阪口直人の「心にかける橋」

衆議院議員としての政治活動や平和構築活動、趣味や日常生活についてメッセージを発信します。

北朝鮮のミサイル発射と政治家の重罪

2006年07月05日 23時21分57秒 | 政治
 2000年5月、私は北朝鮮を訪れました。

 北朝鮮国内を数百キロにわたって車で移動しましたが、そこに広がる農村の貧しさは、私が活動していたアフリカの最貧国-紛争直後のモザンビークや飢餓に苦しむエチオピアに比べても惨めなものでした。北朝鮮こそは世界の最貧国であり、もっとも人権が抑圧された国との印象を強く持ちました。

 痛々しかったのは、田植えを前に、田んぼは見事に耕され田植えを待っているだけなのに、苗床に運ぶ水がない・・・。そんな風景が延々と続いたのです。生産性を上げ、金日成、金正日親子を讃えるため、山も森も競い合って耕地にしてしまった結果の、まさに人災でした。「このままでは今年も餓死者が続出でしょうね」農業技術者の方がため息をついていたのが印象的でした。

 一方、平壌市内には、「金王朝」を讃えるためのモニュメントばかりが目立ちます。国民の生活をないがしろにして、金王朝を崇め、神格化するために国民のエネルギーの大半が浪費されていることに背筋が寒くなりました。

 拉致問題に加え、本日、日本近海に向けて、テポドンを含む7発のミサイルが発射されました。とても許せる行為ではありません。断固として強力な圧力をかけるべきです。しかし一番大切なこと、それは圧力をかけるのはあくまでも独裁政権に対してであり、これ以上、人民を苦しめることがあってはなりません。

 さて、そんな北朝鮮に対し自らの政治ショーのために大きな貸しを作ったのが小泉首相です。

 年金未払い問題で追求されていた2004年5月、突然、目くらましのように北朝鮮を「電撃訪問」したものの、成果を上げることができず、拉致被害者の家族は「子供のお遣いよりもひどい」と憤慨する始末でした。自分の政治利益のために北朝鮮と取引をして国民の関心を別の問題にすりかえてしまったのです。

 また、2004年の参議院選挙の2日前に曽我ひとみさんとジェンキンス氏の再会という政治ショーを仕組みました。選挙当日のマスコミ報道はこのニュースばかり。その結果、大苦戦の予測に反して民主党50議席、自民党は49議席と、惨敗イメージを消すことに成功し、首相の座にしがみつくことに成功しました。

 これらの政治取引のため、北朝鮮にどれほど大きな貸しを作り、拉致問題、さらに安全保障の問題を難しくしていることでしょうか。国民の生命が脅かされている今回のミサイル問題にしても、このような日本外交の姿勢が影響していると思われてなりません。

 小泉首相だけではありません。河野洋平外務大臣(当時)は2000年10月、北朝鮮に要請されたわけでもないのに「全て私の責任で」と50万トンのコメ支援を決定。約1250億円の税金で北朝鮮にコメを送りました。

 北朝鮮に対するこのような支援が人民のために使われることなどあり得ず、これらの措置は独裁政権の延命に力を貸しただけです。結果として拉致問題の解決を困難にし、私たちの血税がミサイル開発につながった可能性も高いと思われます。どのように責任を取ったのか。あるいは今後取ろうとしているのか、是非聞いてみたいものです。

 今回のミサイル発射は、無責任な政治家による外交が招いたツケだと強く感じています。