阪口直人の「心にかける橋」

衆議院議員としての政治活動や、専門分野の平和構築活動、また、趣味や日常生活についてもメッセージを発信します。

福島第一原発周辺で感じたこと

2011年08月03日 23時43分42秒 | 政治
 
 8月1日は環境委員会の視察で福島県の廃棄物処理の状況を視察。さらに福島第一原発20キロ→3キロ圏内まで入り、状況を確認しました。何度も被災地に入ってきましたが、ここまで原発に接近したのは初めてです。人々が完全に退去し、廃墟になった町並み、野生化した牛の群れ。異様な状況に、原発事故の恐ろしさを再認識しました。新たな発見は、原発まで5キロ前後、施設が見えるような地域でも、郡山市や福島市よりも低い0.25マイクロシーベルトの地域もあった半面、3キロにまで接近すると、車両の中でも28マイクロシーベルトと急上昇するなど、数値が距離に比例して上昇するわけではないことです。原発から20キロ圏内の警戒区域であっても、場所によっては人々の生活を戻せる可能性があることも強く感じました。



写真:原発5キロ地点にて。この場所の線量なら、防護服は不要です。

 原発は、私たち人類がコントロールできない技術であり、原発依存を改める必要があること。だからこそ、再生可能エネルギーの比率を高める努力と、当面の代替エネルギーの開発を急ぐ必要を改めて感じました。私は、日本の優位性を活かす鍵は、再生エネルギーを安定させるための蓄電池技術の推進と標準化のための戦略にあると思います。また、液化天然ガス(LNG)のコンバインドサイクルシステムが代替エネルギーとしては最適でしょう。CO2の削減を目指す上でも優れたシステムだと思います。


写真:再生可能エネルギーの視察にはこれまで8回参加しました。風力、地熱、小水力、太陽光、バイオマス、また蓄電池システムを視察しましたが、これは一番近い、国会の屋上にある太陽光パネルを見学した写真です。

 もうひとつの視察テーマはがれきの処理について。市長が率先して放射線物質に覆われた場所を削り取るプロジェクトを進行中の伊達市、さらに警戒区域を含む南相馬市を訪ねました。

 がれき処理のスピードについては「阪神大震災時に比べて遅い」とのご批判をよく受けます。しかし、がれき処理の主体である地方自治体は本当によくやっていると感じました。そもそも阪神大震災時との比較には無理があります。まず、部外者にとってはがれきであっても、被災者の方々にとっては思い出が詰まった貴重な品々が埋まっている、安易には捨てがたいものです。地震とは違い、津波のがれきは広範囲に散らばり、所有者の特定がが難しいことも作業を困難にしています。東日本大震災の被災地は阪神大震災の40倍を超える広さでもともと多くが過疎地域である上に、山が迫っていて、仮置き場の確保も困難です。さらに放射能による汚染の恐れもある中、丁寧に分別をして、できる限りリサイクル措置を行い、それを地元の雇用に結び付ける努力も行っているのです。私は、今のペースが早いとは言えないまでも、「阪神大震災と比べて」との批判には違和感を感じます。


写真:木材ガレキはチップにして主にバイオマス燃料に再生される予定です。

 自治体が行う努力を最大限活かすため、議員としてできることがさらに明確になりました。引き続き全力で取り組んでいきます。