劉文兵『中国10億人の日本映画熱愛史』(集英社新書、2006年8月)
タイトルには「日本映画」とありますが、その他ドラマやアニメも含めた日本の映像作品が中国でどのように受容されていったかがテーマとなっています。
映画『サンダカン八番娼館』や『おしん』の評論・感想に、「この作品を見て、日本の軍国主義が中国人民のみならず日本人民にも災難をもたらしたということが初めて実感できた」というような文言があることらわかるように、日本映画は中国人の日本理解に大きな役割を果たした。日本映画ブームが過ぎ去った後は、『東京ラブストーリー』などトレンディードラマがその役割を引き継ぎ、中国人に日本への憧れを掻き立てた。「日劇」ブームが過ぎ去った後は日本アニメが注目されるようになったが、中国の若者たちは日本のアニメを日本という国とは切り離して受容しており、日本の映像作品によって日本の内情を理解するという構図が崩れてしまった……というのが本書の主旨です。
以下、本書で面白かった指摘を箇条書きで。
・中国では伝統的にマッチョな男らしさは低次元なものと見なされているので、カンフー映画でもしばしば男性ではなく、女性がカンフーの使い手を演じることとなった。また女性が立ち回りを演じることによって暴力性が緩和されるという効果もあった。
……『児女英雄伝』なんかはまさにこういう考え方に沿って書かれた小説ですよね。
・コン・リーはデビュー当初、中国の山口百恵として売り出された。
……彼女が主演した作品として『テラコッタ・ウォリア』も取り上げられてます。まさかこういう本でこのタイトルを目にするとは(^^;)
・『おしん』は、中国では子役が演じる少女時代ではなく、大人になってからのサクセスストーリーの方が受けが良かった。
……中国人が市場経済を受け入れるマニュアル代わりになったとのこと。
本書でもあちこちに当時の日本映画・日本ドラマブームと、現在進行形の韓国ドラマブームを対比するような記述が出て来ますが、あと2~30年もすればこういった形でアジアでの韓流を回顧するような本が書かれるのでしょうか。
タイトルには「日本映画」とありますが、その他ドラマやアニメも含めた日本の映像作品が中国でどのように受容されていったかがテーマとなっています。
映画『サンダカン八番娼館』や『おしん』の評論・感想に、「この作品を見て、日本の軍国主義が中国人民のみならず日本人民にも災難をもたらしたということが初めて実感できた」というような文言があることらわかるように、日本映画は中国人の日本理解に大きな役割を果たした。日本映画ブームが過ぎ去った後は、『東京ラブストーリー』などトレンディードラマがその役割を引き継ぎ、中国人に日本への憧れを掻き立てた。「日劇」ブームが過ぎ去った後は日本アニメが注目されるようになったが、中国の若者たちは日本のアニメを日本という国とは切り離して受容しており、日本の映像作品によって日本の内情を理解するという構図が崩れてしまった……というのが本書の主旨です。
以下、本書で面白かった指摘を箇条書きで。
・中国では伝統的にマッチョな男らしさは低次元なものと見なされているので、カンフー映画でもしばしば男性ではなく、女性がカンフーの使い手を演じることとなった。また女性が立ち回りを演じることによって暴力性が緩和されるという効果もあった。
……『児女英雄伝』なんかはまさにこういう考え方に沿って書かれた小説ですよね。
・コン・リーはデビュー当初、中国の山口百恵として売り出された。
……彼女が主演した作品として『テラコッタ・ウォリア』も取り上げられてます。まさかこういう本でこのタイトルを目にするとは(^^;)
・『おしん』は、中国では子役が演じる少女時代ではなく、大人になってからのサクセスストーリーの方が受けが良かった。
……中国人が市場経済を受け入れるマニュアル代わりになったとのこと。
本書でもあちこちに当時の日本映画・日本ドラマブームと、現在進行形の韓国ドラマブームを対比するような記述が出て来ますが、あと2~30年もすればこういった形でアジアでの韓流を回顧するような本が書かれるのでしょうか。