甘えの構造

「仕事を探しているのに仕事がありません。」とご相談者

「どんな仕事でもよければありますよ。」と私

「それが無いんですよ。たったのひとつも無いんです。」と相談者

「あれっ？弊社も求人広告を出していますよ」と私

「だって、先生の会社の仕事は難しそうですもん。」と相談者

「営業でもたくさん出ていましたよ。住宅とか生命保険とか・・・。」と私

「あっ！私は営業には向いていないんです。口下手ですから。」と相談者

「介護の関係もありましたよ。」と私

「福祉の関係の仕事が出来るほど私は崇高な精神の持ち主じゃないんです。」と相談者

「軽トラでの運送業もありましたが・・・。」と私

「雨の日でも外に出ないといけないでしょ。嫌なんですよ。雨に濡れるの。」と相談者

「飲食関係も求人が出ていましたよ。」と私

「あっ！料理はムリムリ！だって包丁すら握ったこと無いんですから。」と相談者

「板前さんをしなくてもホール係だってありましたよ。」と私

「私は愛想良く、客に『いらっしゃませ～』なんて言えませんよ。それに嫌な客もいるって聞くし。」と相談者

「何か自分のやりたい仕事とかやってみたい仕事とか無いんですか？」と私

「そうですねぇ～。やっぱり給料が良い方がいいですね。それに休みもちゃんと取れるのがいいな。」と相談者

「まだ望みがありますか？」と私

「強いて言えば、客に媚（こび）売らなくて良い仕事とか、責任が重過ぎないのがいいですね。」
「あっ！あと優しい先輩がいいですね。意地悪な先輩のいるところは嫌です。」

「本当に働きたいんですか？」と私

「本当に働きたいんです！でも、求人が少な過ぎて嫌になっちゃいますよ・・・。」と相談者

「私が知るところでは、○○（相談者）さんのメガネに適う職場は無いですね。いいところがあると良いですね。」と私

「本当に早く不景気が終わってくれないですかね。仕事がしたくても働く場所が無いからいやになっちゃいますよ～。」と相談者

「一日も早く良い仕事があると良いですね。」と私

ご相談者は、話が出来たことに満足したのか、足も軽やかに部屋を出て行かれました・・・。
その後姿を見て、私の心が重くなってしまったのは言うまでもありません。

「最近の若者は…」って、年老いた証拠！？

褒め殺しをしなさいとは言いません。
しかし、昨今の人材育成において必要とされるのは
褒めて育てるというやり方です。

一昔前までは
叱って育てる
突き放して育てる
厳しく育てるという育て方が主流でしたが
最近では、正しい育て方ではないと言われています。

最近の若者の話をするようになったら
それは歳を取った証拠と言いますが
それでもかまわずに今の若者たちの話をしたいと思います。
ひょっとすると親世代である私たち自身の事を言っている事になるかもしれませんが…。

最近の若者は根性が無い
最近の若者は感性が低い
最近の若者は忍耐が無い
最近の若者は・・・
無いない尽くしにされてしまう最近の若者ですが
なぜそのような若者になったか…

それは
テレビの見過ぎ
テレビゲームのし過ぎ
インターネットのし過ぎ
ただ面白おかしいだけの漫画の読み過ぎ
そんなところにあるように思います。

全てに共通する事は
大量の情報をそのまま脳に焼き付けられ
考えなくても直接脳に答えを訴えかけられる所にあると思います。

結果、考えない
考える必要が無い
感じない
感じる必要が無い
思いもつかない
そんな脳を作られてしまうのです。

言ってはいけないと思いながらもついつい出てしまう一言
「最近の若者は…」
その一言の前に
「最近の親世代は…」
そんな言葉について真剣に考えないといけないようです。