博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『世界史をどう教えるか』

2008年06月01日 | 世界史書籍
神奈川県高等学校教科研究会社会科部会歴史分科会編『世界史をどう教えるか 歴史学の進展と教科書』(山川出版社、2008年3月)

ここ2、30年で長足の進歩を遂げた歴史研究。本書では現役の教員がその最新の成果を紹介しつつ、それをどのように高校の世界史教育に取り入れていくのかを模索しています。

中公の新版『世界の歴史』やこれまた新版の『岩波講座世界歴史』といったシリーズ本を取っかかりにして、各時代・地域別に問題点をあれこれ挙げておりますが、全体を通して感じたのは、マルクス主義的歴史観に基づいた歴史教育というのはとにかくストーリーが明快で、それを疑問にさえ思わなければ、教える側にとっては非常に楽だったんだなあということです。

そしてそういう分かりやすいストーリーほど問題があるということが認識されるようになった現在では、世界史は(あるいは日本史も)生徒の側はもちろん教師にとっても難儀なシロモノになってしまっていんだなあと改めて認識した次第…… 

内容として興味深かったポイントは以下の通り。

○インドの「カースト制度」と「ヒンドゥー教」はイギリスによる植民地支配の時代につくられたものであり、かつ現代のインド社会を語るのに必須のファクターではない。

○現在の世界史は近現代史と東西交流史に特化した2単位の世界史Aと、各時代・地域を満遍なく学習する4単位の世界史Bに分かれているが、世界史Bの教科書も世界史Aの影響を受け、東西交流史にかなりの紙幅を割くようになっている。

○これまで産業革命については、封建的社会が市民革命によって解体され、資本主義的生産関係が普及することが産業革命の前提となるといったような、発展段階説の文脈の中で位置づけられてきたが、近年の教科書では世界の一体化という文脈の中で位置づけられるようになった。

中国史では、出土資料によりこれまで『史記』の記述に依拠していた古代史が書き換えられつつあることや、杉山正明氏らの一連のモンゴル史研究をどう組み入れていくか、そして現在の教科書では明清期を中国史の枠組みではなく地域間交流史の枠組みで取り上げられるようになっているといったことなどが論じられ、平勢隆郎氏の学説もチラッと紹介されております(^^;)
コメント (2)
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関西幇会2008年5月

2008年06月01日 | 旅行・オフ会・展覧会
今日は関西幇会に参加してました。

難波の上海新天地でショッピングの後、道頓堀の故郷羊肉串店で食事というコースでしたが、上海新天地に立ち寄るとついついDVDに手が出てしまいます(^^;) 色々と見たい作品をためこんでいるにも関わらず、前々から気になっていたドラマ『大明王朝1566』と、夏商周断代工程を取り上げたCCTVのドキュメンタリー『遠古年輪』(こちらはDVDかと思いきやVCDでした)を購入。

故郷羊肉串店は最近元の店舗から三軒ほど隣に移転したということでしたが、以前よりかなり広く、きれいな内装になっていましたね。ここで羊肉の串焼きのほか、焼きマントウなる料理を賞味。焼きマントウはまるでダブルソフトのような味わいでしたが、マントウではなく単にダブルソフトを焼いているだけではないかという説も(^^;) 
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