青葉横丁の三河屋はいつも満員で座れない
この日 覗くと客が少なかった のれんをくぐる
「すみません予約があるので」 やはりダメだった
仕方なしにその奥の空いている店に入った
引き戸を開けると「注文はちょっと待って」「順番があるから」
先客の注文がすんでからでないと忘れてしまうのだろうか
お預けされた犬のように待った となりは一人旅で蒲郡から来た女性
同じように待っていた この店はグルメ雑誌に載っているという
前日は「富士宮やきそば」今日は「静岡おでん」と食べ歩きしているそうだ
最近そういう人が多くて 栃木から来た人もいると女将が口をはさんだ
私は姫路まで行ったと自慢すると「あそこは生姜醤油でたべる」と知っていた
順番が回ってきた 「はいあなた」掌を上にして左手を差し出し注文を取った
やっと「おでん3っつとビール一本」ありつけた その後にお通しがでた
女将は元バスの車掌だという手の上げ方や仕切り方にも名残があった
それ以上注文する気もない 早めに切り上げた
一人旅の客もほかに寄る店があると先を急いだ