30日(木)は清々しい青空が広がり、昼間はカラッとした暑さの一日でした。
午前10時20分から、東京大学大学院情報学環 特任教授 片田敏孝氏が「荒ぶる自然災害に向かい合う~平成30年7月豪雨にみるこれからの防災~と題して講演されました。
平成30年7月豪雨は、多量の水蒸気の2つの流れ込みが西日本付近で合流し、梅雨前線の停滞・強化などによる持続的な上昇流が形成され、各所に発生した線状降水帯も形成されたため、膨大な雨が降り、風化した花崗岩「マサ土」「コアストーン」で被害が拡大したなど、様々な要因が重なって甚大な災害になったとのことでした。
△ 片田先生が「平成30年7月豪雨にみるこれからの防災」の話をされているところです。
平成30年7月豪雨を契機として変わる「行政主導の防災」から「住民主体の防災」への転換として、行政主導のハード対策・ソフト対策には限界があり、住民主体の防災対策に転換していく必要があること、住民が「自らの命は自らが守る」意識を持って自らの判断で避難行動を取り、行政は、それを全力でサポートしなければならないこと、「人は人として逃げられない」から、「自分の命を守る」ことへの主体的な「姿勢」が大事であること、これからの地域防災の主体は住民であり、声を掛け合える地域でなければならないこと、自助、共助、公助が一体となって、自然災害に立ち向かう社会を構築すべきであることなど、「釜石の奇跡」を起こした事例も話され、今後の防災対策の参考になりました素晴らしい講演でした。
総会では、議案として平成30年度収支決算審議が上程され、報告として、平成30年度事業報告・公益目的支出計画実施報告、令和元年度事業計画報告・収支予算報告が上程され、それぞれ原案通り承認され、役員改選は理事・監事・評議員が決まり、総会中の理事会で綿貫民輔会長が再任、鈴木俊一氏、岡本正男氏、椎葉晃充氏が副会長として新任、大野宏之氏が理事長に新任され、尾見博武氏が常任監事と再任され、長野県関係は、宮下一郎衆議院議員さんが理事に新任され、私が監事に再任されました。
△ 全国治水砂防協会の綿貫民輔会長さんが、昨年は7月豪雨や北海道胆振東部地震はじめとして、3,500件に迫る過去最大の土砂災害が発生し、161人の犠牲者が出て、被災された方々にお悔やみとお見舞いを申し上げ、被災地の一日も早い復興を願うとともに、甚大な災害に見舞われたことに危機感を抱いていただいた皆さんの砂防への強い思いが1.3倍を超える今年度の予算獲得につながったものと確信し、砂防協会の果たす使命は不変であり、土砂災害から国民の生命財産を守るため、引き続き皆様と共に砂防事業の推進に取り組んでまいりますなどと挨拶をされました。
△ 工藤彰三国土交通大臣政務官が、我が国は四季折々に姿を替え、美しい姿に恵まれている半面、地形、地質、気象等の自然条件が厳しく、古来より多くの自然災害に見舞われており、昨年は西日本を中心とした豪雨や北海道胆振東部地震などにより、昭和57年の集計開始以来、過去最多となる年間3,459件もの土砂災害が発生し、161名の尊い人命が犠牲となりました。気候変動の影響により、更なる頻発激甚化する土砂災害から、国民の安全安心を確保することは国土交通行政の重要な使命であり、国土交通省では事前防災対策を進めるとともに、ソフト・ハードの両面から、防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策に集中的に取り組んでまいりますなどの祝辞を頂戴しました。
▽ 理事に就任された宮下一郎衆議院議員さんと応援に来られた務台俊介衆議院議員さんです。
△ 岡本理事長さんが、パワーポイントを使って、平成30年度事業報告等の議案を説明しているところです。
△ 総会後の功労者表彰では、多大な治水砂防関係のご貢献・ご尽力に対し、5名の皆さんが表彰され、我が長野県治水砂防協会 前理事の泰阜村の前村長松島貞治氏も表彰されました。
午後1時30分からは、例年恒例の長野県砂防講演会が行われました。
私が長野県治水砂防協会の会長として、皆さんが一同に会し、最新の情報提供を受ける機会は、滅多になく、本日は、貴重な機会でございますので、ご傾聴をいただき、有意義な時間としていただきますようお願いするなどの開会の挨拶をさせていただき始まりました。
▽ 最初に国土交通省水管理・国土保全局 砂防部長 栗原淳一様から講演をしていただきました。
最初に、昭和9年長野県が砂防協会を設立し、県議や首長の皆さんが国にも協会の設立を要請し、昭和10年に全国治水砂防協会が創設されたこと、日本において砂防の重要さをいち早く説いた人物で「砂防の父」とも呼ばれる赤木正雄先生と元長野県議会議員 風間和夫さんとの関わり、田中角栄先生が第4の先生として赤木正雄先生のことを書かれていることなどをお聞きしました。
次に「雨の季節を迎えるにあたり」として、今までの災害時に避難した理由、周囲の人の行動が避難のきっかけとなった人の割合、昨年の災害で地域の住民や家族が声をかけあうことで避難が進んだ事例から、地域内での声かけにより避難する取り組み、最後に、5段階の警戒レベルの導入、警戒レベルの時間的な流れの問題点などについて説明していただきました。
▽ 次に一般社団法人全国治水砂防協会 理事長 大野宏之様から、理事長になられて初めての仕事として「土砂災害と砂防」と題して講演をしていただきました。
持続的・発展的な社会経済活動の基盤となる国土保全と、国民の生命・財産の保全を目的とした、砂防が目指すもの、もし砂防技術が無かったら、土砂が流下し、扇状地を形成され、川筋、河床が固定されない結果、洪水や土砂の氾濫が起き、勾配の急なところでは土石流が発生し、人が住めない状況となること、新潟県湯沢町の砂防施設のストック効果、広島市の土砂災害による地先砂防の必要性、明治時代からの多くの災害により、砂防関係の様々な法律の制定や改正、各事業の実施、TEC-FORCE等が発足された内容、7月豪雨災害による様々な影響と課題、土砂災害への備えとソフト対策、行政の「知らせる努力」と住民等の「知る努力」とが相乗的に働く社会システムの構築、砂防協会の事業の説明など、多岐にわたり講演していただきました。
△ 利根川水系砂防事務所 永田所長さんから、浅間山直轄火山砂防事業~火山噴火緊急減災対策~などについて情報提供していただきました。
△ 湯沢砂防事務所の赤沼所長さんから、信濃川下流水系直轄砂防事業の中津川流域における整備計画と取り組み等について情報提供していただきました。
△ 松本砂防事務所の石田所長さんから、稗田山の大崩壊、信濃川上流域19か所、姫川流域16箇所の直轄砂防事業・火山砂防事業等について情報提供していただきました。
△ 多治見砂防国道事務所の植野所長さんから、木曽川水系の長野県内14箇所の直轄砂防事業、御嶽山火山噴火緊急減災対策砂防計画等について情報提供していただきました。
△ 天竜川上流河川事務所の伊藤所長さんから、今年度からの天竜川中流地区地すべり対策などの天竜川上流直轄砂防事業について情報提供していただきました。
△ 長野県建設部砂防課の藤本課長さんから、「重要インフラの緊急点検」及び「3か年緊急対策」、「災害時支え合いマップ」「地区防災マップ」のイメージ、「災害伝承カード」の作成等について情報提供していただきました。
気候変動、大規模地震、火山噴火に伴う深層崩壊等の大規模土砂災害から、人命・財産の保護による安全安心な生活のために、防災・減災対策による施設整備と、災害からの避難に資する対応を迅速的確に行うための防災訓練など、国土の強靭化と地域防災力の強化の取組が重要であると感じました。
全国治水砂防協会、国土交通省砂防部、長野県砂防課等の皆さんにはお世話になりました。そして、参加された皆さんお疲れ様でした。
▽ 朝の写真は我が家の庭の風景です。
本日生坂村では、保育園で園庭開放、小学校で運動会児童係会②、中学校で1学期中間テスト・3年復習テスト、公民館で陶芸教室、山口医師訪問診療、生坂村農業振興地域整備協議会、農業委員会、夏期バドミントン教室、やまなみ荘・いくさかの郷・かあさん家打合せ会議などが行われました。