ボリス・ゴドゥノフ
感動度 ★★★★★
満足度 ★★★★★+おまけ★
衣装 ★★★★★+おまけ★★
音楽 ★★★★★
色彩 ★★★★★+おまけ★
構図 ★★★★★
立体的遠近感★★★★★+おまけ★
装飾品 ★★★★★+おまけ★
1954年 旧ソ連 モスフィルム製作
作曲 モデスト・ムソルグスキー
原作 アレクサンドル・プーシキン
ニコライ・カラムジーン
脚本 N.ゴロヴァーノフ
V.ストロエヴァヤ
監督 M.アンジャパリーゼ
演出・監督 ヴェラ・ストロエヴァヤ
衣装 L.ナウーモフ
美術 P.キセリョーフ
E.セルガーノフ
装飾 S.ヴァロンコフ
キャスト
ボリス・ゴドゥノフ
N.ハナーエフ グリゴーリイ G.ネ-レプ
I.コズローフスキイ
A.クリフチェニャ
V.シェフツォーフ
A.トゥールチナ マリーナ・ムニシェク
L.アヴデーエヴァ
N.クリャーギナ 皇太子フェオードル 他
音楽、衣装、色彩、構図、立体的遠近感、装飾品などどれをとっても素晴らしい作品。
衣装、色彩、構図、立体的遠近感、装飾品にいたっては上質な写実主義の絵画のコマ送りのようで、観ていてたいへん落ち着く。
室内の光の加減もあるときは 空気で揺らめく暖炉のようなオレンジ、また部分的には寒色(特にブルー系)をかけてあったり細部にわたって細やかな配慮が心憎い。
無地の壁の場合は透明色を掛け合わせ、深さを出している。この場合ブルーが基本であった。
また一見イランのモスクの中を思わせる変形的で四角をかたどっていない特徴ある室内の壁面一体には、泥絵の具でフレスコ画のように描かれた絵は不透明色。
この透明色と不透明色の使い分けが見事。
また先ほど書いたフレスコ画のようのような壁面は植物中心で、イスラム文化と共通するとすれば、この植物は子孫或いは家、名誉等の繁栄を願って描かれたのであろう。
ただ遠くからながめていると一見『唐草文様』に見える模様も実はもう少し複雑で、ロシアだけに文様的に考えて、シルクロードの特徴からはかけ離れている。
また建物室内の構造的特徴は似てはいるものの、イランのようなイスラム圏とは違い、複数のキリスト絵画や窓には青系のステンドグラスがはめられていることが特徴といえる。
毎回諸外国の映画を観て思うのですが、日本に比べてロシアを問わず 彼らの生活に根づいた宗教観には脱帽する。
ムソルグスキーの曲やオペラ歌手たちの力強い声も見事で、心にずしんと入り込んでくる心地よさだ。
またそれに見合ったプーシキンの文体(字幕ですが・・・)や詩的表現は鮫肌が立つ程に素敵であり 面白い展開でとりこになってしまう。
ロシアのオペラ映画は初心者ですが、社会的問題や歴史を表現しつつ、貴族や民衆といった立場に違いを心情的に上手くとらえているものに何本か当たったことは光栄である。
封建社会から近代国家へ移り変わる中、貴族も民衆も各自が自分なりの葛藤しているとことが興味深い。
基本的にはボリショイ劇場使用だが、赤の広場やクレムリンといったロシアの名所に場所は移り、映画ならではの演出に目を奪われる。
ボリス・ゴドゥノフの心地用太い声は安定していて、心地が良い。
そして民衆(群集)の力強い数多くの方々の歌手の訴えるような精神的湿度の高い声、声そして声は、プーシキンの心憎い詩的歌(台詞)と同様、今も私の心に響いている・・・・・・
ムソルグスキー/プーシキンの『オネーギン』感想です ↓
http://blog.goo.ne.jp/usuaomidori/e/74cb16d9eed04afc51abad0f31c5c3ad
プーシキン美術館展感想です ↓
http://blog.goo.ne.jp/usuaomidori/e/2f1c84fc5bcec4ae46548290c6eccac9