気功についてももう少し書こうかな…
と思っていたところ…
久しぶりに津村喬さんの「Weekly 脈々」を読みました。
昔のものです。
津村さんは私が宋老師と出会って気功に興味を持ったところから
不思議なご縁で繋がり、その膨大な知識と人脈とで
別の角度から気功の魅力を見せてくださった方です。
自分は気功という道を「ちょっと先に歩く先輩」なだけだと言い
その印象は、地に足のついたしっかりしたものでした。
私は、2,3度しか講義を聞いていませんが、
なにかあると、とてもよくしていただいております。
その、たまたま再度読んでみた「Weekly 脈々」を載せますね。
文章はだいぶ前のもののようです。
気功と老人生活
気功は八十年代には、専ら老人たちのものでした。
中国のどこの公園に行っても、とりどりの気功法が花開いていて、それを指導しているのは、80歳、90歳のお年寄りたちでした。当時の老人パワーといったら、すごいものでしたよ。みんな素人なのですが、60年代、70年代に病気をしたりして、こつこつと気功を続け、元気老人になってしまい、気功指導者に育ってしまいました。60年代に引退したら、80年代にはもう80代、そういう民間リーダーが多かったのです。「上海公園大学留学記」というような当時のレポートをいくつも書いています。練功十八法を習ったときも、易筋経を習ったときも、おばあさんでした。蘇州にいったとき、人民公園で百人以上が参加していた「八段錦」があったのですが、なんと四十八式の八段錦で、総合的な健康体操という感じでした。それも七十代と見られるおじいさんが指導していました。私が上海の日本軍の残していった柔道場の古い畳の上で本能体育療法というのを習った朱廉湘先生も、お会いした時にすでに80代でした。
来ているのも、四分の三くらいが、仕事に行くでもないお年寄りでした。四分の一が仕事をしている40代、50代。朝5時半とか6時とかに始まるでしょう。公園の入場定期券をみんな買うのです。日本円だと一ヶ月に五十円くらいとかの安い値段です。私も顔写真をとって定期券を作りましたよ。そして7時くらいまでみんなでして、仕事のある人はそのまま出勤したり、いったん近くの家に帰ったりします。公園の近くにはたいてい朝ごはんの屋台があって、5時には開いているから、来る前にお粥をいっぱいという人もいるし、練功がすんでからゆっくりという人もいます。
大きな公園には「簡化太極拳」とか「陳式」とか「智能功」とか「大雁功」とか「練功十八法」とかの小さな看板が吊り下げられていたり、打ち付けてあったりしました。上海の人民公園のように大きなところでは、何十ものグループが五十人とか百人とかの単位でやっおり、その脇で四五人で站樁したり、一人で黙々とスワイショウをしている人がいたりしました。
そういうふうにして、毎日繰り返される生活の一部に気功があったのです。
中国政府の中でこの状況を的確に知っていて、いいことだと思っている人と、ほとんど知らない人がいました。江沢民などは法輪功が出てきて中南海を包囲されるまでまったく興味を持っていませんでした。そうかと思うと、自分が何かの団体の顧問に祀り上げられ、書など渡して莫大な献金をもらい、いい思いをしている人もいました。そういう利権に関係なく、人民の体育の広場を育てていかないと、将来経済破綻が起きると考えている人もいました。何よりも、年寄りたちが集まるところがあるのがいいと考える人もいました。温家宝などはこの公園文化を体験している人で、太極拳も一通りできて日本の公園で披露していましたし、メルケルが北京に行った時はローリー球をやってみせたりしました。
法輪功事件で公園文化は冷え込んでしまいましたが、今また大きく復活してきています。だんだんに、中国の将来にとって公園気功は非常に大きなことだと考える人と、なによりもそこに老人が自分を大切にできる文化的空間があると考える人が、また主導権をとりはじめたのです。
え、法輪功? 民衆の気功が弾圧された? まったくそうではありません。ある時期から法輪功は気功を使ったカルト集団として育てられたものです。教祖がニューヨークに豪邸を建てるころからはっきりCIAと結びつき、法輪功が旧共産党の出世に乗り遅れた幹部やその妻たちに広がっていたので、中国政府をどれくらい動揺させられるか試してみたのが法輪功事件です。
気功全体がそのとばっちりを受けてしまいました。しかし気功の側にも、法輪功とおなじ「カルトぶり」があったので、しかたがなかったところがあります。流行気功には神秘振りをしてでも人を集めたいところがありましたから。
中国の老人体育の伝統はそんなものに破壊されません。
今は健身気功をやっている人もいるし、自分の習ってきた伝統功法を小さなグループで、あるいは一人で育てている人もいます。日本のほうに残ったものが゜あるかも知れませんね。
90年代、気功を急に若い人がやるようになったのは、超能力と紙一重だという誤解にもとづいてのことです。いまはその波は引いてしまいました。いまは日本と同じで、自分で解決したい病気があるか、あるいはその手助けをしたいか、気功という文化を勉強したいかのどれかの理由で、新しい世代に気功は受け継がれています。
「老人文化」なのですが、もちろん若い人に開かれています。だれでも老人になっていくのですから。
《老人体育に向く手の気功法》
これの一部は『東洋体育の本』に書いたので、ずっとやっていただいている人がいます。癌で無くなった神戸の気功指導者叶治泉さんが、私から継承してずっとやっていただいていたひとつに、手のにぎにぎ運動があります。それのやや拡張バージョンです。
◆これのオリジナルは北京の公園でしていたその名も「老人操」という気功です。てのひらを鍛練するだけで随分元気になるのは脳を活性化するためです。
〔手を洗うように〕
水で洗うような感じで「気で」洗います。
〔拳を打ちつける〕
両手を拳にして、小指側を軽く打ちつけます。回数は適当に。
〔虎口を打ちつける〕
親指と人差し指の股を虎の口といいますが、拳をにぎったまま虎口を打ちつけます。
〔親指と人差し指の股を打ちつける〕
指を開いて、打ちつけます。どちらの手が上でもいいし、律儀な人は両方すればいいと思います。
〔指の股を打ちつける〕
指を組み合わせて、指の股を刺激します。
〔指先を打ちつける〕
五本の指をまるくなるように曲げて、指先を打ちつけます。
〔水かきをもむ〕
指の間の水かきの部分を順につまんで揉みます。ちょっと強めに。両手で八ヶ所あります。
〔手の甲の骨の間を揉む〕
指を組んで、まず右手の指先で左手の骨の間をぐりぐりとします。反対もします。
〔指をそらす〕
互いの指先をつけて指をそらします。
〔両手を前にのばしてにぎにぎ〕
両手をのばして、手を向かい合わせて手を開いたり閉じたりします。二十回ずつとかしていくと鍛えにくい筋肉を使うのでけっこう鍛練になります。
〔手首をつけてに゛きにぎ〕
両手を前にのばしたまま手首をつけてにぎったり開いたりします。
〔両手を水平に開いて〕
肩の高さで水平に開いて、てのひらを前に向けてにぎにぎします。
つぎに、てのひらを下に向けてしす。
つぎに、てのひらを後に向けてします。
それから腕を一回転して上に向けてします。
〔両手を頭の上で〕
頭の上に伸ばして、てのひらを前に向けてにぎにぎします。
〔つかんで降ろしてくる〕
頭の上に両手を挙げた状態から、にぎりながら引き落として肘を胸前に寄せるようにします。
〔手のぶらぶら〕
お疲れさまでした。胸前で手をぶらぶらさせてほぐします。
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そんな津村さんの最新の本。
とてもわかりやすいと思いますよ。
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