阪口直人の「心にかける橋」

衆議院議員としての政治活動や、専門分野の平和構築活動、また、趣味や日常生活についてもメッセージを発信します。

友好国の台湾だからこそ、漁業資源と環境を守れるルールの確立を

2014年03月03日 22時00分04秒 | 政治
 2月25日、沖縄北方特別委員会で日台漁業取り決めについて質問しました。

沖縄北方特別委員会で岸田外相に質問(衆議院インターネットTV 計20分) 

 昨年4月に締結したこの取り決めは17年にわたって協議が積み重ねられて、海洋生物資源の保存と利用、また操業秩序について同意に至ったものです。しかし、尖閣問題で中国と台湾が連携しないことを優先してクロマグロの好漁場を割譲し、漁業高や操業ルールなどについては棚上げされて見切り発車になった結果、漁民の間で大きなトラブルが起きています。私たちは沖縄プロジェクトチームの調査で2月10日、石垣島でクロマグロのはえ縄漁を行う漁民の方々にヒアリングを行いました。漁民の方々によると、日本側は約15隻の船が環境や漁業資源に配慮しながら行っていたが、台湾からは日本側の数倍の大きさの20~50トンの台湾が数百隻来るようになって乱獲を行っていること。マグロのはえ縄漁は数十キロにわたって網を流すのですが、台湾側は縄が太いので日本側は切られてしまう。そうすると一回の被害額が数百万円になり、とても漁に出られない。また、明らかに魚が減っているなどと切実な声が寄せられました。

 東日本大震災の後、台湾で集められた義援金は総額170億円以上。東日本大震災一周年追悼式典で台北駐日経済文化代表処の関係者を紹介する会場アナウンスがなかったという失態を演じました。当時の野田佳彦首相は参院予算委員会で、「本当に申し訳ない。行き届いていなかったと深く反省する」と陳謝しましたが、 台湾の楊進添外交部長は「野田佳彦首相の新聞寄稿などで日本の謝意は伝わっている。義援金は思いやりの結果で感謝を得る目的ではない。(日台)関係は花束一つで揺るがない」と立法院(国会)で答弁するなど、心にしみる対応をして下さる国です。


 だからこそ、関係を壊さないための厳格なルール作りが必要です。漁民の方々が求めているのは決して補償ではなく、安心して、希望を持って漁ができる環境の確保です。後継者がいなくなっては安全保障上も大きな問題になるわけですから、状況改善のため、早急な対応が必要です。






*会議録がアップされたので添付します。


○阪口委員 日本維新の会の阪口直人でございます。

 きょうは、日台漁業取り決めについて質問をしたいと思います。

 昨年の四月に締結をいたしまして、これは、十七年間にわたって協議が積み重ねられて、海洋生物資源の保護、そして利用、また操業の秩序について同意に至ったこと、関係者の御努力には敬意を表したいと思います。

 一方で、漁業高や操業ルールなどについては棚上げをされて、見切り発車になった、このことによって、台湾漁船と沖縄の漁船との間に多くのトラブルが生じていると聞いております。

 一方、この一月に日台漁業委員会を開催して、今後守っていくべき操業ルールについて一致をしたという説明も聞いております。

 ただ、私たちは、現場で漁をする方々の声を聞く必要があると思いまして、党内でプロジェクトチームをつくりまして、石垣島で、特にこの海域で漁をしていらっしゃる漁師の方々にヒアリングをし、また意見交換を行いました。その結果、大変に多くの不満を持っていらっしゃることがわかりました。きょうは、そこで得た問題意識をもとに質問させていただきたいと思います。

 まず、昨年四月に締結したこの取り決めですが、何でそんなに急いだんだという根本的な疑問を漁師の方々はお持ちです。先ほども申し上げました、基本的にはやはり、こういった取り決めは漁業高また操業ルールなどがしっかりと決められることが先決だと思うんですね。ところが、漁民の方々は、いや、それは後から知ったんだ、こういった大変に大きな不満がありました。

 なぜ、ルールを後回しにして、先にこの取り決めを結ばなければいけなかったのか、まずその点についてお伺いをしたいと思います。

○岸田国務大臣 日台の民間漁業取り決めですが、この議論は、日台双方の民間窓口等が中心になりまして、実に十七年間にわたって議論を積み重ねてきた課題であります。ですから、今回、昨年四月、署名に至ったわけですが、十七年間にわたって、双方の民間窓口のみならず、双方の漁業関係者、さまざまな関係者の議論を経、意見を承った上で今日に至った、署名に至った、こういった経緯をたどってきました。

 その間、当然のことながら、地元の漁業者の方々の御意見も承ってきたわけですが、ただいま御指摘になられましたように、署名後も地元の漁業関係者の皆様方からさまざまな懸念が表明されているということ、このことはまず真摯に受けとめなければならないと思っています。

 昨年四月に署名を行った。要は、この適用水域等の枠組みが決まったわけですが、その中での操業ルールにつきましては、その後も議論が行われたということであります。漁業関係者の皆様方にも参加をしていただきながら、日台漁業委員会において、適用水域における操業ルールについて、先月、一月に合意に至った、こういった経緯をたどってきました。

 この議論の進め方とかいうことにつきましては、これは十七年間のさまざまな経緯、議論の積み重ねの結果だと承知をしております。そして、まずはこうした取り決めが円滑に実施されることを期待したいと思いますし、政府としましては、しっかりとした適切な支援を、必要であれば行っていかなければいけないと思っています。

 そして、この取り決めにつきましては、これから、こうした枠組み、そして操業ルールにおいてさまざまな漁業が実施されるわけでありますが、実施を見ながらレビューが行われるものだと承知をしています。こうしたレビューに基づいて必要な見直しを行っていくものだと承知をしておりますし、これは基本的には民間の取り決めでありますが、そういった方針で、ぜひ円滑な操業につなげていただきたいと思いますし、政府も、引き続きまして適切な支援を行う、こうした思いで見守っていきたいと考えています。

○阪口委員 十七年間かけて協議をしてきた、その部分にフォーカスすると、これは確かに大変に長い議論を経て決まったということだと思います。

 ただ、我々の印象、また漁業に携わっている方々の印象としては、尖閣の問題において中国と台湾を連携させない、そういった政治的な大きな課題を克服するために、日々この海で操業している自分たちは切り捨てられたんだ、だから拙速に事を運んで、ルールなどは後回しになってしまったんだ、そんな思いを強く感じたわけでございます。

 一方で、この取り決めについて、馬英九総統は、東シナ海で四千五百平方キロの操業区を拡大させた、尖閣の主権に関しては全く譲歩はしていないが、漁業権に関しては大きな進展を得たことは政府の努力の結果であると、国民党関係者の会合で述べております。

 この認識というのは、日本政府の認識と同じと考えてよろしいんでしょうか。

○岸田国務大臣 まず、委員の今の御質問の中で、今回の合意が尖閣諸島をめぐる動きに関連しているのではないかという御指摘がありました。

 この点につきましては、台湾は、中国と連携しないという立場、これは昨年四月の署名の前、二月ごろにもう既にこういった立場は表明されていると承知をしています。ですから、この御指摘は当たらないのではないかと考えております。

 そして、こうした取り決めの評価について、同じ認識なのかという御質問でございますが、これにつきましては、十七年間の長きにわたって議論を積み重ねてきた、そして今回結論に至ったことは、日台双方の実務的協力の充実ぶりを示す歴史的な出来事であると我々は認識をしております。

 ぜひ、こうした取り決めが円滑に進められることを期待したいと思っています。

○阪口委員 冒頭に申し上げましたように、私は、政治的判断で、恐らく官邸主導で行われたのではないかと思いますが、この取り決めを行ったことで、尖閣問題について、一つの日本側の意思を示したということについては評価をしたいと思っています。

 ただ、どちらにしても、日々生活をしている、この近海の海から糧を得ている漁師の方々に話を聞く限りにおいては、大変な不安を持っていることも事実であります。

 ちょっと現状を申し上げると、この海域には、日本側の船は大体十トン未満で十五隻程度であるということですが、台湾からの船が、二十トンから五十トンのはるかに大きな船が数百そうにわたって来るということなんですね。マグロのはえ縄漁業というのは、数十キロから百キロに近い、大変に長い網を流すわけですけれども、台湾側はこの網が大変太いので、操業が重なると切られてしまう。そうすると、一回の被害額が数百万円単位になってしまうということでございます。

 また、久米島西側の特別協力水域、今回の協定によって決められた地域では、結果的に、北緯二十七度を境に、北側は日本、南側は台湾の漁法で操業するということですが、台湾側は船と船の間隔が一海里であるのに対して、日本側は四海里離れなければいけないということについても、現地の漁民の方々は大変に不条理、不合理を感じている。

 さらに、八重山諸島北側の三角水域及び今申し上げた特別協力水域において、東経百二十四度から東側で漁を行う際に、日本側は五日前に通報しなければいけない。これも、どのような天候になるのかもわからない中で、五日前に通報するというのは現実的ではない、こういった、新しいルールに対しても大きな不満を持っているということがわかりました。

 政府は、漁業者の方々の意見も取り入れてという答弁ですが、どこのレベルの漁業者の意見を取り入れたのかということも含めて、少なくとも現場に出て漁をしている方々は、このことについては、不満というよりは、自分たちの生活権、生存権が脅かされている、そういった大変に大きな不安、恐怖感を感じている。このことについてどのように考えているのか、また今後対応していくのか、お考えを聞かせていただきたいと思います。

○岸田国務大臣 御指摘の操業ルールにつきましては、先ほど申し上げましたように、日台双方の漁業関係者も参加していただいた上で、日台漁業委員会の場を通じて議論をし、そして一致を見た、こうしたルールであります。

 こうした過程を経て定められたルールですので、ぜひ御理解をいただき、また、円滑な操業につなげていただきたいとは思っております。

 ただ、漁業の関係者、代表、どんな形で選ばれたのかという御指摘がありました。これはまさに、十七年間の議論の中で、関係者の皆様方の中でも話し合っていただき、どういったメンバーで議論をするのか、代表としてどなたを送るのか、こういったことが定まっていった結果であると承知をしております。

 いずれにしましても、こうしたルールにつきましてもさまざまな指摘があるということ、これはもう真摯に受けとめなければならないことだと思っています。民間の取り決めではありますが、ぜひ、引き続きましてこの実施状況については注視をし、そしてレビューを行い、必要であるならば見直しをしていかなければいけない、これは当然のことだと考えています。

○阪口委員 生の声をもう少し紹介しますと、マグロは当然、生き物でありますから、日本側、台湾側の水域を分けてはいるものの、本当に年によってとれる場所も違ってくる。また、数十キロから百キロに及ぶ網の長さでありますから、潮の流れによって、ぎりぎりのところで操業していてもどうしてもひっかかってしまう、もつれてしまうことがあるということですね。

 ですから、やはり、台湾側の数が余りにも多過ぎる、そして、いろいろな違反的な操業もしているということもあって総量規制をする、そして、ちゃんとルールを守っていることを前提に許可制にする、そういった新たなルールもないと、本当に貴重な資源が枯渇をしてしまう、そして自分たちが本当にこの海域で生活できなくなってしまう、そんな大変な危機感を持っているわけでございます。

 一月に新たなルールが決められたということですが、こういった考えを踏まえてさらにルールづけをしていくというようなそういった可能性はないんでしょうか。お答えください。

○岸田国務大臣 先ほども申し上げたように、こうしたルールのレビューは行われるものと承知をしております。レビューをし、必要であるならば見直しも行われるものだと考えています。

 そうした状況も、政府としましても、しっかり注視していきたいと存じますし、必要であるならば適切な支援は考えていかなければならないと思っています。

○阪口委員 網が切られてしまった場合などは、例えば沖縄漁業基金事業などで補償するといったことも政府から提案していただいている、このこと自体はありがたいことなんだと思いますが、しかし、そもそも、台湾側がルールを守って操業しているのかというようなことに対してきっちり監視する体制がとれるのか、とれているのか、このことも大変に大きな課題だと思います。大変に広い海域でありますし、また、海の中でどのような状況になっているのか、これは簡単にはわからないことだとも思うんですね。ですから、先ほどの総量規制、許可制ということについては、ぜひ重く受けとめていただきたいと思います。

 私が話をした限りでは、彼らが求めているのは決して補償ではありません。自分たちが守ってきた、そして代々糧を得てきた海をしっかり守って、そして自分たちの後継者の方々にも、希望を持ってこの地域で漁をする、そういった環境を次の世代に引き継いでいきたい、そういった熱い思いというか、切実な思いを感じました。また、そういった漁民の方々の存在自体が、大変に政治的に微妙なこの海域の安全保障にもつながってくることと思います。

 ぜひ、この点を考慮していただいて、漁民の立場に立ったルールづくり、そして、トータルで安全保障を考えていく、そういった我が国の方針を示していっていただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。