阪口直人の「心にかける橋」

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北朝鮮政府を被告とした裁判の敗訴と歴史的な内容-原告・川崎栄子さんに話を聞きました

2022年04月14日 21時35分10秒 | 政治
 
 北朝鮮政府に対し、虚偽の情報での帰還の呼びかけや人権侵害等について損害賠償を求めて裁判を起こしていた川崎栄子さんにお会いして話を聞きました。

 在日コリアンの川崎さんは1959年に始まった帰還事業で北朝鮮に渡り、43年後に脱北。2014年春、中朝国境地域を1週間一緒に歩いて頂き、ご自身が脱北した現場などを案内して頂いたことがあります。

 報道では敗訴と大きく報じられましたが、今回の判決の画期的なことは東京地裁が朝鮮民主主義人民共和国の金正恩総書記を被告として、虚偽の宣伝による『勧誘行為』を犯罪を認めたことです。時効により、損害賠償権は消滅したとのことで敗訴になりましたが、例えばドイツではナチスによる戦争犯罪に時効はありません。日本が人道支援、人権外交を大きな柱にしていくなら「人権の問題に対しては時効はない」との政治判断をして欲しいとの川崎さんの訴え、その通りだと思います。
北朝鮮の勧誘活動を犯罪行為と認めた以上、日本政府には、帰還事業への関与が誤りだったことを認め、帰還事業で北朝鮮に渡った人を対象とした救済法を作って欲しいと川崎さんは訴えています。

 北朝鮮政府は今、新型コロナの防疫を理由に中朝国境地域には中朝国境を流れる豆満江と鴨緑江の全域に鉄条網とコンクリート壁を設置。国境を完全封鎖しています。2019年までは、国境まで来れば、家族は中国の携帯電話を借りて川崎さんと話すことができたそうですが、国境が封鎖されたことで携帯電話レンタルのビジネスもなくなり、現在、12人の子どもと孫の安否がわからないそうです。自分が道を拓いて日本に呼び寄せるつもりだったそうですが北朝鮮でどのような状況下で生活しているのかわからないのがつらい。私には時間がないと声を詰まらせていました。

 2014年5月のストックホルムでの協議では、北朝鮮は日本人妻の帰国を打診したが、拉致問題の解決が先と日本政府が断ったと川崎さんは言います。
家族に会いたいと切望するのは現地に残された日本人妻の方々も同じです。日本人妻は概して長生きで、死ぬ前に一度は日本に戻って家族に会いたいという執念だけで生きている方がまだ残っているそうです。80代、90代になり残っている人は僅かですが、帰国が可能になるように政治は最善を尽くして欲しいとの声、何度聞いても心に刺さります。
(白黒写真は林典子『朝鮮に渡った日本人妻 60年の記録』より本人の了解を得て掲載。)


川崎栄子さんと。公園でお話を聞きました。


帰還事業で北朝鮮に渡った日本人女性(北海道大学の学生の時の写真です)


国境の豆満江で洗濯をする北朝鮮の女性たち。まだ雪が残る寒さの中、川に入って髪を洗う女性もいました。


#北朝鮮帰還事業
#脱北
#拉致被害者