興味がある題名だった 売れている本らしい
三軒目の本屋にあった 五木寛之著『下山の思想』
山は下りてこそ次の山頂を目指すことができる
登山して下山する それが山に登ることの総体である
どんなに深い絶望からも人は立ちあがざるをえない
核に汚染された大地にも雑草は生え 樹木は根づいてきた
私たちの再生の目標は経済大国と言う頂上を目指すのではなく
実り多い成熟した下山こそ思い描くべきではないのか
目指すのは山頂ではなく出発地点だ
安全に 優雅に出発点に戻り いつか再び次の山頂を目指す
時代は下山にさしかかっている そのことをマイナスと受け止める必要はない
一国の歴史も時代もそうだ 文化は下山の時代に成熟する
下山は遠くを見渡せる 足元に咲く花も撮れるどこか心に余裕が生まれる
自分の人生の来し方 行く末を思うことができる
実りある下山の時代を見事に終えてこそ 新しい山行きの計画もできる
ちゃんと下山する覚悟の中から新しい展望が開けてくる
本より抜粋