阪口直人の「心にかける橋」

衆議院議員としての政治活動や平和構築活動、趣味や日常生活についてメッセージを発信します。

アウンサンスーチーさんと電話対談をしました(続き)

2011年02月21日 12時45分55秒 | 政治
アウンサンスーチー:
 経済制裁について真剣に考えて下さり、ありがとうございます。
何よりもビルマの国内状況をよく考慮した上で、投資をするかどうかを検討することが重要だと思います。私たちは、経済制裁への賛否は、政治的理由ではなく、ビルマに住む国民に対する影響で判断したいと思っています。従って、しっかりと人々の声を聞き、調査をして賛同できるかどうか検討していきます。どの国の投資であるかが問題なのではなく、どのような投資であるかが問題なのです。
 
 国民にどのように、どのくらい負の影響を与えているかを検討した上で、経済制裁している国と話し合うことは重要です。最近、国内で一部の政党や、他の団体が経済制裁の解除を要求しています。しかし、彼らは、経済制裁によって本当に国民が苦しんでいるかどうかをしっかり検討してから要求しているのか、考えなければなりません。自分たちの利益のために、軍事政権の意向を汲んで要求していないか、日本政府にもしっかり見極めて頂く必要があります。一般の国民にとっても、経済制裁は 暮らしに影響がないとは言えません。たとえば、洋服を作っている工場などです。しかし、それ以上に影響を大きく受けているのは、そのほとんどが現政権と手を組み、バックアップしている大企業です。それは、現政権にも間接的に影響があるといえます。従って、このような影響について、よく検討した上で経済制裁を解除した方がいいか、続けた方がいいかを考えて欲しいと思っています。

 現在ビルマでは 国民の全てが平等なビジネスチャンスを持っているわけではありません。軍事政権をバックアップしている企業だけがチャンスを得ることができる状態で、外国企業が進出すると、民主化を促進させるのではなく、軍政を利する可能性が高いのです。 

 なお、諸外国が企業進出や投資をするならば、以下のことが必要だと思います。環境破壊にならない、その地方の社会を破壊しない。労働者の権利を守る。技術移転を行う。民主主義の向上を図る、国民の雇用創出につながる等です。
   
 日本がこれらのことを配慮してくださるのであれば、投資して頂いても問題ないと考えます。阪口さんが説明してくださった日本が目指す新しい投資の形については、私たちが表明している要望に合致しているため、賛同できます。

 中国からの影響は、ビルマの民主化を遠ざけることにならないと思います、民主化を進める上で、一番責任があるのは私たちビルマ人です、民主化が進むかどうかは、私たちビルマ国民次第です。中国だけではなく どこの国であっても、ビルマに対して経済的、政治的、武力などで圧力をかけることには賛同できません。中国は、ビルマの隣国であるから、良い関係を築きたいと思っています。しかし、ビルマに関して経済と政治をバランスよく考えて連携して欲しいと思っています。

 こんな内容でした。あらかじめ送っていた英語の質問が届いていなかったので、スーチーさんからすると突然の質問だったと思いますが、民主化の実現に向けた高い理想と、そのためのアプローチとしてあらゆる可能性を排除しない。そんな現実に即した対応を融合させる意志を感じました。今後もお話しする機会があると思うので、その内容については、できる限り伝えていきたいと思います。

 アウンサンスーチーさん、そして電話会談の実現に向けて努力をしてくださった関係者の方々のご協力、そして勇気に心から感謝致します。


 写真:議員会館の部屋でアウンサンスーチーさんと電話対談をする私。


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アウンサンスーチーさんと電話対談をしました①

2011年02月21日 12時40分05秒 | 政治
 2月15日夜、アウンサンスーチーさんと電話で話すことができました。彼女はビルマの民主化運動の指導者でノーベル平和受賞者でもあります。1996年にスーチーさんと直接お話しする機会があったこと、また、外務委員会において昨年11月に行われた総選挙の正当性について政府に質したなどの経緯があり、電話会談が実現しました。

 ビルマの方々が直面している人権侵害の解決と民主化の実現のため、日本としてどのような貢献ができるか、それは日本外交の大きなテーマのひとつです。質の高い経済外交の推進-基本的人権や環境の保全に配慮したインフラ整備と、環境技術の移転や、法整備支援、水を供給するシステムなどをパッケージで輸出することによって、ビルマに対する経済協力のレベルを向上させることも日本の役割ではないか、そんな問題意識を持って質問をしました。非常に柔軟な考えであることがわかり、心強く思いました。通信状態が必ずしも良くなかったこと、また私の英語力の問題や、経済制裁の質問と回答の部分を訳してくださったビルマ人の方の通訳が意訳であったなどの制約はありますが、貴重な意見なので、会話の一部を再現したいと思います。


阪口直人:
 衆議院議員の阪口直人です。Daw Aung San Suu Kyiさん。再び、お話しする機会を頂き、ありがとうございます。

 実は私は、1995年にあなたが自宅軟禁を解除された後、1996年まで自宅前で行っていた対話集会に4回参加し、質問をしたことがあります。私はあなたのスピーチを録音し、あなたの思想を学生や友人と共有するため、ビルマ人の友人に日本語に訳してもらいました。
あなたはマハトマ・ガンジーの非暴力・不服従運動について話していましたね。あなたが支援者の方々と作り上げていた崇高な雰囲気に心から感激しました。私の専門分野は「平和構築」で、紛争後の現場で、民主化支援や開発に関わる仕事をしていました。あなたの活動を最も効果的に支えるため、いくつかの質問をしたいと思います。

アウンサンスーチー:
 ありがとうございます。あの集会はとても素晴らしいものだったと思います。あなたがあの場所にいらっしゃったこと、嬉しく思います。

阪口直人:
 では、まずは、経済制裁に関して質問させて頂きます。NLD(国民民主連盟)は2月8日、欧米諸国からの経済制裁続行支持を発表しました。一方で、あなたは昨年の選挙後、ビルマの人々が望むのであれば、経済制裁解除について西側のリーダーと話し合う意向を示しました。

 中国、タイ、インド、韓国などの投資が目立つ中、私は特に中国の投資の飛躍的な拡大に危惧を抱いています。中国はビルマの天然資源を求め、両国の軍の間の連携が強化されていると報道されています。もし、欧米諸国の経済制裁が続き、中国をはじめとする人権侵害に対して意識の低い国々が経済協力を独占した場合、現政権の後ろ盾としての地位が一層強いものになり、結果的に民主化を遠ざけることになるのでは? と心配しています。

 日本は、正式な経済制裁はしていないものの、日本企業は経済活動によって、人権侵害を深刻化させる可能性を危惧し、どのような行動をすべきか迷う状態が続いています。

 日本政府は、今、各国への投資に関して新しい方向性を探っています。私たちはインフラの輸出とパッケージで人間の安全保障を向上させるプロジェクトを実施することで日本の独自性を生かそうと考えています。環境技術の移転や、法整備支援、水を供給するシステムの構築など、日本が得意とするプロジェクトを経済協力と同時に行うのが私たちの新しい考え方で、ビルマにも適用したいと考えています。

 民主化を進める上で中国の影響力増大についてはどのように考えていますか? また、現政権のもとでは、どのような投資、経済協力ならば受入れ可能と考えるか、あなたの考えを聞かせてください。


 写真:自宅前で対話集会を開いているビルマの民主化指導者・アウンサンスーチー氏。 6年にわたる自宅軟禁を解除され、この日はビルマ人自身によって実現すべき民主化のプロセスについて、ガンジーの非暴力運動を題材に、時にユーモアを交えて語っていました。当局への密告を恐れず集まった聴衆と共に作り出していた温かい雰囲気が印象的でした。(1996年3月撮影)



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