感想:死刑にいたる病

2022-06-19 21:11:38 | 映画




観てきました!! 久しぶりの邦画!!


~~~あらすじ~~~

20人以上の高校生を殺害し死刑判決を受けた榛村大和。
大学生である筧井雅也は、以前顔見知りだった榛村から手紙を受け取る。
そこに書かれた『立件された9件の事件のうち、最後の1件は冤罪である』との言葉。
その真実を探るべく、雅也は捜査を始める。




開始からいきなり残虐な殺害描写の連続。
この映画のレーティングはPG12+らしいが、PG15くらいの心構えが必要だわ。
歳とるとグロ耐性が落ちるんだよ……。


榛村役の阿部サダヲは猟奇殺人鬼という点ではこれ以上ないくらい適役だが
「高校生をたぶらかして拉致殺害する人当たりのいい魅力的なパン屋さん」は
サダヲのニチャっとしたキャラでは無理があるな……。
フレンドリーに話しかけられても若者は絶対警戒するだろw

とはいえ、もちろん演技力に関しては申し分なし。
刑務官を懐柔していく描写や面会に訪れる雅也へ向ける表情、
冷徹な殺人者としての知性の表現の数々が震えるほどマッチしていて、
この映画の魅力の半分以上は、サダヲ榛村にあると言っていいくらい。



ただの冴えない大学生である雅也が探偵役として少しずつ垢抜けていく過程も面白い。
榛村の担当弁護士の元でアルバイトという名目で次々情報を調べ上げ
自らの部屋の壁一面に被害者の情報を並べ
コミュ障ながらも事件の関係者に聞き込みを繰り返す。
ことあるごとに捜査報告として榛村の元を訪れるのも推理ゲームっぽっくて楽しい。

当然、雅也も榛村に取り込まれて闇落ちするのだろうなぁ~、と思いきや……!!




ミステリファンの習性として、「それぞれの登場人物が犯人だった場合」の
情報の整理をしながら観るのだけれど、どれだけミスリードを埋め込んでいても
「犯人こいつしかいねーじゃんw」になってしまうのが惜しい。

それでも、この真犯人を描き出すための大量の伏線の集約が終盤でガッチリ嵌まって
物語として非常に見応えがあった。

原作がそれらの伏線に対してどこまで丁寧に描写されているのかはわからないけれど、
映画として脚本をギリギリに詰め込んだ手腕も十二分に評価できる。

サイコサスペンスらしく、最後に安心した観客へワンパン決めてくれるのもナイス。




観終わったあと、立つのがきついほど全身がずっしり重くなっているのに気付いた。
それくらい心身ともに引き込まれるストーリーと演出、圧倒される俳優陣の演技。
2年半ぶりに劇場で観た邦画がこの作品で大満足。


コロナもおさまってきたので、これからガンガン映画を観に行きます!!

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感想:屍人荘の殺人

2020-01-21 06:48:58 | 映画



公式サイト



その年の「このミステリーがすごい!」1位はきちんと読もうと思っているんだが
結局この原作は読まずじまいだったので映画化はちょうど良かった。


【あらすじ】
何者かからの不穏な脅迫状を受け取りながらも
野外ロックフェスへ向かった学生たち。
しかし突如、フェスの客たちが次々にゾンビ化していく。
宿泊のためのペンションへ逃げ帰ったものの、
いつまでゾンビの侵入を食い止められるかわからない状況のなか
館で殺人事件が発生する。


ミステリにゾンビを持ち込むのは過去にもいくつかあったと思うけれど
立てこもった館が徐々にゾンビに侵食されていくという
ゾンビ物としてもきちんと面白いのが偉い。
ゾンビってお約束のカタマリだから作品のベースにするのにピッタリの素材よな。



そして探偵である剣崎比留子役の浜辺美波が超可愛い。
ドラマ版「あの花」で誰がやってもコスプレにしかならないであろう
ハードル激高のめんま役を生来のオーラで演じきって高評価をゲット。

さらにドラマ版「咲-saki-」で、それこそリアルにコスプレ大会だった中、
唯一原作を超える可愛さを打ち出してしまった奇跡。
やっぱりここまで「映える」能力ってのは生まれ持っての才能だな…。


そしてこの映画でも自分の可愛さを理解したうえで
比留子の無表情な電波っぷりをきっちりこなしてしまう演技力。
一気にファンになってしまった。



あと気になったキャストはこういったサスペンス作品に
いつのまにか混ざってくるドランクドラゴン塚地w
序盤であっさりゾンビ化したのはいいとしても
それを見て泣き出してしまい母親と退出していった子供がいた。
ゾンビ自体は良くても人の良さそうなおっさんがゾンビ化するのは怖いのかもな…。



ミステリとしてのトリックは、評価されてるだけあって流石に素晴らしい。
原作からどのように脚色されているかはわからないけれど
非常にシンプルかつフェアーな伏線を置きまくっているので
終盤の謎解きがテンポよく展開していく美しさ。

倒叙型ミステリでよくある「探偵が最初から犯人を見抜いている仕掛け」も
一本取られた感じで面白かった。



総合的にはかなり満足。
ドラマとして非常に良く出来ていたのもそうなのだけれど、
この満足感の8割は浜辺美波によるものなので我ながら糞ミーハーだw

できるだけ時間を作ってきちんと原作の続編を読みます…。

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感想:男はつらいよ50 お帰り寅さん

2020-01-17 07:08:01 | 映画


公式サイト


もうずいぶん昔のことになるが、地元のテレビ局で
毎週「男はつらいよ」の放送をやってた時期があって
別に寅さんファンではなかったが、やはりずっと観ていると引き込まれる面白さがあった。

世間のしがらみからドロップアウトして好き放題に生きる寅さんに憧れたものの
結局自分は逆ドロップアウトして真っ当な生き方をしているわけだが
その精神性はいまだに根付いてる。

まあそんなわけで、寅さんにハマるほどの歳ではないにしても
邦画ファンとしてこれは観に行くべきだと感じた!



映画のストーリーとしては、脱サラして作家になった満男と
学生時代に付き合っていたイズミの再会によるロマンス。
時折、過去作の映像が挿入されて寅さんの存在感を散りばめる。


毎週シリーズを1作ずつ観るぶんにはまったく違和感はなかったんだが
20年以上のブランクってのはやはりでかすぎる。
メインキャストがほとんど死んでて草。
あんなに元気だった佐藤蛾次郎も今にも死にそうだしな…。



しかも過去作の映像もあまり入ってこなくて悲しい。
結局観客が観たかったのは寅さんの歯切れの良い口上なわけで、
それをほとんど出さずにウジウジした満男の過去話をメインにされても
ちっとも面白くないし気持ちよくない。

どんなに哀しくてもそこに必ず前向きさがあって、
虚勢を張ることで笑いに変わる寅さんのキャラクターが全てなんだよなぁ。
こんな出涸らしを見せられるなら普通に総集編にしてくれたほうがどんなに良かったことか。

あらゆる価値観が変わった今の時代に寅さんをゾンビのように復活させて
恰好良い場面はろくろく出さずにむしろウザがられてるような部分をピックアップして
一体何がやりたかったのかまったくわからん。

寅さんに出てた役者たちが老いたのを見せられただけ。
年寄りの思い出にすがるだけの映画になんの価値があるんだろう。


そういやオープニングの桑田佳祐が歌う「男はつらいよ」のテーマもまあ良かったんだが
エンドロールでの渥美清の原曲は、やはり別格に素晴らしくて胸に刺さった。
桑田佳祐いらねえじゃん…。

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感想:カイジ ファイナルゲーム

2020-01-14 22:37:41 | 映画


公式サイト



観てきました!!

もともと福本漫画が大好きということもあって
映画オリジナルのギャンブルが見れるのを楽しみにして行った!!


東京オリンピック後に急速なインフレが進んで日本全体が弱体化し
首相をはじめ上流階級が私利私欲のために新貨幣の発行を決める。
それによりさらに格差が広がってしまうのを食い止める、というストーリー。



さんざんモノマネでネタにされている藤原竜也の演技が面白すぎる。
演技派ぞろいの俳優陣の中で誰にも負けないインパクト。
蜷川幸雄に育てられただけあってドえらい演技を身に着けていて
童顔とのギャップもあって実に映画映えする役者になってる。すげえな。

あと序盤で原作者の福本伸行本人が出演してて噴いた。



ていうか「1」も「2」も観てないのでストーリーのつながりがわかんねえ。
「利根川と一条は死んだの?」とか「なんで遠藤が女なの?」とか
「兵頭会長は何やってるの?」とか。

原作で残ってる幹部が黒崎くらいだから今回の敵役なんだろうけれど
吉田鋼太郎のせいでホモにしか見えねえw



でもって、原作では鉄骨渡り以降ギャンブルでの死者は出てないので
「ドリームジャンプ」という普通に人が死ぬギャンブルを出してきたのは強い。
10人同時に鉄骨から落下。10本の命綱のうち1本だけが本物。9人即死。
まあこれがギャンブルかと言われると違う気がするけどな。



そしてメインとなるギャンブルは「人間秤」。

自分の資産に家族や友人といった支援者の出資を加え
すべて金塊に変えて秤で比べ、重かったほうが全取り。

それって別にギャンブルじゃないと思うがw
裏で色々手を回すことで相手を出し抜くあたり
どちらかというとカイジというより「銀と金」に近いな。

きちんとピンチを作って逆転する展開は熱いのだけれど
事前にいくら集まるかわからないのになぜかギリギリの勝負になる脚本は
さすがにご都合主義と言わざるをえない…。
でも勢いのある演出で押し切るのはいかにもギャンブル漫画っぽくて面白かった。


そしてラスボスが首相秘書官の福士蒼汰。

日本を左右する勝負がただのジャンケン。
カイジっぽさ全開のシュールなギャンブル。

ていうか今回の映画に出てきたゲームって全部ギャンブルじゃねえじゃねえかよ。
心理的な駆け引きやイカサマを逆手に取ってひと泡吹かせる展開が見たかった!!



設定のスケールの大きさの割にえらく低予算な映画だったがw
脚本・演出の面白さと俳優の演技のおかげで見事な娯楽映画になっていた!!
今の原作も面白いがまた熱いギャンブルを見せてほしいところだな。
でもこの映画を見る限り、今の福本じゃ無理な気がしてきた…。


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感想:記憶にございません!

2019-10-26 13:09:09 | 映画


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【あらすじ】
支持率2.6%という史上最低の総理大臣。
演説の際に投げられた石が頭に当たって記憶を失ってしまうが
「記憶を失った総理にしかできない改革」で政治を変えていく。


遅ればせながら観てきました。

三谷幸喜は自分が尊敬するクリエイターの一人で
舞台の技法を使いつつ、映画やテレビドラマでハイブリッド的な面白さを醸し出し
しかもそれで大ヒットを飛ばせる、という他に類を見ない天才。


「古畑任三郎」のあとにやった「総理と呼ばないで」というテレビドラマで
支持率最低の総理役が古畑と同じ田村正和。
結構面白かった記憶があるが、古畑と同じノリを期待されてたせいで
評判はまるで芳しくなかった模様。
ネットの普及した今なら正当な評価が出せそうな気もするけどな。

そのときのリベンジの意味もあるのか、
総理官邸を舞台にしたコメディ映画と聞いて非常に興味を持った!!

「総理と呼ばないで」の焼き直しみたいなネタもかなり入ってて
「何十年も前だからみんな忘れてるだろう」というつもりなのかもしれんが
そんなに甘くねえぞw


役者を先に決めてから脚本を考える三谷にしては
総理役が中井貴一なのはちょっとミスキャストかと思ったんだが
悪人面と言われれば確かにそうだし、田中角栄にどことなく似てる気はするw
記憶を失った人間の動きをギャグとして表現できる演技力も面白い。


脇を固める俳優陣ももちろん演技派ぞろいなのだけれど、
三谷幸喜の脚本のなにがすごいかといえば、
役者の個性を引き出す「おいしい」ネタを提供してしまってるところ。

小池栄子の謎ダンスに吉田羊のド淫乱っぷりに
木村佳乃の無理のありすぎるアメリカ大統領。
誰が演じても面白いに決まってるのに、この配役以外考えられなくなるセンス。
三谷映画に出演することが役者にとってひとつのステータスになってるが
一気に地位を押し上げてくれるからなんだよな。マジすげえ。


悪いやつこそ何人もいるものの、観ていて不快な思いをすることはなく
懲らしめ方や改心の仕方もギャグに徹していて
政治を知らなくても気持ちよく笑って帰れるコメディ映画。
もう1回観たくなる仕掛けもあってロングラン上映も納得。

それにしても、2週間かけて映画の感想を書いたが
1日に4本観るのはさすがに疲れるな…。

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感想:最高の人生の見つけ方

2019-10-20 22:10:22 | 映画




公式サイト

【あらすじ】
愚直に生きてきた主婦と巨大なホテルチェーンを統べる女社長。
二人の末期ガン患者が出会い、その達観した姿勢同士で意気投合する。
病院で死んだ少女が残した「生きてるうちにやりたいことメモ」を偶然手に入れ
残りの人生を使ってメモの内容を実践していく。


相変わらずたおやかな吉永小百合と相変わらずカッコいい天海祐希のナイスキャスト。
従順な社長秘書のムロツヨシもいい演技。


なのだけれど。

最初から登場人物のヘイト管理がヘッタクソで呆れる。
家事に非協力的な亭主と、家族より仕事を優先する娘と、ひきこもりの息子。
不倫を隠そうともせず、会社を乗っ取ろうとする旦那。
幼い頃に自分を捨てた父親。まわりにいじめられていた過去。

そんな不幸自慢を続けてとりあえず最初に同情をひいて泣かせる、
そこからスカイダイビングやエジプト旅行で日常からの解放。
なんとも短絡的で頭を抱えてしまう序盤の展開。


なにからなにまでご都合主義だしセリフのひとつひとつがあざといし
そもそも大金持ちと知り合って好き勝手に遊びまわる妄想自体が設定として安っぽい。
子供だましというか、年寄りだましな内容。

要はずっと生きてきた女性に「あなたの人生は間違ってませんでしたよ」と慰めるための作品。
そのためにどんな人にでも理解できるレベルのシナリオじゃないといけないし
共感を与えるためには多少現実から歪めてでも、主婦の人生を完全肯定する必要がある。

俺はまだまだ死ぬ予定もないし、人生でやりたいことが山ほどあるし
「実際に余命を知らされたときに何をやろうか」という参考にもならない。
まあ、俺みたいな人間が観る映画ではなかったな…。


それでも、ヒューマンドラマとしてまったく飾り気のない素朴さが
最後まで静かに胸に響いて気持ちよかった。
「病気で人が死ぬ悲しい映画」ではなく、自分の死を悲しいことと思わない二人の姿に
死を前向きに捉える考えを抱かせるという点で
実際に病気で悩んでいる人には特効薬のような価値があるとは思う。

上映が終わったあと観客席を見たら自分以外の全員がババアで戦慄した。



そういえば、ポスターのキャスト欄に大きくももいろクローバーZの名前があって
一体どんな役なんだろう、と気になっていたんだが。

結局本人役で出演していて、やりたいことリストの「ももクロのライブへ行く」を
叶えるためだけの出演。なんじゃそりゃ…。

しかも「20代の人~~!!」という定番の呼びかけから
70代は珍しいという理由でステージへ呼ばれて一緒に踊るというネタがあった。
実際にそんなことはありえないがwww ライブなめんなwww

しかしこのシーン、マジで数万人の観客がいるので
おそらくリアルのライブで客に協力してもらって収録したんだろうな。すげえ。


ここまで書いて気づいたが、客席の中で唯一異質な男がこんな映画を観てたということは
もしかして俺は他の客にももクロ目当てだと思われてたんだろうか…。
違うから。ただの邦画ファンだから。


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感想:ジョーカー

2019-10-17 23:54:15 | 映画


【あらすじ】
コメディアンを目指しながらも、日々ピエロのバイトで生活している男。
病気の母親と二人で暮らしているが、本人も突然笑い出してしまう病気を持っており
世間からの目と治安の悪さが重なり合って、次第に社会から孤立していく。



自分がアメリカ映画をあまり観ない理由のひとつに
「合理主義的なポップコーンムービーがウケる土壌だから」ってのがあって
派手な映像美を求める気分にあまりならない自分にとっては
どの作品の予告編も魅力的に映らないのだよな。


そんな中、この作品は予告だけでメチャクチャ惹かれた。
「ダークナイト」で悪の視点から見たストーリーの面白さがウケる、
ということに気づいたのは世界的な映画界のターニングポイントになったと思う。

まあ普段から日本製のRPGなんかを遊ぶと悪側の正義ってのが逆に食傷気味ではあるんだが、
「悪いやつは倒す! YES!」だけでまかり通っているアメコミで
ひたすら悪を徹底する作品ってやっぱり興味が湧くわ。



で、実際に観るとこれがまた面白い。
キチガイがキチガイゆえの貧しさに逆恨みして殺しまくるだけの映画なのに
すべてのシーンがなぜかものすごく面白い。

ホアキンのちょっとした所作、演出とカメラワーク、
ジョーカーダンス等の間を埋めるための「遊び」部分や
ぶっ殺すシーンでのギャップ狙いで流れるオールディーズ。

素晴らしいとか美しいとかいう感想は微塵も抱かないのに
とにかく「面白い」と思わせる凄さ。

登場人物をカッコよく見せる技術がハンパない!!
最近は嫌煙がどんどん進んでるけれど、
カッコよく見せるための小道具としてタバコはすげえ優秀なアイテムだw


頭のおかしい人間の思考回路をエンタメとして昇華するセンス。
正直、ストーリーもミステリをよく読む人間にとってはありきたりなんだけど
そんな定石すら吹っ飛ばす魅力にあふれた映画。
バットマンシリーズへの繋がり方を考えると非常に趣き深い。

しかしあれだなー、銃がなければジョーカーも誕生しなかったかと思うと
やはり銃社会はフィクションだから面白いのであって
現実ではメリットないよなー。



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感想:がっこうぐらし!

2019-02-09 10:35:29 | 映画


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観てきました!!


きららの実写化って過去にあったっけ?
「萌えキャラだから可愛いアイドルに演じさせとけ」という発想が
なんだか安っぽすぎてなぁー。
だからといって何が正解かと言われてもわからんけど。



メインの4人を演じているのは「ラストアイドル」のメンバー。

以前仕事の帰りが遅いときにTVをつけると
ちょうどこのオーディション番組をやってることがあって、
疲労困憊の脳死状態で観てた。

挑戦者がその時点のメンバーを指名して対決し、勝ったら入れ替え。
審査員・勝ちメンバー・負けメンバー・残留メンバー、
すべての方向に憎悪しか産まない素晴らしい企画。
でも内容が内容だけにガチなドラマが発生するという
いかにも秋元康らしいえげつなさ全開の番組だった。


そんな熾烈な戦いを生き残った女子たちが
どのような演技をするのかもちょっと楽しみにして行った。


やはり主人公だけあって由紀役の子がアイドルオーラとして一歩抜けてる!
…のだが。
天然快活キャラというポジションにもかかわらず
胸にばかり目が行ってしまうのが配役として問題がある!!
パジャマで仰向けになって寝ている場面や体育祭で走る場面で釘付け。
由紀ってそういう性的なキャラじゃないよなw


くるみは原作のコスから丈の短いヘソ出しシャツの制服になっていて
なかなかあざといなぁーというのが素直な感想だけれど。
男の先輩とのロマンスがあったりして、原作ファンに喧嘩売ってるのかな。
俺はそういう変更に関しては気にしないけど
今の時代のオタクは怖いからマーケティングには気を付けないとなー。


美樹役の子はちょっと好み。
普通に映画女優にクラスチェンジすればそこそこいけそうなんだが
アイドルグループの脱退はリスクが高すぎてなんだか可哀想。
このまま演技力を積めば、いい監督に拾ってもらえるかもしれん。


りーさん役は普通なので感想なし。すまぬ。



で。
恐怖描写に定評のある「呪怨」の監督ということで
本格的なゾンビ物を期待したのだけれど
日常とゾンビ部分のバランスは意外に原作どおりだった。

でもまあ、原作ではゾンビ描写が中途半端だけれど
割としっかりとしたゾンビになってて
ゾンビの表情や動きや配置に結構なこだわりを見た。

しかし内容を鑑みるとやはりリアルな気持ち悪いゾンビは
全然作品には合ってなくて、原作の適当ゾンビは
企画としてきちんと考えられてたんだなぁ、と再認識。

めぐねえ役のおのののかがゾンビ化するシーンは
かなりガチめのゾンビにしてくれていて見事だとは思うが
おのののかが結構好きな人間からすると何も嬉しくないw



大方の予想通り、学芸会レベルのアイドルプロモ。
実際に観に行ったのは先週の土曜なので公開2週目だったが
見事に客席ガラガラで、内容的にも擁護できない。
ゾンビにちょっとこだわりがあったところまでは良かったのにな…。

アイドルの子たちはずっと見てると不思議と可愛く思えてくるので
プロモとしては成功しているが、誰も観てくれなきゃ意味がないよね。
ゾンビだからB級でもいいじゃない! という開き直り。
個人的には嫌いじゃない。


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感想:十二人の死にたい子供たち

2019-02-05 07:14:27 | 映画


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観てきました!!


全員で安楽死をするために集まった12人の子供たち。
しかしそこには初めから1人の死体があった。
実行に移る前に、その謎を解明するための討論が始まる。



発売直後に小説のほうを読んではいたが、すでに内容を結構忘れてるし
予告編もなかなか面白そうだったし、せっかくなので。



キャストがみんな美男美女だよなぁ。
これで自殺志願者ってのはなんか違和感がある。
もっと死にたい雰囲気を出してる奴らを出演させろよ。
まあそれだと俺は観ないけどw

クールビューティーの7番ちゃんが杉咲花。
イメージとはちょっと違うけど、演技での説得力が素晴らしい。
いちばんのメインともいえるキャラだけに、
これだけのオーラを持ってる女優を据えたのはナイス。

美少女タレント役の4番が橋本環奈。
美少女=ハシカンって安易だろ!! なんて思っても
実際可愛いんだから仕方ない。
顔を隠しているところから正体を明かす場面は演出も相まって本当にすごい。


メガネ男子が3人いるのはちょっと判別が難しかったw
宣伝ポスターでビンゴできてるしなーw
そういや原作でもイメージを分けるのが難しかったわ。




謎の膨らませ方がいかにもミステリだし、
小説ではわかりづらかった病院内でのトリックも
映像化されるとバッチリ理解できる!

そして12人のキャラクターと死にたい理由がすんなり頭に入る脚本には驚いた。
尺の問題で説明不足な部分もあるとはいえ、
心理描写までサクッとこなすテンポの良さはいかにも映画的な爽快感。

病院の院章?なのか、中庭や部屋の入り口に
母親の胎内に子供がいるモチーフのオブジェがあって
「命の大切さ」の無意識の刷り込みを狙ってるのがあざといw



宣伝では「脱出ゲーム」と謳ってるが、
「十二人の怒れる男」をもじっているとおり、討論がメインの内容。
ぶっちゃけて言えば宣伝詐欺だけれど、騙されて観たとしても十分満足できる。

若者向けのエンターテイメントとして上質。
客層は若者9割おっさん1割といったところ。
おっさん連中は年季の入った冲方丁ファンなのかもしれんなw



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感想:日日是好日

2018-11-04 09:58:51 | 映画


公式サイト

観てきました!!



真面目だが不器用な典子と華々しく如才のない従姉妹の美智子は
ともに就職活動を控えた大学生。
ささいなきっかけで知り合いの武田が教えるお茶の教室に通い始め
対照的な二人が、その人生でもまったく異なる生き方を
お茶の道とともに歩んでいく。



「モリのいる場所」「万引き家族」と2作続けて樹木希林の出演作を観たので
訃報にはかなり驚いた。ずっとガンを押して女優やってたんだな…。
映画館も「樹木希林さん出演作品」なんてこれ見よがしに書きおってからに。


で。
そんな樹木希林なんだが、茶道の所作がすごい。
さすが大御所は作法もしっかり身につけているんだなぁ!!

なんて思ったが。

この映画に出演するまで茶道の経験がなかったらしいがマジかw
人生は常に勉強であることを体現している凄さ。
死ぬほど勉強が嫌いな自分には真似できねえ。

お茶の先生としての演技もナイス。
ていうか演技というよりも素の樹木希林がお茶の先生をやってるように見えるw
イメージした演技をイメージどおりに再現してくれるから
役者として起用しやすかったんだろうな。ご冥福をお祈りします。


「それって形式主義じゃないんですか?」と理屈っぽい典子と
屈託なく「お茶って変!」と言ってのける美智子。
どんなことでもそうであるように、誰もが陥りがちな外面での印象から
続けていくことでその奥深さを知っていく描写が
とてもシンプルに伝わってきて面白い。

時間の経過もひとつひとつ積み重ねていくように
年や月ではなく二十四節気で表すのも趣があって気持ちいい。

もちろんその間、典子の生活で様々なことが起こるが
客観的な視点で見ている観客に対しても仕事や恋愛の場面はほとんど提示されず
映画のほとんどがお茶に関わる場面。
にもかかわらず、直接的にそれらの映像がなくても
二人の人生がくっきり浮き彫りになるのは脚本と演出の力。
人の生き様を面白く見せることこそが映画の妙。
自叙伝をこういう形にしてもらえたなら原作者も本望だろう。



お茶の場面がほとんどであることからもわかるとおり、
たぶん予算はほとんどかかってない映画。
全体の演出やフィルムの使い方も
なんだかNHKのドラマ特番のようだったw

しかし特筆すべきは音。
お茶を点てる音、季節ごとの虫や水の音。
音が重要になる場面では、演出として事前に無音に馴らすことで集中力を高めてくれる。
TVではそこまで集中して観ないから劇場に足を運ぶ価値は十二分にあった。
観客全員が一体になって意識を共有できてたのが非常に痛快。


数十年お茶を続ける典子の人生を追いかけることで
お茶の教えの本質が見えてくる。
人によって生き様は数あれど、お茶が人生の支えになる素晴らしさ。
せっかく人として生まれたのだから、
なんでもいいからひとつでも集中して考えられるものを探すべきなのだという教訓。
地味だがとても良い映画だった。

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