『カフカ小説全集 4 変身 ほか』より「変身」 池内紀訳 白水社
『カフカ小説全集 4 変身 ほか』より「変身」
池内紀訳
白水社
2001年
「変身」93~155頁
2800円+税
中学で読んだ『変身』
最近映画で見て、講演を聴き、小説を読む。
映画はかなり小説に忠実。
講演で聞いたエピソードなどを頭に読んだ小説は、中学の頃の感じたものよりも、深く或いは浅くなっていた。
グレゴールが虫に変わる。
妹の変貌。
父の存在。父の変身。父への恐怖。
不可解なのは一見善良そうに見える生真面目そうな三人の下宿人。
あれを持ってくる意味合いが、若干乏しいと感じ津のは、私の読みが浅いせいか。
対して、重要な意味を持つ登場人物が、グレゴリーの部屋を掃除する突拍子もなく明るい年老いた掃除婦。
グレゴリーが亡くなり、掃除婦は残された家族三人に言い放つ。
残された三人の家族が出ていく前の 年老いた掃除人の、家族に対する皮肉めいた正論
「心配ご無用。もう片付けといたからね。」(要約)
の言葉は、強烈に私の心に入り込む。
三人は何事もなかったかのように、晴れ晴れとした表情で、家を後に引っ越していく。