カフカ『変身』を受講する
3月1日
カフカの『変身』について書かれた背景や動機についての講演を聴く。
文通相手であり恋人の誕生日にプレゼントとして書き始めた『変身』
そこには、自分と結婚すれば、こういった生活になるんだよという戒めが含まれているという。
また、『変身』は『田舎の婚礼準備』の焼き直しだという。
これは結婚を避けるために書かれた小説だという。
変身そのものについては、父親の変身も大きく意味をしめている。
確かに、はじめは無気力だった父親が、服を着、靴を履き、働きに出る。
父の存在が大きく描かれる。
カフカ自体が、父親を相当恐れていたという。
変身したグレーゴル(虫)が、父の立派な大きな靴に踏みつぶされはしまいかといった恐怖におののく。
カフカはいろいろな一面を持ち合わせていたが、引きこもりといった一面も持っていた。
【パジャマを着たまま、地下室の穴倉を次々と潜り抜けて食事を取りに行くのが、僕の唯一の散歩になるってわけさ。 机、ゆっくりとに戻り、ゆっくりとてわけさ。それから僕は自分の机に戻り、ゆっくりと慎重に食べ、すぐまた、執筆を始めるんだ、これなら良いものが書けそうだけどなぁ。】(フェリス宛て手紙より)
カフカは『変身』の表紙にグレーゴル(虫)の絵を禁止したという。
固定概念を植え付けるのを防ぐためであろう。
また、読者に自由に想像させたいという思いからであろう。
だが皮肉なことに、現在プラハのカフカ館では、『変身』のドローイングが掲げられている。
中学の頃夢中になったカフカ。
中学の頃、安部公房へと導いたカフカの講義は興味深かった。
多くの印象に残る事柄があったが、その内容を書き連ねると、長くなるのでこの辺にとどめたい。
少し残念だったのが、カフカはああいった結末にはしたくなかったという。
では一体どういった結末を見返させたかったのか、、、
そこには、掃除する年老いた女中の言葉が重要と思えるが、そこにおいての講義はなかっする。
年老いた掃除人の、家族に対する皮肉めいた正論(「心配ご無用。もう片付けといたからね。」(要約))につ研究者から詳しく聞きかったのだが、それがなかったことが、、私としては残念ではある。