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博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『漢武大帝』その5

2009年03月13日 | 中国歴史ドラマ
『漢武大帝』第30~37話まで見ました。

大月氏国へと向かっていた張騫ですが、マンマと匈奴側に捕らえられてにされ、おまけに漢から新たに送られてきた和親公主に接見しようとして阻止される始末。しかし張騫の苦難はまだまだ始まったばかりなのであります…… で、この和親公主が速攻で本物の公主ではなく単なる宮廷侍女であったことがバレてしまい、漢と匈奴との関係は一気に険悪化。

国内では少し前から体が弱っていた竇太后がいよいよ危篤状態となり、武帝に母の王太后が長兄劉栄の死に関わっていたこと、そして今後は王太后の政治干渉に気をつけるように言い残して死去。そして竇太后の憂慮の通り、王太后が出しゃばってくるわけであります。これまでは隠忍自重して良妻賢母キャラを演じていた彼女ですが、このあたりから急速に館陶長公主みたいな鬼ババキャラへと変わっていきます(^^;)

そして竇太后の甥の竇嬰と王太后の異父弟田蚡(この時代の貴人にはこういうややこしい家族関係が多いわけですね。武帝自身にも金俗という異父姉がいますし。)との抗争が激化。竇嬰を支援する灌夫が宴席の場で田蚡を侮辱し、更には穎川で彼の一族が好き放題していることが問題となり、その処遇をめぐって武帝の面前で両者が激論を交わしますが、双方が互いを告発し合い、2人ともそれぞれ後ろ暗い面があることが発覚。

しかし王太后の横槍で灌夫の死罪と竇嬰の投獄が決定。こんなのでいちいち処遇が引っ繰り返るなら、あの激論は何だったのかという気もするわけですが(^^;) そこで竇嬰はこれまで密かに保管していた「もしも王太后やその一族がかつての呂氏のように政治を壟断するようなことがあれば、非常の手段を取ってもよい」という内容の先帝の密詔を公にする決心をしますが……

ということでこの2人の対立の決着がどうなるのか物凄く楽しみであります。って、基本史実に沿ってますからオチは大体分かっているわけですが(^^;) で、今回のツッコミ所。

○軍臣単于の息子で、武帝の甥でもあるということでなかなか面白い立ち位置だった于単ですが、あっさり漢の兵士により射殺されて退場。……史実では和親公主との間の子というわけではなかったようですが、こういう設定にした以上もう少し生き延びさせて漢と匈奴との間を立ち回る場面を見たかった気が。

○漢の公主と偽って匈奴に送られてきた宮廷侍女の小倩ですが、漢の捕虜から得た情報により匈奴側は早々に彼女の身元を察知。で、匈奴の重臣が確認のために彼女に「小倩」と呼びかけてうっかり「はい」と返事をしてしまい、本人が自分で認めたということで偽公主として処刑されることに……このシーン、どう見てもギャグにしか見えないんですが……

○武帝の面前で自分の告発状を竇嬰と取り合う田蚡。……まるで子供の喧嘩ですが、見ていてなかなか微笑ましいシーンです(^^;)
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金庸公式サイト

2009年03月12日 | 雑記
宣和堂さんのブログで知ったのですが、徳間書店が金庸公式サイトを開設していた模様。しかも去年の段階でブログまで出来ていたとは……

そういや以前やっぱり徳間書店が金庸のサイトを作っていたり、金庸のケータイサイトなんてのもあったけど両方ともいつの間にか無くなっていたなあと思い出した次第。しかし今になってこういうものが出来るということは、文庫版の反響がそれなりにあるということなんでしょうか。
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周潤発が孔夫子に

2009年03月10日 | ニュース
さっきテレビを見てたら、何か『雍正王朝』『漢武大帝』で有名な胡玟が映画『孔子』を制作予定で、周潤発(チョウ・ユンファ)が孔子を演じるというニュースが流れてました。

『ドラゴンボール』での亀仙人役とあまりのギャップの激しさに何だか頭がクラクラしてきました(^^;) 番組では『男たちの挽歌』や『グリーンデスティニー』など周潤発がこれまで出演した作品が紹介されてましたが、『パイレーツオブカリビアン』と『ドラゴンボール』は綺麗にスルーされてましたね。中国的にはこの2作品は周潤発の黒歴史的な扱いなんでしょうか……

既に新浪網の映画紹介サイトも開設されております。
http://ent.sina.com.cn/f/m/kzjscx/index.shtml

監督の胡玟は『雍正王朝』では官吏の腐敗、『漢武大帝』では漢民族の興隆と中華民族の形成というテーマを描いていましたが、(『漢武大帝』はまだ最後まで見ていませんが、おそらくこれが作品全体のテーマだと思います。)今回の映画ではどういうテーマを設定しているのか、またこの題材で果たして面白い作品になるのか気になるところです(^^;) 昔NHK-BSで孔子のドラマを放映してましたが、雰囲気は出ていましたけど内容は物凄くつまらなかったしなあ……
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『漢武大帝』その4

2009年03月09日 | 中国歴史ドラマ
『漢武大帝』第23~29話まで見ました。

武帝は日々の憂さ晴らしのために姉の平陽公主のもとに遊びに行きますが、そこで衛子夫・衛青姉弟と出会い、2人を自分のもとに引き取ります。

しかし皇后の阿嬌とその母館陶長公主の目を盗んで衛子夫を寵愛するのは至難の業で、結局見つかっての身分に落とされることに…… それでも彼女が武帝の子を宿していることが判明し、再び後宮に戻ると、今度は腹いせに弟の衛青を拉致しようとする始末。館陶長公主、栗妃を追い落とした件といい相変わらずやることがえげつないです……

武帝は改制については一旦あきらめ、今度は対匈奴対策を進めることに。衛青らと精鋭部隊の羽林軍を組織して自ら調練し、遥か西方の大月氏国の存在を知ると側近の張騫を大月氏国に派遣し、匈奴との挟撃を図ります。ここから張騫の苦難の人生が始まるわけであります……

その一方で段々老衰してきた竇太后の目を盗んで閩越国に攻められた東甌国への救援を敢行。これが勝利に終わったことで今まで竇太后に握られていた兵権が武帝に委譲。彼はこれをバネに本気で対匈奴強硬政策を推進することに……

ということでやっとこさ話が明るくなってきたところで今回のツッコミ所。

○平陽公主の屋敷で衛青対郭解というある意味夢の対決が…… 郭解は武帝時代の大物侠客ですが、本作では梁孝王や劉陵に仕えていたりと、かなりオリジナル要素が強いですね。しかし郭解と互角の勝負をしていた衛青が館陶長公主の手の者にあっさり猿ぐつわをかまされて拉致されかけたのは解せないところ(^^;)

○巴音さんが演じている軍臣単于ですが、取り立てて派手なシーンも無いままに息子の伊稚斜に殺害されて退場…… でもって伊稚斜単于がクーデターを起こす経緯が、冒頓単于が父親を殺害する話(部下に自分の愛馬や寵姫を射させて自分の命令通りにどんな相手でも射殺するように仕込み、最後に父の単于を射殺させたという話)をそのまんま取り入れてますね。もう少し捻りが欲しかったところですが。
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『另一種古史』

2009年03月08日 | 中国学書籍
楊暁能著、唐際根・孫亜氷訳『另一種古史 ―青銅器紋飾・図形文字与図像銘文的解読』(生活・読書・新知三聯書店、2008年10月)

殷周青銅器の紋様・図形文字(金文の中で図像記号とか族徽などと呼ばれる絵文字のようなもの。具体的には私が昔作ったこちらのページを参照。)・図像銘文(蟠龍紋など青銅器の底などに描かれたもの)の役割に迫った書。著者は北京大学を卒業後ワシントン大学に留学し、美術史・考古学を専攻したとのこと。本書も英語で書かれたものを中国語に翻訳したものです。

青銅器の紋様は殷代以前からの動物を自らの部族の遠祖として崇拝するという「汎神動物崇拝」を背景として、王朝や各方国などのトーテムを図案化し、動物神霊への崇拝を示したものだった。しかし周王室の遠祖は文献上でも巨人とされ、このような「汎神動物崇拝」と関係が薄く、西周期以後紋様は抽象化され、青銅器の役割も動物神霊への崇拝を示すメディアから列鼎制度に示されるように王侯貴族の身分・等級の標識へと役割が変わっていった。

図形文字には従来から指摘されていた族徽(貴族の紋章)のほか、卜占の記録、祭祀の記録といった役割を持っていた。図像銘文も紋様と同様に動物神霊への崇拝を示したものだが、紋様と図形文字を折衷するような役割を担っていた。

こういった説が本書で指摘されています。特に図形文字に関しては発想は非常に面白く、魅力的であるものの、論証が質・量ともにかなり不足しており、また図形文字の中で最も有名な、いわゆる「析子孫」(こちらのページの上段の一番右端)に関してもその意味合いを説明していないなど、問題が山積みです。まあ、今後の議論の叩き台になり、後進に仕事を残したという意味では良い論考なのかもしれません(^^;)
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『漢武大帝』その3

2009年03月05日 | 中国歴史ドラマ
『漢武大帝』第16~22話まで見ました。

景帝の同母弟で最大のライバルだった梁孝王が病死し、呉楚七国の乱で活躍した周亜父が謀反の疑いを問われて憤死。そして景帝自身も2人の死を見届けて力尽きるように病没。

こうして我らが武帝が即位するわけですが、私生活では母親の館陶長公主に甘やかされて育てられ、すっかり郭芙のようになってしまった陳皇后に振り回され、政治の方は儒学嫌いの太皇太后に頭を押さえられ、色々と面白くない日々を送っております。

で、第22話で突如青年役の杜淳から本来の主演陳宝国へと成長した武帝は太皇太后が離宮に行っている隙に朝廷の制度を儒教式に改めようとしますが、太皇太后に察知され、急遽長安に戻った彼女の指令で改制を取り止め、更に皇帝の腹心として改制を進めようとした儒者趙綰・王臧が罪に問われることになり、以後重臣はすべて太皇太后の息の掛かった者で固められることに…… 何か物凄い勢いで鬱展開に突入して行っているんですが(;´д⊂)

今回のツッコミ所

○武帝が各地の官吏から賢人を推挙させるいわゆる郷挙里選の法を実施し、推薦された人々を宮廷に集めて殿試をやるシーンがありましたが、郷挙里選は科挙じゃないっす……

○ここらへんから淮南王の劉安が登場し、娘の劉陵ともども帝位を狙って暗躍するわけですが、淮南王の劉安と言えば当然のごとく『淮南子』も登場。ドラマの中では一応こだわって『鴻烈』とか『淮南王書』などと呼んでいますが。

○史実通りとは言え、竇太后の儒学嫌いっぷりが異常。……まあ、劉邦とか竇太后とか漢初のおっさん・おばちゃん連中にとって、儒学はそれなりに「学問」として体系化されているのが何だか偉そうで気に食わなかったんでしょうなあ。逆に武帝はその体系的な部分に惹かれたんじゃないかと。
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2~3月の古装片

2009年03月03日 | 中国歴史ドラマ
長春に戻ったということで、久し振りのテレビ番組紹介です。

○鄭和下西洋
CCTV少児チャンネルで放映のアニメ。正直クオリティはショボいですが、鄭和の大航海をテーマに全52話のアニメを作ってしまうこと自体が驚きです。内容は鄭和が東南アジアの海賊を退治したり、島国の王族の揉め事を解決したりしてます。間違っても『三宝太監西洋記』みたいに妖怪が出て来たりはしない模様(^^;)

○漢字五千年
いつの間にか始まっていたCCTVのドキュメンタリーで全8集。最初の2集を見逃してしまいましたが、今日見た第3集では中国国内外での漢字の伝来がテーマでした。どうやら漢字の誕生と発展だけではなく、広く漢字文化の発達がテーマになっている模様。孔子学院が制作に絡んでいるとのこと。

○武林外伝
2006年頃にヒットした作品。武侠物でありがちな酒場を舞台にした1話完結型のコメディですが、白展堂とか郭芙蓉とか微妙にどこかで見たような名前のキャラが登場します(^^;) ノリが何となく吉本新喜劇に似ているような気が…… 長春に来てからこれまでも何回か再放送されてましたが、改めてじっくり見てみると普通に面白い。全80話と長丁場ですが、DVDが欲しくなってきました。

○程咬金
これも数年前の作品だと思いますが、この間まで見ていた『隋唐英雄伝』と同じ元ネタを程咬金を主人公として作り直したような作品。前半のオリジナルエピソードが冗長なのが残念。
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『漢武大帝』その2

2009年03月01日 | 中国歴史ドラマ
『漢武大帝』第9~15話まで見ました。

息子の劉栄が皇太子となったことで早くも皇后気取りの栗妃。景帝の姉館陶長公主にも偉そうな態度を取ったことで彼女の怒りを買い、栗妃の兄を騙して栗妃を皇后に冊立するよう上奏させ→景帝激怒→劉栄を廃太子にして臨江王に冊封、栗妃を廃妃のコンボで栗妃母子を政治的に葬ってしまいます。宮廷はまっこと恐ろしか所です……

太子廃位で景帝の弟劉武(梁孝王)がいよいよ自分に太子の地位が回ってくる番だと策動し始めたのを見て、景帝は改めて聡明な質の十男の劉彘を皇太子に冊立。彼を劉徹と改名し、儒者衛綰を師として帝王教育を開始します。すなわち本編主役である所の後の武帝であります。

しかしそうなると前太子の劉栄が目の上のタンコブだということで、景帝の意を承けた酷吏郅都がささいなことから劉栄を捕らえ、自殺に追い込みます。しかしそれが景帝の母の竇太后の怒りを買い。景帝はやむを得ず郅都を中郎将から匈奴との最前線である雁門の太守へと左遷。晁錯の件と言い、景帝が部下にすべての責任を押っつけるシーンが目立ちますなあ……

そして4年後、劉徹少年は杜淳へと成長しました(^^;)



『大旗英雄伝』で鉄中棠を演じていた人です。この人、特に人気があるという話も聞いたことがないのですが、去年から今年にかけて放映された『敵営十八年』や『走西口』といった中央電視台の政治ドラマの主演に抜擢されてます。やっぱり父親で俳優の杜志国の七光りなんでしょうか…… 

で、この劉徹青年がいっちょまえに儒学と黄老の学との間の矛盾に悩んだり、匈奴に対する漢の弱腰ぶりに憤ったりしております。

今回のツッコミ所

○勉強の合間に春画を眺める皇太子劉栄。……この時代にもこんなものがあったのかよ!しかしこの手の猥褻物は発掘などで発見されても発掘報告などではスルーされてしまうと聞いたことがあるので、いっぺんその手の図録で調べてみる価値がありそうですね(^^;)

○子供たちの中でも最もかわいがっている劉武を皇太子に据えようとする竇太后に対し、空気を読まずに君主の位の兄弟相続が歴史上どんな惨劇を生んだかという話を延々と続け、皇太后を卒倒させた袁盎。……しかしそんな彼も劉武の手の者に暗殺されてしまいますが。

○郅都を追い詰めたり、儒者の轅固生を豚と対決させたりと暴走が止まらない竇太后。……史実通り黄老の学を愛し、儒学を排斥しようとしますが、このドラマの『老子』の扱われ方って、どうも相田みつをの詩とか自己啓発系ビジネス書みたいな感じなんですが(^^;) まあ、実際そんなもんだったのかもしれませんが。
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