遠藤誉『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』(岩波新書、2011年4月)
中国でのネットをめぐる状況を扱った本ということで、「08憲章」から「中国茉莉花革命」まで近年の主要事項は一通り押さえています。しかし「河蟹」とか「五毛党」といったネット用語が頻出する割には全体的にお上品な論調なのは、著者が年配(遠藤氏は1941年中国長春(!)生まれ)だからでしょうか、それとも岩波新書というパッケージのなせる業でしょうか(^^;)
ネットでの言論を担う「80後」「90後」(それぞれ1980年代・90年代生まれの世代)は良くも悪くも権利意識が強い現代っ子で、政府を転覆させようとは思ってないが、政府に服従しようとも思っていないという状況。著者から近年の反日デモがいわゆる官制デモではないかと問われた政府高官が「そもそも最近の若者が政府の言うことを聞くと思いますか。もし素直に政府のヤラセに応じるようなら、中国政府は苦労しません」というコメントを発したというくだりには笑ってしまいましたが。
それに対して当局側もさるもの。胡錦濤に至っては国家主席になる前の2000年からネットの力と危険性を見抜き、ネット統制の下準備を進めていたとのことですから、やはりこの方面にぬるかった北アフリカや中東の指導者とは訳が違いますね。本書を読んでいると、当局と網民たちとの戦いは一方がもう一方を圧倒するという形で結末を迎えることはないように思えてきますが……
中国でのネットをめぐる状況を扱った本ということで、「08憲章」から「中国茉莉花革命」まで近年の主要事項は一通り押さえています。しかし「河蟹」とか「五毛党」といったネット用語が頻出する割には全体的にお上品な論調なのは、著者が年配(遠藤氏は1941年中国長春(!)生まれ)だからでしょうか、それとも岩波新書というパッケージのなせる業でしょうか(^^;)
ネットでの言論を担う「80後」「90後」(それぞれ1980年代・90年代生まれの世代)は良くも悪くも権利意識が強い現代っ子で、政府を転覆させようとは思ってないが、政府に服従しようとも思っていないという状況。著者から近年の反日デモがいわゆる官制デモではないかと問われた政府高官が「そもそも最近の若者が政府の言うことを聞くと思いますか。もし素直に政府のヤラセに応じるようなら、中国政府は苦労しません」というコメントを発したというくだりには笑ってしまいましたが。
それに対して当局側もさるもの。胡錦濤に至っては国家主席になる前の2000年からネットの力と危険性を見抜き、ネット統制の下準備を進めていたとのことですから、やはりこの方面にぬるかった北アフリカや中東の指導者とは訳が違いますね。本書を読んでいると、当局と網民たちとの戦いは一方がもう一方を圧倒するという形で結末を迎えることはないように思えてきますが……
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