博客 金烏工房

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『花間提壺方大厨』その6(完)

2017年09月24日 | 中華時代劇
『花間提壺方大厨』第二季第13~最終18話まで見ました。

方一勺と沈勇は家族だけで結婚式をやり直すことに。


床入りの前に一勺が母親から伝えられたという「酸・甜(甘い)・苦・辣(辛い)・咸(塩辛い)」の五つの味のスープを飲む二人。

しばし幸せな雰囲気に包まれる沈家府ですが、皇帝の誕生日の宴を控える都では、太子が皇位継承のライバルである二皇子と一勺を陥れようと陰謀を練っています。太子はやはり一勺の母親への憎しみが捨てられない模様……

そして「黄老板」こと太子から沈勇夫妻に都への招待状が届きます。一勺の武芸の師匠の老道士(彼はまた莫風堂の師に当たる模様)から、この黄老板の正体が太子であること、そして一勺の出生の事情を知らされた沈勇らですが、敢えて招待を受けて虎口に飛び込むことに。


一勺は「黄老板」から二皇子を紹介され、皇帝への誕生日のお祝いとして母親から伝えられたこの「翡翠煲」を振る舞うことになります。「翡翠煲」はかつて皇帝が一勺の母親の「琴姫」こと雲清から振る舞われた思い出の料理のひとつで、皇帝の心の急所に触れることからその怒りを買うに違いないというのが太子の目算でしたが、結局思い出の料理を食べたことで二皇子が皇帝から激賞され、また皇帝と対面した一勺の名前から、彼女が雲清と皇帝との間の娘に違いないということで、公主として迎えられることになります。

「一勺」の名前はかつて雲清と皇帝が二人で開いた「一勺宴」にちなむものだったようです。ここで沈勇が、都にやってきた老道士に「一勺の父親は伝説の宮廷料理人方大厨なのか、それとも皇帝なのか?」と尋ねますが、老道士は「んなことワシが知りたいわ」と投げやりな返答 (^_^;)


一勺は更に宮廷の宴で母親の「一勺宴」を再現して見せますが、ここで太子が「一勺は本当に皇帝の血を引いているのか?溶血(親と子の血を水に浸して血が交わり合えば親子であることが証明されるという例のアレ)で確かめよう」と言い出します。ここで親子でないとなれば、皇帝を騙したということで一勺が処刑されかねないという場面ですが、ここで沈勇が乱入。「先に皇帝が一勺を公主とした時には、誰も一勺が皇帝の血を引いているかなんて問題にしなかったのに、今になってそんなことを言い出すのはおかしい」と反論します。要するに議論の枠組みの設定自体が間違っているというわけですね。

結局一勺の血筋は問わず、皇帝の義女とすることで一件落着となりかけますが、ここでこれを不満とした太子が配下の将兵を動員してクーデターを試みるが、その動きは沈勇も皇帝も把握済みで、太子はあっさりお縄に。宮廷でしばし過ごした後に東巷府に戻る途中で一勺が懐妊したことが明らかとなり、更に一勺が男女の双子を出産してから六年の時が過ぎ……

【総括】
ということで『みをつくし料理帖』とか『チャングム』みたいな感じを期待していたら、いつの間にかよくある公案物とか宮廷物になって拍子抜けした感じですが、ギリギリ料理物であることを忘れずにゴールしたという感じですね。中国で本作を「良心劇」と評価する向きもあるようですが、話の作り自体は丁寧で、確かに作り手の良心を感じました。

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