新年あけましておめでとうございます。
輝かしい令和7年の新春を、お健やかにお迎えのことと心からお慶び申し上げます。
日頃は、村民の皆さんには、村政運営にご理解とご協力を賜り、村民の皆さんとの協働による村づくりをさらに進めるために、それぞれのお立場でご支援、ご尽力を賜っていますことに心より感謝を申し上げる次第でございます。
さて政府は2025年度予算案の一般会計の総額を113兆円規模とすることを閣議決定されるとのことでございます。
来年度予算案は、防衛費の増額や高齢化による社会保障費の増加に加えて、金利上昇を背景に国債の利払い費などが増加することで、今年度の112兆5717億円を上回る113兆円規模ということであります。
一般会計の総額が110兆円を超えるのは3年連続で予算規模としては過去2番目の大きさになります。
予算案の中には、石破政権が看板政策に掲げる「防災庁」の設置に向けた検討と並行して、内閣府の防災担当の機能強化や災害時の避難所での生活環境を改善する事業なども盛り込まれる方向です。
また、「地方創生2.0」を推進するための交付金2033億円を計上する方針も固めました。
このうち自治体向けの自由度の高い交付金として、今年度当初予算の2倍に当たる2000億円を充当し、農林水産業や観光業の高付加価値化、買い物や医療といった生活サービス支援の充実など、自治体の創意工夫に基づいた事業に活用できるとのことでございます。
交付金以外では、地方大学の魅力向上や地域と継続的に関わる「関係人口」の創出など、地方への人の流れの強化に8億6000万円、地方創生を担う人材育成に6億円などを充てるとされております。
政府は来年度予算案について、2025年度の税制改正大綱を踏まえて与党とも詰めの調整を行い、年内の閣議決定を目指す方針とされております。
そして当村は、国の来年度の予算案も考慮しなければならない状況下、先月18日に令和7年度予算編成会議を開催いたしました。
「生坂村第6次総合計画」を根幹に「いくさか村づくり計画」を実施計画として進めています村政運営に加え、「生坂村まち・ひと・しごと創生総合戦略」も念頭におきまして、4つの重点事業等を継続して実施してまいりたいと考えております。
また、新年度は引き続き「脱炭素先行地域づくり事業」と「防災無線施設整備工事」の大型事業に加え、「やまなみ荘改修工事」も実施する年度であり、今年度より増額する当初予算編成になると考えております。
各部署でも当事業の関連する予算について計上してもらうため、課長会議等で調整をするとともに、4つの重点事業とともに、2050年カーボンニュートラルを目指すグリーン社会の対応、デジタル化や村の活性化に向けた各種施策の遂行、人口減少と少子高齢化の対策、防災・減災、災害に強い村づくりなどの各種事業に取り組むために、引き続き職員も知恵を出し創意工夫をして、真に必要とされる事業へ限られた財源を、効果的に配分し、村民のニーズに応えていきたいと考えているところでございます。
それでは、主に重点事業などの今年度の現状を報告し、新年の挨拶とさせていただきます。
最初に、「子育て支援事業」としましては、当村における保小中一貫教育について「生坂村一貫教育基本方針」に基づき、具体的な教育内容について検討してきまして、今年度から施設分離型の小中一貫型教育を始めております。
また、保育園・小学校・中学校・児童館と義務教育終了までの間、保護者と職員の連絡等のデジタル化により、保護者の利便性の向上、業務の省力化や負担軽減を図るため「CoDMON(コドモン)」の導入を始めております。
保育園、小・中学校の給食費無償化の継続とともに、保育園では、遊戯室に網戸の設置、プールフェンスの更新、交流室に洗面台の取り付け並びに給排水設備を整備し、園内の通信環境の整備、保育士の増員による保育体制の強化を進めております。
学校教育では、小学校に学級支援員の増員及びランチルームにエアコンを新設し、中学校の特別支援教室への改修工事並びに理科室にエアコンを新設し、多様化するニーズに伴い将来を担う子どもたちに、より良い教育環境を整備しているところでございます。
今年度は「第3期子ども・子育て支援事業計画」の策定年度となり、「こども家庭センター」の設置運営を見据え、国が策定しました「こども大綱」を勘案し、「子供の貧困対策推進計画」「少子化対策」「子供・若者計画」の一部を内包した「生坂村こども計画」を併せて策定し、こども真ん中社会の実現に向け、総合的な子ども施策を推進しております。
これらの取り組みによりまして、生坂村で結婚、出産、育児、教育が安心に一貫して受けられますように、従来の出産祝金・結婚祝金・入学祝金・奨学金貸付制度などによりまして、安心して健やかに産み育てられ、次代を担う子ども達が個性豊かに育まれる環境づくりと、教育の充実強化に努めているところでございます。
「福祉の村づくり事業」においては、今年度、帯状疱疹予防ワクチン接種、おたふくかぜワクチン接種の助成制度を新設し、新型コロナワクチン接種は、インフルエンザと同様に1,000円で接種できる様にし、福祉有償運送サービスの休日のタクシー利用に対し、料金の半額を助成しております。
介護保険制度では、介護予防の推進や地域包括ケアの充実を目指し、今年度から「第9期介護保険計画」がスタートし、保険料の基準額を400円引き下げ、月額6,300円に設定いたしました。
引き続き各種福祉サービスの提供などを通して、村民の皆さんの健康維持サポートや安心して暮らし続けられるよう、一体的なサービスを提供しております。
地域支え合い推進会議では、村内の移動サービスの周知について、「生坂村版地域交通のトリセツ」を作成し啓発をしております。
また、「いどばたキャラバン」を新たに始め、地域内での交流の場として開催するなど、今後も、住民相互の支え合いによる地域づくりの場として検討を重ねてまいります。
在宅で生活している要介護と認定された高齢者を介護しています家族に、介護用品の購入に係る費用の一部を助成します「家族介護用品支給事業」は、今年度も、要介護1・2と認定された方も助成対象に加え、助成額も増額し、対象となる介護用品も拡大いたしました。
そして、村民の皆さんには健康管理の意識を高めていただき、健康維持や介護予防に努めて健康寿命を伸ばしていただくなど、健康な暮らしの継続と福祉の充実による、高齢者の生活の安定に取り組んでいるところでございます。
スカイスポーツ公園上空からの風景
「産業振興事業」では、昨年4月に道の駅いくさかの郷が5周年を迎え、引き続き、農産物直売所とかあさん家により、村内で生産した安全・安心な農産物の販売や地元産の食材を使った料理を提供するとともに、特産品の安定した原材料の確保のために農業公社の農業機械を整備して、今後も地産地消や6次産業化を推奨し、「いくさかの郷」を拠点として、農産物等の出荷増により、農業振興、観光振興を進め、村民の皆さんの所得向上を図っております。
今年度から農山漁村振興交付金(最適土地利用総合対策)を活用し、地域ぐるみの話し合いによる最適な土地利用構想の策定を進め、その話し合いと意向調査の結果を生坂農業未来創りプロジェクト会議で検討協議し、各区の特色を活かした生坂スタイルの営農パターンを構築するために「地域計画」の策定を行っております。
高津屋森林公園では、新たにオートキャンプサイトの3区画の増設と、フリーキャンプサイトを改良し、キャンプ場の設置の効果により利用客も増加しております。
景勝地山清路では、山清路一帯を散策できる遊歩道の整備や案内看板を設置し、今年度は落石防止対策工事により、駐車場を整備し、当村の貴重な観光資源として活用を進めております。
村内の中小企業・小規模企業者の振興に関する施策について基本方針等を定めた「生坂村中小企業・小規模企業者振興基本条例」により、今後も、村、事業者、商工会、村民などが連携して、小規模企業者等の振興を図るとともに、商工会の事業運営や融資制度の継続支援などを通じた商工業者の活性化による村内経済の発展と村の商工振興を推進しております。
また、今年度も消費意欲の喚起と地元消費の活性化、村内事業者と村民の生活を継続的に支援するため、毎年度同様に50%プレミアム率の「いくさかマル得商品券スーパープレミアム」の発行補助を行いました。
「県営中山間総合整備事業」は、今年度日岐工区の農道及び水路工事を実施して、今後は、下生野工区の舗装工なども予定しております。
以上の農業、商工業、観光の振興、6次産業化等によります「産業振興事業」によって当村の経済の活性化を図っているところでございます。
地域活性化対策等事業」では、「デジタル田園都市国家構想推進交付金デジタル実装タイプ」の事業として、「申請簡単デジタル窓口簡素化事業」に取り組み、来庁者が申請書に記入せずに、住民票など各種証明書の発行や、住民異動届などの手続きができるようになり、職員の負担を軽減しつつ、住民サービスの向上、マイナンバーカードのメリットを享受できる取組を始めました。
空き家バンク制度の立ち上げ以来、所有者のご協力により70件ほどの空き家登録を行い、村内への定住を希望する方に紹介していますが、なかなか空き家が減少しない状況であります。
その様な状況下、先月、株式会社クラッソーネと当村が「空き家除却促進に係る連携協定」を締結し、解体費用の概算を算出できる「解体費用シミュレーター」を生坂村内で提供していただく中で、村民の皆さんや空き家所有者の相談に対応することや、空き家処分の進め方がわかる冊子を空き家所有者に提供することなどにより、空き家の除却や活用が促進されることを期待しているところでございます。
引き続き、村の空き家対策の方向性を示す「生坂村空家等対策計画」に基づき、「生坂村移住定住及び空き家対策事業補助金」等により、空き家対策を総合的に実施するなど、若者等の移住・定住対策事業に引き続き取り組んでまいります。
令和4年6月に「生坂村ゼロカーボンシティ宣言」を行い、脱炭素ロードマップを策定するとともに、環境省に「脱炭素先行地域づくり事業」を申請し、令和5年4月28日には脱炭素先行地域に選定されました。
当事業に関しましては、10区に出向き延べ31回の村民説明会を開催させていただきました。
当村が当事業を遂行することは、ゼロカーボンに向けて積極的に取り組むことであり、それによって生坂村の経済を活性化させるとともに、再生可能エネルギーの積極的な導入により、産業と雇用を創出し、村民の皆さんの生活と地域のレジリエンスが向上することに結び付くと考えております。
そして、脱炭素先行地域づくり事業の進捗状況については、毎月の広報いくさか、龍と子等でお知らせしておりますので、簡潔にご報告させていただきます。
太陽光発電設備等のPPA事業では、株式会社いくさかてらすにより、現在までに公共施設17施設、民家4軒、事業所4軒の25カ所に太陽光パネルの設置に至っております。
また、今年4月からの電気の小売事業の開始に向けた準備と手続き等を進めております。
そして、村の実施事業のうち、公共施設関係におきましては、
昨年7月に発注しました省エネ機器導入・LED化改修調査設計業務では、村の16施設を2業者において、今年3月までの工期として、現在進めております。
EV関係では、EVバス1台、公用車5台を発注しており、今年3月には、公用車を配備する4施設の充電器設置と併せて、今年度分を完了する予定でございます。
木質バイオマス関係では、ペレットストーブを役場庁舎、やまなみ荘など4施設に5台を設置し、更に今年度中に4台を設置するように進めております。
やまなみ荘のチップボイラーは、今年2月末までに設置予定であり、今年度設計中の施設の改修完了後からの稼働を目指しております。
森林整備につきましては、昨年度の村内森林の調査結果を基に、振興課を中心に国の森林環境譲与税や県の森林づくり県民税の補助事業などを活用して、ゾーンを決めての伐採やライフラインの支障木の伐採などの取り組みが必要と考えており、長野県林業コンサルト協会や共同提案者である山仕事創造舎など、関係者と実施に向けた調整を行っております。
マイクログリッドの構築事業、小水力発電に関しましては、来年度からの本格的な施工に向けて、今年度、実施設計を進めております。
村営住宅については、ZEH住宅として、2棟の集合住宅を設計、整備を進めております。
下生坂雲根地区のいくさか『創造の森』をフィールドとして、開催しております観光庁のモデル実証事業「第2のふるさとづくりプロジェクト」の「旅するいきもの大学校!」は、村外からの申込による参加者が地域に生息する生物の学習や地域資源を活用した様々な活動を通じて、関係人口の増加につながる事業として進めているものであります。
以上のように、着実に脱炭素先行地域づくり事業関係が遂行されておりますので、村民の皆さんも当事業に感心を持っていただき、人口減少、少子高齢化などの課題を抱える当村の環境や未来の生活のために「地域エネルギー」の重要性を認識していただき、当事業にご理解とご協力をお願いする次第でございます。
防災・減災、災害に強い村づくりでは、自主防災組織との連携、防災士の養成、村民への防災情報等の伝達手段である既設のアナログ防災行政無線の設備を、電波法の改正や国の方針等により、デジタル化移行が必要なため改修工事を実施し、安定した通信環境の維持を目指しております。
また、地域の防災力の要であります消防団員の団員・出動報酬拡充の処遇改善、分団運営交付金、消防団員応援商品券の交付による団員の確保と、昼間の火災や大規模災害に備え、特定の活動に従事する機能別消防団員制度を導入し、防災力の更なる強化を図っております。
簡易水道の有収率の向上に向けては、簡易水道有収率対策プロジェクト会議において、有収率及び漏水対策をいっそう強化し、高い有収率を維持するとともに安定した事業経営を行うため、施設台帳の整備、経営戦略や基本計画により、簡易水道拡張事業や給水計画の検討及び施設の老朽化・耐震化対策を計画的に進めております。
また、今年度から簡易水道事業と下水道事業は、公営企業会計の適用により、経営状況の的確な把握による持続可能な経営基盤の強化を進めております。
今年度より村内と池田町をつなぐ池坂線の起終点をやまなみ荘にして、池田町内のあづみ病院への通院やスーパーへの買い物、通勤、通学など公共交通機関の存続は必須であり、村民生活の足を確保しております。
これらの事業によります安全・安心な生活の確保及び人口減少対策、地域・村の活性化に努めているところでございます。
以上の重点事業等をそれぞれに実施することで、それによります相乗効果を引き出し、生坂村の課題解決や方向付けをしているところでございます。
ホームタウンになっています松本山雅FCは、非常に残念なことにJ2復帰はならず、来期は新体制の下、再度J2復帰を目指して戦うことになりました。
当村とは脱炭素先行地域づくり事業の共同提案者として、環境省の第3回脱炭素先行地域に選定され、地域エネルギー会社の「株式会社 いくさかてらす」にも出資していただき、当事業に大変なご支援をいただいております。
また引き続き、雲根地区の「創造の森プロジェクト」にもご協賛いただき、第2のふるさとづくりプロジェクト「いきもの大学校」の取組、山雅ヤマ部の発足による各種活動、毎年度のイクラン2024松本山雅FC、松本山雅フィジカルトレーニング、保育園での山雅サッカー教室など大変多くの取組を行っていただいているところでございます。
そして、自助・共助・公助を基本とし、村民の皆さんと行政が対等な関係と信頼関係で結ばれ、さらなる協働による村づくりを推進するための「絆づくり支援金」は、選定の結果、8事業、支援金額は1,925千円となり、それぞれ協働による取組として、歴史伝承、農業振興、観光振興、景観整備、施設維持と多岐にわたり、各地区や団体で協働によります活動で、さらに地域、村の元気を生み出す取組を行っていただいております。
県の「地域発 元気づくり支援金」によります事業につきましては、村名申請の3件と団体申請の2件が採択され、5事業の支援金は12,394千円を交付していただき、総事業費15,807千円で各種事業を実施しております。
この元気づくり支援金を活用した事業でも、村民の皆さんが協働による事業を実施していただき、さらに地区、村の活性化、村民の皆さんの生きがいづくりに結びつけ、村内外に生坂村の元気と活気を発信していただきたいと思うところでございます。
「男・女村活性化対策」につきましては、「おじさま倶楽部」は、「信州ひすいそば」と「野沢菜」を栽培し、やまなみ荘での手打ちそばの提供などに取り組んでいただき、「女・人竹っこくらぶ」は、竹っこおやき、おいしん棒、竹っこ弁当などの製造販売をされ、それぞれいくさかの郷特産市で定期的に販売されるなど、多岐に渡って活動していただいております。
「お父さん頑張る会」は、今年度29年目に入り、引き続き農業公社の豆腐や味噌などの原料になる品質の良い大豆を1町歩ほど栽培され、木炭や竹酢液も製造販売して、例年通り活動されております。
また、多くの団体・グループの皆さんが、村づくり、村の活性化、環境保全などのご活動をされているところでして、それぞれのご活動で、村政運営に参画されている割合は大変多く、心から感謝を申し上げる次第でございます。
現在、当村で実施しています国の主な事業関係では、下生野地区の築堤事業に工事着手され、伐採等を行っております。
国道19号山清路防災トンネル事業は、防災1号トンネルが貫通して、現在はトンネル内の付帯工事を行っており、防災2号トンネルは、この1月から本格的な掘削工事に入ります。竹の本法面対策工事は、用地買収に伴う手続きを行っております。
次に県の主な事業につきましては、牛沢地区の犀川の堤防の施設機能向上事業は継続し実施していくとのことであり、草尾地区護岸復旧工事は今年7月末までに完成するように進めております。
大町麻績インター千曲線は、東広津工区の現道拡幅工事は用地測量及び物件調査を行い、「道の駅 いくさかの郷」上部の桧沢砂防堰堤工事は完成し、中村団地の急傾斜地崩壊対策事業は今年度完了いたします。
林務関係では、込地地籍の山腹工が完了し、才光寺の谷止工、古坂の落石防止対策工を施工中で、年度内の完了予定で進めております。
第6次総合計画の将来像は、「確かな暮らしを明日につなぎ 明るく 健やかに生きる村」であります。キャッチフレーズは、「新たな発想で 未来を創り出し 人と自然が輝く いくさか」でございます。
村民の皆さんには、生坂村に愛着と誇りを持っていただき、地域の絆を大切に、支え合い守り育てていこうという責任感を共有する中で、村民の英知を結集して、自信と希望を持って、安全で安心して暮らしていける生坂村であり続けるために、本年も村民の皆さんのご理解とご協力の基、協働による村づくりの継続をお願いする次第でございます。
結びに、生坂村の発展と村民の皆さんのご健勝、ご多幸を祈念し、本年も、変わらぬご指導・ご支援を賜りますようお願い申し上げますとともに、村民の皆さんにとりまして、幸せ多き年となりますよう心からお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。
令和7年元旦
生坂村長 藤澤泰彦