2010年度 116冊目
『ぼくらの言葉塾』
ねじめ正一 著
著者紹介
ねじめ正一(ねじめ・しょういち)1948年、東京生まれ。詩人、作家。1981年、詩集『ふ』でH氏賞を受賞。1989年、小説『高円寺純情商店街』で直木賞を受賞。東京・阿佐谷にて「ねじめ民芸店」を営む。『ねじめ正一詩集』(思潮社)、『あーちゃん』(理論社)、『ひとりぼっち爆弾』(思潮社)、『言葉の力を贈りたい』(NHK出版)、『荒地の恋』(文藝春秋、中央公論文芸賞受賞)、『商人』(集英社)、『我、食に本気なり』(小学館)、『落合博満 変人の研究』(新潮社)など、多数の著書がある。
岩波書店
岩波新書 新赤版1215
2009/10/20
212ページ 本体 735円
『ぼくらの言葉塾』を読む。
谷川俊太郎か・・・、懐かしいな。
子どものよく読んだな。
昔友人に長男が生まれ、数年経った時のこと。
わたしに、
「絵本は何を読ませればいい?」
と尋ねてきたよ。
わたしはセンダックの『7ひきのいたずらかいじゅう』と『かいじゅうたちにいるところ』と『おふろばをそらいろにぬりたいな』と『そんなときなんていう』をすすめたよ。
友人は少し困った顔をして、怪獣は子どもには向かないって言うんだ。
次に木村泰子の『たべちゃうぞ』や『まよなかのだいどころ』や『今日はなんだかついてない』を紹介したよ。
すると、猫がとっとことっこと歩くのはおかしいから、子どもには不向きだって言い切るんだ。
『もこ もこもこ』や美しい色彩のブライアン・ワイルド・スミスの絵本等を見せたが、一向にらちがあかない。
仕方がないのでくまくんシリーズ(『せきたんやのくまくん』など)やノンタンシリーズやマザーグースなど胸を張って紹介できて尚且つ万人受けするものを教えたよ。
結局はノンタンシリーズで落ち着き、一件落着。ノンタンは数冊彼女のお子達にプレゼントしたよ。
友だちはその後本屋に行き、五味太郎なんかの絵本も購入したというんだ。
そういうと五味太郎って、借り物の『みんなうんち』くらいしか見せなかったな。
今日はそんなたわいないことを思い出しながら、『ぼくらの言葉塾』を読み終えたよ。
それにしても、今でもわたしは 『おふろばをそらいろにぬりたいな』
うん!人生もね、
そらいろにぬりたいな。
こりで おしまい。Ahaha haha~☆
■目次
1時間目
発見! 自分の言葉
2時間目
言葉の関節を外す
3時間目
こわして作る―カゲキな言葉
4時間目
声で遊ぶ―朗読
5時間目
詩の秘密
6時間目
子どもの秘密
あとがき
引用した本
初出一覧
ほとばしる詩人パワーを浴びる
現代詩というのは、なんだか近寄りがたい。孤高の言葉というか、自分にはたぶん理解できないものだ。この本の原稿を読むまでは、そんなふうに感じていました。でも、そうではないのですね。「理解しよう」と思う自分をどれだけ捨てるか。詩と対面するときは、そんな心持ちでいるといいのかな、と思うようになりました。
ねじめ先生はいつだってガチンコ勝負。ご自身の大好きな詩や詩人たちを相手に、まさに「詩のボクシング」さながら、格闘しています。先生からほとばしる詩人パワーを浴びるうちに、詩の言葉がグッと身近なものになってくるはずです。
(編集担当)
■読者のみなさんへ
この本は詩の言葉のアンソロジーではありません。私をワクワクさせてくれた詩の言葉ばかりが載っています。詩の言葉には発見があります。そうか! そうだったのだ! 言葉の発見に気がついたとき、さらに真摯に言葉に向き合う態度も生まれてきます。
世の中の言葉はコミニケーションです。伝達することです。人と人を結ぶ言葉です。だがしかし言葉のコミニケーションも大切ですが、意味のわからない、ヘンな言葉に出会って、このヘンな言葉って何だろうと時間を費やしてみることも、もう一方で大切なことだと確信しています。このヘンな言葉って何だろうとじっと眺めることが詩の言葉の醍醐味です。
言葉の連なりが変化することで、言葉の組み合わせによって、ヘンな言葉になったりして、頭が撹乱されても、ヘンな言葉をじっと眺めることによって見えてくるものがあります。それが言葉の面白さです。
(ねじめ正一)