(写真は京都の嵐山。提灯の付け替え。)
キャロルの初恋
満足度 ★★★★★
感動度 ★★★★★+おまけ★
影像美 ★★★★★
話の展開 ★★★★★
2002年 スペイン
原作 『夜の初めに』
アンヘル・ガルシア・ロルダン
脚本 アンヘル・ガルシア・ロルダン
イマノル・ウリベ
監督 イマノル・ウリベ
美術 アラン・バイネ
キャスト
クララ・ラゴ(キャロル)
ビックリするほどに可愛らしさを持つ中性美の女の子。
大きく愛くるしい真っ黒な眸が印象的。『禁じられた遊び』の男の子のようなまなざし。
キャラクター的には時には『長靴したのピッピ』、そして時には『秘密の花園』の主人公。
フアン・ホセ・バジェスタ(トミーチェ)
まつげが長く、非常に演技力のある少年。
アルバロ・デ・ルナ(アマリオ)
マリア・バランコ(アウロラ)
ロサ・マリア・サルダ(マルハ)
カルメロ・ゴメス(アドリアン) 他
題名から考えて、あまり期待せずにたまたま見た作品だったのですが、この映画は素晴らしい。『感動映画』に入れてしまいました。
1938年、スペイン内戦の真っ只中。
アメリカで生まれ育った11歳のキャロルは母親の故郷、スペインを訪れる。
母親が病気で急死や親戚問題。内戦中のスペイン或いは父親のフランコ率いる反乱軍との戦い。共和党や思想問題や宗教問題。父親の逃亡や捕虜、それに関連した初恋のトミーチェの死。苦悩や難題が11歳の身の上に次々と巻き起こる……
母の死を父親に知らせまいとして、家庭教師に代筆してもらい、お忍びで手紙を闇の男に頼む。
そんな中で父親はキャロルの誕生日に、プロペラ機から白旗を振りながらもパラシュートのついた手紙つきのプレゼントを上空より落とす。
キタ キタ キタ~~涙
スペインの現状を子供の目を通して見事に描きあげる秀作の一つ。
スペイン映画である「蝶の舌」同様に重厚で心に残る一作品。
あまりにも思い内容を、『キャロルの初恋 』 といった可愛らしさで上手く逃げ道を作り、万人に楽しめる作品に工夫しているところが心憎い。
上記の父親の逃亡や捕虜、それに関連した初恋相手のトミーチェの死により、キャロルはスペインを離れアメリカにひとり旅立つ。
キャロルに好意的だった祖父やいとこや家庭教師は別れの挨拶を交わし、トミーチェの母からことづかったという鳥を取るためのパチンコを手渡してもらう。
キタ キタ キタ~~涙
トミーチェと仲のよかった二人は自転車で追いかけてきてくれる。
キタ キタ キタ~~涙
二人は自転車で車を追いかけて手を振る……
すると二人の真ん中から自転車に乗った笑顔のトミーチェ……
キタ キタ キタ~~涙
彼女の中では彼との思い出が今もしっかりと根づいていた。
緑中心の色感は秀でており、作品全体が重厚。
スペインの石畳と建物の内外は女品にこなれた色彩と構成。
↓上記の『蝶の舌』の感想
http://blog.goo.ne.jp/usuaomidori/e/83f8797acaddbf53793405913a362866