去年の10月21日。
今一緒にバンドをやっているボーカルのアキラ君と
はじめてまともに会った日だ。1年だ。
スタジオで偶然会ったのだが、その日アキラ君は
誰も見てないのに、
ケータイやジッポのライターを使って
延々ひとりで小ネタSHOWを繰り広げていた。
「!! このおもろ過ぎる金髪のおにいちゃんは何者!?」
とかなり衝撃だった。
そこで音楽の話で意気投合した、わけではない。
ひたすら買い物友達として、
ベロの服(ストーンズのTシャツ)やら
穴のあいたジーンズなどを買いによく出かけていた。
またアキラ君愛用のヒョウ柄ビキニショーツ
(なかなか売っていないそうだ)探しツアーの
お供をしていたのもこの頃だ。
ルーズソックスが売っている店で
アキラ「俺、1回アレはいてみたかってん」
メグ「メグも!買ってみる?」
と悩んでいたのもちょうどこの頃だ。
アキラ君が
「ものすごええハンバーグ屋いこ」と言うので
どんな高級店に着くのかと思っているとびっくりドンキーに到着し、
彼の小ネタぶりに悶絶していたのもこの頃だ。
(現在に至っても和風流用語では、びっくりドンキーを「ええハンバーグ屋」と呼ぶ。
また同義語としてCoco壱番屋を「ええカレー屋」、吉野家を「ええ牛丼屋」と呼んだりする)。
のちに一緒に音楽をやる、という気配は全然なかった。
それどころか、
その頃アキラ君のやっていたバンドのギターとドラムが抜けてしまったので、
私は友人をあたり紹介していたくらいだから。
それに私も当時やっていたバンドは最後のバンドだと思っていたし。
不思議なものです。
今バンドで6曲目の曲を作っていて、
そのうちの半分以上は作曲メグ・作詞アキラ君のコラボです。
ランナウェイズのドラマーだったサンディさんが
10月21日に癌で亡くなられたと知った。
「We shared the dream of girls playing rock and roll.」
これはランナウェイズのメンバーだったジョーンジェットがサンディさんの死に寄せたコメントだという。
「shared the dream」に胸を打たれました。
夢を分け合っただなんてジョーン。。。
わたしも10代の終わりから20代の真ん中まではギャルバンばかりしてて。
あえて、全員女子でやったらカッコイイかなぁ、と思っていて。
言葉にしたことなんてないけど、
ある意味「 shared the dream of girls playing rock」だったのかも。
でもサンディやジョーンはあたしたちよりもっともっと前の時代の人で、
世界中の男を虜にしたガールズロックの先駆者、しかもイカツいガールズロックの先駆者ですから、
あたしらなんかより、それこそ本物の「shared the dream」だったはず。
今は私はギャルバンをしたいと思わないけど、
憧れたんです、ランナウエイズ。
いつか再結成してくれたらと思っていたけれど、
サンディが亡くなって、不可能になったね。
サンディやジョーンに憧れて楽器を持った女子は世界中にたくさんいると思う。
天国のサンディさんや海外のジョーンに向かってメグは叫びたいなぁ、
「ねー、日本のココにも、アナタに憧れてやってる人がひとりいまーす」ってね。
心からご冥福をお祈りいたします。
ちなみに私がかつて「shared the dream」した大阪の女の子たちが
現在どうしているのかはひとりも消息がわからない。
天王寺のユキ、西成のタカミ、尼崎のキヨミ、吹田のヨーコ。
みんななんだか激しい人生を生きる女子だったから、あちこち転々として、
いつか連絡先もお互いわからなくなってしまった。
京阪出町柳駅では、券売機5台のうち3台が「発売中止」。
長蛇の列におとなしく並んでいたら、
オジサンがツツツと来て強引に割り込んだ
わたしの前の人達はあからさまにムッとしたが、とがめはしなかった。
たぶんそのオジサンが「ワシはごっつややこしいで~」的なオーラを発していたから。
メグも「わわ、このオッサン、ややこしそう」と警戒し、
関わらないことに決めた。
なのに!
心とは裏腹に、
口が勝手に頭の中にあった
「みんな並んでるじゃないですか~」
という言葉をツルっと発音してしまった。
「あわわ、しまった…」と思ったが
やはりオジサンはメグんとこに来て
「それやったら、ここにいる全員割り込まれんように隙間なく並んどけ」と逆ギレした。
さらに「ワシ、急いどんの。しかもなんやそのベロの服は」
とからむし。
なお「ベロの服」とは、メグのローリングストーンズのTシャツをあらわす語彙だと思われる。
「ベロの服」にちょっとウケて私がうっすら笑ったのをオヤジは見逃がさず、火に油を注いでしまった。
並んでるおにーさんらも誰も助けてくれんし。まぁ自業自得。
助けてくれんどころか
「ベロの服!」とか大声で言うオヤジと私を見て、
後からきた人は親子喧嘩でも見るように眉をひそめる。
本題はオジサンの割り込みなんだからね!みんな!
勿論私とてオジサンに「そもそもこのベロはローリングストーンズの・・・」などと説いたりはしない。
「ハイハイ」と生返事していたら解放された。
そしてオジサンと私はふたりして特急に乗り遅れた。
なにをやっているんだか。
さらに。家に帰って「今日へんなオジサンがいたよ」と話すと
「注意しただけで殺された人ニュースでやってたやろ!
そういう世の中やから、もうこれから知らんぷりしなさい」
と怒られた。
「違うの違うの、並んでるじゃないですかッ!みたいに説教したんじゃなくて
あたしたち並んでるのになぁ~ってひとりごと風に可愛らしく言っただけよ」
と弁明をしたが
「おんなじことや」ってまた怒られた。
ダストンボーンズのライブ後に我々にはひとつミッションがあった。
同じくライブを観に来ているという、
大阪のバンド「ZACK-BARRAN」のボーカリストOREさんを探し出すことだ。
OREさんは以前私がやってたバンドを何度か観に来てくれたのだが、面識はなく
OREさんは神出鬼没のひとであり、
「ウォーリーを探せ」ならぬ「OREさんを探せ」と称し関係者が捜索を試みたにもかかわらず、捜査は困難を極め、
これまで誰もが対面することができなかった謎の人物だった。
さて、どうやって探し出すか?お顔がわからない。
元リアルスタイルのRozzy君が
「♪オーレー、オレオレオレ~(サッカーのお歌)ってずっと唄ってたらええねん」
と言うので実に名案だと大きくうなづき、
勇んで階段を降りて行ったところ、我々が♪オレオレを唄い始める前に
あっけなく「あ、メグさん」とあちらから発見されてしまった。
「そんなーーっ!!」
約1年に渡る「OREさんをさがせ」は、こうして終止符が打たれた。
あまりにもあっけない終わりだった…
OREさんは、さわやかナイスガイだった。
帰りに和風流のボーカリスト・アキラ君と
元リアルスタイルのボーカルRozzy君と、
Reason for Beingのベーシストtora君と
ATTACK!のギタリスト・会長殿とでゴハンを食べに行った。
この組み合わせはなかなかない。