「介護録」とユルユル日記

介護終了、ブログタイトルかえました。

【介護小説】カイゴのゴカイ3

2010-04-26 | ●介護録(~2015.2月)

この物語はフィクションです……written by Black・vigo

彼女はシングルでバリバリ働いている
すでに結婚した妹さんと、やはりシングルの弟さんがいる
ご両親は健在で、弟さんが実家で一緒に住んでいる

そんな彼女と久しぶりに会った。

「大変だよね、介護。私だったら絶対出来ないわ~~。親とはいえ、体が不自由だったり
認知症だったりしたら、とても介護なんて無理。すぐに施設に入ってもらって
私は私で、生きていくわ」

彼女は、なんだか楽しそうにそうに言った
「それが正しい生き方。あんたもそうすべきよ」
そんなふうに聞こえるのは私の被害妄想?

確かにキャリアを積んでいる彼女は簡単に仕事をやめられないだろう
弟さんもいるから、親を看るのは長男である弟の役目
…という気持ちもあるかもしれないし
結婚しているけども専業主婦の妹も協力するだろう
…とも思っているかもしれない
自分一人で抱え込まなくてよい環境だから
そんなに真剣に考えていないかもしれない

いや、とにかく、両親が健康で二人そろっている環境では
実際のところ、それほど真剣に考えていないのが普通だと思う

私のような立場の友人と会ったときは
介護状態になったらどうなるかな?…くらいは思うだろうけど
明日になれば、きっとそんな思いも消えるはずだ

私は言った
「介護は、確かに、自分には無理!って思うかもしれないけど
実際に親が介護の必要な身になったら
私には出来ない、さっさと施設に入れる…なんて
そんな簡単にわりきれないものだよ」
と。

でも、彼女は私の言葉なんて聞かない

「イヤ、私は介護無理だから。親だって施設に入るっていうよ」

心の中で思う
【私は一応、経験者。あんたは未経験者。少しは経験者の言葉を聞いて、
そうかな~~割り切れないものかな~~くらいいったらどうなんだい?】

体の一部が不自由になったって親は自宅での生活を望むかもしれない
認知症だって初期のまだまだ意志もしっかりしている
施設入居なんてそんなに簡単じゃない
それにやはり「情」だってある
「決断」はなかなか大変な作業だ

なにもワカッテナイ

私も、親が元気なときは
「将来親が年老いたらどうなるのかな?でも、二人とも老人ホームに入るって言ってるし
きっとそうなるんだろうな~~。今の時代、みんな核家族でホームに入るのも
別に世間体がどうのっていうこともないし……」
って思っていたっけ

みんなそんなもんだろう

親と子がそれぞれ健康に暮らしているのならなにも心配なく
それぞれの生活をしていればヨイわけで
ほどよい距離感で、親は親、子は子だと
そんなふうに考えているものだと思う

ところが
突然、介護が必要になると
それぞれが……なんて言っていられない現実がある
だって、介護認定受けますよ…ってところから子供の手は必要になるんだから

そういえば、私に施設入居を何度も勧めていた介護福祉士も
両親が二人とも健在で、介護経験のない人だったっけ

「親が元気なのもいいけど、口うるさいし、いろいろ面倒だよ~
あれをやってくれ、これを買ってこいって、年取ると自分じゃワカランとかなとんか言ってさ
そうやってこっちにいろいろ頼んでおきながら文句ばっかりで
こっちはもういい大人なのにね」

彼女はさもイヤそうに言った

でもそれはとても幸せなことだよ……という一言は口にしなかった

胸がちくりと痛む…
悲しいのか、うらやましいのか、腹が立っているのか、ワカラナイ
彼女はそんな私の心の内には気づかない

その後私は話題を変えた、普通の話に

そして、何もかも心の隅に追いやって
友達との普通の会話に花を咲かせた



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6 コメント

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人間力が問われる (はむらぶ)
2010-04-26 22:51:29
介護の事は、当事者になって
初めて目が開くのかもしれませんね。
両親が40代の頃は一人っ子の娘は
嫁に行くと想定し、老後は自分たちはホームに
入るから迷惑はかけないと言っていた
漠然と、両親は自分たちの老後をきちんと考えてるのだと私も思っていた

しかし、父が定年になり所謂のんびり老後の
元気な人生が続くと・・家が一番いいと
二人は自分たちで何とかやれると思っていた

私も、自分が40代の後半になると
いつか親を見ることになると心に決めていた
在宅で出来るだけ頑張るぞーって
でも、仕事を止める羽目になるとは考えて
いなかった。 正直これはきつかった
でも、仕事止めて実家に戻り11年
父は実質2ヶ月ほどの介護で逝き 
認知症を発症した母を介護して7年
介護保険認定3年が過ぎた

これから老老介護ですから・・認知も進むし
経済力もないし・・・きつい現実があるだけ
施設に入れて(と言ってもお金があれば入れるが通常は何年待ちですから)経済面だけだと
働く方が双方に良いとは思うけれども、
そんなに簡単に自分中心の人生設計だけで
決められるのか?
いのちの危険がない範囲で、親が望む最善を
自分の力との兼ね合いだけども
やって上げたいと思う気持ちがある内は、
在宅の道を探ると思う。 
これまでの親子関係とも関係しているかな? 
しかし、現実の日常はしんどくなると
自由になりたいっても思うこのごろです
返信する
よおくわかります (ケイ)
2010-04-28 01:15:16
初めて投稿します。
3月からビゴさんのブログを拝読しております。
共感することが多く、黙ったままでは失礼かと思い、コメントいたします。

私も一人暮らしになった母と同居して母の介護をするまで、
友人の介護話は他人ごとでした。
姉・弟がいるし、私だけが違う地域で暮らしていたから、
まさか自分が母の介護をすることになるなんて
露ほども思っていませんでしたから。

私は仕事人間で25年間零細企業のトップでしたが、
経営に行き詰まりクローズしたのをきっかけに、
当時84歳で認知症の初期だった母との同居を決意。
私の事業を経済的に助けてもらったこともあったし、
恩返しをしないと罰が当たる、と本気で考えて
「これからはお母さんと一緒に暮らす」と
姉・弟に宣言してしまったのです。

もちろん二人は喜んで「助かる」と言ってくれました。
二人とも1時間以内の場所に住んでいるから、
気楽に応援してもらえると思っていました。
「絶対に前向きにとらえて、楽しい介護生活を送るんだ!」と、
介護・認知症の実態を知らないまま介護生活に突入。

母の介護を始めて3月で丸4年になりましたが
同居と近所に暮らすこととの違いがこれほど大きいとは…
応援を頼むことはとてもしんどいことでした。
2人は都合が悪ければ、断れる立場なのです。
なんで姉弟に気を遣わなければならないのだろう、と
頼む度に気分が滅入りました。
弟は「アネキは気を遣いすぎる」と言いますが、
自分から母を預かると言ったことはありません。
顔を見に立ち寄ることもありません。
姉は若いころから母と折り合いが悪いので、
私のことは気にかけてはくれますが、
なるべくなら母の顔は見たくない、とはっきり言ってます。

先月姉と特養の見学に行きました。
私自身も身体の不調が続き、
このまま在宅介護ができるのか不安になったので。
2件見学して、預ける気持ちが萎えました。
2件とも悪い施設ではなかったし、スタッフの方々も感じ良かった。
でも私は母に申し訳なく思えてしまったのです。
母は私との生活を望んでいるのに、私にはまだ限界が来てないのに、って。

自分で選んだ介護の道をできれば全うしたいのですが…

ビゴさんやはむらぶさんのお気持ちが、痛いほどわかります。
返信する
はむらぶさんへ (ビゴ)
2010-04-28 01:45:12
親も元気な時は、年取ったらホームに…って、言うんですよね。
そしてそれを聞いてい子供のほうも、漠然と将来はそんな感じなのかな~~って。

ところが、実際は、いくらか歳をとっても、まだまだ夫婦二人で暮らせるよ…と思っているし、例えば具体的に、もしもの場合はこうするなとど書いたものがあるでもなく、手続きしているわけでもなく、倒れてしまったりするんでよね。

すると結局、子供の側が、介護をどうするか考えてたり、決断したりしなきゃならない。

逃げられないし、避けられない。

そしてやっぱり、環境やらなにやら許すのであれば、在宅を続けたいと思う気持ち。
簡単に「はい、施設」とは思えないものでしょう。

まだ大丈夫…と言っている間に限界に自分で気づけなくなる…と言われたこともあるのですが、私の場合は母の進行とともに、介護がしやすくなった部分もあり、デイの回数も増やせたことで、余裕が出来ている感覚もあります。
徘徊していた時が一番キツかったので、それを思うと今のほうがマシ。これなら自分の限界くらいは分かるだろう…なんて思うこの頃。

でも自分の生き方は……とか考えてしまうと、暗くなります。
返信する
ケイさんへ (ビゴ)
2010-04-28 02:04:00
コメ、ありがとうございます。

そうでしたか、そういう経緯なんですね。

一人っ子の私は、単純に、兄弟がいたらちよっとしたことを気楽に頼めるのに…と思うんですよね。
みんなの親なんだから、当然のこと…と。

でもいろいろな方の話を聞くと、どうしても誰か一人がメイン介護者となり、そのメインの人は、ほかの兄弟に気を遣ったり、イライラしたりするケースが多いようです。

介護者としては、メインに介護してない人のほうから積極的に「私が看るからその間息抜きしたら?」くらい言ってほしいわけですけど……。
メインでない人側は、ヘルプがほしいならはっきり言えばいいでしょ…くらい思うのでしょうか?
とはいえ、即答で「OK」してくれるなら頼みやすいけど、
「えー、○日?!うーーん」て言われたりしたら、次頼むのもイヤなってしまいますよね。

親子や兄弟で、なんだか殺伐としてイヤだけど、ホントは元気なうちに、介護はどうするか、誰がどう分担するか、その場合、お金の管理はどうするかって、全部決めておくのがいいんでしょうね。

在宅と施設、私は、とりあえず「迷ったら現状維持」と決めています。
悩んでも悩んでも決断出来ないで、周りから勧められて…とか、そんな形で決めてしまって、うまくいかなかったらすごく後悔しそうだし……。

何かタイミングがあると信じているんですけども……。
よし、これだ、決めた!と、何か全てがぴたっとはまるような時。
それは直感的に「この施設」と感じるとか、体力的にここが限界だとおもった時にスルスルとことが運ぶとか…

何の根拠もないですが、そう思っています。

施設入居を決めた方が、それまで迷っていたのに、何かのきっかけで案外スルッと話が進んだのも聞いたり見たりしました。

なので、いけるとこまで(それがどこまでかわかりませんが)「そのとき」が来るまでとりあえず現状維持、そんな感覚でやっていくのも「あり」と思っています。
返信する
同感です。 (hschi)
2010-04-28 10:21:49
皆さんのコメント読んでいて、同感することばかりです。
私は、まだめぐまれてるなぁと思いました。
仕事できてますから。わりと自由の利く仕事場なので助かってます。
兄弟も、自分の来れる日に月4回位夜4時間だけですが、来てくれますし。まぁ、来てほしい日は、気を使って頼めない事もさることながら、断りつづけられると、もう頼めませんねぇ。
私は、自分勝手なので、恵まれてても、母と向い合ったり、将来を考えるとやっぱり疲れます。皆さんにとっては我侭に見えるかなぁ・・。すいません。
家もディを増やせたこととそれで徘徊がなくなったことで、精神面で非常に楽になりました。
ちなみに私は介護未経験の友人とは、母の笑える話しかしません。一度、私が「慣れてきた」と言ったとき「良かったなぁ」と言われ、
何故か傷ついてしまったのです。
それから、話せなくなりました。自分でも何が
傷ついたのかよくわからないのですが・・。
返信する
hachiさんへ (ビゴ)
2010-04-29 11:32:12
出来ればやはり、メイン介護者の負担が軽減するような協力体制を家族や親戚で取れれば一番ですよね。

仕事も続けていて、兄弟の協力も得られているhachiさんは、その部分では介護しやすい環境なのかもれしませんね。

といっても介護はそれだけで「楽」っていえるほど甘くないですよね。

私も介護してない友人には、母のおもしろ話をすることが多いです。
まいった、困った系の話も、もう済んでしまったことを、笑いながら「まいったよ~~~」と話す感じかな。

あまり深いこと話してもやはりなかなか……
それに、聞かされる方も、何をどう言っていいか困ったり、悩んだりするみたいなので。

ちょこっと聞いてくれるだけでも楽になることもあるし……そう、私の場合、別に何かよい意見とかそんなのいらないから、聞いてくれるだけでいい。

「慣れた」と言って「良かった」と帰され傷ついた………
ということは、心の中で「ちっとも良くない」という気持ちがあるからかな…なんて考えました。
慣れたって、キツイ、つらい、悲しいって思いは解消されないですもんね。
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