博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『另一種古史』

2009年03月08日 | 中国学書籍
楊暁能著、唐際根・孫亜氷訳『另一種古史 ―青銅器紋飾・図形文字与図像銘文的解読』(生活・読書・新知三聯書店、2008年10月)

殷周青銅器の紋様・図形文字(金文の中で図像記号とか族徽などと呼ばれる絵文字のようなもの。具体的には私が昔作ったこちらのページを参照。)・図像銘文(蟠龍紋など青銅器の底などに描かれたもの)の役割に迫った書。著者は北京大学を卒業後ワシントン大学に留学し、美術史・考古学を専攻したとのこと。本書も英語で書かれたものを中国語に翻訳したものです。

青銅器の紋様は殷代以前からの動物を自らの部族の遠祖として崇拝するという「汎神動物崇拝」を背景として、王朝や各方国などのトーテムを図案化し、動物神霊への崇拝を示したものだった。しかし周王室の遠祖は文献上でも巨人とされ、このような「汎神動物崇拝」と関係が薄く、西周期以後紋様は抽象化され、青銅器の役割も動物神霊への崇拝を示すメディアから列鼎制度に示されるように王侯貴族の身分・等級の標識へと役割が変わっていった。

図形文字には従来から指摘されていた族徽(貴族の紋章)のほか、卜占の記録、祭祀の記録といった役割を持っていた。図像銘文も紋様と同様に動物神霊への崇拝を示したものだが、紋様と図形文字を折衷するような役割を担っていた。

こういった説が本書で指摘されています。特に図形文字に関しては発想は非常に面白く、魅力的であるものの、論証が質・量ともにかなり不足しており、また図形文字の中で最も有名な、いわゆる「析子孫」(こちらのページの上段の一番右端)に関してもその意味合いを説明していないなど、問題が山積みです。まあ、今後の議論の叩き台になり、後進に仕事を残したという意味では良い論考なのかもしれません(^^;)
コメント (2)
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