博客 金烏工房

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『琅琊榜之風起長林』その9(完)

2018年03月25日 | 中華時代劇
『琅琊榜之風起長林』第47~最終50話まで見ました。

蕭元啓配下の何成・狄明によって掌握された巡防営と東湖羽林営によって金陵城が制圧され、新帝や幼い弟たちの身柄が押さえられます。荀太后は狄明によっていつぞやの疫病の一件に関与していたことを告発され、自害を促され、剣で腹を刺して自ら命を絶ちます。この人、やっぱり綺麗なクイーン・サーセイだなあと……

新帝は退位の式典に引き出され、元啓に皇位を譲ることになりますが、その頃、琅琊山を下りた平旌と荀飛盞は各地で長林軍の旧部を吸収して勤王の軍を組織し、新帝から玉璽を託されて密かに金陵城を脱出した岳銀川と合流。元啓への譲位の直前に金陵城下へと迫ります。

ひとまず退位の式典を中止し、平旌らの潜入に備えて夜半自ら新帝を見張る元啓ですが、夫の所行に絶望した安如が宮城より飛び降り自殺。その混乱の最中に平旌と荀飛盞は新帝を救出して元の長林王府へと逃れますが、巡防営に包囲され、邸宅内で昔平旌が偶然に発見して父より酷く叱られたという抜け穴から逃亡。その後を追う元啓が見たものは……


「梅長蘇」

平旌と元啓との戦いの行方は?そして平旌が最後に下した決断は……

【総括】
ということで明日より日本語版の放映を控えておりますので、結末は省略(あんまり省略してないとか言わないで下さい)。手堅くまとまってはいるし作りは丁寧だし前作へのリスペクトもあるが、何かが足りない、全体的に綺麗な『ゲーム・オブ・スローンズ』だな、前作が90点だとすれば今作は75点ぐらいかと思いつつ見ていましたが、中盤あたりから「スリーパー・セルなんてこういうフィクションの中の存在ですよ?」と言いたげな描写が出てきたり、公文書の役割を見せつけられるような展開が出てきたりと、中国ドラマで時々見られるなぜか放映・配信当時の日本の政治や社会とシンクロしてしまうという謎現象を発生させたことにより、一気に本作の評価が高まりました (^_^;) 何だかんだと言いつつ前作と同様に「持ってる作品」ということになるでしょうか。

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4 コメント

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Unknown (Unknown)
2019-07-04 12:56:23
度々すみません。あの故意の疫病蔓延は酷かったですよね…狄明よくぞやってくれました、まさに家族郎党の敵討ちですね、映像的には中高年女性としては綺麗なんだろうけど、厚化粧のヒステリーの太后を滅ぼしてくれて感謝感激です。ドラマって、敵方にも感情移入できてこそ深みが広がると思うんです。荀太后兄妹はちょっと残念だったわ。兄は根は悪い人ではなさそうなんですが、我欲我欲で小人物だし、天下国家を語るにはあれじゃ寒すぎます。中小役人ならあれで良かったかも。しかも、「めんどりが時を告げると国が滅ぶ」を絵に描いたような太后で、漢の皇帝に「幼帝の母が権力をふるうと後々困る」との進言を容れて、世継ぎの皇子の生母の妃を産後、罪無くして処刑した皇帝がいましたが、小さい子を残して、邪魔だから産んだら死ねなんて、それもずいぶん酷い話ですが(静妃みたいに大人しい母親かも知れないのに)荀太后みたいなおばさんが多かったんでしょうね、歴史的に。手が付けられなくて持て余してたんだと思います。あれなら産後処刑しても良かったかと…w林府も長林府も私利私欲という概念がそもそも無くて国境防衛の職人将軍みたいなもんだから、そのまま守らせておけばよかったのに、と思います。辺境の警備なんて報われない命がけのしんどい仕事です。経験も必要だし人材育成大変でしょう。その辺の見極めが出来ないのが権力を失いたくない!人間の欲なんでしょうね。梅長蘇の父に当時の皇帝が疑念を抱いたきっかけが、「許可なく勝手に兵を動かした!」でしたが、今回も似たような話ですね 詔に反して予定通りの戦を展開した、みたいな罪状で子供皇帝も結局荀白水についてましたね 反抗心はあるけど経験だけでなく、人間としての器と勘の無い子ですからね、あの子供皇帝は 年をとっても慈悲と洞察が身につかないタイプぷじゃないのかな、と思って見ています、ママに似たかな?国境線なんてタイミング逃したら終わるのに、いちいち離れた都の皇帝の許可待ってたら手遅れで大失敗するのに、つくづく現場への理解が無いなあ…と。これ、サラリーマン社会でもよくある話ですね。人間って学習しないなあ、と思いながら見ていました。詳しく解説していただいて有難うございました。
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Unknown (Unknown)
2019-07-04 13:19:01
すみません、それとこの作品中、わりと元啓好きでした。ちょっと眠たい顔をしていますが、頭は良いし状況も良く読めてる、確かに陰険ではありますが、あの役はかなり演技力のある人じゃないと無理なんじゃないかな、一番難しいかも?平章はピカイチの爽やかな華のある男前で、そういうの合う俳優さん多いと思うのですが、裏切り役って一番難しいと思います。(平章の俳優さんは中国では演技力が無いと言われているそうです、悲劇の武人岳飛にせよ、美味しい役のはずなのに確かに空っぽな感じがして個人的には退屈でした、少しにやけた口元が実直な武人に見えないのが損しやすいかな?)「あの女の息子よりオレの方が皇帝にふさわしい!」は一部始終を見てた彼としては確かにそう思うだろうな、ということでちょっと同意です 外国勢力と手を結んで、は危険な諸刃の刃ですけどね…誉王と一緒で先走り過ぎ失敗しましたが…長林王府より元啓のほうが危険だったわね、太后様 でもそもそも祈王の血筋を朝廷要人で残したい!というのは、梅と武靖帝の個人的な贔屓ですし、そしたら悲劇の誉王の遺腹の子だって特別扱いで戻れるか?とか考えたら残念皇族の子孫を残そう!なんて中国の歴史じゃキリがないんですけどね。梅は林殊の後継ぎとしての国境防衛の後継者がほしかったんでしょう。(私は個人的に、武靖帝の柳皇后が、我が子を脅かす年上の存在として不安を感じ庭生を殺そうとするんじゃないかなと前作の最後で思っていました。でも、違いました。旦那の教育が行き届き、次代までは無事だったんですね)日本でも光源氏などの例がありますが、皇位を継ぐわけじゃないんだけど特別扱いの皇族、っていうのは生き残りが難しいなあ、ベースが個人的な贔屓だから、皇帝が代替わりして贔屓してもらえなくなったら邪魔者扱いだからなあ、どのみち浮くとつくづく思いました。次の皇帝だって自分の好みで贔屓を決めたいですからね。長林王は実力があったのにそれも裏目に出た感じ。朝廷闘争がイヤなら、あまり朝廷に向かないタイプかも、注目薄い中堅職人将軍位でいたほうが長生きできたかな、庭生。朝廷で争う気が無いなら引退しては?という老閣主は早くから良く見抜いていましたね。有難うございました。
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Unknown (さとうしん)
2019-07-05 20:22:14
鑑賞のお役に立てたようで何よりです。庭生に関しては、実は本人が祁王の遺児であることを知っているかどうかはっきりしない部分があるんですよね。掖幽庭に入れられたのはおそらく物心がつく前でしょうし、長林王に封じられたのも祁王の子としてではなく、おそらくは武靖帝の養子としてでしょうし。周囲の人間も庭生の出生について知っているのかどうか… 作中で長林王府が警戒されていたのも、強大な武力を握った権臣としてなのか、皇位継承権を持つ存在としてなのか、ちょっとわからないところがあります。
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Unknown (さとうしん)
2019-07-05 20:40:17
1作目と2作目の溝が埋めきれてない部分が多々あるので、飛流や江左盟はどうなったのかとか、荀氏一族がどうやって成り上がったのかとか、言氏一族は没落してしまったのかとか、色々気になっています。
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