣く泣く別れ、二人とも元の鞘に納まる。

ここで、彼女を捨て、夫を捨て。。。にならないところが、なんだかじれったい気もする。

綺麗すぎる。別れが綺麗すぎる。。。

でも、こういうクラシックな恋愛、昔、見ていて胸キュン、ときめいたものだ、と懐かしかったり。

しかし、今の若者たちが見たら、50過ぎたいい大人が二人なにやってんの〜??と思わないかなーと思ったり。

マンフレディの家も豪華だが、パリのフランチェスカの家も豪華、そして、改築する家も、超金持ち新婚夫婦が住むのだが、湖が目の前、ガラス張りでプール付き、超豪華。
すごーい。

それから、小物がいい。

フランチェスカのコート、バッグ、ボストン、品のいい色合いのカシミアのセーター、そして、彼女のサングラス。

200以上のサングラスの中から選び、また、女優が、ちょうだ〜い、と頂いていったというものだそうだが、見事な個性を描いている。

建築家は、人の家を造るのが仕事。自分の家ではない。
だから、住んだことのない場所。
それと、二人の心の住処がない、違う、あるいは、無理がある、という感じをかけている。

タイトルとしては単純に思えるが、面白い。
実は家だけではなく、実体のない心の意味も含めている。

50代の純愛。
そんなの見たくないーという若者には勧めないが、昔懐かし、最後に涙ほろっ、という感じの映画もいいねーという方にはオススメ。


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