信州生坂村「山紫水明 食と文化癒しの郷!」

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全国治水砂防協会 第6回砂防現地視察と討論会

2017年10月19日 | 私の活動報告
 19日(木)午前10時前に熊本空港に着きましたので、中村朝日村長さん、柳島大鹿村長さん、大久保根羽村長さんと私で、熊本城の復旧状況を視察に行きました。



 熊本市の大西一史市長さんは、地震で被災した熊本城の天守閣を平成31年までに再建し、20年後には城全体を地震前の状態に戻したいとの目標を示しています。全体の復旧費用は600億円を超えるとしているとのことです。熊本市は、今年中に城全体の復元工事の基本方針を策定し、3割で修復が必要な石垣や、損傷した国指定重要文化財など建造物の復元を図るとしています。

▽ 熊本城の復旧工事が進んでいる状況と被災の状況等を視察し、熊本城の雄大さと地震災害の甚大さに驚きました。














▽ ボランティアの方から教えていただき、熊本市役所14階へ行って撮影しました復旧工事の模様です。






 その後、午後0時30分に熊本駅に、午後1時20分に熊本空港に、長野県支部からは6名の市村長が参集し、平成28年4月に発生した熊本地震による土砂災害の被災現場等を視察し、災害対応、警戒避難のあり方などについて討論会を行います「第6回砂防現地調査と討論会」が始まりました。

▽ 最初に南阿蘇村立野の立野川地区の土石流災害現場に行き、南阿蘇村吉良村長さんと熊本県土木部の方々から説明をしていただきました。この地区は、幅約100m、長さ約350m、崩壊土砂量約7.7万㎥の土砂崩落により、死者2名、人家10戸の被害に遭われたとのことでした。そして、新所川4堰堤、立野川1上流堰堤・下流堰堤の3基の堰堤を計画されていて、山林ですので地権者が分かる場所へ設置するように対策工事等を進めているなど詳しく説明していただきました。






▽ 次に同じく南阿蘇村立野地区の阿蘇大橋の大規模斜面崩落現場に行き、九州地方整備局熊本復興事務所の方々からの説明を伺いました。この地区の崩壊規模は、長さ約 700m、幅約 200m にわた って崩壊し、斜面下部に位置する国道 57 号と JR 豊肥本線が約 300m の区間に渡り遮断し、国道 57 号に接続する阿蘇大橋も落橋しました。なお、被災前後の LP 計測データの標高差分解析によって崩壊土砂量は約 50万㎥と推測されるとのことでした。
崩壊地内への工事用道路の整備、崩壊斜面上部に残る不安定土砂の崩壊による二次災害を防止するための崩壊斜面中腹に上下2段、長さ約 200m の土留盛土の施工 、崩壊地内での復旧作業の無人化施工などを詳細に説明いただき、霧が掛かっていましたが、斜面崩落の規模の大きさに驚愕しました。










▽ 初日の最後の視察は、南阿蘇村河陽地区の高野台の地すべり災害現場に行き、熊本県土木部と南阿蘇村の方々から説明をしていただきました。
 この地区は発生した地すべりにより、死者5名、人家10戸全壊、道路、水道、農地など大きな被害を受け、崩壊の規模は最大で、幅100m、長さ370mとのことでした。発災後の地盤伸縮計、雨量計などの監視システムの概要、地すべりに対しては、災害関連緊急事業として、排土工及び法面処理工の地すべり対策工を施行する計画など、詳しく説明を受けました。






▽ バスの中からも地震被害箇所や復旧工事箇所を視察し色々な説明を受けました。






 視察後は宿泊先のホテルで、全国から19名の市町村長と地元市町村長、国土交通省、熊本県、南阿蘇村、全国治水砂防協会等の関係者で討論会を行いました。


▽ 岡本理事長さんから開会の挨拶をいただき、阿蘇市佐藤市長さん、南阿蘇村吉良村長さん、国交省栗原砂防部長さん、九州地方整備局竹島河川部長さん、熊本県田嶋副知事さんからそれぞれの立場よりご挨拶をいただきました。












▽ 熊本県土木部松永砂防課長さんが「平成28年熊本地震の概要~土砂災害への対応~」と題して、資料に沿って説明していただきました。
 熊本地震で震度6弱以上を観測した自治体は県内21市町村に上り、観測史上初めてとして、震度6弱以上の地震が7回、うち震度7は28時間内に2回発生しました。そして、被災市町村人口は、阪神・淡路大震災の約2倍の率になり、県人口の約83%、約148万人で少なくても県民の10%以上が避難されたとのことです。人的被害は、死者244人、重傷者1,162人、軽傷者1,553人で計2,959人であり、住家被害は、全壊8,664棟、半壊34,364棟、一部損壊153,744棟で計196,772棟とのことであり、未曽有の甚大が被害概要にただ驚くばかりでした。
 熊本地震による土砂災害の概要は、我々が視察した地区の他にも地すべり、急傾斜地の崩壊などが多発し、発災から梅雨入りまで期間が短かったことから、二次災害による人的被害を防止する対策を中心に実施されたとのことでした。その他にも警戒避難のための市町村支援、現場安全点検、土砂災害危険住宅移転促進事業などについて説明を受けました。


▽ 次に九州地方整備局河川部地域河川課 鹿毛調整官さんが「九州における最近の土砂災害について」と題して、資料に沿って説明していただきました。
 平成20年から29年までの土砂災害発生件数は、九州で2,650件、死者・行方不明者数が74名でして、全国では10,345件で同336名とのことで、全国の土砂災害の26%で同22%が九州で発生しているとのことでした。
 熊本地震発災後は、熊本県の要請を受けて、さらなる土砂災害の防止、今後の警戒避難、応急的な対応に資することを目的に、TEC-FORCEにより、震度6強以上を記録した13市町村を中心に、緊急度の高い危険個所1,155箇所の緊急点検を実施しました。
 そして、県知事や13市町村等への結果報告、土砂災害対策アドバイザー班による活動状況、南阿蘇村周辺の主な土砂災害と応急対策状況、山王谷川砂防堰堤が約20,000㎥の土砂を捕捉して被害を軽減した状況、今年7月の九州北部豪雨の状況なども詳しく説明していただきました。


▽ 最後は、南阿蘇村総務課西元主幹さんが「土砂災害に対する警戒避難等の対応と課題について」と題して、資料に沿って説明していただきました。
 平成24年の九州北部豪雨、28年の熊本地震、地震後の梅雨期の大雨による土砂災害の発生状況、被害状況と当時の警戒避難対応を説明いただき、その後防災・減災に対する取組として、避難勧告等発令基準を明確化して、迷わず緊急情報を発令できるようにし、基準を明確化したことで職員の防災意識が高まったとのことでした。
 そして、大雨と地震による土砂災害を経験して、大雨・台風は、予防的避難等で対応可能であり、何時起きるか分からない地震は、ソフト対策では限界があり、砂防ダム等の建設で未然に防ぐハード対策での対応が必要であることから、ソフト対策・ハード対策両面から対策を講じ、自分の身は自分で守る「自助」の精神を徹底していかなければならないなどと説明をしていただきました。


▽ その後、予定時間を超過して我々首長から多くの質問・意見が出され、それぞれに担当の方々から回答をいただく討論会を行いました。
 主なものは、山の手入れが行き届かず流木被害が甚大化しているので、今後の森林政策や用地調査等を進めるべき、南阿蘇村の予防エリアの分け方、東日本大震災で多くの方々が避難されて来て大変であった経験から、日頃の訓練の要請、災害体験の記録、検証、継承の必要性、災害復興基金によるきめ細やかな対応、避難指示発令の判断の難しさ、タイムラインの策定の重要性などの意見が出され、それぞれにお答えをいただきました。
 本日の現地視察と討論会は、観測史上初めての未曽有の熊本地震の大規模な土砂災害、人的被害や家屋被害などに驚愕し、災害関連緊急砂防事業等で対策工事を進めていましたが、まだまだ復旧・復興には歳月が掛かると感じました。
 防災・減災対策において、大地震で起きるイレギュラーな災害、激甚な被害など自然の猛威に対処するには、ハード・ソフト両面の対応でも困難なことがあることを認識しましたが、日頃から防災意識の向上に努め、有事の際に適時的確な対応をするために、ハード・ソフト事業の更なる推進、防災訓練の重要性を改めて痛切に感じました。




▽ 写真は前日の昼時間に撮影しました万平集落上空からの風景です。



 その他生坂村では、保育園でいもほり、小学校で児童会、児童館でスポッちゃお、山口医師訪問診療などが行われました。